2021年12月18日土曜日

小さくて確実な進歩

11月20日(土)は、アドバンスクラック講習にて、女性ISさん、男性ITさん、男性MKさん。
11月21日(日)は、男性MBさん、女性GTさん、女性HNさん、復習参加の男性SKさん。
11月23日(火、祝)は、クラックリード講習にて、女性YIさん、復習参加の女性ISさん、復習参加の女性IUさん。
11月24日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
11月25日(木)は、ムーヴLv.0にて、女性HDさん、女性TNさん。
11月26日(金)は、リード2回目にて、男性KTさん、女性AMさん。
11月27日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん。
11月28日(日)は、岩場リード講習にて、女性YZさん、女性NMさん、男性MBさん、男性NHさん。
11月30日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、男性NOさん、女性MSさん、女性HNさん。
12月2日(木)は、ムーヴLv.1にて、男性MBさん、女性WNさん。


ISさんが、この2週間で語った自身の進歩。

①アドバンスクラック講習にて、自分たちでフィックスロープを張り、懸垂下降してアプローチするエリアに行きました。帰りも歩いて戻ることはできませんので、緊張感もあります。
私がフィックスロープを張って、それを使って全員で懸垂下降する場面。

「お掃除講習と同じシステムだ。理解しているシステムだけに、心が平穏になった。」
「グリグリによる(ロープ)1本懸垂でも、むしろ安心感があった。途中で、仮固定も自信を持ってできた。」
「ザックをハーネスにぶら下げて懸垂するのも、やったことがあるから気が楽だった。」
などと、喜んでくださいました。

②同日、「自分が登りたいラインをどれでもトライしてください。」という設定でオンサイト成功した後に。
「カムが効きそうな場所、難易度、核心の場所、おおよそ全てオブザベ通りだった!」
と、目利きの進歩を感じていました。

③クラックリード講習での復習参加にて。
「立木の懸垂で、ほとんど心が動揺しなくなった!ここの部分に関しても、自分は成長していた。」

④同日、易しいルートでのムーヴ練習にて。
「(城ヶ崎のスベスベの岩質で、5.4ぐらいとは言え)テーピング無しで、ほとんど痛みなくジャミングを自然に使うことができた!」

今回の例は、ロープワーク系での進歩実感2つ、オブザベでの進歩実感1つ、ムーヴ系での進歩実感1つ、という具合です。
これを末長く続ければ、必ずや未来があると思います。
1年後に爆発的にグレードが伸びるという意味ではなく、伸び止まりにくく、生涯学習としてクライミングを楽しめるということに未来があると思います。

「悪いルート触んなきゃ強くならないよ。」
という仲間の言葉を間に受けて、(半ば闇雲に)限界ルートを触りまくるものの
「(取り組み方に問題があるのか)強くなっている気がしないっす!(最初だけは強くなったけど・・・)」
という人もいると思います。
そして、老化・ブランク・故障でパフォーマンスが下がり、モチベーションが低下しきった人をどれほど見てきたでしょうか?

この差は、どこから生まれるのでしょう?
誰にとっても、一考の価値がある問題だと思います。

2021年12月17日金曜日

限定ルート、ルート近接問題との付き合い方

11月19日(金)は、自分のクライミングにて、神戸の岩場。
Y田さんと。
都市近郊型の小さな岩場に多い、限定ルート、ルート近接問題。

限定ルートが嫌いという人は、結構多いと思います。 
「自然なラインを登りたいよね。」
「限定して5.11aなら、限定なしで5.10cの方が良いルートだったのにね。」
「誰かに登らされている感じがしてムカつく。」
などなど、様々な感想があると思います。

※「隣の岩は無し」など、ある程度は自然なルールとして受け入れやすい限定もあるので、限定のサジ加減にもグラデーションのような濃淡はあります。また、開拓者は限定していないのに、ローカルクライマーが限定を後付けしてしまい、それがネット上で主流派のように語られる事例もあります。さらに、初登後に岩の形状が変化して、今となってはボルトラインから2mぐらい横を登った方が、岩の弱点となる場合もあります。「限定=開拓者が悪い」というのは、言い過ぎなので注意です。

また、隣のルートと近すぎるのが嫌いという人も、結構多いと思います。
「それ使っちゃったら隣のルートになる。」とか言われることもありますし、実際に言われなくても、自分自身で「どこまで使うのはアリなんだろう・・・。」と悩みながら登るのは、ストレスがあります。
それゆえ、クラックの明確なラインに惹かれるクライマー、隣のルートとの間隔が広い海外のボルトルートに感動して帰ってくるクライマー、といった人も多いのでしょう。

しかしながら、限定を積極的に破って“自分が好きなように”登る人というのも、少数派です。
(僕自身その少数派に属しているので、限定は破ることが多いです。2ラインが近い場合は、「2つのボルトルートどちらにクリップして登っても良い。」、つまり「1ラインしか無いと仮定してオンサイトトライする。」という遊び方にしています。もちろん、余興的な感じで限定ラインを遊ぶことはしますが。)

さて、限定ルートが嫌いだが、限定を積極的に破れない人の心理を考えてみます。

①負けた気がする。
極端に言えば、ジムのルートで、別のホールドを使って登ってしまうと、ルートの意味が無くなります。それに近い感覚。

②名前のあるルート、正式に(?)グレーディングされたルート、こそを登りたい。
限定を破ったり、自分が好きなように登った場合、友人に「○○を登ったよ!」と報告できない恐れがあります・・・。また、「ちゃんと登れば良いのに・・・」と残念な人扱いされる恐れすらあります・・・。

③開拓者への礼を払いたい。
例えばボルトルートでは、開拓者の意図に反する登り方をしては失礼な気がします。
まして、限定ルートを非難して、開拓者に嫌な気持ちをさせてしまわないか不安にもなります。
ただ、実際に開拓者の人と話をする機会があったりすると、「自分が好きなように登れば良いよ。」と言っていただけるケースが多い印象です。
※「当然ナシでしょ!」と言っている開拓者も居ます。

④自分でラインを見出して登る自信が無い。
ブーブーと文句は言いつつも、自分の岩を見る目や、それに伴う自己責任には自信が無い。
(初級者の場合、ある程度は仕方ない部分も・・・)

①〜③は、私自身にもある心情です。
④は、岩場クライマーとしてはダサい感じもします。ただ、ジムとボルトルート専門の人などは、岩そのものを登る感覚は薄く、提供された課題を登っている感覚なので仕方ないかもしれません。

個人的な印象ですが、ブログ、facebook、インスタ、などの影響で、②の心理は強化される傾向があるように思います。
見知らぬ人に、「それは登ったことにならない。」とか思われるのも嫌ですしね。

具体的に登ったルート(全てボルト)
・アルマジロ(5.9) 再登
・ガバ丸(5.10a) 再登
・ウィリー左(5.10b/c) 再登
・長谷川ルート(5.11d)、御開帳(5.12a)、という2ラインを1ラインと見なして O.S.(体感5.11c) このルールなら、限定感はだいぶ薄れるので、そういう考え方の人には良いかも。
・ウィリー右(5.11b) 1回ハングドッグしてムーヴ解決。次の便で、R.P.。ボルダーの練習、っていう感じ。(通算2日間)
・バブルス下部バリエイション(5.11c) ボルト自体にはクリップして登れたが、ボルトが指示するラインからは外れている感覚があり、モヤモヤが残る感じ。バブルスに合流してから先は、2度登ったことがあった。

瑞牆、二子山、城ヶ崎あたりのビッグエリア、あるいはクラックなら、こういうモヤモヤは、そもそも起こりにくいんですけどね。
とは言え、近郊岩場には今後も行きますし、講習でも使い続けますので、この問題とは一生付き合っていくことになりそうです。

2021年12月10日金曜日

〇〇をやらない方が良いと分かっていても、やってしまう原因

11月6日(土)は、マルチピッチリード講習にて、NSさん夫妻。
11月7日(日)は、岩場リード講習にて、男性NHさん、男性HDさん、男性YMさん、男性MBさん。
11月9日(火)は、ムーヴLv.0にて、男性ONさん、女性MYさん、女性YMさん、女性STさん。
11月10日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
11月11日(木)は、湯川の再開拓講習にて、女性Mさん、女性ISさん。
11月13日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん、男性HGさん、女性MKさん、男性SUさん。
11月14日(日)は、マルチピッチリード講習にて、女性Mさん、男性KBさん。
11月15日(月)は、岩場リード講習にて、女性MDさん。
11月16日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性AKさん、女性YDさん、男性TNさん。
11月17日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
11月18日(木)は、ムーヴLv.1にて、男性MBさん、女性WNさん。

・デッドポイントで、後ろに(壁や目標ホールドから離れる軌道で)飛んでしまう。(私もコレでした。)
・スローパーを、カチ持ちしてしまう。(私もコレでした。)
・明らかに正対が良さそうな配置で、不自然なキョンをしてしまう。
・スタティックで安定するための、最後の辛抱ができない。
・リード中、落ちても怪我のリスクがほぼゼロの場面で、諦めてテンションしてしまう。

これらは、一般的に悪癖と呼ばれるものです。

他にも、ムーヴの癖(フォーム含む)、ちょっとした雑さ、何らかのサボり癖、リード所作の癖、ビレイの癖、リスク管理の考え方の癖、などと挙げていけば、100個でも挙げることはできるでしょう。
当然、私にも沢山あると思います。

例えば、スローパーをカチ持ちしてしまう人を考えてみます。
本人が、それを良しとしてしまっていれば、修正は難しいと思います。
一方、カチ持ちしたくないとは思いつつ、どうすればスローパーが効くのかが分からず、本番になると結局カチ持ちで突破せざるを得ない(もしくは完登を諦める)という状況になります。

