2016年10月28日金曜日

言わされてナンボの世界

10月26日(水)、27日(木)は、自分のクライミングにて、小川山&ミズガキ。
狂祖さまと。
<最高ルーフ>

またしても、カムスタック!

最高ルーフ(5.10c)の核心をフォローする際に、やってしまいました。
ここは、歩きやすい2番よりもタイト目の3番をセットしたくなる場所が、ちょうどロープの屈曲点・・・。
普通は歩かないようなタイトなカムが、無理やり歩いてしまうという形状です。
<紅葉>

しかも、ムーヴの都合上、フォローはブラインド気味にカム回収したくなります。

で、それでさらに悪化!
ここで、早々にフリーで登ることを諦めて、セルフビレイを取って、回収作業開始。

しかし、1時間近く粘っても、カムは動くものの回収できず。
<サウスポー(5.11c)、にしても私はデカイ>

諦めて、とりあえずトップアウト。

懸垂下降中に、狂祖さまが再度トライ!
また40分くらい粘って、「多少マシになりましたが、やはりハンマーが欲しい。」ということに。
<最高ルーフの名前の由来?>

そこで、私が下まで懸垂下降して、車にハンマーやらアブミ、ユマールなどを取りに戻ります。
1時間くらい掛けて、テラスから車まで往復。

そして、薄暗い中で、狂祖さまが再度登り返してヘッデントライ。
30分ほど粘って、ようやく回収成功!
<核心トラバース>

もと講習生の方が回収が上手いなんぞ、恥だとは思いますが、とりあえず最高ルーフを汚さなくて良かったです!

ありがとうございます!!!
<オンサイト成功!>

狂祖さまから、有名クライマーのカム回収の様子を聞いたりしたので、今後の参考にしたいと思います。
カム回収も、作業よりもオブザベに時間を掛けるべき、という話。
<隣には、お殿様岩>

ところで、こないだ長門さんと御一緒した際に、

「(クライミングは)言わされてナンボの世界」
と仰っていたのが、思い出されました。

自信を失うのはツライものですが、マゾっぽい我々は、それを求めているような気がします。
<カム回収をする狂祖さま>

1日目は、13時前からヘッデンまで、ずっと作業クライミングしてしまいました。

そして、腹筋の筋肉痛をひきづって、2日目。
<2日目>

2日目は、ミズガキのバベルの塔。

ここでは、特に言わされることなく。
2本だけ本気トライして、1本は一撃して、1本はオンサイトできないながらハングドッグしてムーヴ解決。

カムも順調に回収して、ホッと出来る1日でした。
やっぱ、こういう日も必要ですね!
<ポセイドン(5.11a)>

具体的に登ったルート
1日目
最高ルーフ(5.10c、2ピッチ):フォロー
サウスポー(5.11c、ハンドのルーフ越え):R.P.。通算3日目。数年前より成長を感じます。
その後、延々とヘッデンまで言わされました。
<オンサイトする狂祖さま>

2日目
ラドン(5.10b、ワイド系):下部の核心部は再登。上部の易しいセクションのみオンサイト。
ロデム(5.12a、フィンガー):ロプロスとの分岐まで再登。分岐後の10mほどの核心部は、オンサイト。なんとなく、行ける気がしたんですよね。
バビル(5.12d、スポートルート):ハングドッグしてムーヴ解決。トポ通り、ちょっと脆いけど、見た目とか高度感が秀逸ですね。結構チョークが付いているので、そのうち脆い岩は落ちきると良いのですね。どうかな。
<大喜び>

<ロデム(5.12a)>

<完登!>

<乾燥した季節>

<ロプロス下部で、言わされる狂祖さまの図>

講習初期はレスト練習

10月25日(火)は、夕方にムーヴLv.0。新規女性NMさん。
夜は無料体験で、今回から定員4名で満席。

レストと一口に言っても、実に色々あります。

ジムだけとっても、
・両手を交互にレストして、長居する:長期
・片手だけ良いホールドのときに、5秒くらい居ても快適なポジションを作って、ちょっと落ち着く:中期
・ムーヴを起こす最中に、ワンシェイク入れる:短期
くらいはあります。

