2020年6月29日月曜日

太子舘ガイド オンラインツアー

今年は、富士山の4登山道が閉鎖されます。
そして、新型コロナの影響で、色々と考え、準備する時間は増えました。

そんな中、私の所属する太子舘ガイド会では、新しいツアーとして2つのものを検討してきました。

そのうちの1つ、オンラインツアーが7月1日からスタートします!
私はパソコン問題で担当ガイドになる予定はありませんが(笑)、太子舘ガイドが誇る藤本・榎戸の2人が先陣を切ってガイドいたします。

昨年までの富士登山の写真を見ながら、ガイドの解説を楽しんでいただくコースです。
私も、お客さん役で参加させていただきましたが、かなり面白いです。

質問できるオンラインツアーという形式ならでは。
ブラタモリの富士登山とも違い、YouTubeの解説動画とも異なります。

もちろん、実際に登るに越したことはありません。
しかし、自宅で気軽に富士山のイメージを膨らませるという意味では、期待ができる内容になっていると思います。

興味がある方は、お気軽に参加してみてください。
ちなみに、もう1つは富士山準備のための日帰りツアー。

この企画自体は、よくあるものです。
しかし、「太子舘ガイドが登山の初歩から教える。」というコンセプトでやれば、さらに面白く、意義ある準備登山にできそうです。

これは、私も企画から関わっており、まだ準備が続いております。
と、そんな訳で、6月22日は大月周辺の低山へ。

あいにくの雨の中、高川山と九鬼山の2つを偵察。
行程の長さ、道の険しさ、休憩場所、などの条件から見て、悪くもないです。
ただ、エンターテイメント性という意味では・・・。

まぁ、他にも候補が色々ありますので、ボチボチ行きます。
<オンラインツアーに低山ツアーに大忙しの、えのきど先生>

この企画に限らず、石田登山塾としても富士登山を目指す方を応援する講習は、過去に何度か行ったことがあります。
高水三山、高尾~陣馬、など。
興味があれば、御連絡くださいませ。

富士登山って、体力と装備さえあれば、初心者でもどうにかなるとは思います。
でも、休憩の仕方、装備の使い方、栄養の取り方、時間配分、歩き方、地上の天気と山の天気の関係、高山病の基礎知識、などの登山の初歩技術は、あった方が良いです。

ちょっとした技術の蓄積で、体力に自信のない方にもチャンスが出てきます。また、体力がある方も、ひどい目に遭う確率が相当下がります。
大学生ぐらいなら、そんな目に遭うことこそがイベントの楽しみでもあるんですけどね。

そして、技術を付けようと山に通っていたら、いつの間にか最低限の体力がついていた、なんてことになって欲しいのですよねー。
自宅での体力トレーニングが長続きしない方の気持ちは、よく分かりますので。

2020年6月26日金曜日

現実的なガイドラインは、自ら作るもの

6月20日(土)、21日(日)は、岩場リード講習にて、小川山。
全て復習参加の方々です。

1日目は、久々のNSさん夫妻。
2日目は、女性MKさん、女性ISさん。

岩場のリハビリがてら、再度ムーヴの安定感や、足置きについて学びなおしたいというモチベーションによって、皆さん参加。
素晴らしいことです。
初日、スラブ状岩壁のエリアは、大変に混んでいました。
さて、久々にコロナ対策に戻ってみます。

岩場は野外ですから、空気感染のリスクは相当に低く抑えられるはずです。

また、少人数パーティであれば、
「どうせ、近づいて行動するし、ギアも共用するし、車も同乗するから。」
という理由で、ノーガード戦法を採用するという手段もあります。
<混雑のエリア>

とはいえ、インフルエンザの友人と1日一緒にいても感染しないこともあり、パーティ内でも感染対策をやった方が良い、というのが私のスタンスです。
何もしなければ、50%うつるものを、30%に低減しよう、というイメージです。

