2014年10月31日金曜日

ロープワーク講習のお知らせ

こんにちは。
いま、三宅島からの帰り道、フェリーの中です。

明日11月1日(土)は、雨予報につき、ロープワーク講習に振り替えいたします。
普段のロープワーク連絡リストにメール出来るのは、夜遅くなりそうなので、取り急ぎこちらから。

参加希望される方は、私までメールお願いいたします。
(上限4名です)

2014年10月27日月曜日

また1人、マルチピッチリード講習を卒業

10月25日(土)、26日(日)は、マルチピッチリード講習にて、ミズガキ。
女性MJさん、女性WNさん。
<紅葉のミズガキ>

今回で、MJさんはマルチピッチリード講習を卒業といたしました。

春の終わりごろから、合計12~13日だったと思います。

クライミング能力は、まずまずあるだけに、本人もこんなに時間が掛かるとは思っていなかったでしょう(笑)。
<アプローチで大混乱する2人>

初期段階の4~5日くらいは、ロープワークに大混乱していました。

大抵のマルチピッチリード講習の受講生でも、1~2日は大混乱するので、
「意外と、苦手だったんですねー。」

というくらいの印象。
<夏と同じルートで、若干の成長を確認>

また、ロープワークに慣れてきても、判断するということへの敷居もありました。

ラインを決めることに関しては、岩を避けすぎてヤブっぽいラインにWNさんと突入すること多数。

時間管理に関しては、のんびりしすぎて1日に3ピッチくらいしか登れないことも。
<気分は、ビッグウォール>

で、夏の終わりごろには、下降プランの甘さでドハマリ。

講師が付いていなければ、ビバークは免れない状況でしたね。
<ようやく慣れてきた懸垂下降>

で、今回も露呈してきた弱点がありました。

登りながら地形を覚える、ということが苦手という以前に、意識が薄いみたいです。

・アプローチのちょっとしたヤブで、下山のために地形を覚える
・クライミング中に、同ルート下降などのための形状を覚える

どちらもです。
<2日目は、岩探しから>

意識が人を変える、ってのは最近の流行みたいになってます。

いやはや、まさに。
意識しないでマルチ10本登っても、弱点にすら気付かないこともあります。

だから、今回強く意識できたのは、収穫だと思います。
<本日は、富士岩>

マルチピッチリード講習は、私自身が意識しているポイントを、共有していく時間なのかなと思います。

講習中の失敗について、ビレイポイントやアプローチ、テント内での雑談を通しながら。
<オブザベ中>

まだ、マルチピッチシーズンはもう少しあります。

是非とも、二子山中央稜や三ツ峠にでも登ってきてもらえればと思います。
ま、11月にも1回予約が入っておりますので、そちらは補習として頑張りましょう。
<こんな岩場です>

ちなみに、WNさんはまだ時間は掛かりそうです。

マルチピッチの習熟もあるんですが、クライミング能力も少し足りない感じがします。

私から見ると、
「入門マルチが全然無理ってほどではないんだけど、余裕は少ない。各ピッチ、本気トライの連続ですね。」

という印象。
<クラックは避け、立木の多いスラブへ1P目を求めた2人>

マルチピッチ技術を上げることで、ロープワークや戦略に掛ける労力を減らし、各ピッチのクライミングに集中していくことも出来ます。

でも、本人的には、
「講習を受けるにしても。ムーヴ講習、岩場リード講習とかに、お金と時間を回そうかな。」

という方向になってきたようです。
<2P目>

まぁ、それも1つの手ですよねー。

マルチピッチも、結局クライミングですから。

ちょうど、シーズンも終わりごろなので、来シーズンに向けて備えるのも良いかもしれません。
<岩だらけ>

ところで、今回は私も行ったことのない富士岩でした。

頂上には立ちませんでしたが、2人なりに、かなり良いクライミングができたと思います。

まだまだラインに余地はありそうだったので、今後も講習に使おうと思いました。
<ヤブ混じりのクラック>

講習に使えて、かつ人が少ないエリア。
なかなか無いだけに、良い収穫でした。
<稜線に映えるクライミングライン>

<クラックに、ラインを求めようかな>

<下降のため、少しトラバース>

2014年10月25日土曜日

クライミングにも講習にも、真面目な皆さま

10月24日(金)は、ムーヴ講習Lv.1とリード講習3回目。

1コマ目に、女性ARさん、男性Mさん。
2コマ目に、続けて女性ARさん、男性SKさん。
今回の皆さま、クライミングに対しても、講習に対しても、真面目なこと。

男性Mさんは、ジムリード講習を受講している最中ですが、ムーヴも気になっていたらしく今回に参加。
男性SKさんは、先週にリード3回目を受けて、私から卒業とは言われずに今回で再履修して卒業です。
で、今回の極めつけはARさんですね。

