2017年2月27日月曜日

飲み込みの良さ ≠ 急ぎ

2月26日(日)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
男性KBさん、男性STさん。
STさんは、クラックリード講習初回ですが、なんだか飲み込みが良さそうな気配です。
岩場リードまでは、割と時間が掛かるタイプだと感じていたので、ちょっと意外な感じ。一皮むけたんでしょうか。
夕方に、鬼ころし(5.7)をトップロープで登って、問題なし。
もう1回トップロープで練習してもらいましょう、という場面。

地上でのカムセットも、ある程度は理解していたので、
「次、カム回収でも、純粋なトップロープでも、疑似リードでも構いませんよ。自分が練習したい、と思うものをやってみてください。」
と振ってみました。 
すると、
「うーん。全部やってみたい。」

たぶん、どの練習方法も、それぞれに成果が出そうなのが予測できるんでしょうね。
今回は、それぞれの目的はあえて書きませんが。
最終的に、カム回収をやっておりましたが、それですごく練習になったと感じたようです。

飲み込みの良さってのは、こういうことなのかもしれません。
単に急いでいる人なら、きっと疑似リードをやったでしょうし。
ある卒業生が言っておりました。
「私は、クラックだと5.8のオンサイトトライでも十分ギリギリだし、充実できる。この充実感は、上級者のそれに近いと思う。これって、幸せなことだと思うんですよ。」

講習生が5.8をオンサイトしているのを見ても、とても楽しそうですしね。
そういう意味では、成長速度は人生の充実度とは無縁なのかもしれません。

ただ、そういう本人も
「早く、もっと登れるようになりたい。」
とも言ったりするので、人間らしいのですが。
具体的な講習内容
・ジャミングのコツあれこれ
(脱力、力を入れるタイミング、方向の意識、など)
・地上でのカムセット練習
・5.4くらいのルートでのムーヴを洗練させる練習
・トップロープでの練習(STさん、鬼ころし)
・実践本気トライ(KBさん、鬼ころしをオンサイト)

最強の素人

2月25日(土)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性ADさん、女性Sさん、4年ぶりにUDさん夫妻。
UDさん、7年くらい前に富士山ガイド仲間だったのですが、その後は一般企業からボルダージムスタッフに転職。
奥様もジムスタッフに転職して、今は2人ともしっかりボルダラーです。

っていうか、4年前にジムリード講習した段階ですら、ジムボルダーでは私より強かった2人。
今は、一体どんだけ登れるんだか(笑)。
今回の講習にあたり、リード経験が増えているか不安でした。
いくらボルダーが強くっても、リードは経験が物を言いますので。

でも、リードコンペに出たり、そのためにパン2のツナミでトレーニングを積んでいたりと、私の取り越し苦労。
ジムなら、膝下くらいで落ちるのも怖くないそうです。(もちろん、足元で怖くても頑張るようですが。)
<ちょっとずつ落ち着いてきたSさん>

例によって、パン2で完登したルートを聞くと私より登れていたりもするのです(笑)。
ツナミの黒(5.12a)とか・・・。

が、本人達は
「全然リードの経験が浅くって。」
と。

まぁ、長年ルートをやっている人から見たら浅いんですけど、岩場リード講習に来ている他の受講生から比べたらメチャクチャある方。
<登りは5.10aなら余裕がある奥様、ビレイは肩に力が入りまくりな旦那さま>

とはいえ、岩場に来たら確かに素人っぽい。

ビレイの立ち位置、終了点の仕組み、結び替えなどの作業、全てが知らないことだらけ。
ビレイ1つとっても、相当ぎこちないのは否めず。
<奥様、ゼルダ(5.11a)をオンサイト>

ムーヴ能力とのアンバランスさが面白いですが、本人も重々自覚しているので、とくに心配しておらず楽しみです。

とりあえず、今回で終了点の仕組み、ヌンチャクの向き、その他色々と話せました。
残りは、ボルトの種類とか、終了点作業でしょうか。
<旦那さまも、フラッシュ>

ちなみに、私もボルダージムの専門家から色々な話が聞けるのは、楽しいです。
「なるほど。」と思う話もあれば、「ジャンルは違えど、意識は似たようなものだな。」と共感できる話も。
<梅の宴>

