2017年3月27日月曜日

スポートルートは、スポーツマンとして

3月25日(土)は、自分のクライミングにて、太刀岡。
カメチヨ先生と。
講習生に対し、登れた成果よりも、トライ自体の反省を促すという立場上、自分にもいい刺激になっております。

さて、本日2つの成果。

“ゴー・オン・ザ・ボルト”(5.11d)のオンサイト。
“パンクス・イン・ザ・ダーク”(5.11c/d)のレッドポイント(通算2日、3トライ目)
“ゴー・オン・ザ・ボルト”は、自分でも良いトライが出来たと思います。
オブザベも、概ね予想が当たっていて、核心っぽいムーヴは勝負の一手が出せたと思います。
我ながら、スポーツマンっぽい頑張りが出来たと満足です。

一方、“パンクス・イン・ザ・ダーク”は、あんまり良くないトライでした。
昨秋に、1トライしてムーヴが出来ずに、暗くなって敗退。

さて、本日1トライ目。
一応、落ちるまで突っ込んではみたものの、ほとんど諦めてムーヴを起こしたような感覚。
で、1テン後にムーヴ解決。「あれ?もしかして、惜しかった?」と自分で言っちゃう展開。
前回の記憶から、本日1トライ目は諦め半分だったのが核心部でも出たのでしょう。自分に嘘は付けません。

その後は、割り切ってハングドッグして、後半の持久系セクションのホールドを確認して降ります。
で、本日2トライ目でレッドポイント。
落ちるのが怖いときは、気合いが入っていれば一手出せる、気合い不足ならテンションコールしちゃうというのが、普通だと思います。
ただ、さすがにケミカルアンカーで、ボルト間隔が近いと、落ちるの自体は怖くなくなって来ました。

その場合、気合い不足だと、気の抜けた一手を出してフォールするって状態になります。
進歩はしているんですが、これじゃぁテンションコールでギブアップしているのと変わらないです。
気を付けましょう。

具体的に登ったルート
・ハッピィ・バースデイ下部~バーボンを片手に上部(弱点ラインでウォームアップ、5.9くらい?)
・チェリー・ブラッサム(5.10b) 再登
・モダン30(5.10d) 再登
・ゴー・オン・ザ・ボルト(5.11d) オンサイト
・パンクス・イン・ザ・ダーク(5.11c/d) レッドポイント本日2トライ目。通算3トライ
・バレンタイン・イブ(5.10b) 再登

2017年3月26日日曜日

レストでバランスを感じる

3月24日(金)は、昼にリード3回目で、女性TGさん。
夜にムーヴLv.0で、新規女性THさん、新規男性STさん。
さて、今回も前回に続いて、夜の部の講習生STさんの感想を一言だけ。
ジムの5.7を、一手一手レストする練習をしながら登ったあとの話です。

「レストの練習なんだけど、それが合理的な登り方の練習になっているってことが分かりました。」
単なるレスト練習じゃない、ってことが分かったようで何よりです。

また予約していただけたので、次回も頑張っていきましょう。

2017年3月23日木曜日

大きな自由度

3月20日(月、祝)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
男性STさん、女性NMさん、女性IUさん。
STさんが、本日最後に疑似リードをした際の感想。

「ムーヴも考えて、カムも決めてと大変ですが、クリエイティブな作業はワクワクしますね。」
たしかに、クラックは自由度が大きい気がします。
カムを決める場所も、選択肢は1つではありません。
ムーヴも、ジャミングしないことも含めて選択肢が広いです。
ついつい解説が冗長になりがちな自分を反省して、今回はSTさんの感想を噛みしめることにしました。

“クラックは、クリエイティブで面白い。”
具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツあれこれ(ボトミングを意識する、など)
・地上でのカムセット練習
・トップロープでのムーヴ練習
・疑似リード(STさん)

2017年3月22日水曜日

クライミングジム ギリギリ

3月19日(日)は休みになったので、クライミングジムGIRI.GIRI。
西東京市に出来た、リード中心のジムです。
<10m近いクラック>

個人的な感想を、以下に。

①クラックが10m近いので、ハンドなのに充実する。オートビレイでも出来るし、隣のヌンチャクを使ってリードも可能。木枠クラッカーの皆さんは、是非オンサイトリードを。近所の方は、オートビレイで反復練習すると、日吉クラッカーズに対抗できるかも?