このコンセプトなので、マスクは夏用ネックゲーターなどで十分だと思っています。
<という訳で、近くのエリアに移動>

そのコンセプトで、講習ガイドラインを考えます。

①夫婦の間などは、ノーガード戦法はアリ。友達同士の講習生の場合は、その2人に委ねる。
※感染対策する労力に、感染確率低減メリットが見合わないことが多そう。

②車に同乗する場合は、窓は少し開け、マスクを原則着用。
※これが、まさに50→30にはなっても、50→1にはならないというイメージ。

③ロープくわえ、ギア共用、などはアリ。

④基本、トライ中に限らず、地上にいるときもマスクを外して良い。ただし、近くで会話するときなどは、マスク着用を忘れないように気を付ける。
※そうすると、マスクを外したいがために、自然と2mぐらい離れたくなってくる。

⑤他パーティとの会話、他パーティとの距離は、なるべく意識する。

⑥私が消毒液を持参しているので、食事などで口に直接ウィルスが入る可能性があるときは、使うことをオススメする。
<頑張って、オンサイト>

このガイドラインって、いわゆる業界ガイドラインから比べたら相当ユルユルです。
しかし、現実の岩場は、これすら面倒だと感じてそうな人が多いです。(私も、面倒ではあるんですが。)

・大人数パーティ(少人数パーティ内でのノーガード戦法なら、まだ話は分かる)
・他パーティとの距離が近くなってもマスクしない
などなど。

もっと言えば、大人数パーティのノーガード戦法と思しきパーティを、複数見かけました。
つまり、理想のガイドライン、現実的なガイドラインの下に、
「せっかく野外来たんだから、何でもアリで良いじゃん。」
という心情があるように見受けます。

もしかしたら、理想的なガイドラインを宣伝した逆効果で、「あんなの守れっかよ!」になったんでしょうか。
私のような非国民気味の人間に言われたくはないかもしれませんが、
「野外であっても、そんなに労力が掛からないことは、なるべく対策した方が良い。」
と思っています。

さもないと、岩場でノーガード戦法VS岩場自粛、の2項対立という悲しい図式に逆戻りする可能性があります。
<スラブの練習>

私のスタンスとしては。
「クライミングが楽しくなくなるほど窮屈な対策は、今のところしなくて良い。ただ、ちょっと億劫ぐらいの対策は、一応やっとこう。」
<姿勢が気になる>

ほんとに感染者数を減らしたいのか?
他人の目を気にして、マスクと自粛をしていたのか?

それが問われてくると思います。
もうちょっと状況が変わって、
「夜の街に行かなければ、ほぼノーリスク。」
という状況が続けば、堂々とノーガード戦法にできると思うんですけど。

今のところ、都内では相当気を遣って生活しているお陰で、今の人数です。
まぁ、当分は諦めましょうか。


スポートルートのトライに、自分が求めるもの

6月16日(火)は、自分のクライミング。
僕自身、クライミングを始めたころからオンサイトは好きですが、10数年前は今とは少し違ったと思います。

例えば、キャリア5~6年の頃は、
「オンサイトしたいと狙ったルートがあれば、8割オンサイトできると思うまで取っておく。」
という戦略を取ることが多かったです。
実際、クレイジージャム、サイコキネシス、ベルジュエール、などは、この戦略でオンサイトしました。(例が、クラックとマルチですが。)
<面白かったカンテルート>

しかし、ここ5~6年は、
「自分の心技体を出し尽くして、ギリギリで登ったという快感。」
に比重が置かれて来ました。

そうなると、オンサイト率が3~7割ぐらいのルートこそが、最も興味深いことになります。
また、オンサイト失敗したとしても、2トライ目、3トライ目のレッドポイントトライで、この快感が味わえるなら、結果オーライというのが現状のスタイルです。
(オンサイト失敗したが、2撃は易しいという困ったルートも、大変よくある。)

前者は、成果が大事。
後者は、良い試合をしたという達成感が大事。
<カンテルート、遠景>

ちゃぶ台返しをするようですが、前者であっても大きな達成感はあります。
なんせ、そのタイミングまで我慢して、他で練習してきた自分は褒めたくなります。

ただ、自分自身が明らかに成長期で、オンサイト率5割だったルートが数年後に8割になる状態だったからこそ楽しめた戦略だったかもしれません。
しかし、現在とっている戦略も、かなり面白いです。

・ややギャンブル的だが、ときどき自分の予想を超える成果が出る。
・死力を尽くす興奮のトライが、多ければ週1回ぐらいの頻度で味わえる。
・将来的に、自分が今より大幅に登れなくなっても、ジムのように新しいルートが量産される環境なら、生涯オンサイトトライを楽しめる。
話を、少し大きく捉えてみます。
オンサイトに限らず、レッドポイント、ボルダーも含めて、スポーツ的なクライミング全般で考えてみます。