具体的な講習内容
・ヌンチャクの向き
・終了点の仕組み(流動、固定、独立分散の仕組み)、トップロープの張り方いろいろ
・ムーヴ練習(脱力してホールディングする意識、腰を壁から離すメリット、脇を締める意識、など)
・リードで落ちる練習
・実践本気トライ
ADさん:蟻さんルート(5.8) オンサイト(いんちきするな、は過去にオンサイトしているが)
Sさん:アブラカダブラ(5.10a) 再登(徐々に、落ちそうなときに落ち着いて来ました!)
UEさん夫妻:ゼルダ(5.11a) オンサイト&フラッシュ

ちなみに、UEさん夫妻は、まだルートのグレード感が全く分からないそうです。
フック船長(5.10a)の方がゼルダより難しいと言われたら、信じると思うそうです。
さすがに店員さんなので、ボルダー課題なら、ある程度はグレードを当てられるそうなのですが。今の経験だと、自分が悪いと感じるフック船長を、初級者が以外と登れちゃうっていうのが、予想しにくいんでしょうね。

はじめの一歩

2月24日(金)は、1コマ目がリード3回目で、女性MMさん。
2コマ目がムーヴLv.0で、女性MKさん、MZさん夫妻、新規女性YGさん。
レスト1つにしても、奥は深いものです。

未だに、上達を感じます。
講習で、私がアドバイスしている言い方だって、1年後には違う言い方になっているかもしれません。

ただ、
「一応レストしているけど、全然役に立つ気がしない。」
「レストしながらオブザベするなんて、出来る気がしない。」
ってのは、さすがにマズイと思います。

奥が深いとはいえ、最初の1歩だけは踏み出さないと、オンサイトトライに繋がりません。
「オンサイトトライこそが、マルチとかアルパインにも通じることが多いので、どうせ山のためにフリークライミングやろうっていうなら、それが出来なきゃ始まらない。」
ってのは、私のクライミング講習の根幹かもしれません。

これ自体、初心者に理解してもらおうと語り過ぎると、メンドクサイおじさんになれます。
先が分からないのに続けるってのは、ちょっと宗教っぽくて嫌ですね。でも、仕方ない部分もあるかと思います。

とりあえず、片手で心地よいバランスを取る皆さまに、幸あれ!

2017年2月23日木曜日

もとは何色?

2月23日(木)は、ムーヴLv.1。
女性IEさん。
<全部グレーっぽく見えるか、赤、青、ピンク、緑などの色とりどりに見えるかは、あなた次第>

ジムのホールドを指定するとき、色で呼ぶことが多いと思います。
「ピンクのサイドを右で取って」、「黄色のアンダーに寄せて」、などなど。

どうでも良いことですが、ジムのホールドは徐々に灰色に近づいて来ます。
チョークで白くなり、シューズのゴムで黒くなり。

「そこで、これは元々は何色だった。」
という色で呼ぶと便利です。
私もいつの間にかジムの常連さんに合わせてそう呼んでいたので、あるときに初心者の方と会話が噛み合わなくてビックリ(笑)。

ただ、慣れると大変便利です。
<こちらの写真では、どうでしょう?>

ちなみに、今時の全部同じ色のホールドで作られたルートだと、このホールド記憶術は使えません(涙)。

ルートにせよ、ボルダーにせよ、テープ課題、ファイル課題ならではのテクニックかもしれません。

講習の本題は、オブザベをしっかりやったり、登りながらレストしてオブザベしたりすることです。
が、よく話題に上がることなので、ちょっと書いてみました。
<この角度だと、色とりどりに見えますかね>

具体的な講習内容
・ホールドが効いているかどうか(肘を曲げてでも効かせることも)
・つま先でスタンスを捉える理由
・次のホールドに適した足位置を考える
・オブザベ練習&易しいルートの反復練習
実践本気トライ
垂壁5.10a(水色) 1テンション。クリップ態勢さえ分かれば、という状態だったので、惜しいトライでしたね。

