2014年12月22日月曜日

アルパインリード講習前に、アイスを必修にしている理由

12月20日(土)は、八ヶ岳の南沢小滝にて、アイスクライミング講習。
女性ARさん、男性HYさん。
<朝から、良い天気>

昨シーズンに設定してから、まだ誰も受講していないアルパインリード講習。
参加条件が厳しすぎて、現状の講習生のレベルには、まだ合わないんです(笑)。

その参加条件の1つに、
・南沢大滝もしくはそれ以上のアイスクライミングを、ノーテンションでリードしたことがある

というものがあります。
<雪化粧>

バリエーションの中には、アイスなんぞ出てこないルートもあるのに、なぜ?
という問いも多いので、それに答えます。

まず、これまでに阿弥陀北稜でリード講習を3回、赤岳天狗尾根で体験講習みたいなものを2回、実施したことがあります。

そのときの経験から、色々思うところあっての結果です。
<コントが絶えないアプローチ>

①アックスの振り方、アイゼンの蹴り込みは、雪でも重要

今更ですけど、バリエーションでは易しいセクションでのランナウト、ノーロープが日常茶飯事です。
それに対応するには、“安定したムーヴ”の一言。

バーチカルっぽいアイスを登るムーヴは、急な雪壁、草付きをノーロープで登る力と近いと感じます。
バーチカルアイスでは、ムーヴがパンプを抑えます。
バリエーションでは、ムーヴが死亡リスクを抑えます。
<早めに到着して、貸切>

②装備の取り回し

例えば、アックス収納。
肩に掛けるのか、腰に下げるのか、ザックにしまうのか?

あるいは、流れ止め。
流れ止めを付けることによるリスク(アックスが自分に飛んでくる、など)。

それから、普通のカラビナ、スリング、ロープを、手袋で操作すること。
<取り付きにて、アイスボルダー>

③アックスを使ったムーヴ能力

対角線バランス、レスト。
<午前中は、他に1パーティのみ>

④フリークライミング的な感覚

冬は、アイゼン・アックスを使っている時点で、フリークライミングではないと言われます。

とはいえ、ノーテンションで登れたら嬉しいし、レストしながら次のムーヴを考えているときは、楽しさもあります。
その辺の感覚は、やってみないと分かりません。
<ウルトラ防衛隊>

で、こういったことを、バリエーションの最中に教えるのは相当無理があります。

寒いことが多いうえ、時間的にも余裕がありません。
地道な基礎練習を固めてから、入門ルートでリードを教えるのが、当塾流儀なので。

アイスクライミングエリアの取り付きで、高さ1mくらいのボルダー練習しながら、
「あーでもない、こーでもない。」

とディスカッションするのが、一番良いと思います。

で、昼前からは実践編でトップロープ練習。
<フォームは、まずまず>

もう1つは、装備です。

これまで、冬山歩きしかしてこなかった人にとって、クライミングの装備をそろえるのは大変です。
手袋、ヘルメット、アックス、アイゼン、などなど。

さらに、それらの購入に関しての質問メールも、当然ながら膨大になります。

そうなると、やっぱ
「最初は間違った装備で来ちゃっても何とかなる、アイスゲレンデで教えさせてください!」
「最悪、アックスくらいなら忘れても貸せますし!」

という安心感も大切です。
<トップロープで、本気トライ>

最初はアイスゲレンデで、冬のクライミングに入門した方が、講習しやすいということですね。

そして、バリエーションも少し難易度が上がれば、
アイスクライミングの技術そのものも重要になってきます。

そういう意味でも、絶対に無駄にはならないので、頑張ってみてください!
<初回から、かなり上手かったHYさん>

具体的な講習内容
・安定した態勢でないと、アックスは上手く振れない
・靴ひもを締め直して、踵が浮かないようにすると、スタンスが少しガバ足になる感覚が得られる
・レスト
・何度も蹴り込んで、良いスタンスを作っても良い
・踵を下げると、ふくらはぎのレストになる
・体幹を意識して対角線バランスを作ると、アックスが振りやすい
・不安定な一手のまま進むと、負のスパイラルに陥りやすい
・アックスを振るときに、脱力しておいてインパクトの瞬間に握ると、安定しやすい
・凹みを狙うと、アックスが引っかかりやすい
・スクリュー回収練習
・アックスを肩に掛けておくこと

などなど
<「出来ました!」>

アイスクライミングも、1回では到底教え切れないコツが沢山です。
何回か講習する中で、まずはアイスに慣れて欲しいですね。

そして、アイスのリード、そしてバリエーションに挑戦して欲しいところです。
<午後は、低気圧が迫っているというのに、大混雑>