2019年12月6日金曜日

リーチ問題の続編

11月28日(木)は、ムーヴLv.0にて、新規女性HGさん。
11月30日(土)は、女性NSさん、男性KBさん、男性THさん。
またまた、本日の講習とは関係ないのですが、よくよく話題に上がるリーチ問題。

「届かない→私はリーチが無い」という会話を聞いていて、「そこは、リーチの問題っていうか、ムーヴが違うんじゃないか?」と思うことも多々あります。

反対に、デカい私に対して、「狭くて大変そうだね。」と気遣ってくれる人もおりますが、「実は、ここは狭いことでヒールフックの効きが良くなるパターンだから、むしろ大丈夫。」などと思うこともあります。

とかく、他人のリーチを想像することは難しく、突き詰めるとムーヴへの理解度そのものを問われているような気持ちになります。
おおむね、デカい人が有利だとは思うのですが、どの場面でどのように有利に働くのかを理解しておくことは、誰にとってもプラスだろうと思います。

例えば、自分と全く違うリーチの人のムーヴをコピーできるか、別ムーヴを考えるべきかのヒントになるからです。
さて、上の図で、縦リーチと横リーチ。

例えば、私は身長185cmです。
先ほど簡易的に計測したところ、つま先立ちして、指先が届くという意味では、250cmぐらいある感じでした。
横リーチは、指先から指先で188cmぐらい。

仮に小さい人として、身長155cm、縦リーチ200cm、横リーチ155cm、ぐらいの人を想定しておきましょう。

パターンAは、縦リーチの9割ぐらい(体は、まだ直線ではない。)が発揮されるパターンです。
50cmのリーチ差が、45cmぐらいになって現れるイメージです。
(ただし、左足を別のものに変える選択肢がある、左足無しでも乗り込めそう、右足が大きい人にとって狭い、などの条件があると、話は全く変わってきます。)

パターンBは、テラスに立ってガバに届くか勝負、という場面。
これは、縦リーチの差が10割出ます。つまり、50cm差。

パターンCは、サイドホールドから遠いサイドホールドへ。
まだ、横リーチの8割程度しか出せていない状況なので、リーチ差も8割出るはずです。
つまり、約24cm差。
(ただし、足位置などのムーヴ選択で、小さい人の方がフルリーチが出しやすいというホールド配置も有り得るので、その場合は話は変わってきます。)

パターンDは、ロックして次のホールドを取りに行く場面。足位置の選択肢は多く、リーチによって好きに選べる設定です。
この場合は、片腕の長さ分のリーチ差が出るかどうか、ということになります。
このケースだと、10~15cmの差かもしれません。
(この手のケースだと、小さくて軽いクライマーが保持手の持ち感が良く感じたり、ロック能力が高かったりするために、この程度のリーチ差は逆転するというケースも、よく見かけます。)

パターンEは、レイバックからの引き付け方向への一手。
これは、私もよく分かりません。
左手のロックだけの問題なら、パターンDと同じとみなせます。
が、左手をロックして、右に近づこうとすればするほどバランスが悪くなるケースも多いのです。そうなると、デカい人は一層左方向に離れる状態になるため、リーチを活かすことは困難に見えます。
あとは、足位置がどれだけ狭いかとか、足がどれだけ良いか、などの条件に大きく左右されるので、このパターン自体には結論は出せないと思います。

パターンFは、強傾斜での狭いスタンスからの遠い一手。
これも、私もよく分かりません。
経験上は、デカい人が少し有利なんですが、ある程度「巧くやる」ことが要求されていると感じます。
「巧く」やれないと、スタンスが狭いと感じないリーチの人の方が、距離が出せたりします。

と、ここまで書いておいて何ですが、そもそも大きくリーチが違うと同じ課題と思えないぐらいムーヴが異なることも多いものです。
あくまで、ムーヴ選択の参考程度の話です。

これとは真逆に、狭さ問題に関する比較検討も面白いかもしれません。狭いように見えて、実はそうでもないパターンとかも多いので。