②6段壁という強傾斜のリード壁は、おそらくメイン壁。5.11bまではガバ梯子に近いけれど、5.12aからはムーヴも多彩。パンプ2の小ツナミに似ているような印象。
今のところ、各グレード1本ほど。

③建物の居心地は、すばらしく快適。今のところ空いているので、講習しやすそう。

④現代的なホールドの色分けルート。かつ、ルート数が少ないため、オンサイトトライのトレーニングはしやすい。個人的には、常連ではないので見やすいことは嬉しいのですが、ちょっと心配。

⑤グレード感は、甘い。ランナウト、パンプ2と比べると、平均的にアルファベット2つ違う印象。5.11cと書いてあったら、5.10d~5.11bの間(つまり平均5.11a)くらいかなと予測。(普通は、5.11b~5.11dの間だと予測すると想定して。)ただ、ルートは面白いと思うので、グレードを気にせず楽しめば良い。
とは言うものの!どうしても登る毎に「これ、他なら幾つぐらいかなー。」と査定をしてしまう小市民な私。でも、きっと私だけじゃないはず。

なんせ居心地が良いですよ。
何か機会があれば、また行きたいと思います。

滑落の記憶

3月18日(土)は、雪上訓練Lv.1-Aにて、天神平。
新規男性3人グループで、KTさん、IMさん、UTさん。
今回の参加者の中に、実際に雪山で滑落したことがある人がおりました。

年末年始、ほとんど雪山の技術を知らずに、槍平の近くにある奥丸山を3シーズン靴、軽アイゼン、ストックで登っていたそうです。

滑落し始めてから、全く止める術もなく、偶然止まったのだと熱く語ってくださります。
で、ピッケルの使い方、特に滑落停止が習いたいという熱い要望。
「あのときは、丸腰すぎて、本当に怖かったんです。」
との話。
そして、講習後の本人の言葉。

「あのとき、滑落停止を知っていたとしても、止まらなかっただろうってことが分かりました。」
「初期制動の方が大事だし、もっと言えば、それ以前の歩行技術が大事。ヤバそうなら、後ろ向きになることも重要、ってことが分かったのが良かったです。」
僕がサラッと経験則を言うのは簡単ですが、多分それでは伝わってないと思います。
きっと、耳年増になるだけでしょう。

今回、本人の失敗経験と講習内容がマッチして、心底そう思えたようなので、私としても良かったです。

自立orクラック

3月17日(金)は、岩場リード講習にて、天王岩。
女性IEさん。
<憧れの骨盤入れポーズ>

当塾講習生のほとんどは、クラック、マルチ、バリエーションなどに興味が強いようです。
どちらかというと、ジムやボルトルートは、そのための練習という位置づけになってしまいがちです。かく言う私も、プライベートで登るときはクラックの優先順位が高いと思いますので、気持ちは分かります。
さて、岩場リード講習が終わったと同時に、自分ではボルトルートに通わずに知り合いにクラックに連れて行ってもらうという人もいます。

ほとんどの場合、エリアを案内してもらって、トップロープを張ってもらって、という形になるでしょう。
さて、本当はどっちが良かったんでしょうか?

ボルトルートに、しばらく通う方が良かったでしょうか?
それとも、クラック体験を積むべきだったんでしょうか?

ムーヴやジャミング習得という意味では、どちらにもプラスがあると思います。
だから、例によって絶対的な正解はありません。
あとは、自立したクライマーになりたいか、どうしてもクラックを触りたいかにもよると思います。

「クラックを触りたいというのは言い訳で、やっぱり自分より強い人にトップロープを張ってもらう言い訳が欲しい。」
という、深層心理もあると思います。
IEさんも、将来はクラックをやりたいとの話でしたので、まずは足元を固めて欲しいなという希望を込めて。
個人的には、クラックにハマってほしいけれど、まだちょっと待って欲しいという気持ちです。
具体的な講習内容
・ムーヴ練習(足首、骨盤)
・トップロープでのムーヴ練習
・ヌンチャクの向き
・リードで落ちる練習
・実践本気トライ
IEさん:クラックジョイ(5.9) 再登
KIさん:ニルバーナ(5.11b) テンション掛け掛けトップアウト

2017年3月21日火曜日

何を俯瞰すべきか

3月16日(木)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
女性HMさん、女性HSさん。
<シーズン初め>

①地上でハーケン打ちの練習について。

「これ、効いてると思いますか?」
という会話をチラホラして、実際に静荷重を掛けてみるという実験も交えて。

10cmのハーケンが、2cmくらいしか入っていない状態でも、
「効いてます。」
とおっしゃるHMさん。

不思議に思って、よくよく真意を問いただすと
「足場の良いところで、ちょっと寄りかかるくらいなら精神安定剤くらいにはなる。」
ということでした。
<ハーケン打ち練習>