そうなると、いくら本番を繰り返しても、悪癖は治る可能性が低いです。

また、その人のために、
「決してカチ持ちできないスローパーを使い、かつ、そのスローパーはしっかり保持しないと次のムーヴに繋がらない課題。」
を作ったとしても、絶望的に難しく、その課題をパスせざるを得ないことが多いです。
(ランジが全くできない人に、ランジ以外では登れない課題をあげると、顕著です。)

この時点で、この人は弱点克服の行き止まり(本番で意識するだけの限界)に居ます。
まず、この自覚をできるだけ早い段階で持つことが大切です。

次に、スローパーが苦手な原因を考えます。
色々な人に話を聞くのも良いでしょう。

しかし、考えてもボンヤリして、頭がクリアにならない場合、
「カチ持ちできるぐらいのスローパーを、スローパーとして効かせる練習。」
「スローパーを完全保持しなくても登れる課題(リーチがあると飛ばせる、など)でも、敢えて完全保持してみる練習。」
などが考えられます。
ただし、これは軽症患者に効く薬で、重症患者には効かないと思います。(軽症患者なら、これを沢山やれば良いでしょう。)

自分が重症であると自覚したら、基本的な登り方から修正していくしかないと思います。
見る人が見れば、5.8や8級の登りでも、「この人はスローパーが苦手になりそうな素養がある。」くらいは分かると思います。(100発100中とは言えなくても、かなり分かるはずです。)
これを自分自身で見つけることは、なかなか難しいです。ここが、コーチングの意味ではないかと思います。
そして、見つけた弱点を全ガバルートで反復練習して矯正していく作業は、めちゃくちゃ地味です。

大抵の場合、言われることとして、
「これが本当に、〇〇の弱点克服に繋がるんですか?」
というのがあります。
実際、遠因を潰していくアプローチなので、どんなに言葉を尽くしても本人には理解しづらいものがあります。

しかし、それ以外に方法があるでしょうか?
だって、その弱点は軽症ではなかったと、実証済みだと思うのですよ。

また、基礎を見直すことで、大抵の場合は副次効果も期待できます。
「スローパーを意識しまくったら、他もちょっと良くなった。」
という具合です。
それが分かる度に、クライミングの仕組みって面白いなと思います。

2021年11月30日火曜日

1月分の予約受付

12月3日(金)の夜21時より、1月分の予約受付を開始いたします。

・ムーヴLv.1の開催は、1月6日(木)、20日(木)の2回です。
・岩場リード講習は湯河原、クラックリード講習とアドバンスクラック講習は城ヶ崎を予定しております。
・1月14日(金)の登山入門、29日(土)のアイスクライミング体験に限っては、私の判断で先に日程決定させていただきました。

ではでは、どうぞよろしくお願いします。

足りないものを考える機会

11月5日(金)は、自分のクライミングにて、神戸の岩場。
Y田さんと。
ときどき、自分の取り組みの至らなさを痛感させられるトライがあります。

本日は、「カラヤブリ」をO.S.トライしました。

(注)「カラヤブリ」(5.12a)と「オトシブミ」(5.11d)が近接しており、後半はラインがクロスしています。2ルートをまとめて1ラインとして見る方が自然と感じたため、そのようにトライしました。具体的には、途中で「オトシブミ」のラインに入ってもO.K.。再び「カラヤブリ」のラインに戻ってもO.K.。ボルトも、両ラインの物を使ってO.K.。
ただ、結果的には、ほぼ「カラヤブリ」のライン通り、むしろ終盤で反対隣の「御開帳」(5.12a)のラインに入り込むように登りました。
(この手の話については、またいずれ書くかもしれません。)

結果は惨敗。
昨シーズンのセブンスティッチ、火の鳥、ペトリューシカと同様、箸にも棒にも掛からず。
このラインは昨シーズンから狙っていて、ベストシーズンに再訪しただけに、本当に残念です。

具体的には、地上6mぐらいの第一核心のムーヴ発見までに時間が掛かり(大してレストできない場所で考えざるを得なかったので、消耗著しい。)、 その後のレストポイントで体幹がヨレすぎて回復することが不可能に感じ、数シェイクで出発せざるを得ず。
根性出して、第二核心に突っ込んだものの、やはりムーヴが読み切れず、まぁまぁのムーヴで勝負の一手を出したら、ターゲットにした大穴が下方向には効かないツルツルで、アウト!という流れでした。

その後、ハングドッグして第二核心以降をバラしてみて、やはりムーヴは全て出来ます。
しかも、ホールドさえ分かれば、練習を要するムーヴはありません。
以下に、反省。。

・自分に足りない力は、パワフルな(体幹の力を抜きにくいが、手はガバという)レストポイントで回復するだけの持久力。(得意なのは、垂壁でガバみたいな完全レストポイントに、何度でも戻ってくること。)

・第一核心のムーヴを、大レストポイントから90%読み切る能力を付けることは、不可能ではないかもしれないが、習得は困難そう。(大レストポイントからだと、ホールドが見えな過ぎて、核心に1手〜数手入ってみて、はじめて全容が分かるタイプ。)

非常に残念ですが、昨年と同じ感想です。
もちろん、かなり意識して取り組んでいたので、昨年よりは若干マシだとは思うのですが、狙ったルートには全然届きませんでした。

O.S.トライという性質上、最後の土壇場の駆け引きで判断ミスで目標達成ならず、というのは落ち込み過ぎても仕方ないものです。最後の最後はギャンブル要素も残るので、「なるべく勝率の良い選択を心がける」ことしかできません。

しかし、箸にも棒にも掛からないというのは、色々と考えさせられます。
ジムでの基礎練習メニューを少し見直しますか。

具体的に登ったルート(全てボルト)
・アルマジロ(5.9) 再登
・ガバ丸(5.10a) 再登
・ウィリー(左ライン、5.10b/c) 再登
・カラヤブリ?(上述のライン設定で登っているため、グレードは不明) O.S.失敗。ハングドッグして、ムーヴ暗記。
・カラヤブリ? 2時間以上の大休憩を挟み、辛うじてR.P.。
・ウィリー(右ライン、5.11b) 案の定、出だしのムーヴできず。大体の見込みを付けて、終了。

2021年11月25日木曜日

最も弱い輪の原則

10月31日(日)は、岩場リード講習にて、女性YZさん、男性HDさん、男性NNさん。
11月2日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性YDさん、男性NYさん、男性TNさん。
11月3日(水)は、岩場リード講習にて、男性KBさん、男性HDさん、女性SHさん、男性MBさん。
11月4日(木)は、ムーヴLv.1にて、女性WNさん、女性MKさん。

『パフォーマンス・ロック・クライミング』に、「最も弱い輪の原則」という項目があります。

私なりの理解では・・・
筋力、柔軟性、個別の様々なムーヴテクニック、省エネ技術、オブザベ能力、本気トライの心構え、O.S.戦略やR.P.戦略、安全管理(リードで言えば、墜落距離の予測、落ちる態勢の上手さ)。
といった、様々な要素の中で、自分の弱点がパフォーマンスを決定づけるという話です。

しかも・・・
・人間は自分の得意分野に固執して、それを他人から評価されたがるという厄介な傾向がある。(ゆえに、同じトレーニングを繰り返してプラトーになる人が多い。)
・トップクライマーの真似をすれば上手くなると思ってしまう人も多い。

ゆえに、自分の弱点探しこそが、トレーニングの大半を占める。
という、ありがたい話です。

さて、ここからは私の感想。
パフォーマンスが何を指すのか、つまりは自分が何を目指しているのか、ということ自体が、本当に難しい問題だと思っています。

例えば、「1年後に〇〇というルートを登る。(O.S.目標、R.P.目標、など)」ならば、ある程度は明確です。
頭の良い人なら、弱点の算出を高確率でできるかもしれません。
しかし、「1年後に5.11bを登る。」となると、課題によって求められる能力が違うため、弱点の算出は複雑になり、結局は焦点化したトレーニングはできないかもしれません。
(焦点化せずに色々とやることは総合力のあるクライマーを育てる部分もありますが、この本では、焦点化したトレーニングで最高の練習効率を推奨。)

さらに、私が講習で目標としているような「自力で、まともなクライミングができるようになること。」は、弱点の算出がなかなか難しいです。
私から見れば明らかに弱点と分かっても、それが本人にとって弱点と自覚できるかも難しい問題です。

また、私個人の話です。
スポートルートで言えば、明らかにカチが弱点ですが、これを単純に鍛えたいとは到底思えません。
ただ、身体全体で保持するような意識で指の力を補ったりすることには、ウォームアップなどの基礎練習中に取り組んでいます。
経験上、これに取り組んでいると、むしろカチより他の能力に向上を感じます(笑)。
テクニックが向上したり、スローパーが若干向上したり、傾斜壁耐性が少し付いたり、・・・。
カチも、わずかには向上します・・・。
もはや、これは「最も弱い輪の原則」っていうか、地味だけど全般に効くトレーニングなんじゃなかろうか?とも思っています。

あとは、「フォームを直して将来的な故障リスクを下げよう。」という観点も大切だと思います。
これは、10年後のパフォーマンス(維持or向上)を目標として設定した場合、ほとんどのベテランクライマーにとっては、フォームが弱点であるからです。

他にも、「10年後も、山や岩場を元気で登れるように。」という目標設定をすれば、安全管理こそが弱点になるでしょう。
偶然に事故が起こっていないだけで、リスク管理に十分というものは無いはずなので。

