2014年5月20日火曜日

講習生は、遅いけれど、いずれ出来る人になるハズ

5月18日(日)は、三ツ峠にてマルチピッチリード講習。
最近は、月1回の受講にしているYZ夫妻。
<オブザベーション>

以前も書いたように思いますが、初心者に

“初登攀の気分で”
(残置無視、トポ無視)

といったスタイルを教えることは、とてもゆっくりになります。
<今回も、奥様のリード>

三ツ峠や越沢バットレスで、

常連さんが2時間でトップアウトしているのを横目に、

我々は5時間、6時間を掛けて、牛歩のように進んで行きます。
<ビレイポイント作りも、前回より確実に>

ただ、正直言って、三ツ峠の常連さんよりも講習生の方が、実は勝っているように感じています。

掛かる時間は、倍以上だけれども(笑)。
<核心部は、ハンド~フィストのクラック>

理由①:条件が違う

・残置を使うだけなら、カムセットの時間も無い。
・残置を追うだけなら、ルートファインディングも半減。
・何度か登ったルートなら、ロープワークの作業だけに集中できる。

つまり、講習で教えている、
・プロテクション戦略
・敗退シナリオ

など、ほとんど無しでも登れてしまう。
<このピッチも、美しいクラック>

理由②:安全基準が違う

三ツ峠で、他のパーティを見ていると、以下のような人をイッパイ見かけました。

・テラスで、セルフを取らないでウロウロしている人
(特に、パートナーに押される、他パーティーのロープなどで、巻き込まれ事故の可能性がある場面でも)

・セカンドの確保で、ATCでダイレクトビレイをしている人
(グリップビレイにしか、ならない)

・残置を使うにしても、しっかりしたボルトと、ボロイ残置の区別をしていない人
(ビレイポイントは、ハンガーボルトを使っても、パートナーには隣のボロ残置でセルフを取らせる、など)

・リードで、ランナウトしているのに、足置きが雑な人
(見ていて、心臓に悪い)

・ボロイ残置にスリングが垂れていたら、残置の状態を確認もせずにA0している人
(しかも、リード中)

・ちょっとしたセルフビレイなら、リングボルト1本で済ます人
理由③:練習意識が違う
講習方針で、
ゆっくりで良いから、確実な方法を!

初心者なんだから!
手際よくやることよりも、考えてやることを重視。
<恒例の、ピナクルでビレイ>

そうは思いつつ。

他パーティーが来れば、
「どうぞ、どうぞ。我々、初心者で遅いんで。」

と言って、抜いて頂きます(笑)。
<雑誌の表紙にでもなりそうな、表情>

でも、こうやって練習しないと、5年後に中上級者になる道のりは開けないように思っています。

・スタイル
・安全管理
・練習方法

の何か1つでも、大きく欠けたら、一生初級者止まりなんじゃないかと再認識した1日でした。
<次回のラインを、オブザベーションして帰ります>