2010年10月8日金曜日

オートビレイ器、つけ忘れ

10月7日(木)の夜

ランナウト(クライミングジム)に居たら、上から人が落ちて来ました。
明らかに、結構高いところからだと分かる勢いで。

足で着地してから倒れこんだ形で、本人もビックリしたように起き上がり、事態を理解し、謝り始めました。
本人は驚きすぎて記憶が曖昧ですが、3メートル以下の墜落で、足からの着地で頭も打っていないに等しく、すぐに救急車という判断には至らず。
それでも、本人も周りも大変な驚きようでした。

原因は、オートビレイ器(1人で登るときの命綱。綱ではなく、ワイヤーだが・・・。)のつけ忘れ。
ジムの壁は10m近いので、死ぬこともありえます。

ありうることだと分かりきってて、たまに噂も聞く事例なので、私は全く驚きませんでした。
が、周りのお客さんはビビッている人もいたり。
逆に、僕も含めた店のスタッフ達は、最初だけ対応したものの、冷たいくらいに冷静でした。




思うに、危険に対する覚悟の差だと思いました。
他人の事故を見てビビる人は、自分も死ぬかもしれないという覚悟(想像)が足りないのでしょう。

僕は、普段から自分の葬式を想像しながら山に登るという超冷静な側面があります。
そんな僕でも、最初に友人が遭難死したときはショックも受けましたが、それを機会に想像はし尽くした気分です。

山に関する契約(講習やツアーに参加、クライミングジム利用規約、など)では、自己責任がうたわれますが、やっぱり最初は想像不足になります。
しばらくクライミングをしたら、自分の覚悟を疑ってみる機会があっても良いと思います。

何かの機会に、冬山を辞めてハイキング専門になった友人など、山の範囲を狭めることは多々あります。
ただ、その機会が、親しい人の死であっては欲しくないものです。
まして、覚悟を問われたらクライミングを辞めるような人がクライミングで死んだら・・・、といった可能性もあります。


ちなみに、覚悟と言っても、「めちゃくちゃ危ないことオッケー」という訳ではないです。
むしろ、僕は受け入れられる危険度は低い方なので、「本格的な登山では、8割敗退でも良いや。」という側面もあります。

自分が受け入れる危険度の範囲はそれぞれですが、その範囲内で事故があっても、冷静に受け入れる覚悟だけはあった方が良い、ということです。


あともう一点。
覚悟だけではなく、注意で事故が減らせるのも確かです。

僕は、ロープを結ぶときは、声出し指さし確認(結びオッケー、通しオッケー、折り返しオッケー、など)をオススメしています。
2名でロープを組むときは、お互いに。1名のときは、誰も聞いてないけど声出して。

むしろ、講習会をオススメする立場からすると、こっちの方が重要な話だったのかな?
こういうシステマチックな方法は、講習で最初に覚えれば、登山者・クライマーとして成長過程で危うい橋を渡る回数も減るでしょう。

ビレイやマルチピッチのシステム講習、雪上訓練は受けといて損はないと思いますね。




でも、注意で事故がゼロにはならないことも、勘違いして欲しくないポイントです。