講習で重視しているのはオンサイトトライですから、長期レスト、中期レストを覚えて、登りながらオブザベが出来るようになって欲しいと願っています。
(短期レストは、自分の限界グレードを登る上ではもちろん有効です。)

オンサイトトライは、総合力が問われて、スポーツ的に面白いってのもあります。
ルートクライミングのコンペは、普通はオンサイト方式です。
次に、岩場ルールとしても、“一度も落ちなかった”というのを、“仮にロープ無しでも死なずに上まで行けた”という重ね合わせ方は、レッドポイントよりもしっくり来ます。
(レッドポイントは、もちろん面白いですよ。)
もう1つ、オンサイト技術は、マルチピッチや登山に通じるものが大きいです。山屋なのにオンサイトに弱い、とか何だかツライじゃないですか。

という訳で、まだ講習初期の皆さんには、漠然としたものもあるでしょうが、レスト技術を徹底的に講習していきます。どうぞ、お付き合いよろしくお願いします。

さて、女性NMさんは、ジムリード講習に進んでO.K.といたしました。
では、またよろしくお願いいたします。

2016年10月25日火曜日

ショートルートと同じ頑張りは可能か?

10月22日(土)、23日(日)は、マルチピッチリード講習。
初日は小川山、2日目はミズガキ。
男性ITさん、女性STさんのペア。
<1P目>

ITさんからの質問。

「マルチピッチでも、ショートルートと同じくらい登れなきゃウソだって気がするんですが、登れるものなんでしょうか?自分は、ショートルートなら5.10bくらいでも、やってみるかと思うけど、マルチだと全く無理そうな気がします。」

「岩が脆いとか、プロテクションが不安とか、シングルロープじゃなくてダブルロープを使っているとか、ビレイヤーから見えないとか、色々あるので。」

「でも、マルチで登れないものを、ショートルートでだけ登れても、下駄履いて登らせてもらっている気がしますよね。同じ5.10bでも、ちょっとインチキっぽいというか。」
<細い立木の連続>

なるほどなるほど。合っていることと、そうでもないことがありそうです。

1つ1つ分析して行きましょう。
<2P目の前半は、綺麗なクラック>

①岩が脆い
硬い岩に比べたら、ムーヴに集中できなくなるのは、仕方ないと思います。
また、その状況がプロテクションが悪いなら、岩が欠けるリスクは死亡リスクに直結するかもしれませんので、ショートルートと同じパフォーマンスは無理でしょう。

感覚的ですが
プロテクションが良い ⇒ ちょっと登れなくなる(脆さ具合にもよるが、2~3グレード登攀力が落ちる、など)
プロテクションが悪い ⇒ フリーソロできるぐらいのムーヴしか出来ない
<2P目の後半は、恐ろしいマントル>

②プロテクションが悪い
3ヶ所などの固めどりで対応可能なレベルなのか、一応決めてはいるけどフリーソロのつもりで登るべきなのか。

前者なら、99%行けそうなムーヴなら突っ込むでしょう。だから、ちょっと登攀力が落ちるくらいで済みます。
後者なら、クライムダウンできる範囲でしか登れないことも多いです。
<ブッシュ帯に活路を求める>

③ダブルロープへの不安感
当塾では、ショートルートの講習で落ちる練習を散々やってきているので、ITさんもシングルロープは信頼。
「ダブルは、落ちる練習していないから、伸びるとか、切れるとか、なんとなく不安でいっぱいで。」

これに対しては、2つのアイデアがあります。

A:ダブルロープでも、落ちる練習してみる。
ただし、ダブルロープは大きなフォールで何度も衝撃を掛けることを想定していないため、大きなフォールで練習すると消耗してもったいないです。小さめのフォールで試すのが、現実的。
ちなみに、私はダブルロープで何度かフォールしたことがあり、講習生がフォールするのもよく見ているので、不安感はあまりありません。(岩角には弱いと思いますが)