色々書きましたが。
「自分自身が練習でわずかな向上を感じていれば、最も弱い輪かどうかはさておき、練習を楽しめば良いのではないか?選手のような期限の決まった試合がある訳ではないし、誰かとグレード競争している訳でもないし。」
と、最近は思っています。

ただ、それでも「最も弱い輪の原則」は意識しています。
明確な弱点があれば、それは直したいですしね。
自分自身のことであれ、講習生のことであれ。

2021年11月18日木曜日

続報、湯川の再生ルート

HPに載せるまで、しばらく間が空きそうなので、トポをこちらに載せます。
ロクスノへの投稿は、グレードが確定したり、他のルートがまとまってからでも良いかなと思っています。
今シーズンは、残りわずかですが、是非とも登ってください。

ところで、どなたかが月影の騎士、イエローフェスティバルを再掃除してくださったようです。
最も自然に還りやすい2本なので、登るチャンスですね。

①となりのトットちゃん (宮 菜穂子) 5.9 ★
②徹子の部屋 (石井 徹子) 5.10a ★

両ルートとも、下部は「北山フェイス」とされていたフェースの左コーナークラックを登る。このクラックを掘り出し、ボルトも撤去したことにより、「北山フェイス」は消滅した。(許可済み)
中間部〜上部は、①は「8×4」(鵜飼成巳、5.8)、②は「粒拡散」(奥谷大典、5.9)の再生である。
特に、上部は完全に自然に還っており、その下で終了としたであろう古い残置スリングなどの終了点もあった。今回、それらは撤去し、ほぼトップアウトできるラインとして再生している。
下部はデリケートな凹角登りだが、両ルートとも大きめのカムを持ってリードすることになるため、苦戦する人も多いだろう。加えて、上部のカム残量も気になり、O.S.トライならマルチピッチのよう充実感があるはずだ。

2021年11月12日金曜日

速報、湯川のルート再生

本日11月11日(木)、湯川で再開拓講習をしていたルートが完成しました。

100岩場に載っているラインの再生なので、とりあえず文章でお知らせ。
興味がある方は、是非とも登ってください。

「8×4」(5.8)を宮さん、「粒拡散」(5.9)を石井さんが再生し、どちらも本人がリードして完登しました。
どちらのルートも、下部は「北山フェイス」(5.10c)とされていたフェースの左コーナークラックを、オールNPを登ります。(このコーナークラックを掘り出したことにより、北山フェイスは消滅。許可済みです。)

下部はデリケートな凹角登りですが、どちらのルートも大きめのカムを持ってリードすることになるため、歯応えがあります。
また、どちらのルートも、旧来の残置終了点より少し上までエクステンションしており、O.S.トライではマルチピッチのような充実感があると思います。

リニューアル名称を付けるかなど、未定部分もあります。
グレードは、暫定的に「8×4」のラインを5.9、「粒拡散」のラインを5.10aとしています。

サイコキネシスの右隣という、最高の立地にありますので、是非ともどうぞ。
傾斜が緩く、自然に還りやすいため、多くの方に登られることを望んでおります。

2021年11月10日水曜日

穏やかな岩場

10月30日(土)は、自分のクライミングにて、湯河原ボルダー。
カメチヨと。

11月1日(月)は、自分のクライミングにて某岩場。
Hさんと。
<ヒールマン(1級)をトライするカメチヨ>

ウォームアップを済ませてから、ファンタジー岩に行こうとするも、アプローチのヤブが大変で、偵察のみ。
まだ時期が早いので、草刈りが必要そうです。
本日は、風が抜けずに岩の状態も暑そう。

昼頃から、カメチヨのトライを見つつ、ヒールマン(1級)を再登。
30分以上は何度もトライして、ムーヴを作り直しました・・・。

夕方に、貴船(初段?)、パイプライン(初段?)を30分ぐらいずつ打ち込んで、無事に完登。
岩場ボルダーのグレード感覚がイマイチ分からないのですが・・・。

最後に、がんばれ西村君(5級)を登って終了。
この課題は、楽しいですね。
<某岩場の5.11b/c、ボルトルート>

2日後の某岩場は、一時は雨で諦めかけつつも、登れただけでもラッキーという一日。
グレード、ボルト間隔ともにマイルドな岩場で、ちょっと登れる気分になりつつ終了。

<5.11d、ボルトルート>

一応、非公開エリアなので、記録は備忘録程度。(載せている人もいるので、大丈夫そうではありますが。)

・5.10d/5.11a(ボルト) O.S.。アップ無しで辛いが、乾いているルートが限られていたので。
・5.11b/c(ボルト) O.S.。凹角課題。限定がよく分からないので、自分の登りやすいように登った。
・5.11d(ボルト) O.S.。これは、星付き納得!ジムのようにホールドが顕著で、オブザベもしやすい。本日の本気トライが成功して嬉しい。
・5.11b/c(ボルト) O.S.。オールアンカーだが、最悪核心部で1本抜けても命までは取られない構成だったので、トライすることに。
・5.11b(ボルト) O.S.。レストしながら考える時間は十分あるだろうと、甘く見積っていたが、レスト態勢が少し消耗するルートで落ちそうになりつつ息も絶え絶え登った。いつも思うが、甘く見ていて途中から真剣になるルートは、あらゆる点で精彩を欠き、終わった後も体幹のヨレがなく腕だけがパンプする。こういうクソトライは、なるべく止めたい。
・5.10b(ボルト) フラッシュ。これも、星付き納得!ラインが合理的で、見ただけで登りたくなる。
・5.10b/c(ボルト) クラックルートだったので、オールNPでフラッシュ。クラックとしては、5.10aぐらいか?
<5.11b、ボルトルート>

こういう穏やかな日が、あっても良いですね。
緊張によるトイレ問題が軽減されるのが、最大のポイントです。

ムーヴを固める

10月16日(土)は、マルチピッチリードの予定が天候により、クラックリード講習で、NSさん夫妻。
10月17日(日)は、雨中止にてムーヴ講習で、男性SKさん、女性HNさん。
10月18日(月)は、岩場リード講習にて、男性AHさん、男性SHさん、男性MBさん、女性GTさん。
10月19日(火)は、1コマ目がムーヴLv.0で、女性STさん、女性ITさん、男性YKさん。2コマ目が定期ムーヴLv.0で、女性IGさん、女性AKさん、女性YDさん。
10月21日(木)は、ムーヴLv.1にて、女性WNさん、男性MBさん。
10月23日(土)は、岩場リード講習にて、女性TGさん、復習参加の女性YIさん。
10月24日(日)は、再開拓の講習にて、女性Mさん、女性ISさん。
10月27日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
10月28日(木)は、リード2回目にて、男性YMさん、女性HZさん、男性KTさん、復習参加の男性NHさん。
10月29日(金)は、リード3回目にて、男性YMさん、女性HZさん、復習参加の男性NHさんと男性NMさん。

「R.P.のためにムーヴを固める」という方法があります。
手順・足順を暗記することを指します。

これが極端に苦手だと、2撃すべき課題に2日以上かかり、3日間で登るべき課題は10日間にもなります。
それ以上の課題は、ギブアップするか、まぐれで登れるまで打ち続けるかになります。

ほとんどのクライマーが、何かしら自分なりの注意点を持っていると思いますので、私なりのものを列挙してみます。

・O.S.トライのオブザベを大切にする。ジム並みにホールドが見えるルートの場合、これで間違っていた部分を記憶する、という方式。
・ハングドッグ、ボルダーのバラしで解決する場合、「とりあえず出来たから先に進む。」は注意。安定性・省エネの観点で、最適ムーヴを探すように心掛けること。
・ハングドッグでは、積極的にテンションを掛け、なるべく細かく分割して、記憶することに徹する。(ハングドッグの目的は、トップアウトではなく、ムーヴの記憶であると肝に銘じる。
・一手あたり、数歩の足の移動が伴うケースが多い。足も含めて暗記すること。
・1つしか突破方法が無い部分は覚えやすいので、複数の突破方法があり得る場所の最適解を探すことに重点を置く。
・トライ間のレストは、イメトレに費やす時間の割合を意図的に増やすこと。(談笑・スマホいじりなどの本当の意味での休憩も行なって良いが、ある程度自制すると上達しやすい。)
・コツもセットで記憶する。(「ここのホールドは、〜〜な感じでホールディングすると、ちょっと効きが良くなって次が楽になりやすい。」、「反動を付けるときに、〜〜をイメージするとタイミングが合わせやすかった。」、など)
・持久力勝負のルートなら全て覚える。核心前後に顕著なレストポイントがあるなら、核心パートだけをボルダーのつもりで暗記する。

どうやら、O.S.トライが苦手な人と同様、ムーヴを固めるのが苦手な人も多いようです。
できるだけ短期間でR.P.を片付けて、次のO.S.トライを頑張ることが王道だと思います。

また、いつかどうしても登りたいルートと出会ったとき、あるいは5日間〜10日間を通ってでもグレード更新してやろうと思ったときは、このR.P.戦略が役立つ日が来るはずです。

2021年11月8日月曜日

河又ボルダー

10月15日(金)は、一人ボルダーにて、河又。
以前から気になっていた、「有朋自遠方来」(初段?)のルーフクラック。
結果から言うと、惨敗。
初登者の方のルート情報を参考に。
http://lowfatclibmer.blogspot.com/2015/04/blog-post_19.html

洞窟内の地上1m〜3mぐらいを、20mぐらいトラバースするもの。
最後に、忍吉と忍吉98があるフェースの中間部に合流し、それをフリーソロでトップアウトして終了、というボルダー課題。
合計25m以上という、かなりのロングルート。

