2018年11月5日月曜日

初登者にはなれないけれど

今夜から、12月の予約受付開始です。
この投稿で、隠れてしまうので一応載せておきます。

11月1日(木)は、マルチピッチ体験講習にて、越沢バットレス。
男性KBさん、男性TNさん。
<登攀準備>

マルチピッチリード講習は、残置無視、トポ無視で行います。

コンセプトとしては
「自分が、この壁の初登者だと思って、どこでも好きなラインを登ってください。」
というもの。
<朝イチで、ビビり気味な2人>

このコンセプトでやる理由は、大きく2つあります。

1つは、単純に面白いから。
冒険心をくすぐりますし、このタクティクスを洗練させて行けば、実際に未登の壁も登れると思います。
もちろん、トップクライマーの皆さんがやっているようなのに比べたら、すごくショボイ壁かもしれません。発表されていないだけで登られているルートかもしれないですし、アプローチが遠くて2度と再登されない壁とか、沢の側壁かもしれません。

でも、良いじゃないですか!
自分の目で見つけたラインを、安全策を講じながら登って行くこと。

身の丈に合った壁で、色々な意味で自立したクライミングが出来るようになることは、人生観すら揺さぶることだと思っています。
<チョークアップしながら、オブザベ>

2つ目は、安全管理技術の基本が詰まっていることです。

トポを追いかけ、残置を追いかけるクライミングでは、敗退シナリオを考えながら登って行くことが疎かになりがちです。
敗退シナリオというのは、「もし、あそこまで行って予想よりも状況が悪かったら、こうすれば少なくとも命までは取られまい。」というのものです。

また、山の残置はプロテクションとしての信頼度も低いことが多いのですが、どうしてもそこを勉強するのは後回しになりがちです。「落ちなきゃ良いんでしょ。」的なヤツです。
そのあたりも深く考える能力を身につけるためには、自力で全てのプロテクション設置をするのが一番だと考えています。

越沢だろうと三ツ峠だろうと、確実なプロテクションが取れる場面もあれば、墜落は絶対に許されない場面もあります。
もっと言えば、テンションコールすら許されない場面もあります。

何もかもがリアルに体感できるので、私への質問も1ピッチ毎に幾つも出てきて、少ない回数でも確実に多くのことが学べます。
<ちょっとビビるムーヴ>

ここで色々と学んで、実際にコレっぽいことをする人も居ます。
本チャンでの残置無視、不人気(あるいはトポに載っていない)クラックへのオンサイトトライ、ショボくても本当に初登攀、などなど。

やっぱりゲレンデでのスポートルート(もしくは整備されたクラックルート)が一番となる人もいます。

それはそれで、もちろん構いません。
<足置きとか安定感の重要さを再認識したKBさん>

せっかく当塾に来たからには、ここまで学んでいただければ嬉しい限りです。

ショートルートも、マルチも、一貫した理念でやっておりますので。
毎度毎度、似たような話で恐縮でした。
<懸垂下降。半日で終わったので、もう1本登りました。>