お知らせ

今週末の2月26日(日)、クラックリード講習が2名キャンセル出ました。
もし参加したい方がいらっしゃいましたら、連絡お待ちしております。

また、その翌日の月曜は、山の知り合いを増やす会です。
参加希望の方は、メールお願いいたします。

2017年2月22日水曜日

三者三様

2月19日(日)は、またもアイスクライミング講習。
メンバー総入れ替えで、女性SMさん、女性Sさん、女性MMさん。
今回、アプローチのエリア探しを3人にやってもらいました。
トポにある概念図は、全員に持ってもらって。

すると、3人がそれぞれ取った行動。
①ヒントを探してウロウロ
本人が言っていたのは
「初心者が行くエリアなんだから、こんな悪い道じゃないよ。」
「もっと良い道がある(と思う)よ。」

その後、それらしき踏み跡を見つけて、ホッと安心。
②踏み跡ハンター
スタート地点から、「こっちに踏み跡あるよ。」とズンズン先頭切って進んでいきます。

結果的に、その踏み跡はハズレだったのですが。
最終的に、それらしき踏み跡を見つけてホッと安心。
③地形概念などで、大体のルートが合ってること重視
「スタート地点から、南側に行くってことだよね。」
「ここから行っても沢に降りられそうじゃない?」

ただ、他の2人に
「いやいや、ここじゃないよ。」
と言われて引き返す。

そして、それらしき踏み跡に辿り着いて、ホッと安心。
①と②は、偶然アタリを引く可能性がありますが、永遠にウロウロする可能性もあります。
一方で、③は最短ルートではないのだけど、目的地に辿り着けるということが多いです。

また、③の方法は戦略的なので、経験と共に上達する可能性が高いです。
という訳で、③をベースにして、①と②も補助的に使う感じが良いと思います。

「夏山ハイカーじゃないんだから、地形概念でルートファインディングしましょう!ハイカーだって、意識高い人はもっと地形見てますよ。」
という小言も、添えておきましょう。
ただ、今回は3人がバラバラの意見で、しかも誰も自信を持って引っ張って行けるほどの経験もなかったので、とても良いディスカッションとなりました。
普段の山でも、こういうパートナーと登ると経験値になりますね。

具体的な講習内容
・アックスの振り方
(手首、肘、肩の使い方。大きめのスイングのメリット、デメリット。)
・片手主体のバランス
・ダイアゴナルor三角形?
・レスト練習
・安定感のあるバランスで、スイングを安定させる意識
・トップロープでのスクリュー回収練習

帰り際
「アイスクライミング、全然上達しないんですー。」
とSG姐さんにボヤくMMさん。
まぁ、2年前のSGさんの初回講習時よりは、登れていますから御安心ください。
ちょっとずつですよ。

アイスクライミングと女性

2月18日(土)は、アイスクライミング講習にて、西上州。
マルチ卒業生のSGさん、その御友人で新規男性KTさん。
<入門砦>

アイスクライミングは、男性に有利だと思います。

実際に講習していても、通常のクライミング以上に、男女差が出る気がしています。
<アイスボルダー>

素人考えでも、アックスを振る力は、男性の方がありそうです。
深く刺されば、それだけ有利。

ただ、興味深いのはアックスの代わりに軽いものを振ったとしても、スイングのテクニック差を感じます。
もしかして、力じゃなくて、テクニック?