不人気課題であるのも十分理解できる条件、興味をそそる条件を兼ね備えており、一部の方の「頭から離れない課題リスト」に入っていることでしょう。

地上から近いため、途中からスタートできるポイントが何ヵ所かあり、バラしも可能です。
第一部〜第二部の中間までは、何とか1トライ目で行けたものの、第二部のラスト(チムニーに入り込む登り)が全然できず。
1時間近くムーヴを試して、ようやくバラし成功。

第三部の中間レストポイントまで行くのにも苦労し、5トライ以上はした。(そのパートのバラしが難しく、めちゃくちゃ疲れた。)

第三部の後半(ハイボルダーというほどではないが、落ちたら怪我しそうな高さ)は、何回やってもムーヴが分からず、少し戻ってフォール、地上までクライムダウン敗退を繰り返す。(未解決部分①)

第四部のフリーソロは、そこだけをバラしで何度かトライ。色々と不安要素がよぎり、3本目のボルト付近まで何度か行くも、クライムダウン敗退。(未解決部分②)
10月ということで、洞窟内の水流がかなりあったので、少し時期を空けて再訪するのが良いかもしれません。
結局、落ちたらヤバい区間だけが未解決部分として残ったので、マット複数枚持参、少し強くなってから出直す、などの作戦が有効かもしれません。ただ、本日の湿度、そのセクションに至るまでに自分がヨレていたこと、などを考慮すると、今の実力で再訪する価値もありそうな気もします。

いつ行きましょうかね。

〇〇を模したトレーニングor〇〇を意識したトレーニング

10月9日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん、女性MKさん、男性SUさん。女性MKさんは、今回にて卒業といたしました。
10月10日(日)は、岩場リード講習にて、男性MBさん、女性HNさん、復習参加の女性YIさんと男性SKさん。
10月12日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性YDさん、女性AMさん、男性SHさん。
10月13日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
10月14日(木)は、リード1回目にて、男性YMさん、男性KTさん、女性HZさん、女性AMさん。

「岩場に行って全然登れない・・・」という経験は、多くの人があると思います。
ひとまず、ボルトルートに限って、要素を考えてみましょう。

①入門ルートでも、ALLガバということは滅多になく、相対的に細かいホールドが多い。
②ボルト間隔が、ジムの2本に1本〜3本に1本。
③ホールド、スタンスの選択肢が多く、自分に合ったムーヴ選択ができない。
④ホールドを探すのに苦労しているうちに、疲れてしまう。
⑤ラインが明確ではない(ルートファインディングが必要)で、迷子になってしまう。
⑥ランナウトしていなくても、なんとなく落ちるのが怖い。
⑦ボルトが錆びていたりして、不安要素があり、怖い。
⑧終了点作業に自信が持てず、トライ以前に不安要素がある。

どれも全部大切ですよね。
全てに対して、一定レベルに対応できるようになりたいものですが。

まず
①入門ルートでも、ALLガバということは滅多になく、相対的に細かいホールドが多い。
を考えてみましょう。

これを味わったあなたは、会社帰りのホームジムで何をトレーニングするでしょうか?

プランA
・細かいホールドのルートを好んで登る。
・細かいホールドのルートを作る。

プランB
・ガバルートでも、もっと丁寧にホールディングや効かせる方向を意識して、細かいホールドにも対応しやすい習慣を付ける。
・ガバスタンスでも、もっと丁寧に足置きして、細かいスタンスにも対応しやすい習慣を付ける。
・バランスが取れるまで、安易に動かない習慣を付ける。

次に
②ボルト間隔が、ジムの2本に1本〜3本に1本。
も考えてみましょう。

プランA
・ジムで、腰クリップまで我慢する練習。
・上部で、あえて1本飛ばしする練習。
(実際に3本に1本しかクリップしない人がいたら、さすがに注意されると思うので、これぐらいが限界でしょう。)

プランB
・墜落距離を意識して登る習慣を付ける。
・落ちる態勢を気を付ける。
・チョンボクリップ(他のホールドを使ってのクリップ)をしない習慣を付ける。
・自分にとって易しいルートで、不意落ちしたら恥と思って丁寧なムーヴを心掛ける。
・自分にとって易しいルートで、なるべくクライムダウン可能なムーヴを選択する習慣を付け、ランナウト区間での敗退しやすさを身につける。

さて、皆さまどう思ったでしょうか?

「プランBは頭良くなきゃできないから、私はプランAで行くしかないよー。」
「プランBは、相当しっかり習わなきゃ無理じゃない?」
「岩場に行くごとに、毎回プランBが色々思いつく人は、そりゃあ上達速度が速いだろうさ。」
「とはいえ、プランAも捨てたもんじゃない。そもそも、ジムって元々は岩場を模したものだしね。人間、馬鹿で何も考えなくてもボンヤリと慣れてくる部分も否定できないよ。」
「プランAを実行する中で、新たなプランBが思い付くこともある。」

今回は、〇〇を岩場(ボルトルート)として考えました。
当然、ボルダージムでリードを模して長モノをやるのはプランAです。よく考えれば、リードを意識してプランBを考えることもできるはずです。
これは、クラックでも、マルチでも、何でも同じだと思います。

少ない〇〇経験で上達できる人とは、一体何なのか?
という思考方法の提案です。

2021年10月30日土曜日

12月の予約受付

11月1日(月)の21時より、12月分の予約受付を開始いたします。

何点か、お知らせ。
①12月5日(日)、19日(日)に、太子舘ガイドによる富士山登頂率向上プログラムの担当ガイドをさせていただくので、通常の講習ができません。

②12月9日(木)〜17日(金)の期間は、休業とさせていただきます。

③今年は、試験的な意味も込めて、年末年始を講習可能日といたします。土日の講習可能日が少ないこともありますので、もしよろしければ、是非どうぞ。

④定期のムーヴLv.1は、12月2日(木)の1回のみです。ただ、いつも通り、ムーヴLv.0に入っていただいても講習可能ですので、どうぞ御参加ください。

また、例年12月でもマルチピッチ講習は可能です。
ただ、寒波が来た場合は、城ヶ崎でのクラックリード講習(orアドバンスクラック講習)に変更させていただきます。

ではでは、どうぞよろしくお願いいたします。

2021年10月27日水曜日

不動の日々O.S.、タンジェリン・クラウドR.P.

10月8日(金)は、自分のクライミングにて、瑞牆。
Hさんと。
<不動の日々>

以前から、何となく気になっていた不動の日々。

見た目は
「思ったより短い、そして丸っこくて可愛い系。」
という感じです。

岩には、すごく難しそうに見えるもの(全体が被っている、暗いor岩が黒い、ホールド・プロテクションが見えづらい、など。いわゆる威圧的。)と、易しそうに見えるもの(明るい、短い、分かりやすそう、など。)があると思っています。

その中に、個人的に感じるのは、岩が丸っこいと易しそうに見えるというのがあります。
これが結構厄介で、これまで何度も油断させられ、痛い目に遭ってきました。

なんせ、丸さは「クラックの淵がサイドホールドとして使いにくい。」という条件になるため、やると案外難しいのです。
とはいえ、トライ前の緊張感が異常には高まらず、自制して高めているような状況は、ジムの本気トライぐらいの感覚です。トイレ問題も、コントロールしやすいですし。
で、右の2ルートでアップ。
うち1本は、かなり好ラインの5.10aぐらいだと感じたので、講習生にも是非登ってもらいたいです。

そして、不動の日々を無事O.S.できました。
グレードは5.11b〜5.12aとなっていますが、これまで登った5.11台のクラックの中では相当易しく感じました。
正直、5.10dに感じます。
(ちなみに、5.10dのワイドは私にとっては十分難しいのですが、5.11の全力感は無かったという体感。)

ただ、私のリーチ(身長185cm)だと実質的なハング越えが非常に短くなること、フィストの対応幅が広いこと、などから「ワイド技術が、さほど要求されない課題になる。」というのはあります。
<チョーク跡が結構あり、それなりの人気があると伺われる>

その後、何年も前に宿題にしていたタンジェリン・クラウド(5.12b、ボルト)を、1トライ目でハングドッグしてムーヴ解決。
薄暗い中、最終便でR.P.できました。
(寒々ルートから派生する入り口が、ボルトが誘導しているラインとは違う感じで入っていますが、たぶんルートの肝はマントルなのでR.P.として良いかなと。)

これは、マントルが難しいという意味では、珍しいスポートルートなので、ちょっとオススメです。
ボルトは8mmなので、自己責任ですが。

2021年10月25日月曜日

復習受講+ムーヴ講習の継続受講

10月2日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん。
10月3日(日)は、岩場リード講習にて、男性KBさん、男性MBさん、男性NNさん、復習参加の女性WNさん。
10月5日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、男性TRさん。
10月6日(水)は、1コマ目がムーヴLv.0にて、女性AKさん。2コマ目もムーヴLv.0にて、女性NJさん。
10月7日(木)は、ムーヴLv.1にて、男性MBさん、女性WNさん、男性SBさん、女性FZさん。

スラブが苦手で、避け続けてきたWNさん。
昨年も、「ちょっと小川山での岩場リードに復習参加しようと思って。」と言って、1回参加しました。
今年こそは本腰を入れてと、3回参加しました。
そして、5.8のちょっとランナウト系ルートでも、ランナウト区間でクライムダウンを考慮しつつ登れるだけの技術が身についてきました。
(ランナウト系のルートとは言え、さすがに核心はボルトが打ってあることが多いため、そこは覚悟を決めてムーヴを起こす必要がありますが。)

