2014年11月5日水曜日

レッドポイントタクティクス

11月4日(火)は、自分のクライミングにて甲府幕岩。
ユッキーさん、K田さんと。
同じルートを何度もトライして、最終的に完登することをR.P.(レッドポイント)と言います。

最初は、1回目のトライで登れなかったルートを、2回目以降で完登する、という程度の理解だと思います。
ただ、単なる再トライではなく、計画的にR.P.をする戦略があります。
通称、R.P.タクティクス。

これを積極的に使うと、オンサイトグレードよりも3~4グレードも上のルートがR.P.できてしまうという優れもの(笑)。

具体的には、1回目のトライで1テンションでも入ったら、あとは次のトライのための練習と割り切ります。

戦略的には、1テンション掛けたら、2テンションも10テンションも“完登でない”という意味では同じなので、レストは頑張らずにテンションで休憩をします。
そうやって、部分部分のムーヴを練習します。
で、核心部のムーヴだけを記憶して登れるぐらいなら、それでO.K.です。

そして、もっと難しいなら・・・

①レストポイントを記憶
②効率的なクリップポイントを記憶
③核心部以外を、効率的にこなすムーヴを記憶

という感じで、主要なパートを完全記憶します。

だから、そうなると短いルートでも3~4トライ、長いルートなら10トライくらい掛かるようなイメージです。
さらに経験を積んだ人なら、

①部分練習でギリギリ出来たムーヴは、成功率や消耗具合に問題が大きいので、洗練させるべく部分練習

②記憶や洗練のためにも、完登した自分をイメージできるまで、イメージトレーニングを繰り返す

③あと何トライくらいでR.P.するための準備が整うのか、計画を立てる
(闇雲にトライを重ねるのではなく、ムーヴ探りのためだけに、“完登狙いではない(!)”リードトライを1便出すこともある)

そうやって、1日~数日、長い場合は10日以上に渡って、1つのルートを攻め立てます。
講習生を含め、初心者のR.P.トライを見ていて、

“どうせ何トライもするなら、計画的にやる”

という意識が大切なのかなー、と思います。
ちなみに、当塾講習生の場合、フリークライマーを目指すというよりも、マルチピッチやバリエーションを目指す方が多いです。

だから、R.P.でグレードを伸ばすよりは、オンサイト能力の方が大切なのは確かです。

ムーヴ練習、レスト練習という意味でも。
1つのルートで同じムーヴを練習するよりは、1~3トライ位で完登できるくらいのルートの方が、総合力を付けるには早道であるように思います。

ただ、ときにはグレードを追うのも楽しいし、どうせR.P.トライをするなら計画的にやった方が経験になると思いますよ。

そして、その経験が意外とオンサイト戦略にも役立ったりするのです。
ちなみに、スタイルとしてR.P.そのものが反則っぽくて嫌い、とかいうのは、それはそれでアリだと思います。
より厳しいスタイルを追求した方が、達成感が大きくなるのも、クライミングの側面ですから。

ただ、初心者のうちは、一般的なフリークライミングの完登手段として覚えた方が良いと思うので、講習生には教えております。


具体的に登ったルート(ほとんど、ボルトルート)
・イエローマウンテン(5.9) アップ
・わささび(5.10b) アップ
・コジマン(5.11a) アップだけど、ちょっと落ちそうだった
・シリコロカムイ(5.10d) アップだけど、ちょっと落ちそうだった
・ワイルドトットちゃん(5.10b/c) アップ
・安近短(5.12a) 3トライにてR.P.

・シリコロカムイの右にあるクラック(ハンド~オフィズス、推定5.10b) トップロープで掃除がてら試登
結果:シリコロカムイの終了点までのルートとして、十分にリード可能

・アイソメトリックス(5.10c) ダウン