本気トライに求めるもの
①成果
「~~をオンサイトした。」、「~~をレッドポイントした。」、「~~をワンデイで登った。」、「最高グレード更新!(または、最高グレード付近のグレードコレクションが増えた。)」、など。

②体験
「めっちゃ頑張った!」、「もうダメかと思ったけど、振り絞った。」、「トライ前に、超緊張して逃げ出したかった。」、「ダメ元で手を出したら、意外と止まって、そこから奇跡のようにレストポイントまで繋がっちゃった。」、など。

③上達の過程
※後述
③は、本気トライしないと上手くならない、という話です。

この際、
・高グレードの強度を味わうこと
・前述の②のような体験
・オンサイト、レッドポイントを目指すための、様々な工夫
などが行われるので、これ無しに上達は有り得ないという話です。

この場合、10日間通ってレッドポイント出来るルートと、オンサイトできるルートは、アルファベット3つ程度の差があると言われています。
(5.11c - 3グレード = 5.10d)

さらに、現実には苦手系やオンサイトしにくい形状なども考慮すると、本気トライに丁度良いグレードというのは、5~7グレードぐらいの幅があるように思います。
(5.10d - 2グレード = 5.10b)


つまり、本人の気持ちの持ちようで、大抵のルートは本気トライ対象になります。

①~③、僕も10年前も現在も全ての要素を感じながら登っています。
ただ、②に対する思いが強くなってきた、ということに過ぎません。

講習生レベルであっても、小川山ストーリー、卒業試験、小川山レイバック、カサブランカなどの名作ルートは数多く存在します。
どんな形でルートと付き合うかは、最終的には自由ですが、本当によく考えてトライして欲しいと思っています。
具体的に登ったルート
(本日は、トポと照合が上手くできず。グレードは、体感。)

・5.9(クラック) オンサイト
・5.11d~5.12a(ボルト、カンテルート) オンサイト。今日は、これをやりたかった!自分なりに、最高の体験ができました。
・5.10a(ワイド系) オンサイト
・5.10b(ボルト) オンサイト

2020年6月25日木曜日

岩場基礎トレ

こんにちは。
7月11日(土)に、林智加子ガイドの主催する「岩場基礎トレ」の講師を引き受けることになりました。

登山における岩場歩きのために、クライミングの基礎のうち安定感について講習するという内容です。
トップロープで、登山靴で登れる程度の岩場で行います。
講習場所は、小川山の予定です。天気によって、変更の可能性があります。

まだ、空きがあるようですので、僕の方でも募集できることになりました。参加希望の方がいらっしゃれば御連絡ください。

2020年6月24日水曜日

リハビリの構え

6月13日(土)は、ムーヴLv.0。
新規の男性NKさん、男性WDさんの2名。
2名とも、ジムリード講習に進んでO.K.としました。

多くのクライマーが1~2ヶ月の休止期間を経て、調子を取り戻しつつあります。
その際、2つの感想が聞こえてきます。

①筋力が落ちた
②感覚が鈍った

①は、単純です。
実際あると思いますが、一度つけた筋力を再度つけるのはそう難しくはない、という話もあります。
とはいえ、いきなり高負荷をやって良いという意味ではなく、「3年かけて身に付けたものでも1~数ヶ月では戻るから悲観し過ぎることはない。」という程度のニュアンスです。
ただ、リハビリ期間中は、過去の自分よりも老いを感じるので、2度と同じレベルに戻れないような気分になったりします。残念ながら、それでクライミングを辞める人もいます。

②は、多岐に渡ります。
A)オブザベが以前より曖昧になった。
B)ホールディング(ジャミング含む)や足裏感覚が、以前に比べて気持ち悪い。
C)ムーヴの安定感がイマイチで、リードしていてもグラつく感じがある。
D)墜落距離の計算やカムセットに、自信が持てない。
E)落ちる態勢に、自信が持てない。
F)本気トライ前の集中力を高めるルーティンが、雑になった。