前々回のマルチピッチリード講習で、

「ランナウトしているときに、反動を付け過ぎる。」
と私に言われていました。

で、ムーヴ講習を希望。

また、
「クリップの繰り出しのときに、引っ張られる感じがして怖い。」
と仲間に何度も言われるそうです。

で、リード講習3回目だけを再受講。

という訳で、2コマ連続受講。
講習に頼りすぎるのは、経験上も良くないのです。
やはり、自分で考える時間と、習う時間とのバランスが重要なので。

が、今回のケースは有りだと思いました。

理由として
①自分で考えたけれど、原因が分からないこと。
②仲間同士で、毎週のように岩場やジムで経験を積んでいるので、月に3~4日も講習を受けても講習過剰にはなりにくいこと。
③本人も、講習の受け過ぎにならないかを、心配して相談してきたこと。
とはいえ、月に3~4日は結構お金も掛かりますけど。

その分、ウォームアップの洗練具合は、いまや、TZさんレベルの美しさです。
つまり、省エネ技術も相当高いということですね。

具体的な講習内容
ムーヴ講習:
・足をスタンスに馴染ませる
・指をホールドに馴染ませる
・ホールドに胸を向けるか?
・肘を積極的に曲げるメリット
・片手でバランスをとれるまで、もう一方の手を離さない技術
・反動を付けるときに、止まる瞬間に振られないことを意識する
・反動を付けるときに、体幹を入れたり抜いたりすることを意識する

リード3回目:
・ビレイの待機姿勢(しゃがむか、立つか)
・ビレイの繰り出し練習
・クライマーのフォールラインは避ける
・落ちる練習&止める練習
・実践本気トライ
SKさん:垂壁の5.9を、オンサイト
ARさん:垂壁の5.10bを、ムーヴ解決してトップアウト

2014年10月24日金曜日

レストポイントで、次のスタンスを確認する習慣

10月23日(木)は、ムーヴLv.1。
女性NSさん。
ジムで、クライマーがスタンスを見失うと、ビレイヤーを含めた観客がスタンスを教えてくれる場面があります。

「もっと右の茶色いの!」
「股の下のデッカイの!」

といった具合。
で、講習中は、なるべくやらないことにしています。

理由としては
①練習方法
オブザベーションやレストポイントで、直近のスタンスを確認する習慣を付けて欲しいから。

②スタイル
なるべく、クライマー自身が考えて登った方が楽しいから。
特に、オンサイトトライで教えられると、ルール上もオンサイト失敗とみなされます。

③安全管理
ビレイヤーがスタンスを見るために、壁から離れがちになるから。
特に、
「①の能力が、徐々に慣れて来る」
という意識が重要だと思います。

逆に、アドバイスされるのに慣れてしまうと、

大レストポイントから、1手2手進んだら足を見失います。
で、自分で探すより前に、
「次どれー?」

とビレイヤーに尋ねてしまいます。
レストポイントで、スタンスを確認する習慣、ぜひとも身につけてください。

記憶力という問題以前に、レストポイント毎に記憶しようとしているかどうか、というのが大事だと思っています。


厳しめに教育的配慮をするなら、フォールした後に

「そこにスタンスあったんだよ。」
って教えます。

すると、
「あー、これにさえ気づいておけば!」

と、とても悔しがるので効果大です。

具体的な講習内容
・手をホールドに馴染ませる
・保持したいホールドに胸を向けるか?向けないか?
・肘を積極的に曲げるメリット
・手順用語とオブザベーション
・複数思いついた選択肢の中から、確率の高いムーヴを選択するという習慣
・ロワーダウン中に、納得いかなかったムーヴを、別のムーヴでも試してみる