また、昨年から肘の故障に悩まされ続けていたため、ムーヴ講習も月1〜2回の頻度で継続しています。
これによって、フォーム改善だけでなく、少しずつムーヴの安定感も増して来ました。
岩場において、ムーヴの安定感は精神的にも大きな余裕につながります。
これが、スラブに活きた部分もあるでしょう。

復習参加には終わりはなく、卒業のような一旦の区切りすらもありません。
ムーヴ講習も、やはり終わりはなく、10回セットのようなコース設定もしていないため、いつでも中断できます。
その状況でも学び続けるのは、何が原動力なのでしょうか?
やっぱり、事故ったり、故障したりと、痛い目に遭わないと、なかなか続かないものでしょうか。

ただ、私個人としては、卒業後も通い続けて欲しいと思っています。
最近は、初期の頃の卒業生にも戻ってきて欲しいとも強く感じています。
そして、なって欲しいクライマー像があります。

①話の分かる
リスク管理、スタイル、クライミング初級者あるある話、岩場での出来事、登山との関連性、など

②クライミングの各ジャンルをまともに登れる
ジム、ボルト、クラック(ワイド含む)、スラブ、マルチは最低限。
山寄りの人なら、残置無視・トポ無視での本チャンや沢登りも。
クライミング寄りの人なら、ボルダーも。
もちろん、O.S.トライを楽しめるような厳しめの安全管理に則った上で、R.P.も楽しんでいただきたく。

グレードは、各ジャンル5.9をコンスタントにO.S.することを目指しても、何か1つのジャンルだけに絞って5.12aをR.P.するよりも、はるかに学ぶべきことは多いはずです。
ただ、これを目指していたら、気付いたら得意分野では5.11aのO.S.、5.11cのR.P.を達成していた、というケースも十分起こると思います。

そこまで行ったら、さらにその先を知りたくなると思います。

2021年10月20日水曜日

良いトライは、フィジカル向上にも繋がる

9月22日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性KKさん、女性AMさん。
9月23日(木、祝)は、岩場リード講習にて、女性YZさん、女性NMさん、男性MBさん、女性HNさん。
9月24日(金)は、リード1回目にて、男性YMさん、男性KTさん。
9月26日(日)は、マルチピッチリード講習にて、女性Mさん、男性KBさん。
9月27日(月)は、アドバンスクラック講習にて、女性HSさん。この日は、予期せぬプレゼントをO.S.していただく、という成果があって私も嬉しかったです。
9月28日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性KKさん、女性AMさん、男性YKさん。
9月29日(水)は、岩場リード講習にて、男性SHさん、男性AHさん、男性KYさん。
9月30日(木)は、1コマ目がムーヴLv.0にて、女性NJさん。2コマ目もムーヴLv.0で、男性TNさん、女性HZさん。

リード中、安全に関わる判断とは別に、トライとしての判断があります。
「判断が良ければ、トライが成功する確率が上がる」というタイプのもので、勝負の駆け引きとも言えるでしょう。
これが、「トレーニングという意味でも大事なんじゃないか?特にジムで。」という話。

悪い例①
次のホールドまで行ってからクリップでも十分に安全なのに、落ちるのが怖くてモジモジしてしまい、結局手を出せずにテンションした。
 →形式上は本気トライしているが、本気トライとしてあるべき負荷が身体に掛かっていない。落ちるのが苦手な人に多い。

悪い例②
本来は、レストして粘って、正解ムーヴを探るべき場面で、安易に一手出してフォールした。
 →安全上の判断として問題なく、トライの判断としてミスだった場面。これはこれで、あまりにも短時間にトライが終わってしまい、身体に負荷が掛かっていない。落ちる恐怖が小さく、粘るのが嫌いな人に多い。

本人にとって、ボルダーの最高グレード付近を、高強度とします。
リードで、O.S.〜数日で登れる範囲のルートの核心強度は、中強度とします。

①は、省エネ登りだけで高度を上げ、中強度のムーヴに突入する前にテンションすることになります。(本人は、ムーヴを起こせないぐらい腕がパンプしてきたので、トレーニングした感はある。)
②は、特攻隊長のように迷わず登り、間違ったムーヴで呆気なくフォールします。(トライ自体は、ボルダーのような短時間で終わる。)

どちらの場合も、その後のハングドッグがトレーニングになる部分もありますが、休み休み中強度をやっているに過ぎず、効率の悪いジムボルダーをやっている感が否めません。

ちなみに、どんなに注意してもルートと自分の力関係によって、①や②になってしまうことはあると思います。
しかし、自分なりに良いトライができた後は、数時間まともなトライができないほど筋肉痛になります。(その日の本気トライ1本目だとしてもそうなので、上質な本気トライ1本が、一番のトレーニングかと思う場合もある。)

補助的トレーニングやサーキットトレーニングを否定する気もありません。
しかし、
「そもそも、自分は良いトライができているのか?」
という自問自答は、細々とでも末長く上達し続けるポイントだと思います。
良いトライは、メンタルや技術も向上させますしね。

2021年10月15日金曜日

お知らせ

11月7日(日)が空きました。
一応、お知らせしておきます。

2021年10月13日水曜日

ニューモンタージュ

9月21日(火)は、自分のクライミングにて、瑞牆。
S本先生と、大面岩のニューモンタージュ(最高ピッチグレード5.11d、実質6P)。
<3P目のS本先生>

以前から興味があった、ニューモンタージュ。
S本先生も行ったことが無いと言うので、じゃぁ行きましょう。

2ピッチまではルンゼ登り。所々に、5.8っぽいムーヴが出てきますが、基本的には本チャンっぽい登り。泥や水流で、クライミングシューズが汚れるのを最小限に抑えつつ。
しかし、早速ラインがよく分からず(トポをコピーするのを忘れたため、駐車場で大体覚えて出発。)、「ニューモンタージュじゃなくてもトップアウトすれば何でも良いかな。」という気分になって来ます。

が、S本師匠に「あっちでしょ。」と指導を受けつつ、2ピッチ目を終えて、大体ライン上と思しきところに。

続く3P目(5.10a)は、プロテクションの難しいクラックらしいのですが、S本先生がルーファイに苦労しつつO.S.。
そして、終了点で4P目の核心(ボルトの5.11d)を見上げます。
うーん、暑いです。
そして、ここまでの本チャンっぽいルートで、なんだか気分がスポートの本気トライ向けに上がって来ません。
というか、今のピッチのフォローで汗かいてしまい、シューズの中も湿っています。

さらに、オブザベがほとんど出来ないルート構成、スラブセクションが難しそうなのに暑さでシューズ内が汗ばむ悪循環、シングルロープで行けるか怪しいロープの流れと、嫌なイメージがバンバン湧いてきます。

さらに、ビレイ点の足場も2人でいるには狭く、暑さも相まって、悠然と大休憩がてらオブザベするのも現実的では無さそうです。

感覚的には、普通のマルチのビレイ点作業+5〜10分程度のオブザベ&休憩でトライ開始して欲しい、って雰囲気を感じます。

いつも元気なS本先生にリードを譲ってみたものの、「良いよ、ジャンケンでも。」と言われて、なんと私が勝ってしまいます。行かなきゃ後悔するしね、と思い直してトライです。
<4P目(5.11d)の出だし>

しかし、O.S.トライは、ボルト1本目にて撃沈。
核心(4P目の5.11d)の前半部分は、スラブの5.11aとされており、全然ダメ。

早くもS本先生に交代し、そこは即座にムーヴ解決。
後半のカンテのハング越えで行き詰まり、またリード交代。

で、ヌンチャクを残した状態で、私がどうにかR.P.。
カンテとヒールフックを組み合わせたジムっぽいムーヴで、パワフルさから行きつ戻りつはできない一発勝負。マントルを越えた時の達成感は、相当でした。
<ほとんどノーハンドスラブのイメージ>

今回は、どちらかがR.P.するまで次のピッチに進まないチームフリーのスタイルで登っていたので、これで次へと希望を繋ぎます。

そして、5ピッチ目のS本先生が5.11aのスラブを見事にO.S.。
フォローでも、私は何度となく吠えまくる、超スリリングなピッチでした。
<5P目(スラブの5.11a)>



<青ロープはバックロープなので、絡んでいる訳ではありません。>

「いやー、これで完登が見えてきたね。」と語るS本先生ですが、最終の5.10cで私が大苦戦。もう真っ暗なんですよ(笑)。
とはいえ、S本先生オススメで購入したアクティックコア(明るいヘッデン)の威力で、どうにかO.S.。
S本先生、やはりサクサクとフォローしてきます。体力か、ヘッデン慣れか、岩場経験の差か。

そして、下降路はS本先生が行ったことがあるので、それに付き従い、無事に下山。
3連登なのに元気なS本先生、ヘロヘロの私という構図に自嘲しつつ、夜21時過ぎに下山となりました。

なんだか色々と反省の残る1日でした。
とは言え、結果的にはちょうど良い難しさのルートに対して、まずまずのスタイル設定で登れたので、良かったです。
ありがとうございました。

具体的な反省
①本格的なマルチに行くなら、もうちょっと早めに打診すべきだった。(今回、私が打診したのが前日だった。)
②トポのコピーを忘れた。
③シューズ選択をミスした。
普段は、スポートなどはUS9.5、長時間履くことが予想されるクラックやマルチはUS10.0を選択している。クラックの本気トライなどは、どちらを使うか直前で判断。
今回はワイルドなルート構成を予想して10.0で行ったが、スラブの5.11aが出てくることを考えれば少々痛くても9.5にすべきだった。