私の場合は、今回はAとCが起こりました。
ただ、冬山に通っていたり、富士山ガイド期間中にクライミング能力が落ちることが多いので、毎年1~2回ある話です。
経験上、これはチャンスでもあります。
以前の感覚を取り戻そうと、基礎練習に立ち返ります。
すると、大抵は以前より僅かに高いレベルに行けます。
(ムーヴの不安定さが気になりまくっているうちに、以前より安定するという話。)

個人的には、リハビリ期間中は②主体で考えています。
成長を感じるので面白いし、故障リスクも少ないので。

①も考えますが、結局は
・オーバートレーニングに気を付ける
・本気トライのメニューを考える(私の場合は、リハビリ初期は本気トライは少なめ)
・変なフォームにならないように意識する
・日常生活の回復率を意識する
ぐらいしか出来ないので、焦っても仕方ないという気分です。

僕自身で言えば、上記の話はもはや手慣れた感じになってきました。
どちらかと言うと、自粛期間中に習慣化された有酸素運動の習慣をどうにか途絶えさせないことが、目下のテーマです。

2020年6月15日月曜日

7月、8月の予約受付

今年は、富士山もないので、7月も講習を行います。
つきましては、7月、8月分の予約受付を、6月17日(水)の夜21時よりスタートいたします。
6月11日(木)、12日(金)は、またまた仕事の偵察で山梨の低山。
初日の午後は、結構な雨でツラかったです。

雨にちなんで、富士山ガイドの1泊2日ツアーでのことです。
※夜中に山小屋を出発して、頂上で御来光を迎える行程。

2日目の天気予報が悪いと、中止・決行の判断について、ガイド同士で必死の検討が行われます。

バス登山ツアーだと思って、私も当初ナメていたのですが、相当なドシャ降り、飛ばされない程度の強風なら、登頂することは結構あります。
参加者も、「遠方から来ている」、「せっかく8合目まで登ったのだから」など、様々なモチベーションで、ギリギリ決行の日ですら7~8割の方は付いて来ます。
(8合目で、リタイヤも可能)

そのため、ガイド同士の検討会は、
・決行した場合のリスクは、受け入れ可能な範囲か?(低体温、転倒、強風による滑落、など)
・頂上直下で好転すると見込んで出発した場合など、好転しなかった場合のエスケープは、受け入れられる労力か?また、そういった徒労感に終わる確率は?

などを天気図、ヤマテン予報、ウィンドプロファイラ、などを見て、意見を擦り合わせます。
そして、中止と判断したとき、その旨をお客様にお話しします。
このとき、説明とは何かを考えさせられます。

①中止せざるを得ない根拠を、要点だけを報告。

例)残念ながら、低気圧が逸れることなく富士山に向かってきています。時間帯から
見て、山頂直下で今より激しい台風のような大雨や風に遭遇する可能性が、とても高いです。それでも、悪天につかまったら撤退する前提での出発も検討しました。しかし、いずれにしても豪雨の中で8合目まで降りてくる可能性が高く、危険が大きいと判断しました。明るくなってから下山を開始しますが、その際は予報通り豪雨かもしれません。ただ、それでも頂上で豪雨に遭うよりはマシで、下へ降りるほどに小ぶりになって行くことも予想されます。

②中止の心構えを説く

例)私ガイドの役目は、皆さまを登頂させるのではなく、安全に下山させることです。皆様にとっても、家には大切な家族など、帰りを待つ方がいらっしゃるはずです。そうでなかったとしても、あなたの命はあなた自身にとって大切なものです。そして、山は逃げません。こういうときは、山が登るなと言っているのです。
個人的に、②は気持ち悪いと思っています。
命を盾に、道徳心に訴えかけてくる感じです。

だから、なるべく①を行います。
「なんで行けないの?」という気持ちの方に、極力ちゃんと回答したいという気持ちもあります。
「なぜ登れないのか?仮に、どの程度条件がマシなら登れたのか?」ということを、1人の登山者としてガイドと共有して欲しいのもあります。

ただ、中止と聞いたら、細かい理由には興味がほとんど沸かない方も一定数いらっしゃいます。
次に来るとしてもガイドツアーであれば、中止判断を自分で下すことは無いですからね。