B:マルチピッチもシングルロープで登る
正直、僕自身は小川山やミズガキなんかでは、シングルロープでマルチピッチも登ります。

ただ、幾つかのデメリットもあります。
ロープ1本で登ると、3人で登りにくい、下降が難しくなる、など。
それに対して、長め(60m)のシングルロープで登る(30mは下降可能)、バックロープを使用する、などの方策もあります。

どちらにせよ、3人でシングルロープを使うことは、ロープワークが複雑になるため、講習向きではなく、今のところ諦めています。
ただ、卒業後は日本的な本チャンはダブルでⅤ級程度を登る、ゲレンデマルチはシングルでショートルート並みのピッチを登る、といった使い分けが現実的かと思います。
<ほとんど歩きの3P目>

④ビレイヤーから見えない
これも、不安要素です。
丁度よい弛み具合でビレイしてくれるか怪しいし、「テンション!」とか言っても聞き間違いされそうです。さらに、事故ったらセルフレスキューも難しい場面になりそうです。

核心部手前でピッチを切る、ビレイ点の場所を工夫する、といった工夫で対処が上手く行けば、この不安は解消できることもあります。
その場合、登攀力は全く落ちないでしょう。

もちろん、出来ないこともあります。
その場合は、登攀力はやっぱり少し下がるでしょう。
<4P目の美しいフィストクラック>

という訳で、私なりの結論としては。

“マルチでも、プロテクションを工夫したり、ロープの信頼度を高めたり、ビレイ位置を工夫したりすれば、ショートルートに近いパフォーマンスを出せることもある。
そして、それが出来ないこともあって、そのときはショートルートなら登れるはずものが登れなくても、恥ずべきことではない。”

ということです。
<ここでルベルソを落とすハプニング>

具体的にITさんを例に取れば、

最高の条件:
マルチの中でも5.10前半くらいでもオンサイト(できる日がきっと来るはず)

プロテクションだけは信頼、不安要素あり、という条件:
5.8~5.9くらいはオンサイト(これは、今回もすでに1回成功)

不安要素だらけで、フリーソロに近い条件:
5.6(Ⅳ級とか)でも、冷や汗ものの物凄く嫌なリード
<5P目>

ちなみに、これが僕の場合にグレードをスライドさせると、

最高の条件:
5.11中盤くらいのオンサイト

プロテクションだけは信頼、不安要素ありという条件:
5.10後半~5:11aくらいのオンサイト

不安要素だらけでフリーソロに近い条件:
5.8くらいでも相当嫌

ってイメージです。

ちなみにですが、既成ルートのトポを見て、現実的に自分が取り付けるマルチかを判断するのにも使えます。
<2日目>

ただ、グレードはあくまで参考値です。
ワイドクラックとスラブは、そもそもショートルートでも5.10cくらいしかオンサイトしたことが無いので、上記グレードの限りではないとか、得意不得意でグレードはバラつくものです。
<1P目>

注釈が多くて、かえって分かりにくかったら申し訳ありません。
要するに、ショートルート並みに頑張れるときもあるし、頑張れなくても仕方ないときもあるってことですよ。
<2P目>

当塾講習は、残置無視、トポ無視でやっているので、グレードではなく実際の岩を見て、なんとなく自分に見合ったラインか否かを判断してもらいます。

で、登った後に、
「体感グレードは、どんなもんでした?」
と聞いたりしているので、こんな話になったのかもしれませんね。
<ちょっと見栄えするクラック>

具体的なピッチ
今回はトポに無いラインが主なので、私を含めた3人の体感グレードで。

1P目:Ⅳ級くらいだが、プロテクションは細い立木の連続
2P目:5.7くらいの綺麗なクラックから、Ⅳ級くらいの猛烈にランナウトしたマントル
3P目:ほとんど歩きのビレイ点移動
4P目:5.8くらいの綺麗なクラック
5P目:5.8くらいだが、プロテクション以外に不安要素の残るクラック(ビレイヤーの位置が悪くなる、など)