リードのトライでは、垂壁の5.10b、メイン壁の私作の5.10cをオンサイト。
メイン壁の飛丸5.11aを、テンション掛けながらムーヴ解決。

2014年10月22日水曜日

雨の日の個別対応で、弱点強化

10月22日(水)は、クラックリード講習が中止にて、ランナウトにて。
女性SDさん、女性WNさん。
SDさんも、クラックリード講習から受け始めたタイプです。

が、まぁ私から見ていて、
「ビレイやらリード技術やらで、教えたいことは多い。出来ればジムリードや岩場リードも受けて欲しいな。」

と思っておりました。

で、今回は雨になり、参加者も減ったので個別対応。

ムーヴ講習を3時間、ジムのリード講習3回目くらいの内容を3時間、という感じで6時間コースを設定。
今回で、レスト態勢、ビレイの弛ませ具合、などについて修正してもらいました。

本当は、順々に受けて欲しいのですが、こういった対応もなるべく行うようにしています。

さて、リードも、ビレイも良くなったので、クラックリード講習も楽になりそうです。   


具体的な講習内容
・1手1手レストする練習
・体幹を入れるか?抜くか?
・両手のうちに片手バランスを整える意識
・胸をホールドの方向に向けるか?向けないか?
・クリップ練習
・ビレイの弛ませ具合
・ビレイの立ち位置
・繰り出しの方法
などなど

無料体験10月

10月21日(火)は、無料体験講習。
女性KMさん。
カムのセットが習いたいということで、様子見に来たKMさん。

登りやビレイを見た感じだと、ジムのリード講習から順々に覚えてほしいことも多いという印象。

ただ、全ジャンルの基礎を講習で学ぶというスタンスでもなさそうなので、しばらく検討してみるとのことでした。
当初予定通り、クラックリード講習だけを受けるかどうか。
無料体験は、こういう経験者の方もいらっしゃいます。

そこで相談したり、登り方やビレイを見たりして、

「~~の講習から始めるのがベスト、××から飛び級して始めても何とかO.K.。」
といった話をしています。

ランナウトが遠い方には、厳しい話ですが、こうやって始めるとお互いにストレスが無いですね。

2014年10月21日火曜日

ビレイポイントの分散支点

10月19日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性ARさん、男性SRさん。
<そろそろ、小川山は日向が恋しい季節>

ビレイポイントは、カムやハーケンで作る際は、複数支点から取ることが一般的です。

その連結方法として、流動分散、固定分散、なんかが有名ですね。
どういう連結方法がベターか、ということも、もちろん講習内容になります。
<ビレイポイント作りの練習>

ただ、一方でビレイポイントというのは、数が多ければ良いというものでもありません。

カム1個だって、墜落には100%近く耐えられるはずです。
(キャメロットであれば、10KN~14KNくらい)

乱暴なイメージですが、7KNくらいだと、リードの墜落レベルで稀に壊れます。

例:
①ウィップフラッシュ現象で、ゲートの開いたカラビナの破断事故

②エイリアン緑などの、マイクロカム

で、固定分散にすると、スリングの強度が22KNから10KNに下がってしまったりする訳なんで、支点がそれ以上強くても、ほとんど意味がありません。
<オブザベタイム>