なので、②の道徳心型の説明を完全にゼロにはしていません。
それで、中止の正当性を感じて、心が落ち着く方もいることでしょう。

ただ、それでも罪悪感は残ります。
お客さまを「永遠にリスク判断力を持たない登山者」として、見放しているような気分が残るのでしょうか。

2020年6月13日土曜日

自分の安全基準へのモヤモヤ

6月9日(火)は、自分のクライミング。
ボルトが、(現代基準で)イマイチなルートに対して、どう取り組むべきかは常々迷います。

今回のエリア、5本の5.11がありました。

4ルートが8ミリのオールアンカー、相当に錆び錆び。(5.11a、5.11b、5.11c、5.11c)
1ルートが8ミリのカットアンカー(アルミっぽい)、錆び無し。(5.11d)
とりあえず、5.11dは本気トライが許せる範囲と妥協することにしました。
硬そうな花崗岩ですし、2本目以降のボルト間隔が近く、1本抜けても大丈夫なレベルだったので。
次に、5.11aは、僕にとってはグレードより易しそうだったので、アップルートに使うことにしました。
諦めてテンションを掛けるときの静荷重のみの使用。万が一ホールドが欠けたら1%程度のグランドフォールはリスク許容、と割り切って。

もし、ムーヴで落ちる可能性がありそうなら、途中敗退するつもりで。
厄介なのが、他3本です。

錆び錆びの8ミリなのですが、1本抜けても大丈夫なセクションは、ごく僅かです。
かつ、グレードと自分のクライミング能力から考えて、落ちる可能性10%~50%とかのムーヴを繰り出す可能性大です。
ぶっちゃけ、他に沢山ルートがあるエリアなら、避けて通る課題です。

という訳で、
①カムが効く場所は、バックアップを取ることを考慮。
②5.11aと同様、ホールド欠損以外では基本落ちないムーヴだけで登る。落ちる覚悟のムーヴしか無かったら、敗退。
③トップロープ状態に限り、落ちるムーヴを繰り出す。

などと、自分ルールを決めて、トライ。

今日、突然決めたルールではありません。
いつも、リングボルト、RCCよりはマシだけど、1~数%抜けるかもって思わされるハンガーボルトのときは、同じような感じで対応しています。
結果は、以下。
①5.11a オンサイト。やはり、かなり易しめ。
②5.11b オンサイト。かなりビビりながら、99%以上落ちなさそうなムーヴを見つけて。
③5.11c R.P.、2トライ。トップロープ状態のところに核心があったため、何度もフォールしてムーヴ解決。
④5.11d R.P.、3トライ。唯一、普通に落ちられるルート。最後って、左に出て良いんですよね?1トライ目は、ボルト沿いに行こうとして全然ダメ、左に逃げるラインで良さそうだと確認。2トライ目は、中間部でミス。
⑤5.11c フラッシュ。ホールドが欠ける不安におびえながら、99%落ちないムーヴで吠える、という嫌な展開。

⑥グレード不明 フラッシュ。帰りがけに、8ミリのカットアンカー、錆び無しの5.10台っぽいボルトルートを見つけたので、追い込みがてら。
戦績も、成果とは呼べない感じでした。
落ちる覚悟で頑張れる5.11dを、オンサイト出来なかったし、残念な一日でした。

そして、自分の安全基準に対するモヤモヤが残る一日でした。
ただ、これ以上に厳しいルールにしちゃうと、微妙なボルトルートはほとんど登らないことになりそうです。

悩ましいです。

2020年6月10日水曜日

自立という無理ゲー

6月6日(土)は、クラックリード講習にて、男性FMさん、復習参加の女性KIさん。
6月9日(日)は、ムーヴLv.0にて、男性OYさん。
今回、クラックでの初リード、落ちる練習を果たしたFMさん。

「クラックは、カムをどこに取るか、その先どうするか、カムを外すか、全てを自分で決められるのが楽しいですね。」
との感想。

クラックは、ボルトに比べて「自力で登っている感」が強い、ということです。
クライミングにおいて、完全な自立は難しいものです。

クラックで、トポを読まず、オンサイトトライをしても、開拓者が整備したルートを登っているという事実からは逃れられません。
それ以前に、アプローチも開拓者や常連クライマーの整備によって保たれていることも多いです。
もっと言えば、「そこに岩場がある。」という情報を得ること自体が、完全な自立とは言えないでしょう。
遭難の自己責任論も、似たような構図です。