1P目:5.8くらいで、プロテクションは良いが、あまり登られていなさそうなクラック
2P目:5.9くらいで、プロテクションは良いが、表面が脆いクラック

2日目は、本気トライ的な内容だったので、これにて疲れを感じて早めの下山となりました。
<チムニー内に走るクラック>

ムーヴグレードだけ見たら、2日目の2P目が一番難しいですが、感覚的には1日目の2P目が「ヤバい!」と思います。
講師目線でも冷や冷や。

そんな感じです。
<立木のビレイ点>

ところで、2人のマルチもようやくクライミングらしい感じになってきました。
ほとんどショートルートをやらない2人なので、心配しておりましたが、ホッと一安心です。

先日まで、5.7とか登ってはいるんだけど、
「マルチの最中は、Ⅲ級に毛が生えた程度で十分!」
っていうニュアンスが見て取れたので、ようやく余裕が出て来たのでしょうか。
<早めに降りました>

2016年10月24日月曜日

理解は深まる

本日が、山の知り合いを増やす会ですよ。
前の投稿が読まれなくなってしまうので、念のため再掲します。

10月21日(金)は、クラックリード講習にて、湯川。
新潟の女性NBさん、女性Hさん、加えて復習参加の女性HMさん。
本日、Hさんは「今日は収穫があった。」と言っておりました。

「どんな感じで、分かったことがあったんですか?」
と尋ねると

「何かコレってのじゃなく、ジャミングの効いてる効いてないの感覚も、疑似リードでランナウトしちゃダメだってことも、“今まで、あんまりよく分かってなかった。”ということが分かった。」
との回答でした。
誰でも、ある日に理解したコツが、「そう言えば、前にも聞いたことあるんだけど。いま、よく分かった。」という経験はあると思います。

これに対して、
「理解が遅い。」とか「感覚が鈍い。」とか、卑下する必要は全くありません。
ある一定の練習量に達したときに、アドバイスが染みわたるタイミングが来るのですから。

前よりも、ハンドジャムの効きがちょっと良くなったなら、それで良いのですよ。
ちなみに、ハンドジャムは出来るけど、フレアハンドは苦手、というパターンの人がいたとして、

①ハンドジャム自体が、一応効いているけど、上手い人から見たら雑(⇒ハンドジャムそのものに改善の余地あり)
②フレアハンドが、どういう仕組みで効くものなのか、あまり分かっていない(⇒フレアハンド特有のコツを考える必要あり)

という2パターンが考えられます。

今まで、復習参加などで「フレアハンドが効かないんです!」と質問してきた講習生のほとんどは、②だけでなく①にも指摘するべきことがありました。
これは、「5.9のクラックは登れるけど、5.10台になると全然ダメで。」と言う話を振ってくる人も同じです。

「たぶん、5.9の登り方がイマイチな部分も大きいと思いますよ。一方で、本気トライ特有のメンタルとか、戦略にやられている可能性もありますが。」
ちなみに、私は役得をすごく感じています。

5.9をいかに登ると効率的か、本気トライはどうあるべきか、カムセットはどうすると安心感が高まるか。
基本動作を振り返るチャンスが、毎日のように巡ってきます。
ありがたや。

具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツ(少し圧力を掛けて確かめる、など)
・ボルダー練習(右手主体or左手主体の切り替え、など)
・疑似リード(NBさん、Hさん)
・リードで落ちる練習(HMさん)
・実践本気トライ
HMさん:フォーサイト(5.10a/b、フィンガー) ムーヴ解決しながらトップアウト。ムーヴ面、プロテクション戦略など、本人なりに発見は多かった様子でした。