④時期は、まだ暑かった。とはいえ、10月で風が吹いたら手がかじかむ可能性も高いので、ベストコンディションを狙うのも結構難しそう。

1P目、2P目(石田、O.S.):
沢登りと本チャンの中間ぐらいの雰囲気。ときどき、5.8ぐらいのムーヴが出てくるが、それ以上に細い木を掴んで登る場面とかの方が怖い。

3P目(S本、O.S.):
プロテクションの難しい5.10aのクラック

4P目(石田→S本→石田にて、R.P.):
フェースの5.11d。ダブルロープで無いと流れが悪い。核心を越えてからの5.9ぐらいのスラブがリングボルトなので99%落ちないムーヴを探ることになり、めちゃくちゃ時間が掛かった。

5P目(S本、O.S.):
スラブの5.11a。ビレイヤーから姿が見えにくいが、フォローしてみて難しさにビックリ。

6P目(石田、O.S.):
NP &ボルトの5.10c。完全に真っ暗で、かなり苦戦。

そこから、大面岩の頂上を経て、下降。

2021年10月11日月曜日

湯川の再開拓講習、進行中

9月13日(月)は、湯川の再開拓講習にて、女性ISさん、女性Mさん。
9月14日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性MDさん。
9月15日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
9月16日(木)は、女性SHさん。
9月17日(金)は、雨天にてロープワーク講習で、女性MDさん、男性KYさん。
9月18日(土)は、雨天にてムーヴ講習で、男性TGさん、男性SKさん、男性KBさん。
9月20日(月、祝)は、岩場リード講習にて、女性YZさん、女性NMさん、女性GTさん、復習参加の女性WNさん。

湯川に、8×4、粒拡散という2つのルートがあり、ほぼ完全に自然に還っておりました。
話の流れで、こちらの再開拓を講習としてオススメしたところ、快諾される方がおり、現在進行中です。(1日では到底終わらない作業なので、講習以外でも講習生が作業に行ったりして、継続中。)
ちょうど、2本横並びのルートなので、講習にはピッタリ!

クラックの開拓(大部分は掃除作業)は、講習生にやってもらいたいと思っておりました。
理由は、いくつかあります。

技術
①フィックスロープの張り方、それに伴う作業を通じて、ノウハウだけでなく、安全管理の考え方を講習できる。
(城ヶ崎の懸垂エリアに行くにも役立ちます。)

②プロテクション、大雑把な形状など、岩をオブザベする力が養われる。

心構え
①岩場の成り立ちや、開拓者心理を想像する力が上がる。

②ボルトを打つかどうか、合理的なライン取り、などを真剣に考える。

総合的に、クライマーとして成長するチャンスと思っております。

O.S.トライ、心折られそうになるR.P.、アプローチでの四苦八苦、残置支点のほとんど無い岩場など、全部同じで、色々と考えさせらる機会は無数にあります。
自分のパーティに限らず、事故に遭遇する機会だってあります。

最近思うのは、伝えたいことは1つでも、アプローチ方法は色々変えた方が面白いです。
人によって興味対象も違いますし、興味が燃え盛るタイミングもあります。
そして、私にも刺激があります。

そういう意味では、岩場でのボルダリング体験、ワイドクラックの講習、アプローチの難しいエリアでの講習、マルチピッチリード講習も、全て似たような位置付けです。
もっと言えば、岩場リード講習やクラックリード講習、さらにはジムでの講習でも、そのベースとなる考え方はお伝えしたいと思っています。

ご興味のある方は、是非とも御連絡くださいませ。
再開拓の講習は、クラックリード講習の卒業を最低参加条件として考えております。
世間一般から見れば、危険作業をやっていただくので、このぐらいは仕方ないかなと。

岩場でのボルダリング体験は、最低参加条件は今のところ無しです。
実際、かなり危ないんですけど、明文化した参加条件というのが難しいジャンルかなと思っています。

2021年10月7日木曜日

9月1日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
9月2日(木)は、ムーヴLv.0にて、新規男性TUさん、新規女性WNさん。
9月3日(金)は、岩場リードが雨中止にてムーヴLv.1で、男性TGさん。
9月4日(土)は、ロープワーク講習で、女性Mさん、男性HGさん。
9月5日(日)は、岩場リードが雨中止にてムーヴLv.1で、男性KBさん。
9月7日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、男性YMさん、男性FYさん、女性MOさん。
9月8日(水)は、ムーヴLv.1にて、女性NMさん。
9月9日(木)は、1コマ目がムーヴLv.0にて、女性NJさん、2コマ目がリード2回目にて、男性NHさん、女性SHさん、男性YMさん。
9月10日(金)は、ボルダリング体験(岩場)にて、男性MKさん。
9月11日(土)は、マルチピッチリード講習にて、NSさん夫妻。
9月12日(日)は、アドバンスクラック講習にて、女性ISさん。

ロープワークでグリグリのビレイや登り返しをやったり、ボルダリング体験の2回目を開催してクライミングの幅を広げていただいたり、マルチピッチ講習で色々と考えさせられる2人を見たり。
なんだか、ムーヴ以外のクライミング要素と触れ合うことが多い講習の日々。

しかし、今回は久々にムーヴネタ。

下図で、A,Bのホールドはガバで、Zは悪いホールドだとします。
つまり、左の図はZを取る前、右の図はZを取った後。
経験上、Zを取る前の方が、足位置の変更は容易です。
もっと言えば、Bはさほどガバでなくても、身体の回転を軽く止めてくれれば、足の移動に不自由ないことが多いです。
(それについての突っ込んだ理由説明は、長くなるので割愛)

一方、Zを取った後は、足位置の変更は少し厳しくなります。
(もちろん、両手ともに悪いホールドの場面に比べればマシなんですが。)

そこで、単純に思いつく作戦。
Zを取る前に、Zを取ったら置きたくなるであろう足位置にしておくと、省エネになるのではないか?
(あるいは、Zが極端に悪いホールドだった場合に、突破できる可能性が上がるのではないか?)

具体的には
・Zを取るのはダイアゴナルが自然だとしても、次の一手のために踏み替えが嫌らしいと予感されるのであれば、あらかじめ逆足でZを取りに行く。
・Zを取る前に、傾斜を殺せるようなガバ足などがあるなら、あらかじめヒールフックなどをかけておく。
などなど。

地上で考えると難しくない話ですが、ボンヤリとZを取っちゃって、困っている人をよく見かけます。
5.10前半のO.S.トライがちょうど良い人なら分かりますが、5.11後半のO.S.トライをしている人ですら、この失敗は日常茶飯事に見えます。

①この発想が無い
②夢中で登っているので、とりあえず手を出した
③次のホールドもガバっぽいだろうと(何故か)期待している
(自分がO.S.失敗することはあるぐらいのグレードでは、そんなにガバが続くことは有り得ないと皆知っているはずですが・・・)

どれが正解でしょうか?
こういう、ちょっとした作戦の積み重ねが少ないトライ数での完登を近づけると思います。

2021年9月29日水曜日

11月の予約受付

さて、10月1日(金)の夜21時より、11月分の予約受付を開始いたします。

①小川山は寒くて厳しくなってきますので、岩場リード講習は天王岩や湯河原へと南下していく予定です。
②クラックリード講習は、湯川・城ヶ崎のどちらも可能な時期なので、メンバーと天気を見て決めようと思います。
③定期のムーヴ講習は、10月同様に火曜は全てムーヴLv.0。木曜は、1週目と3周目がムーヴLv.1、その他はムーヴLv.0としてみます。

では、どうぞよろしくお願いします。

書きたいことはボチボチ溜まっているのですが、富士山関係に追われ気味です。
備忘録も兼ねて、最近あったことを書いておきます。

・S本先生と瑞牆のニューモンタージュ(5.11d、6P)。夜までかかって、チームフリー(各ピッチを、どちらかが完登するまで先に進まないスタイル)で、どうにか完登。写真もあるので、後日。

・越沢バットレスで、他パーティがグランドフォールし、1時間後に我々パーティと遭遇。消防への通報者となる。詳細は書きづらいので、ブログではここまで。

・ジムにて、納得行くO.S.トライに1本成功。
ホールド替え後、一番目のトライルートに、自分がO.S.5分5分のルートで勝負する方式。まぶし壁のランナウトでは、いくつかのルートを触ってしまうと、O.S.トライでも既知のホールドだけになってくる。特に、持ちどころが複数あるようなハリボテホールドは、差が顕著。そして、ホールド替えごとに新ホールドが投入されるため、そこにO.S.トライのムーヴの読みづらさの核心があり、岩場っぽい探りの時間も発生する。大抵は、8割方O.S.できそうなルートから始めたり、勝負の1本をやってみるもフォールしたりする。ここまで納得行くトライができたのは、ありそうで滅多にない。まぁ、チャンスも滅多に無い。
ホールドを触ったとは言え、ギリギリになりそうなルートはまだ複数本あるので、楽しんで行きたい。
この話も、特にこれ以上は無いので、ここまで。

2021年9月7日火曜日

家庭教師アルバイトの記憶

8月24日(火)は、ムーヴLv.0。1コマ目は、女性NJさん。2コマ目は、女性IGさん、男性YMさん、KIさん夫妻。
8月25日(水)は、再掃除を講習するという企画にて、女性Mさん。実質的には、開拓と同じ作業。
8月26日(木)は、リード1回目にて、男性YMさん、女性SWさん、男性NHさん。
8月27日(金)は、岩場リード講習にて、男性AHさん、男性SHさん。
8月28日(土)は、岩場リード講習にて、男性TGさん、女性HNさん、男性MBさん、男性KBさん。
8月29日(日)は、岩場でのボルダリングを講習してくれというオファーにより、男性MKさん、男性MBさん。
8月30日(月)は、例の某岩場に一人で。自分が初登したウィークポイント(5.8、NP)の掃除を完了させに。