私の両親は、私が登山をすることに反対でした。
どうにか説得して、半ばズルズルと夏山、雪山、沢登りと認めてもらってきた過程があります。

ぶっちゃけて言えば、冬山を認めてもらうことは、「死ぬかもしれないけど、そのときはよろしくお願いします。」ということだと思っています。
もちろん、「可能な限り、死なないようにします。相当程度の注意やトレーニングを積めば、交通事故程度の死亡リスクまでは下げられると思うので、そこまで悲観せずにお待ちください。」というのは、あります。

残念ながら、友人も何人も亡くなっておりますので、偽らざる現実です。

登山に関しての覚悟というのは、他人に多少迷惑を掛けても「どうしてもやりたい。」という意思表示なのかと思っています。

(最近、これって登山に限らない話なんじゃないかと思いますが。)
つまり、クライミングにせよ、雪山にせよ、完全な自立は難しいです。
最近よく聞く、無理ゲー(攻略不可能なゲーム)なのかもしれません。
ただ、私にとって街での日常より、クラックリードの方が自立を強く感じられることは確かです。
フラッシュよりオンサイトの方が、自立を感じられます。
トップロープリハーサルよりも、グランドアップの方が、真実味を感じます。

スポートルートなんか、ボルトが打ってあるので自立の上限はたかだか知れています。
しかし、この気持ちを無視できないと思っています。

登山に関しても、言い出せばキリがありません。
さらに、ときどき極端に自立度が高い山行がしたくなります。
自分が探した岩でオンサイトグランドアップ、1人で沢登り、などなど。
強いクライマーから見たら全然大したことが無くても、ただ純粋に衝動にかられます。

そんなのは一過性で、また普段通りのクライミングや整備された登山の中で、可能な範囲での自立に戻るのですが。
自立は、無理ゲーなのかもしれません。

でも、自立したい気持ちがある人と会話するのは、やっぱり楽しいですね。

<OYさんは、次回はジムリード講習に進んでO.K.としました。>

2020年6月9日火曜日

私は非国民か、続編

6月4日(木)は、自分のクライミングで岩場へ。
6月18日までは、「首都圏1都3県や北海道との移動は慎重に」という表現です。
6月19日から、〇に変わります。

観光についても、6月18日までは、「県内で徐々に」という表現です。
6月19日から、「県外も含めて徐々に」という表現に変わります。

「いやー、もうすぐ開放だね!」
という気持ちは私もありますが、そう話は単純ではないことは皆さんご存じの通りです。
これに関して、私が2ヶ月で体験したことを話します。

例① 感染者0人の町

八王子から裏高尾町、武蔵五日市などの山間部へとサイクリングの日々を過ごしていました。
報道されているように、観光駐車場は閉鎖され、公共施設は休館など、やはり非日常の世界です。

その一方で、近所のオバちゃん同士、近距離で普段通りの世間話に花が咲いている方々も、ちょくちょく見かけました。

彼らは、無防備なのでしょうか?
それとも、自分の街では感染者0人なのを知っていて、あえて普段通りの生活を楽しんでいるのでしょうか?
彼らは、感染者0人の町に観光客が入ってくることを喜ぶのでしょうか?

もちろん、観光業はありますから、受け入れたい人も多いでしょう。
でも、平和を乱されると考える人も、きっといます。

政府方針で移動が緩和され、駐車場が開いたとしても、この矛盾が無くなる訳ではありません。
ただ、緊急事態宣言中、都会との往復生活をしている人もおり、感染者0人の町が絶対安全圏ではなかったことも事実です。

「じゃぁ、いつまで行かないのが正解なんだ?」
と聞かれても分かりません。
だから、政府方針に従うことは、1つの手堅い戦略だと思います。
そのタイミングなら、みんな行きますから、安心です。

しかし、「他人に優しい正義だ。」と断言するのは危険だと思います。
うがった見方をすれば、「自分に優しい」可能性もあります。

政府方針に従う多数派に所属するのであれ、「他人に多少迷惑を掛けてでも、自分は登山に行きたいのだ。」と自覚した方が良いかもしれません。
例② 山頂の売店

裏高尾のとある山で、山頂の売店がやっているのを2つ見かけました。
もちろん、登山口には「新型コロナのため、登山を自粛してください。」と看板があります。
山頂の売店は、悪でしょうか?商売だから仕方ないでしょうか?
登山者は、悪でしょうか?買い物をする可能性のある、大切な顧客でしょうか?