2016年10月23日日曜日

山の知り合いを増やす会

連絡が直前で、失礼します。
明日は、2ヶ月に1回の飲み会になります。

パートナーを増やしたい方など、新規の方もふるって御参加ください。
19時30分に新宿駅に集合です。
遅れる方は、直接お店でお願いいたします。

参加ご希望の方は、私にメールお願いいたします。

2016年10月21日金曜日

それぞれの成果

10月20日(木)は、ジム講習。
1コマ目にムーヴLv.0、男性YNさん、女性Hさん、新規の女性キッズFSさん。
2コマ目はムーヴLv.1、女性Sさん、女性Hさん、女性KIさん。
全員、それぞれに成果を感じたので、ザッと挙げて行きます。

①YNさん
レスト態勢の意味が分かって来て、徐々に試行錯誤が的を得て来ました。
そして、今までに比べたら、格段にバランスが良くなりました。
ロワーダウン姿勢、ビレイに関しても、少しずつ分かって来ました。
また、自分が焦りがちなことが、クライミングに不具合があるということを自覚した様子でした。

②女性Hさん
ホールディングによって、同じホールドでも楽になったり、効く向きが変わるということが、驚きだった様子です。
最後のリードも、見事にそれを活かせていました。
本気トライでは、垂壁の5.10aをフラッシュ。

③キッズ女性FSさん
レスト態勢でオブザベするという意味が、すぐに飲み込めたようです。
足を丁寧に置くメリット、ダイナミックかスタティックか、という話も理解できた様子でした。
というか、今のペース(週に2、3回)で練習していたら、僕ごときスポーツルートではすぐ抜かれそうです。
ジムリード講習への参加O.K.としました。
④女性Sさん
本気トライで、だいぶ落ち着いて来ました。
レストして、ムーヴを考えるということが、ちょっとずつ見えて来た感じがします。
本気トライでは、垂壁の5.10aをR.P.。

⑤女性KIさん
ホールディングで、親指と小指の活用が、だいぶ理解できたようです。
今まで、3本でも人並みには保持出来ている感じだったので、これでホールディングはもう一歩強くなるかと思います。
本日の成果ではないのですが・・・、しばらくぶりに見たら、レスト技術に驚くべき高まりを感じました。これまで、岩場で行きつ戻りつしまくって来たことが、経験値になっているようですね。
本気トライでは、垂壁の5.11bと5.11cをオンサイト。
 
<ハリボテを腿の裏に当てて、上手くレストしている様子>

必ずしも毎回全員に喜んでいただけるとは限らないので、今日は成果が多めに感じられて私もホッとします。

2016年10月20日木曜日

記録はオマケ

翌日は、佐藤くん、Y田くん、サミー(あだ名?)と一緒に、不動の屏風岩周辺。
<最近クライミング系の仕事も増やしてきたという、ガイドの佐藤くん>

本日は、ルート名不明(5.12a、ボルト、初登者不明、タンジェリンクラウドの左)をオンサイトしました。
猛烈な地味さで、花崗岩でのオンサイトグレード更新です。

得意系の岩質で初めて5.12aをオンサイトしたのが、たぶん8年くらい前だと思います。
花崗岩は、ホールドが直前まで読めないことが多いのと、フリクションの良さで意外性のあるムーヴが可能になったりするので、オンサイトは難しめだと言われています。
<黄河(5.10b)をオンサイトする佐藤くん>

ただ、このルートは、花崗岩には珍しく、取り付きからホールド見えまくりなんですよね。
ルート名不明ながら、チョーク跡はバッチリ、という不思議なルートでした。結構人気なのかな?
「これで、花崗岩のオンサイトと言えるのか?」と自問自答してしまいます(笑)。

釈然としないものを噛みしめつつ、「グレード更新は、常々こんなものか。」と思い出します。
大体最初は、「甘め」とか「登りやすい」とか言われているのが登れちゃうもんですよねぇ。
<居心地が良いエリア>