なんで、複数支点から取る最大の理由は、荷重分散で強度を上げることではないと考えています。

・自分がセットミスする確率
・岩が欠ける確率
・ビレイしている最中に、カムが歩く確率

などを考えて、リスク分散すること。
<初回で、不慣れ感ただようSRさん>

だから、

「バチ効きだ!」
と自信たっぷりのカムなら、2点だけでも十分なリスク分散になると思います。

そして、

「1つとして、確実なのが無い。」
という状況だと、3点、4点集めても、不安はぬぐえません。
<「スラブは、得意になってきた」というARさん>

ちょうど、クラックやマルチで核心に突入する前の、固め取りに似ています。

なんで、最低1個、できれば2個のバチ効きを探すイメージです。
連結方法なんてのは、最後の微調整ですから。
<マルチピッチな雰囲気>

雪とか、灌木とかで、分散荷重が安心感を増やすような例外も、経験上あるような気もします。

ただ、荷重分散が必要ってことは、個別の支点が弱いってイメージなんで、そもそも怖いでしょう。

だから、リスク分散だけで済むようなのが理想で、荷重分散を強く意識するのは最後の手段、と私は思っています。
<頂上直下>

・できれば、確実な支点を2個
・確実なのが1個の場合は、ほどほどの確率で止まりそうなのを複数バックアップ

そんなイメージで作って欲しいと、私は講習しています。
<お昼休憩>

さて、本日は少し余裕のあるマルチピッチ。

いま書いたような、システム面の講習で半日、マルチピッチの実践で半日。

リード講習初回のSRさんには、ちょうど良かったでしょう。
一方で、前日が不完全燃焼だったというARさんには、もっと厳しいのが好みだったようでした。

ま、それは次回以降の楽しみとしておきましょう。
システムに強くなることも、大切ですからね。
<完登の喜び>


<結構な苦戦を強いられた、連続懸垂>


2014年10月19日日曜日

リマインドです

今月の山の知り合いを増やす会は、10月20日(月)です。

最終月曜日ではないので、勘違いしているかもしれません。

が、明日です。
(30分後には、本日になります。)

今まで参加したことがない方も、是非とも御参加ください!
当日でも、参加メールを受け付けておりますので。

2014年10月18日土曜日

不思議と体得できる瞬間

10月18日(土)は、マルチピッチ体験講習にて、越沢バットレス。
男性IKさん、男性FKさんの組み合わせ。
<自称“火の玉ボーイズ”の2人>

人には、
「あー、分かった。なんか、今までのことが色々つながったかも。」

という瞬間があると感じています。
<アニキ&組長>

ムーヴ講習なんかだと、経験ありきで、アドバイスを受けに来るので、講習中にその現象が起こることもあります。

一方で、岩場リード、クラックリード、マルチピッチリードは、少し違います。
<ユニフォームは、TCプロ?>

システムを教えるだけではダメで、実際にリードを繰り返してもらいます。

で、簡単なパターンから、判断要素が高いパターンまで、徐々に経験を積んでもらいます。

・単純なリードで言えば、易しいルートから、落ちる可能性の高いルートへ
・クラックで言えば、カムセットが楽勝のルートから、カムセットが難しいルートへ
・マルチで言えば、立木に向かって進むだけのピッチから、ビレイ点や下降ラインが難しいルートへ
<「行くぜ!」の声が聞こえて来そう>

で、経験を積む段階が危ないので、皆さんリード講習に参加してくださる訳です。
(講習でも、結構危ないんですが・・・)

という訳で、経験自体も講習で積んでいきます。

例えば、月1回くらいマルチピッチリード講習を受けながら、平日はジムに行き、他の土日はクラックやボルトルートをリードするというサイクル。
こんな方は、理想的な経験の積み方でしょう。
<でも、すべての所作は慎重なアニキ>

で、あるとき、やっぱり一皮むけるときが来るんですね。

私の感想は
「前回より、理解度が全然違いますね。質問する内容とか、会話の節々から伝わって来ますよ。」

そうなると視野が広がり、戦略にせよ、ロープワークにせよ、一気に楽になります。
特に最近思うのが、マルチピッチこそ、この現象が多いことです。

最初は、
ロープワーク、敗退シナリオ、登攀力、プロテクション、下降プラン、などで、頭は目一杯。

気持ちは、
「全部一度になんか、出来ないよ!」
<優しく岩を愛でる、組長>

ところが、いつの頃からか、格段に余裕が生まれて来ます。

乱暴に言えば、

“慣れ”ですね。
<再び、「行くぜ!」>

ただ、個人的に面白いのは、

“ある瞬間を境に、全体的にベースアップする”

ってことです。

ロープワークに慣れた、とかではなく。

言うなれば、マルチピッチの
“仕事の流れ”
を体得したってことなのかと思います。
<終盤のスラブ>

という訳で、ロープワークに混乱した方も、戦略に戸惑った方も、いつも登るのが遅い方も、

結構大丈夫なもんですよ。

なぜか、このリズムが体得できる日が来ちゃいますから。
<カム回収に失敗して、焦るアニキ。残念ながら、これは私が後で回収。>

ちなみに、その瞬間を越えると、大抵の方が、少しクライミング能力も向上します。

私の予想では、視野の広がりが、クライミング中のズームアウトにも貢献しているんだろうと。
<次回の火の玉ボーイズは、11月3日です。シーユーアゲインです。>

さてさて、今シーズンのマルチピッチリード講習も、残り期間は少なくなって来ました。

どうなりますかねー。