私は大学生の頃、高校生に対して数学の家庭教師を半年ぐらいやったことがあります。
主要な反省点を挙げます。

①自分が成功した勉強方法しか知らなかった。

リードクライミングで言えば、
・ハードに打ち込んでR.P.することで強くなる人
・O.S.に情熱を注いで上手くなる人
・ごく一般的なトライ回数、トライ日数のR.P.なんだけど、色々工夫するのが上手い人
・ムーヴの基礎を見直して、徹底的に合理的なムーヴを追求する人
・追い込みやトレーニング日を作ることに注力する人
・ボルダーに注力して、一皮むけた人
など様々いると思います。

しかも、自分が最近特に成果を感じた印象的なトレーニング方法を、人にもオススメしたくなります。
それを知った現在でも、やはり自分が印象に残ったトレーニングはオススメしたくなるものですが、当時大学生の私は酷いものだったでしょう。

②原理を理解せず、公式丸暗記で良い人の気持ちが理解できなかった

例えば、小学校の三角形の面積。
「底辺×高さ÷2」とありますが、「直角三角形なら長方形の半分だから、面積も半分ですよね。で、その他の三角形を見ても・・・(図解が必要なので省略)。ほら、たしかに半分でしょ。」みたいな説明があったはずです。
それから、色々な三角形の面積を計算する流れです。

個人的には、
・よく分からない公式を使うよりは、一応理由は知っておきたい。騙されたくない。
・原理が分からないと、解けない問題もある。そういう問題を良問と呼ぶ風潮に、すごく同意している。
・理由が分かること自体が、楽しい。
・曖昧な理解で進むと、いずれ完全に勉強に付いていけなくなる。
などが、身に染みていました。

が、高校数学においては、公式の証明自体が一読しただけでは理解し難いものが多いです。僕の場合は、10回以上は熟読したり、実際に手で計算したり図を書いたりして、ようやく納得できるレベルのもの、というイメージです。
大人になって、契約書を熟読するのが面倒な気持ち、電化製品の説明書をほぼ読まずに操作スイッチだけ覚えたくなる気持ちを、僕自身も日々味わいます。
実際、読み飛ばすことも多いです。

「自分の好きな分野でもないし、サラッと流させてよ。」
という気持ちは、当時でも理解できました。
でも、せっかく家庭教師まで付けて勉強するなら、という世話焼き心との葛藤があります。
その状況で、公式丸暗記させて練習問題をひたすら解かせることに罪悪感すら感じてしまい、悶々としました。

とりあえず丸暗記させつつ、「理由が知りたくなってくれたら嬉しいです。」ぐらいの大局的な視点に立つべきことも、表面的には分かりつつも、そう簡単に大人になれないものでした。

③小さい成功体験を積ませるという意識が薄かった

自分自身の勉強では、飽きないように色々と考えるのは好きでした。
が、教え好きアルアルだと思うんですが、「分かり易い説明をしよう!」、「良いカリキュラムを考えよう!」ということに注力しておりました。教える側が主役になってしまっている感覚です。
今考えれば、そういう工夫が苦手だから家庭教師が必要だったのかもしれないんですが。(分かり易い説明だけなら、予備校講師などがプロなので。)



こんな私よりも、とりあえず公式丸暗記させて、本人の気持ちに寄り添ってくれるような家庭教師の方が、成績を伸ばせたであろうことは間違いありません。
正直、僕よりも拘りの少ない友人たちの顔が何人も浮かびました。

こういった挫折は、その後も塾講師のバイト、教育実習などで散々ありました。同じ過ちを数回繰り返して、ようやく身に染みたものもあります。
挫折の頻度こそ下がっても、今も続いているような気もしますが。

今更ながら思うのは、原理原則を理解する楽しさを伝えるためは、意外と人間的なスキルが重要だということです。
どんなに理路整然と語っても、言い方や、その場の雰囲気が悪ければカチンと来るものですしね。
さすがにそれは避けるとしても、「良い雰囲気で良い言葉選び」を実践するスキルは皆無でした。

今でも、得意だとは言い難い分野ですが、意識しているだけでもマシになる気がします。

2021年9月2日木曜日

ハングドッグの効率向上

8月7日(土)は、岩場リード講習にて、男性HDさん、男性KBさん。
8月8日(日)は、合宿1日目で、女性ISさん、男性MKさん。天候や岩の濡れ具合など、諸々あって、再掃除を講習するという半日。
合宿2日目は、雨のため完全中止。

8月10日(火)、11日(水)は、合宿3日目、4日目で、女性Mさん。それぞれの事情でキャンセルなどもあり、1人になってはしまいましたが、アプローチに多少の困難さがあるエリアで、しっかりと成長を感じられたようでした。

8月14日(土)は、ムーヴ講習にて、女性Mさん。
8月15日(日)は、ロープワーク講習にて、女性YIさん、女性Mさん。
8月16日(月)は、ロープワーク講習にて、男性HGさん。
8月17日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性MDさん、男性KTさん。
8月18日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
8月19日(木)は、ムーヴLv.1にて、男性MBさん、男性NHさん、女性WNさん、新規女性AYさん。
8月20日(金)は、岩場リード講習にて、男性TGさん、女性MDさん、男性ONさん、男性YKさん。
8月22日(日)は、岩場リード講習にて、女性HNさん、男性MBさん、女性HNさん、男性HDさん。

ジムで、他のホールドを掴んでクリップ先行し、トップロープ状態にしてムーヴを確認するという手法があります。(以下、チョンボクリップと略称します。)
これは、落ちるのが苦手なクライマーの得意技です。
恐怖心だけでなく、墜落距離の計算、墜落態勢の予測、ロープと身体との位置関係など、あらゆる技術面において、落ちるのが苦手な人は多くいます。
が、こればかり繰り返してR.P.を重ねても、根本的には弱点克服にならないため、私は反対しています。
(そのセクションを何度もリード状態で落ちている人が、最終手段としてムーヴ確認に使うなら、特に問題は無いというのが私の考え。)

また、O.S.トライで早めに諦めてテンションコールし、早々にハングドッグに入ってムーヴ確認、というR.P.戦略も見かけます。結果的にR.P.までの便数が少なかったとしても、やはり練習方法としては、イマイチだなと思います。

こうやって書くと、R.P.効率よりも精神性重視のように見られることもあるのですが、実際の私はR.P.効率をめちゃくちゃ重視しています。
例として、ジムでのハングドッグに絞って考えます。

①6本目上のムーヴが解明できていない場合、6本目まではガバを使ってアプローチします。ただし、前述の理由から、7本目には極力クリップしません。こうすることで、フレッシュな状態で、ムーヴ解明に取り組めます。また、これを前提とすれば、毎回のハングドッグ時間をある程度短く区切り、順番待ちへの配慮に繋がることもあります。

②解明したいムーヴの直前、直後では、疲れていなくても原則テンションする。
よく、ムーヴ解明したら、そのまま上部へと登っていき、ロワーダウン後にムーヴ記憶が曖昧という人を見かけます。私はそれが嫌なので、記憶の整理のために、これを原則ルール化しています。

③全ピンでテンションをする。
繋げるのが困難なルートの場合、核心は6本目だとしても、1本目でテンション、2本目でテンション、としていきます。
これをやると、「そこも、そんなに悪いの?」と聞かれるのですが、違います。
下部から、さらなる省エネムーヴがあるかどうか、あるいは自分が作ったムーヴの記憶のチェックも兼ねて、1セクションずつ確認作業をしているのです。
また、この方法ならば、トップアウトしたときの疲労も少ないため、次のトライまでの休憩時間も短めで済みます。

④ブラッシングには、オートビレイも活用する。

⑤最後核心のルートに関しては、上部5分の1の繋げトライができたら、上部5分の2の繋げトライ。それができたら上部5分の3の繋げトライ、といった手法も行うことがある。

⑥トップアウトに拘らない。
ムーヴ解明したい部分だけをトライし、満足した時点でハングドッグを終了し、ロワーダウンする。

もちろん、この中には岩場では難しいものもありますし、スタイル的にはダサいものも含まれます。
そもそも、ハングドッグでさえスタイル的に好きになれない人は、「効率的なハングドッグを目指しまくるっていう姿勢自体がどうなの!?」という気持ちもあるでしょう。

ただ、スタイルという考えは一旦忘れ、練習方法として見ると、我ながら合理的だと思うんですよね。

まとめ。
・チョンボクリップを極力しない。(身につけるべきリード技術が失われるため)
・O.S.トライなど、登れる可能性のあるトライを頑張ることは、R.P.効率よりも優先されるべき。(長い目で見たら、その方がムーヴもメンタルも強くなりそうだから。)
・それ以外は、基本何でもアリ。

いかがでしょうか?

