2014年3月17日月曜日

プロテクション優先の思考は、難しい

3月14日(金)、15日(土)は、城ヶ崎にてクラックリード講習。

初日は、男性Sさん、女性IMさん。
2日目は、連続の女性IMさん、補習の女性ARさん。
<久々でも、ジャミングは結構良い調子のSさん>

ジムのリード中、2本目のクリップをしたとします。

そうすると、腰の位置がどのくらいまで上がってもグランドフォールしないか、というのが自動的に決まります。
「で、その位置までに3本目をクリップしないと、危ないよなー。」

という風に考えます。
ジムのリード講習で、落ちる練習や墜落距離の計算をやっているのも、これを身に付けて欲しいからです。
<カムセットも、割りと上手いSさん>

さらに、岩場リード講習で、ボルト間が離れている部分をどうやって処理していくかを練習します。

①クライムダウン出来る範囲で、ソロリソロリ登ってみる
②この1歩さえ登れば、確実にクリップできるから、「絶対落ちない!」と思って行く

などなど。
さらに、クラックやマルチピッチでは、

「このプロテクションで、どの辺までは登って大丈夫なのか?」

ということを考えます。

で、その安全圏の範囲で、次のプロテクションを決めると。
<ただし、プロテクション戦略は、余裕がなくなりがちなSさん。これまでの習慣が悪いのかも。>

でもって、言うは易し!
実際、落ちる練習もして、墜落距離も分かっているんですが・・・。

大抵の講習生は、

怖がり過ぎ&突っ込み過ぎ、というのを連発します。

今回のSさん、INさんも例に漏れずでした。
<ヘッデン回収>

その1つの原因に、考えるタイミングの悪さってのがあるようです。

「今、自分がどの程度ランナウトしているか?」

で考えると、ムーヴに集中しちゃって突っ込み過ぎになります。
<2日目>

逆に、

「漠然と、プロテクションより上に上がったら、トップロープ状態じゃなくなるから嫌だ!」

と、強く思っていると、怖がりすぎになります。
講習の経験上、

プロテクションにクリップした瞬間には、

「次のプロテクションは、あの辺で取れそう。」
「最大でも、あそこあたりに腰が上がるまでに、次のプロテクションが取れなきゃ敗退だな。」

くらいの見通しを持ってもらうと良いようです。
<樹氷(5.8)を、テンション掛けかけムーヴ解決するARさん>

ジムのリードで、レストポイントが戦略的駐屯地であるのと同じです。

ムーヴ中に、戦略なんか考えてたら落ちます!
戦略は、オブザベーションや、レストポイントで練るもの。
<2便目で、完登!>

つまり、
「頭の善し悪しではなく、考えるタイミングの善し悪しが重要なんではないか?」

と、最近は思っています。
<順調に、鬼ころし(5.7)のリードを終え、純(5.8)の疑似リードに挑戦するIMさん>

だって、プロテクション戦略って、冷静なときに考えれば、そんなに難しい話じゃないんですよね。

私個人としては、ようやくプロテクション戦略が苦手な人の思考回路が読めてきたような感触です。
教え方の洗練は、今後の課題ですね。
<純(5.8)の再登を狙うも、落ちまくったARさん>

具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツ
・地上でのカムセット練習
・疑似リード

・実践リード(落ちる練習も含む)
Sさん:鬼ころし(5.7)を、トップアウト
INさん:鬼殺し(5.7)を、完登
ARさん:樹氷(5.8)を、R.P.2便、純(5.8)をトップアウト