2018年10月18日木曜日

究極のシチュエーション

10月14日(日)は、ロープワーク講習。
男性KBさん、久々の女性KIさん。
私が学生のとき、文部省登山研修会に参加したときのことです。

セルフレスキューに関するディスカッションで、当然のように出て来たのが、リードの墜落。いわゆるリードレスキューですね。
私も含めて学生は全体的に、そのシステム自体を自分が理解できていたかも怪しい状況です。

でも、「こういう状況だったら、どうするんですか?」
という講師(ガイド、山岳警備隊、大学山岳部コーチ、など)への質問は過激です。

・リードが落ちて、意識不明。流血あり。
・ロワーダウンは出来ない。「大ハングの下に落ちた。」、「下に渦巻いた滝壺がある。」など。
・ロープは半分以上出ている。
・2人パーティ。
・無線、携帯電話は無し。(あるいは、通じない。)
・リードが落ちてぶら下がっている最終支点は、ハーケン1本。そこまでもランナウトしており、その1本が抜けると、さらなるフォールが予想される。
・リードが落ちたラインは、ロープが流れている登攀ラインとは離れていて、途中まで登っても手は届かない。
・当該ピッチも易しくはない。
・3ピッチ目以上の高さ。

講師からの回答としては、
「ほぼ助けられないと思いますよ。」
「ハーケン1本で登り返しして、リードレスキューするくらいだけど、やっぱり時間は掛かるでしょう。」
「怪しいハーケンとか言うけど、リードのロングフォールを止めたんだから、たぶん大丈夫じゃない?(抜けることも、あるだろうけど・・・。)」
「(ビレイヤーである本人が)岩場からエスケープすることを考えた方が良いですよ。」
ってな感じでした。

まぁ、今思えばそうなりますよね。
最高レベルの人でも、無理なものは無理。
一方で、岩場でATCを落とした際に、ムンターヒッチなどが出来ずに救助要請というのもあんまりだと思います。
登り返しさえ知っていれば何のことは無い、という救助要請とかも。
これあたりは、最低限知っておきたいトラブル対処、と言っても良いと思います。

思うに、この中間ぐらいの事例が、本当は大事なんじゃないかと思います。

私も、過去にパートナーが本チャンやマルチ3P目以上の高さで大フォールをしたことが2度あり、どちらも負傷して救助搬送になりました。
幸いにして、上記のような究極のシチュエーションではなく、本人も意識があったのでロープワークとしては単純なロワーダウンなどの組み合わせで平坦地まで降ろせました。

でも、一度は考えてみたくなる究極のシチュエーション。
一体、どのくらい条件を緩めれば、現実的に解けるパズルになるのでしょうね。