②2ピッチ目のリードについての反省ディスカッションにて。

「最後のカムは効きが甘かった訳ですが、たしかにアレは仕方ない場所だとも思うんですが、その1個下のプロテクションがどうだったかは覚えていますか?」
と尋ねてみました。

質問の趣旨としては、
「最後のカムは、一応クリップはしているけれど落ちたくはない。だから、1個前のプロテクションの善し悪しが安全上メチャクチャ大事だと思うんですけど。」
というもの。

しかし、どうも話が噛み合わず。
1個下ではなく、2ピッチ目の出だし付近のプロテクションの話になってしまったりして、話が収集つきません。

どうも本人的には
「なるべく沢山プロテクションは決めたし、バッチリなのもあった。出来る限りのことはしたし、ムーヴも慎重に登った。だから安全だと思う。」
ということらしい。
(ただし、リード中にどのプロテクションはバッチリで、どれはテンションならギリギリセーフ、など色分けはしていない様子。)
<オブザベタイム>

③2ピッチ目が終わったビレイ点作成にて。

カム4個で作成しているビレイ点ですが、連結が上手くいっておらず、結構危ない状況。
(なぜか、セルフはカム1個だけ。)

「どのカムは信用していて、どれはバックアップっていうつもりなんですか?それを意識して、連結しなおしましょうよ。」
と尋ねるも、

「このカムは、効いてそうだけど小さいから。このカムは一番危ないと思うけど、大きいから。・・・」
と、本人なりの言葉で色々と喋ってくれるのですが、収集がつきません。
<1P目>

さて、この3つの話、どうも私には根っこが一緒だという気がしてなりません。
皆さん、どう考えるでしょうか?

あえて、私なりの回答は書かないでおきますが、関連しそうな話題を少し挙げておきます。
<青空>

過去の講習生に、
・カムが効いているかどうかよりも、ランナウトしているかどうかが一番気になる
という人もおりました。

特に、マルチピッチではバチ効きでないプロテクションを取ることも多いため、頭が混乱するようです。
<フォロー>

また、同じように
・ビレイ点は、カムの効き具合よりも、カムが3つ以上であることが大事。
と思いこんでいる人もいました。

実際には、ビレイ点を複数支点から取っているのは、リスク分散という意味合いなので、各支点の効きの善し悪しが重要。
<セカンドのビレイ>

で、こんな話を散々してからの3ピッチ目。

HSさんのリードで、いわゆる突っ込み過ぎ!
「テンションくらいしか掛けたくない。」っていうプロテクションを足首くらいにした状態で、進むことも戻ることもムーヴ的に落ちる確率を感じる、という危機的な状況に。
仕方ないので残置にクリップしてもらいましたが、本人も反省しきり。

「あれで、残置が偶然あったから良かったけど、無い場所だったら大怪我してました。」
と。
ちなみに、その数メートル下には信用できるプロテクションを決めており、そのことも本人は分かっておりました。
なんで、HMさんよりは少し俯瞰的に状況把握ができております。

でも、
「もうちょっとだけ進めば、良い足場とか、良いプロテクションが取れて、安心できるんじゃないか?」
という期待やら

「このくらいは頑張らないと、ダメなんじゃないか?」
という心理的なもので、判断ミスに繋がった様子。

心理的要素で判断ミスするのは、どんなに上級者でもやることなので、ちょっとずつ覚えるしかないことでしょうけど。
<3P目>

判断ミス自体はダメなんですが、ちょうどHMさんの話とも関連していて、講習的には充実したものでした。

講習ルール上は、残置にクリップしたので完登ではありません。
でも、HSさんにとっては、大怪我する前に反省できたので良いチャンスだったでしょうね。
<この後、ハマることに>

色々と問題点はありますが、とても粘り強く反省を続けてくれる2人ですから、徐々によくなることでしょう。 

2017年3月13日月曜日

抽象的な感想

3月12日(日)は、岩場リード講習にて、湯河原。
男性NSさん、女性NMさん、女性HSKさん、復習参加の男性SRさん。
<ムーヴ練習>

講習後半、NSさんが“いんちきするな”(5.8)にチャレンジ。

スラブっぽい傾斜で、5.8でも決して侮れません。
20mくらいの長さ、ボルト6本程度。
ボルト1本毎に、数分程度の逡巡!