ただ、8年前よりオンサイトトライが上達していることは確かなので、記録なんてオマケだと思うことにしましょう。
<屏風岩>

具体的に登ったルート
・おしん(5.8、ハンド~チムニー) 再登
・百獣の王(5.11c、ボルト) オンサイト。不動沢には珍しい、完全なスポートルート。いや、でも面白い。
・ルート名不明(5.12a、ボルト) オンサイト。これは、プロフィールには書けませんが(笑)。
・タンジェリンクラウド(5.12b、ボルト、寒々ルートからの派生ライン) 2トライして、おおよそムーヴは解決。ただし、繋げるのは相当難しそう&怖い。また来る機会があれば、やると思います。
・よろめきクラック(5.10a、オフィズス) 再登。3年ぶりくらいで、すっかり遠景を忘れており、近づいたら「あ、ここは登りたい。」と惹きつけられるという現象が起こりました。さすがに、前より楽です。
<百獣の王、を登り終えた私>

高難度マルチの体験

10月18日(火)、19日(水)は、自分のクライミングにて、ミズガキ。
初日は、長門さん、O田さん(午前中のみ参加)と。

またしても、日記的に。
マルチのシステムと、ショートルートの取り組み方が分かっている前提での、説明です。
マルチなんだけど、ショートルート並みに各ピッチに取り組む、という世界の一端に触れたので。
<2P目(5.13a)>

カンマンボロンの“はやぶさ(8P、5.13a)”。
ほとんどがボルトプロテクションのスポート色の強いマルチで、ミズガキ最難マルチの1つと言われているそうです。

一生取り付く日は来ないと思っていましたが、体験(最悪はビレイヤー)のつもりで先生方のお供に。
<R.P.して、ロープを引き上げて、次の人のリードトライを待つという変則的な行動>

マルチと言っても、ここまで難しいと先生方でもオンサイトの連続という訳には行かず、各ピッチをR.P.していくという戦略です。

各ピッチの完登が第一目標、ワンプッシュでの全ピッチ連続R.P.が、将来目標といった感じみたいです。
<フォローする先生>

という訳で、簡単なピッチはリード&フォローで通過。
(1P目は、5.10cなのでアップがてら。)

まだR.P.出来ていないピッチを、みんなで交代してリードトライ。
具体的には、私とO田さんが2P目(5.13a)、3P目(5.12d)を数回ずつトライ。

2、3P目をR.P.済みの長門さんは、最後にフォローだけして、4P目を3トライ。
4P目は、私は全く参戦する気にならず、長門さんの休憩中は主に談笑&イメトレ。
ただ、ちょっとロワーダウンしてもらって、フォロー状態で3P目のムーヴを触ってみたりもした。

夕暮れ間近、懸垂下降で降りる途中で、私が2P目を再トライ(登れなかったけど)。
<周りの岩>

これって、普通のマルチと全然違いますね。
一般的には、初級者はオンサイト出来る程度のマルチ、私もオンサイト出来るかもしれないマルチ、くらいに取り付くと思います。
それぐらいじゃないと、オールフリーに拘ることとトップアウトを両立する余裕が持てません。

最高到達点で見ても、8Pのルートで私は3P目の終了点、長門さんは4P目の終了点までしか上がっていません。

感覚的には、春うらら2P目に似ています。
たまたま2P目にある、1ピッチ(ショートルート)の課題。
特に、私は全ピッチR.P.を狙うにも弱すぎる気がするので、本当にショートルートをトライしている感覚でした。
<秋晴れ>

ってか、今回トライした2P目と3P目は、5.13aと5.12dですから、普段のショートルートでも私は滅多にトライしないグレードなんですけどね!
ちなみに、ハングドッグの結果、一応ムーヴは何となくバラせました。
<3P目(5.12d)>

さて、せっかく強い先生方と登ったので、感想をちょこちょこ。

①壁の中の滞在技術
さすが、ビッグウォールから開拓までこなす先生方。
ハンギングビレイにせよ、ちょっとしたテラスがある場面にせよ、立ち位置やギアの整理の最適化が素早いです。

1日滞在するので、ブランコ(腰かけ)、荷上げ道具、などなど詳しい限り。
前々から思っていたことですが、再確認。
<4P目(5.13a)>

②ロープワークの速度
数時間を過ごしたハンギングビレイポイントから、下降を開始する場面。
「あ、これもやっとくから良いよ。それも俺が持ってくよ。」
と、物の整理で、お世話になりっぱなし。