もう1つの証拠として、女性でもテニスなどのスイングを含む競技をやっていた人は、割と最初からアックスが振れます。
<日記用の写真撮影?>

さて、この手の議論をするときに、いつも思うこと。

女性が登れないのは、力のせいということにすると、「出来ないのは仕方ない。」という結論に陥って練習意欲がなくなりがちです。
女性が登れないのは、テクニックのせいということにすると、「練習していれば、いつか花開くはず。」という試行錯誤モチベーションに繋がります。
<なかなか上手>

なので、なるべくテクニックに原因をもとめましょう。
自分よりスイングが上手い人なんて、いくらでも居るでしょうから。

力不足を言い訳にするのは楽だし、実際そういう要素も無いとは言えないけれど、思考停止になるのは勿体ないです。
<凹角を活かす>

もう1点、講習していて、すごく男女差を感じること。

バランスの説明をする際に、
「アックスを振らない側(つまり、刺さりっぱなしのアックス)に対して、バランスの良い態勢を作ることによって、アックスが振りやすくなる。」
という原則があります。

つまり、
「右手を出したい⇒左手主体のバランスを作るべき⇒左手の下付近に足を持ってくるとバランスがとりやすいはず」
という公式です。
<シャイアン>

この話は、全員理解できるんだけど、実際にやると
「右手を出したいから、右手の下くらいに足を持ってこよう。」
となって、バランス崩壊するといった人も多いです。

理由は不明ですが、こういったバランスを頭で理解することにも男女差を感じます。

ただ、これも嬉しいことに、反復練習で改善が見られますので、御安心ください。
数日~10日間くらいは掛かるかと思いますが。
<こっちから見ると、なかなか>

ちなみに、男性の方が一般的にギア好きが多いらしいです。
ただ、私は全然好きじゃないです(笑)。ので、講習生女性の方が、私の初心者時代より余程詳しいなとは思います。
<勝利の踊り>

一方で、女性の方が、レストの上達スピードが速い気はします。
これまた理由は不明ですが、何となく納得できます。
このケースだと、男性は何故レストが苦手になりがちかを学ぶ切っ掛けにできるかも。

有利不利はあれど、アイスクライミング人口そのものは、通常のクライミングと男女差に遜色ないような気がしています。
女性も、アイスが好きなんですねー。

有利不利の分析も、上達の肥やしにして行きましょう。
<踊れにゃ損>

ちなみに、SGさんの思考回路は練習向きで良い感じですねー。
めげないですよね。
アイスクライミングでも、徐々に成果が出て来て、良かったです。

具体的な講習内容
①アイスボルダーにて、バランス練習
・片手主体のバランス
・アイゼンの2本目の爪
・アックスの斜め打ちと足位置の関係
・クライムダウンでも、足位置のバランスを考えること
・乗り込みムーヴor懐を空けるムーヴ

②易しいルート
・ダイアゴナルよりもステミングを活かす足順
・極端なダイアゴナルは、逆に疲れる
・レスト(KTさん)
・やや傾斜のある氷で滞在する練習

③長いルート
SGさん:シャイアン(25mで、70~80°のセクションが15m近い。状態は、穴だらけでアックスを振る労力は少ない。体感Ⅴ-~Ⅴ級。)をリードで、ノーテンションにて完登。
KTさん:同ルートを、トップロープでのスクリュー回収。1テンション。

2017年2月21日火曜日

気づけばクリップ飛ばし

2月17日(金)は、クラックリード講習予定が、雨予報にて天王岩の岩場リード講習。
男性SGさん、新潟の女性NBさん。
(SGさんは、岩場リードは卒業済みなので、復習受講の形。)
今回、NBさんにリードしてもらったルートは、1本目のボルトが弱点ラインではない設定です。
つまり、自然に弱点を付いて行くと、1本目のボルトは通らずに、いきなり2本目のボルトに着いてしまうという話。

1本目は、地上から1mほど上がったところでクリップ可。2本目も3mほどあがったところでクリップ可。
で、NBさんは2回リードして、2回とも1本目は通らず。
「それは、意図的なんですか?」
(わざわざ岩の弱点じゃないところを登るのも違和感があるので、設定ラインに拘らず登るという考え方はあるし、私も好むので。)

と聞いてみました。
すると、
「取り付く前は、1本目をクリップするつもりなんだけど、気づいたら2本目の前に居るんです。で、これ(2本目)が1本目だったかなぁ、と思ってクリップしています。」
という回答。

なるほど。
やっぱり、そうなんですね。
詳しく話を聞くと、
・オブザベの段階で、どこを通ると1本目に着いて、どこを通ると弱点付いて2本目に着いちゃうのかを考えておらず。
・登り始めたら、自分がいつの間にか1本目より高い位置まで登っていることは気付かないくらい、目の前のチョーク跡を追い掛けて盲目的に上を目指している。

という自己分析。
うーん、危ないです!