行きつ戻りつを繰り返し、ようやくムーヴを発見して、突破して行きます。
ビレイヤーのNMさんも「見ているだけで、勉強になります。」と仰ります。
<結び替えの方法を検討中>

ようやく終了点に達し、無事にロワーダウン。

普段は口数少ないNSさんですが、
「もうダメかと何度も思いました。」
「すごい良い気分ですね。本当に。」
「すごく勉強になりました。」

と熱く語ってくださいます。

具体的なことは何も語らないのですが、トライを見ていた私やNMさんには伝わってくるものが色々あります。
<クリスマスローズ(5.10b)をオンサイトトライするSRさん>

5.8であっても感動できるのは、本気トライの素晴らしいところですねー。
<ガンバ!>

その後、ビレイヤーだったNMさんもシルクロード(5.7)をトライ。

過去にも勢いでヒョイヒョイと登ったことがあるそうですが、今は見えてくるものが多いのか、恐々と完登。
<いんちきするな(5.8)を写真におさめるNSさん>

「以前より、かえって怖かったような。」
「でも、怖さを意識して登ったから、本当に怖い目には遭わないで済んだような気がします。」
「もしかしたら、私が講習に求めていたのは、これだったのかもしれません。」(自分がヒョイヒョイ登る癖があって、危なっかしいタイプだという自覚あり。)

と、色々と感想を述べてくれました。

彼女にとって、シルクロードは本気トライとしてはチョット簡単めでしょうが、それでも得るものは色々あったようです。
<桃源郷の終了点より>

具体的な講習内容
・ムーヴ練習
(片手主体のバランス、など)
・ヌンチャクの向き(HSKさん、SRさん)
・結び替え練習(NSさん、NYさん)
・リードで落ちる練習
・実践本気トライ
SRさん:クリスマスローズ(5.10b) オンサイト
NSさん:いんちきするな(5.8) オンサイト

話は変わりますが、HSKさんが
「お作法が難しいですね。フリーの岩場に合わせた所作ってのは、言われれば納得するんだけど、今までの習慣(マルチのフォロー)と違って。」
という言葉も印象的でした。

講習内容は具体的じゃないとダメですが、感想は抽象的ぐらいが正直な気持ちが語られるのかもしれません。

カムが効く場所探し

3月10日(金)、11日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
初日は、新潟の女性NBさん。
2日目は、NSさん夫妻、EMさん、復習参加の女性KIさん。
いまさら感があるのですが、カムセットの説明に図を投入してみることに。

といっても、講習生が持ってきたメモ帳に、その場で手書きする程度。
「この場所は、奥がパラレルで、手前がフレアしているから・・・」
みたいな説明を、身振り手振りで行うよりは、ちょっとマシかなという程度。
<ムーヴ練習が楽しくなって来たNBさん>

下図の意味。
左上から数える。

①パラレル
②手前がフレア、奥はパラレル
③オフセット
④奥が奥開き
⑤全体的に奥開き
⑥全体的にややフレア
⑦全体的に30度くらいフレア
⑧全体的にフレアだが、奥ほどフレア具合がマシになる
⑨全体的にフレアだが、奥ほどフレア具合がマシになり、一定以上の深さはパラレルに見える
⑩全体的にはパラレルに見え、若干の凹凸がある
⑪概ねパラレルだが、顕著にクラックが広い部分がある(その場所にカムが収まれば、入口も狭くて抜ける心配もなく、奥も狭くて歩く心配もない)
⑫入口は狭いが、奥はパラレル
⑬概ねパラレルで、顕著な突起がある
⑭概ねパラレルだが、隠れた空洞があって、うっかりカムが開ききってしまう可能性がある

×印は、セットされたカムの位置。
この場所って、どうなんでしょう?
リスクは高め?それとも結構大丈夫?という問いかけに使用。
岩の形状を記号化すると、説明は分かりやすいような気がします。

ただ、実際の岩を見て
「この辺なら、カムが効きそうだな。」
と洞察する能力は、1日にしてならずです。
<湯河原で修行中のNS夫妻>

今まで、4日×1.5時間で完全理解ぐらいの内容が、3.5日×1.5時間くらいに進歩すれば嬉しいなぁというレベル。

この図に過剰に期待されても困るので、念のため。
ちなみに、手前が狭い形状だと、ボトミングっぽくカムセットできるので安心がありますが、セットや回収が難しいことも多いです。

NS夫妻も、EMさんも
「いくら効くって分かっていても、回収が心配で突っ込めない。」と盛んに話しておりました。
これは、練習時間が必要そうですね。
<地上でのカムセット練習>

<さすがに、パープルシャドウは簡単に感じたKIさん>

<暗くなりました>