まぁ、僕がやるより、手際が良い人がやった方が素早く済みますからねぇ。
これも、常々感じることです。
こういうことの蓄積が、壁の中でのクライミングに集中できる環境を作る、というのはよくよく知っているのですが・・・難しいです。

そういう意味では、本日僕のトライへの集中力は、同レベルの人と来た場合よりも高かったに違いないです。
まぁ、お膳立てリードさせてもらいました。
<ハングドッグ中>


③自分のビレイの下手さ
4P目のビレイは、僕にとっては相当難しく、長門さんには御迷惑おかけしました。

・普段使わないグリグリを使用。
長時間ハングドッグが予想される、姿が大変見えにくくビレイヤーの集中力維持が難しい、などの事情で。

・トラバースピッチ
遠くまで行くと、姿が見えにくく、繰り出しのタイミングが難しい。
フォールすると、ロープが掴めないくらいに落ちてしまうので、ポンプアップが必要。ゆえに、ハングドッグ中はある程度たるみを減らしてビレイしたい。その分、ビレイは難しい。

・ハンギングビレイ
立ち位置の移動が出来ない。ポンプアップへの協力に、難易度が上がる。ロープを出し入れしていると、ときどき畳んであるロープをシュルシュルと下に流してしまうミスをする(ハングドッグのビレイだと、特に)。ブランコに座っていても、身を乗り出してクライマーを見るのは、大変に疲れる。

ってなわけで、クリップ時の繰り出しは遅いわ、ポンプアップへの協力はイマイチだわで、我ながらダメなビレイヤーでした。
こういうマルチのためには、普段からグリグリの練習が必要だと思いました。
あとは、実際にハンギングビレイで、難しいピッチをハングドッグするクライマーをビレイするという場数も重要そうです。
<はやぶさトラバース>

④最低限は登れる
ある程度は、対応できている自分を感じます。
掃除好きになって、ちょっと高所作業にも慣れて来たのかも。

ハングドッグ中は、ムーヴ解析に集中できました。
そして、そのムーヴ解析も、ボチボチ進展します(笑)。
ちょっとは、花崗岩フェースを見る目が付いてきたのでしょうか。

あとは、“先生方をお待たせし過ぎたり、あまりにも自分が無知過ぎて、申し訳なさのあまり疲れる”みたいなことも今回に限っては、それほど起こらない気がしました。

要するに、先生方に比べたらショボイんですが、完膚無きまでに打ちのめされるほどでもない、という曖昧な自信が付きました。
<R.P.した長門先生>

初めての高難度マルチで“はやぶさ”は、さすがに極端でしたが。
5.13aが1ピッチだけのルートとか、やってみても良いのかなと思いました。一緒に取り組むパートナーが居れば。

さすがに、5.13aならオンサイトトライがまともに出来る日は、来ない気がするだけに、勿体ない気持ちが沸きません。
(志が低い、と言われそうな気もしますが。)

ただ、今のところ、やっぱりマルチはオンサイト圏内くらいが好みです。
こういう機会があれば、また勉強のつもりで行くのもアリかな、くらい。

総括的なことは無いのですが、雑多な感想でした。
<ロワーダウンで、ビレイ点に戻る>

具体的なクライミング内容
1P目(5.10c):リード。何度か、アップで登っているので再登。

2P目(5.13a):1トライ目は、敗退。2トライ目は、ムーヴ解決。3トライ目は、登れず。下降中に、ヘッドライトで4トライ目をやるも、登れず。

3P目(5.12d):1トライ目、2トライ目ともに敗退。4P目を長門さんがトライしている休憩時間に、ロワーダウンしてもらって、トップロープ状態でムーヴ探りして、一応バラせた。

4P目(5.13a):ビレイのみ。

アプローチ含めると13時間行動で、すごく疲れました。
ワイドとか、アプローチの遠いエリア通いみたいなもんで、本チャン的な体力が付きそうです。