高尾山口駅でも、ケーブルカーはGW前まで営業していました。お土産屋も、最後まで開いているところもありました。
商売だから仕方ないでしょうか?
ケーブルカーに乗って登山する人は、悪でしょうか?

緊急事態宣言解除後の5月末時点では、「特定警戒都道府県の方の来訪は自粛してください。」と書いてあったキャンプ場が、「6月1日から通常営業です。」と書いてありました。
首都圏からの観光客を受け入れたいと感じさせる文面変更ですが、6月1日~18日の微妙な期間は、言及を避けているようにも見えます。
彼らは、悪でしょうか?
ここを利用した人は、悪でしょうか?

こんな話をすると、「登山が社会的に認められるのは、経済活動のためだけか?」という悲しい気持ちにもなりますね。
何も買わなきゃ存在価値すらないのでしょうか?
それは違うと思いますが、本題から大きく逸れるので、今回はパスします。
(詳細は、池田航さんの『登山の責任論』を読むと面白いです。)
例①は、「政府方針でお許しが出ても、まだ行くべきじゃない。」という揺さぶりです。
その場合、コロナが収まるか、テレビの報道が収まるかを待つことになるでしょうか。

例②は、「政府方針に関わらず、様子見ながら行っても良いんじゃないか。」という揺さぶりです。
その場合、登山業界の「自宅から100km以内の県境越え」、などのガイドラインを意識するか?完全に自己判断で行くか?などの難しい判断があります。

困ったことに、①と②は、真逆方向の揺さぶりだと感じます。
とはいえ、普通は政府方針に従うだろうと思います。
ただ、その最も手堅い選択すらも、異論はあると思います。

たぶん、正義は存在しません。
もっと言えば、政府方針自体が、なかなか微妙です。
「慎重に」って、人によって意見が割れそうですね。

意図的にそういう言葉を使って、「不要不急の外出自粛」よりは県をまたぐ人の流れを増やそうとしているのか!?などと、勘ぐってしまうのは私だけでしょうか。
だとすれば、我々は見事にコントロールされていますね。
さらに、自粛の捉え方も微妙です。

政府方針に賛同して、「じゃあ頑張って、自粛するか!」というなら、分かるのですが。
賛同しない部分にまで自粛圧力を感じるのは、ちょっと不思議にも感じます。
話をまとめます。
・例①、②から、県外移動のタイミングに絶対的な正義は無いと感じました。
・政府方針は、おおよそ分かるものの、グレーゾーンの大きさを感じました。
・政府方針に従わない人への自粛強要は、不思議に感じます。

個人的には、医療崩壊ギリギリだったときは、自粛強要にも一定の正義があったように思っていました。ギリギリまでジムや岩場に行く自分が、悪人に感じていました。
今の方が混沌として、何が正義かめちゃくちゃ難しいのかもしれません。
ちなみに、これは6月19日で無事解除となるシナリオに限って話しました。
ホントにそうなるかは、まだ分かりませんけどね。
僕とは真逆に、地元感情を考慮して今後数年は登山しない人がいても良いと思いますし、3密を避けてジムクライミングを辞める人がいても良いと思います。

私は、多少の迷惑を掛けてでも登りたいですけどね。
その恩返しは、人生通して考えていくとして。

(コロナの場合、確率は小さくて、重症化したらヤバいので、「多少の迷惑」というのは期待値をイメージしたものです。)
いやー、こういう思考から、ぼちぼち逃れたくなって来ました。
でも、しばらくは話題に上げちゃいますよね。
具体的に登ったルート
・5.8(クラック) 再登
・5.9(クラック) 再登
・5.10a/b(クラック) 再登
・5.10c(クラック) オンサイト(たぶん、登ったことない)
・5.11b 再登
・5.10c/d 再登
・5.12a/b ムーヴが出来ず、エイドでトップアウト

さすがに、本日は梅雨っぽくて状態イマイチ。
この岩場の春シーズン終了を感じました。