2014年9月1日月曜日

マルチピッチでの、下降プラン

8月30日(土)は、小川山にてマルチピッチリード講習。
女性WNさん、女性MJさんの組み合わせ。
<朝は小雨だったため、11時にキャンプ場を出発>

今回、テーマとして浮き彫りになったのは、下降のプラン。

下降というのは、クライミング能力とは無関係の、純粋な登山技術にあたると思います。
<下部のスラブは、ビショビショで登攀不可能?>

まず、プランとしては、大きく2つ。

①同ルート下降

メリット:
地形や、ビレイに使った立木などを記憶しようと努力できる

②壁の裏面、側面などから、近道を使って下降

メリット:
読みが当たれば、直線的な懸垂下降や、ロープ不要の歩き主体で降りられる
<ガレガレのルンゼを1P目に選んだ、WNさん>

ということは、おおむね①が初心者向けで、②は経験が物を言う感じです。

ただ、今回のルートだと、①を選びにくい事情がありました。
<さらに、藪っぽい2P目>

まず、1ピッチ目で、浮石だらけのルンゼを登ったこと。

ここを下降すると、ロープで絶対に落石するだろう、という雰囲気。
<ようやくクライミングらしくなった3P目>

次に、このマルチのラインが、岩峰の一番長いラインを登っていること。

だから、側面を降りた方が早く地上に辿り着けることが分かっています。

小川山やミズガキなど、樹林帯の中に岩峰が出ていると、そのパターンが多いですね。
<晴れて来ました!>

という訳で、2人も側壁を下降することを選択。

ただ、残念ながら下降を開始するときには、側壁の長さや形状は見えにくい状況。

ですから、次はどの立木でピッチを切るか、どのラインを降りるか、といったことは全てトップの判断。
<時間的に、これで最終ピッチとすることに>

この判断、結構難しいことが多いです。

だから、下のピッチを登っているときやビレイしているときに、側面を覗き込むようにオブザベしておくと良かったのですね・・・。

その辺は、経験不足。
見ようという努力は見られたのですが、オブザベというほどの情報は得ておらず。

清水の舞台から飛び降りるごとく、オンサイト下降。
で、結果的には、ロープがスタックして引き抜けなくなりました。

下降開始時点で、いかにも流れが悪そうな岩との摩擦があったのですが、そのまま50m降りてしまったからです。
<まだ上に、岩稜は続いていましたが、本日はここまで>

で、そこで声はほとんど届かない状況。
さらに、トップで降りたWNさんは、登り返し技術を忘れてしまいました。

「ゲームオーバーですねー。本来なら、ビバーク。下手すりゃ遭難かな。」

という状況・・・。

そんな訳で、黒子の私が登場。
私が色々とアドバイスしながら、ヘッデン下降となりました。
<スラブを10m降りてから、垂壁を40m降りるという形状。リップに、ロープが擦れてしまった>

最初に戻って、②のプランを取る場合の、色々な反省点が分かったと思います。

・地形、壁の形状、立木の位置に対するオブザベ
・登り返しを視野に入れたプラン
・時間的な余裕(特に、初心者のうちほど)
・ロープが引き抜けなくなるなど、懸垂下降特有の地形要因を体で覚えていくこと
<卒業できる(自立できる)までの道のりが見えなくなったと嘆く、MJさん>

クライミングのリスク判断は、ジムリード、岩場リード、クラックリードと培って来ました。

ただ、こういった登山っぽいプランニングは、これからです。

相当に、自信を失った2人でしたが、かなり濃密な経験ができたのは確かだと思います。