オンサイトトライでのオブザベは、完登するためのムーヴ読み以上に、死なないための戦略の方が大事です。
でも、これが分かってくると、判断が一層楽しくなるとも思います。ゆっくりで良いので、身につけて行きましょう。
具体的な講習内容
・ムーヴ練習
(肩の脱力、ホールドを意図的に効かす、片手主体のバランスを意識する、など)
・立木での懸垂下降(SGさん)
・リードで落ちる練習(NBさん)
・実践本気トライ(SGさん)
①コーナークラック(5.7、NP) オンサイト
②クラックジョイ(5.9、下部2本のみボルト使用で中盤からはNPラインとして登る) 完登
③蝉時雨(5.10b、ボルト) オンサイト

2017年2月20日月曜日

質問に答える

2月16日(木)は、1コマ目がリード3回目。女性HSKさん。
2コマ目がムーヴLv.0。女性Mさん、女性ISさん、新規男性MNさん、新規男性HGさん。
今回、質問された内容。
「自分はリーチがあるから、どんどん手を上げちゃうんだけど、先に足を上げた方が良いんでしょうか?」

数年前の私なら、
「~~っていうパターンは、足を先に上げた方が良いと思います。逆に、××っていうパターンは、リーチギリギリになってでも上のホールドを取ってから足を上げた方が良いと思います。まぁ、どちらとも言えないような、迷うパターンは色々ありますけど。」
と答えていたと思います。

最近は、
「どっちが楽なこともあるので、ぎりぎり次のホールドが届きそうなときに、頑張って手を伸ばすか足を上げてから手を出すか、どっちが楽かをその都度考えてみるしかないと思いますよ。」
と答えることにしました。

自分の経験則を答えるか、自分と同じ経験を積んでもらうように仕向けるか?
かなり考えている初心者には前者、何も考えずに登りがちな初心者には後者が良いのかな、ってのが今のところの使い分けです。

先輩に「こうしろ!」と言われると、何も考えずに従ってしまいがちな方には、なかなか良い指導法のような気がしています。
クライミングを通じて、練習方法を学びましょう、という話ですね。
さて、今回でHSKさんは、ジムリード講習を卒業といたしました。
前回は、結構かかりそうだと感じていたのですが、実際に落ちる練習を始めたら、なかなか良い感じで驚きました。

また、夜のコマでは、Mさん、ISさんはジムリード講習に参加O.K.としました。
上を見やすいようにレストする必要性を感じられたようで、良かったです。

2017年2月14日火曜日

クライミングは楽しいか

2月12日(日)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
NSさん夫妻。
夕食中、NS奥さまが旦那さまに話していた、興味深い内容。

お題
「クライミングは楽しいか?」
「今までの人生での、‟楽しい”とは違う。友達とお喋りして楽しいとか、面白いものを見て楽しいとか、ディズニーランドに行って楽しいとか。」
「でも、ジャミングが決まったら気分は良いし、何事も分かっていくのは楽しいし。」
「本気トライの完登は、(楽しいっていうよりも)達成感。」
「でも、クライミングを単純に‟楽しい”って言っちゃって良いんだろうかとも思う。リスクもあるし。」
「これまでの私の‟楽しい”が、狭い範囲での言葉だったのかもしれない。」
英語で言えば、funとinterestingの違いぐらいの話なのかもしれません。
でも、深いところでクライミングの魅力を見つめなおす5分間だったような気もしました。
とある先輩が、語っておりました。
「若い人には、5.13は登ってほしい。5.13を登るには、酸いも甘いも噛み分けるだろうから。」

