2019年9月3日火曜日

鶏冠谷

10月の予約受付は、開始しております。
一応、載せておきます。

9月2日(月)は、一人で沢登り。
奥秩父の笛吹川にある鶏冠谷。

以後、日記。
4時半過ぎに家を出発し、6時20分に駐車場を歩き始める。
<7時ごろ、鶏冠谷出合>

午前中は晴れ、午後は大気不安定という予報なので、早めに終わりたい気もする。
一方で、滝をまともに登っていたら、日帰りは厳しめかなという気もする。
<なぜかテンションが上がりまくる、小ゴルジュやナメ歩き>

<第1核心の10mぐらいの滝。右のコーナークラックを登る。>

今回は、カムも持ってきたので、こういう滝も登れます。
1時間半ぐらい悪戦苦闘して、無事にリード。

抜け口が案の定悪く、中盤で使い切ったカムをクライムダウンして回収したりして、めちゃくちゃ疲れました。1セットだと足りないと感じるような、プロテクション良好でクライミングを楽しめる滝ということか・・・。
単独システムに不慣れなのもあります。

傾斜もあるし、5.8とかグレードが付くんだろうか?
<ハンドクラック。ユマーリング回収。>

ユマーリングを終えて、2時間越え。
「もう帰っても良い!」というぐらいに充実した気持ちで、歩くのも疲れを感じていましたが、さすがに9時半なので、ボチボチ休憩しつつ歩くことに。
<落ち着いたゴーロ>

つい先ほどまで、あんなにテンションが上がっていたナメ歩きも、もはや興味が沸かない。精神の休憩がてら、行程を稼いでいるような感覚にすらなる。

疲れというよりも、滝のインパクトが強すぎるのだ。
一度知ってしまうと、戻れない。
恐るべき、滝の思い出。
<第2核心。パッと見は緩いが、下段だけで10m以上の高さがあり、無理っぽい。>

お次は、3段のナメ滝。
左を巻く。
<かなり嫌らしいトラバース。浮石疑惑の岩にカムを決めながら。>

苦手の泥壁トラバース。
リードに苦戦した挙句、トラバースなのでフィックス回収の登り返しも苦労する。

11時くらいに終えて、目の前には次の滝が。
<3つ目の核心>

ちょっと嫌気も射すなか、気を取り直してオブザベ。

水流すぐ脇に、切れ切れのクラックがあり、プロテクションは良好そう。
ムーヴも、ヌメリもそこまで悪くはなさそう。
ただ、抜け口が思ったより悪いと、クライムダウン敗退でめっちゃ疲れそう。

逡巡しまくった挙句、これをやりに来たようなものなので、カッパの下も着込んでクライミングスタート。
<無事にリードを終えて、フィックスで懸垂下降してきたところ>

終わってみると、実に興味深いクライミングだった。
水流、プロテクション、ホールド、ジャミング、あまりヌメっていない状況、全てが丁度良く揃っていて、まるで創られた課題のようだ。
「Ⅳ級ごときで、何を言っているんだ。」という声が聞こえてきそうだが、グレードとは無関係に楽しい。
<ユマーリング回収>

すでに12時を過ぎ、歩いた距離はあまりに短い・・・。

敗退とエスケープを視野に入れつつ、歩を進める。
<再び、落ち着いたゴーロ>

<ようやく二股>

二股に着き、地形図からエスケープしやすそうな右股を選ぶ。
右股は、200mほど右斜面を登れば尾根筋に登山道が走っているので、一応はどこでも逃げられるはず。
<早々に目に入って来た、登れなさそうなデカい滝。これの巻きが第4核心。>

ここで、明らかに登れなさそうで、かつ小さく巻くことも出来なさそうな20m越えの滝が目に入る。

「あちゃー。」と思いつつ、高巻き。
1時間ぐらい掛けて、尾根を登り、懸垂下降で沢に戻る。
<さらに、デカい滝。5つ目の核心。>

そして、しばらく歩くと、もう一発。もう5回目の核心部で、さすがに時間的にマズイ。
すでに14時。

大高巻き、左右の壁をブッシュ沿いに登攀、同ルート敗退、右斜面にエスケープ、の5択。

この先は、地形図から察するには渓相は穏やかになるはず、と踏んで登ることに。
右壁ブッシュ沿いというか、泥のルンゼというか。

が、抜け口で行き詰る。
非常に手間がかかる方法しか敗退手段が無い、という悲しい状況。
途中の灌木まで10mのリードでクライムダウン。
そこから、懸垂下降1発で取り付きに戻る。

残念ながら、すでに16時前。
ビバークがチラつく時間を、嫌な場所で迎えてしまった。
同ルート敗退、右斜面にエスケープ、の2択。

暗くなっても、どうにか行動を続けられるという意味で、右斜面を選択。
傾斜は、嫌らしい土壁の可能性を語りかけてくるが、5~10m間隔で太い立木があるので、リードも敗退もどうにかなりそうだ。

1ピッチ目は、どうにも嫌らしい土壁があり、数m上の立木に投げ縄からのゴボウで突破。
そこから、数ピッチ伸ばしているうちに暗くなるが、真っ暗になってしばらくすると、ノーロープでも上がれる程度の斜面になってきた。

そこから、30分ほどで登山道に到着。19時15分。

もう1~2時間早く入山するか(2時起きか・・・)、最後の滝を見た時点でエスケープする温厚な判断をするか、どちらかにしていれば大分マシな展開だった。
遡行図を見ないで行くのは、時間読みがほとんど出来ないのが難しいところでもあり、駆け引きの面白さでもある。難所1つで、2時間ぐらいはコロッと変わってしまう。

20時55分に、駐車場に到着。
そんなに無茶苦茶な時間にはならなかったが、ビバークすれすれだったなぁと反省。
こういう登山をするなら、予備日を常に設けるのが現実的なのかもしれない。

とはいえ、今回は2つの滝で大満足のクライミングが出来たし、ルートファインディングで自然を大満喫できたので、自分としては面白い限り。
こういうことは、僕にはときどきしか出来ないけれど、やっぱり面白いと思う。