2019年9月12日木曜日

手間を惜しみました

9月8日(日)は、マルチピッチリード講習。
女性HSさん、男性ITさん。
1P目をリードしたITさん。
ビレイ点を作りましたが、ちょっと細めの立木が1本でした。

私が到着して、どうにも不安を感じて、近くのクラックからバックアップで補強。
<1P目>

さて、ITさんに話を聞くと、バックアップは考慮したそうです。
しかし、一番近いクラックは脆い音がしたのと、もう数十cm先のクラックからだと遠いので、諦めたそうです。
たしかに、120cmスリング1本とかでは、立木まで届きませんでした。

ここで、ITさんの思考を振り返ってみましょう。
①後から検証すると、そのときの手持ちギアで言えば、120cm+60cm+60cmで連結できました。
正直、手間を惜しんだそうです。

②そのスリング連結をメインロープで代用する方法も思いついたそうですが、やっぱり手間が掛かるので却下。
<懸案のテラス>

③今回のテラスは、2mぐらい上に上がれば明確なクラックもありました。
そこでビレイ点を作って、セルフを延長するという方法も考えたそうですが、手間が掛かると思って、止めたそうです。

④今回のテラスより下には明確なクラックもありましたが、そこにはテラスがありません。
ハンギングビレイ、という方法も一瞬チラついたようですが、これも手間が掛かるので却下。
<2P目の出だし>

こう書くと何ですが。
実際に足場の良いテラスで、ギリギリ妥協できるか迷うぐらいの立木1本があったら、こう考えるのも理解は出来ます。
帰りに、ITさんに聞いてみました。
「なんか、ちょっと不安だと思いましたよね?しかも、僕が上がってきたら絶対なんか言われそうだなと思いましたよね?」

すると、
「思いました!でも、手間を惜しんだねー。」
とのこと。
<綺麗なライン>

そして、続けて
「なんか嫌だなー、っていうのは自分の経験から、安全とか何かしらのフィルターに引っ掛かっているっていうことですよね。だから、本当はそれが何かを考えなきゃいけない。」
という至極真っ当なコメント。
<マルチピッチらしい1枚>

手間を惜しむな、というのは無理があります。
省力化とは、手間を惜しんだ末の技術だとすら思います。

私も、そもそもの人間性は怠惰そのもので、自宅のカビも酷いです。

ただ、それは今ではありませんでした!
ビレイ点作りは、気持ち悪さが抜けるまで、追求すべきでした。
①~④のうち、手間が掛からない方法を選択すべきだったでしょう。
手を抜くか、手を掛けるか。それが問題だ!

練習意識でも、安全意識でも、何事にも共通する話なんでしょうね。
<3P目は、ルーフの5mほど下をトラバース>

さてさて、本日で2人はマルチピッチリード講習を卒業といたしました。

またよろしければ、何かの講習に来てくださいませ。
<4P目。今回は、シングルロープ+バックロープの方式。>