この話の文脈は、「石田君がガイドになりたいなら。」みたいな意味もあったし、当時の私は5.12中盤くらいしか登っていなかったので「はい。やっぱり、そうですよね。すみません。頑張ります。」という流れですが(笑)。

5.13は置いておくとしても、真面目に続けると酸いも甘いも嚙み分けることになります。
これは、講習生のような初級者でも同じ土俵ですよねー。実力があがるということは、噛分けた量が多いってのもあると思いますよ。
具体的な講習内容
・ジャミングのコツあれこれ
(身体の位置調整、方向の意識、などなど)
・カム回収
・トップロープでの練習
5.4くらいの2本を反復練習。
純(5.8)をトップロープトライ。旦那さまが1トライで1テン、奥さまが2トライ目で完登。

ちなみに、私のリハビリは順調で、城ケ崎の露岩も歩けるし、純もリードで痛みを感じることなく。前日の湯河原と比べても、日に日に良くなりました。

講習レベルでは、ほとんど問題なさそうです。御迷惑おかけしました。
自分の本気トライとか、スキー練習は、3週間ぐらい先でしょうかねー。

2017年2月13日月曜日

マンツーマン

2月11日(土)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性MMさん。
<ウメのウタゲ>

この仕事を始めた直後には、マンツーマンを好む講習生の方が、チラホラいらっしゃいました。

当時も書いたはずなのですが、読み返しをサボってブログを書く、ダメな私をお許しくださいませ。
<本日も、ポカポカ>

メリット
①他の講習生に、気兼ねない。
特に、成長がゆっくりだと自覚している人が、他人への迷惑を強く気にしているようでした。

②細かく見てもらえる。
今回、スラブでの落ちる練習で、MMさんの落ちる態勢に指摘したのは初めてでした。
過去2回、講習で落ちる練習をしていますが、ちょうど私が別のコーチングをしていたりして、見られなかったのでした。
ちょっと申し訳なくも思いつつ、でも仕方ない部分もあり。

③特別メニューが組みやすい。
マンツーマンだから、本気トライが多くなるとか、本人が苦手なもの(最近だと、IUさんのアプローチ練習)に割ける時間が多くなるとか。

④ビレイを講師がする。
講習で、初めて会った人に本気トライのビレイを頼むのは、やはりちょっと嫌だという気持ちも分かります。
<落ち方が、ようやく分かってきました>

一方で、マンツーマンが好きすぎる人は、結局は自立できないという気がしてなりません。
そんな訳で、マンツーマン希望の依頼は、私は請けないことにしました。

私の営業力不足で、結果的にマンツーマンになるぐらいは、メリットもあるから悪くないか、ということにしています。
講習料が高くなるのは、申し訳ないのですが。
<フック船長(5.10a)>

他に、分かりやすいデメリット。
①他人の失敗が見られない。
落ち込み防止。他人のふり見て、我がふり直せ。

②近いレベルの人の頑張りが見られない。
講師の見本は、楽々登っているように見えます。だから、モチベーションの意味では、ときに逆効果ですらあると感じます。

③知り合いが増えない。
講習で一緒になった人は、岩場にも誘いやすいようです。

④質問が少ないので、講習が受け身になりやすい。

さて、本日のMMさんは、マンツーマンのメリットを結構感じたようでした。これまでが4名だったからでしょうか。
理想は2名かなと、思ったような感じでしたね。

実践本気トライ
①フック船長(5.10a) R.P.(通算2日)
②マゾおけさ(5.10b) 1本目まで辿り着けず、リスクが高すぎるために敗退。
③クリスマスローズ(5.10b) 2本目までで敗退。ただ、飛び降り回収など、色々な経験を積めたのは良かった。

さて、今回でMMさんは岩場リード講習を卒業といたしました。
トップアウトとか、完登みたいなスッキリ感はありませんが、あとは自力で登る時間が大切な時期だと思います。是非とも、自分より強くない人と岩場に向かって欲しいところです。
とりあえず、ボルトルートの経験が大切な時期という風に見えますので、クラックなどのより総合的なクライミングは、ゆっくり焦らず行きましょう。