2021年8月30日月曜日

10月の予約受付

遅くなり、申し訳ありません。
9月1日(水)の夜22時より、10月分の予約受付をスタートします。

9月は木曜の定期クラスもムーヴLv.0としてみましたが、10月は以下のように設定します。

火曜:これまで通りムーヴLv.0として最低参加条件なし。
木曜:第1週、第3週のみムーヴLv.1。それ以外の週は、ムーヴLv.0とします。

Lv.1の最低参加条件は、リードで落ちるまで頑張るトライができること。

また、参加者の集まり具合を見て、11月以降のことは決めようと思います。
ではでは、どうぞよろしくお願いします。

2021年8月17日火曜日

「リードの登り」という概念②

8月2日(月)は、アドバンスクラック講習にて、女性HSさん、女性ISさん、女性IUさん。
8月3日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、男性YMさん、新規女性KMさん。
8月4日(水)は、リード1回目にて、男性YMさん、女性SWさん。
8月5日(木)は、リード3回目にて、女性YZさん、女性NMさん、女性GTさん。3名とも、これにてジムリード講習は卒業といたしました。
8月6日(金)は、ムーヴLv.1にて、男性TGさん、新規女性WNさん。

1つ前の記事「リードの登り」について、少し別の言い方をしてみます。

一般的には、リードの登りは、省エネやレストについて語られることが多いのですが、もう一つ「用心深さ」がムーヴにも滲み出ることが大切だと思います。

ジムのリードにせよ、ボルトルートにせよ、クラックでも、(なんならマルチピッチでもプロテクションがバッチリであれば)落ちるまで頑張るべき場面では突っ込むんだけれども、そこまでのリスク管理は大切です。
このリスク管理は、ビレイ、浮石チェック、カムセット、終了点作業、などの「登る能力以外の技術」が、当然大切です。
しかし、それだけではない、という点に気づいている人は案外少ない印象です。

そういうリスク管理を考えまくった状態でオンサイトリードに取り組むと、自然と登りに用心深さが滲んでくる。
そして、そういった経験値をアプローチセクションで活かし、核心では自分の持てる範囲のボルダー能力をぶつけるのが、リードの醍醐味ではないしょうか。
(実際、それを体感できる完登は、クライミングのジャンルに関わらず、めちゃくちゃ嬉しい。)

ムーヴに滲み出る「用心深さ」は、前の記事に羅列した通りです。

これだけ考えて登っていても、ボルダー能力の高い人には一瞬でO.S.記録もR.P.記録も負かされるものです。
最終的には、自分がどうなりたいか、どういう達成感を得たいかで、ボルダー主体のトレーニングをするのもアリでしょう。

「グレードを諦めるべき。」とは思いませんが、心の底から喜べるクライミングには、「リスク管理も、それなりに上出来!」と自分自身に言えるものでありたい、と私は思っています。

「落ちたらどういう態勢になるか全然想像できてないけど、とりあえず登れちゃった!」、「カムが効いてるか不安だったけど、とりあえず登れちゃった!」では、ビギナーの頃ならいざ知らず、ある程度の経験を積んだクライマーなら、もう喜べないはずですから。

2021年8月13日金曜日

「リードの登り」という概念

7月27日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性MDさん、女性HZさん、新規男性MMさん。
7月29日(木)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。2コマ目はムーヴLv.1にて、男性MBさん、女性WNさん。
8月1日(日)は、自分のクライミングにて、例の某岩場へ。佐藤くん、加藤さんと。
(新ルート、積木(5.9、NP)を作って、先日のウィークポイントの終了点整備をして、この日は終了。というか、半日近く雨。)

「リードの登り」という言い方があります。
何と対比しているかで、考えてみます。

①対ボルダー
レスト技術、省エネ技術、確実性の高いムーヴを選択する癖、あたりが代表的です。
僕自身も「リードっぽいね。」と言われますし、ボルダラーの方々に言わせれば「リードの人はすぐ見分けが付くよ。」とのこと。

②対トップローパー(ジム編)
対ボルダーと似た要素もありますが、他にも差があります。
クリップ態勢、リスク管理の意識(墜落距離の計算をしながら登っているか?)、落ちる態勢への注意、あたりが代表的です。
オブザベも、トップローパーよりは入念になるでしょう。

③対トップローパー(岩場のボルトルート編)
落ちないことを強く意識した登り(ランナウトしていることが多いため)、落ちる態勢への更なる注意、浮石などへの注意、などが代表的です。

④対トップロープリハーサル(岩場のボルトルート、クラックなど)
クライムダウン敗退を想定した登り、落ちる距離の計算・オブザベの更なる真剣味、浮石などへの注意、などが代表的です。
先が分からない状態でリードすることで、リスク管理を強く意識した登りになります。
スタティック主体の登りも、核心ではないセクションにおいて、大変有利でしょう。
オンサイトトライに適した登りというのも、ここで培われるように思います。

⑤対フォロワー(マルチピッチ、沢登り、雪山、などの連れられ登山者)
①〜④が全て当てはまると思いますが、加えてルートファインディング、敗退シナリオの想定、などが入ってきます。クライムダウン敗退を想定した登り、浮石などの注意は、④を何倍にも濃くした形で現れます。

「あの人は、リードっぽい登りだな。」と感じたら、その発生源を考えてみると面白いと思います。
(とはいえ、ちょっとは名の知れたアルパインクライマーだけど、何故かランジや足ブラが得意で、ジムでそういう風に登っている人、といった例外も数々あるのが興味深いところ。)

あらゆる場面でリードする中で、省エネやリスク低減を目指し、それぞれが自分なりに編み出した登り方こそが、リードの登りではないかと感じています。

結論としては。
・リードの登りを身に付けたいなら、①〜⑤を強く意識して登り込んだ方が良い。
・その際に、「やっぱ、ここでリードするなら、こういう登り方も意識しないと危ないし、完登もできないな。」と逐一反省点を考える方が良い。

安易なトップロープに流れるのは厳に慎みたいものですが、度胸一発でリスクに目をつぶるだけのリードにも将来が無いというのが、私の考えです。

2021年7月31日土曜日

某岩場にて

7月26日(月)は、自分のクライミングにて。
ガイドで、カメロパルダリスのオーナーの佐藤くんと。
<易しいのを、とりあえず1本初登>

佐藤くんたちが開拓中の、某岩場。
まずは、佐藤くんのボルトルート5.8でアップ。
ちょうど隣の、土っぽいクラックを、掃除しつつ初登。
ノコギリを使いながらリードしたのは、人生初でした。
ウィークポイント(5.8)としました。
まだ汚いけど、とりあえず登れます。

続いて、チッペ先生の白い巨塔(5.11b、NP &ボルト)。
1時間近く行きつ戻りつして、辛くもオンサイト。

次に、佐藤くんの万里の河(5.10c、NP)。
これは、相当良いクラックルートなので、知り合いだけで登っているのが勿体ないぐらい。
意外と苦労して、1回落ちそうになりました。
最後に、夕方17時過ぎから、ミキぺディア先生のダイヤモンドルーフ(暫定5.12a?、NP、ハンド〜ワイド主体)。
2時間かかって、ヘロヘロになりながらフラッシュ。
第2登らしいので、グレードはこれから変わるかと思いますが。

さらに、回収に30分を要し、無茶苦茶大変でした。
ビレイの佐藤くんにも、相当の御迷惑をかけました。
<核心前>

威圧的なルーフが核心で、好きな人には堪らない逸品。
「5.11b〜5.12aの間ではあると思う。」と言えば、ワイド好きは絶対に登るやつでしょう。

ルート全体の美しさとか隙の無い構成という意味では、万里の河の方が三ツ星っぽいんですけど、ルーフクラックは探して止まない人々もいますので、これも星付きでしょう。
<ワンポイントだが、どルーフ>

<「うー」>

<「ゔあー!」>

<「お”ー!」>

素晴らしいルートを、ありがとうございます。

思考停止する自分を認めてみる

7月20日(火)は、ムーヴLv.0。1コマ目は、女性NJさん。2コマ目は、女性IGさん、男性TNさん。
7月25日(日)は、岩場リード講習。男性KBさん。

「ビレイは、これさえ気を付ければ大丈夫。」、「自分は初心者じゃないし、もうそんなに危なくない人間だ。」みたいな思考は、よくあります。ゼロリスクを求める思考が、かえってリスク管理の形骸化となることもあります。
実際には、ヒューマンエラーをゼロにはできないし、岩場の状況、本人のコンディション、パートナーとのコミュニケーションなどによって、その場面に応じて考えることをサボってしまっては、結果的にリスクは上がります。
また、考える習慣のない人は、事故が起こったとしても、そこから得られる教訓が小さいか、トンチンカンになりがちです。

例えば、スポートルートでボルトが抜けて事故ったとします。
反省会をすれば、事前にそれを想定して行動していたかが問われます。

①ボルトの種類は見ていたか?
②さび具合など、可能な範囲で見る習慣はあったか?(僕も、核心のクリップなどは、見る余裕が無くなることが多いですが、地上からのオブザベ、レストポイントでのクリップでは見るようにします。)
③そこの岩面、岩質から、リスク高めだったか?普通と判断していたか?
④1本抜けたとしても、ビレイヤーがダラリンじゃなく、クライマーも受け身をしっかり取っていれば軽傷で済むような岩の形状、地上からの高さだったか?

普段から、これだけ考えていても、ある程度のリスク承知で突っ込んで事故が起こることはあると思います。純粋な見落としや勘違いだって、いつかは起こすでしょう。

ただ、本来これをしていれば、
「あそこが甘かった。」
「そもそも、自分は④を考える習慣が無かった。」
という反省もキッチリできます。

「全部それなりにはやっていたけど、今回は抜けたので仕方ない、超低確率の事故だった。(これが嫌なら、クライミング辞めるしか無いかも)」
と断じることも、あるかもしれません。

これは、カム抜け、リードで落ちてはいけない場面での墜落、ビレイミス、終了点作業、など何でも同じです。登山になれば、天候なども同じです。

最近、講習生から「私は思考停止に陥りがちだと思うんですが、どうしたら良いですか?」という趣旨の話をされました。
無知の知を感じさせる、素晴らしい感想だと思います。

僕の考えとしては、
「基本は思考停止するものだと諦める。ただ、思考を再スタートさせる切っ掛けは、そこらに転がっているので、チャンスを活かす。」
です。

重要だと思うことをバラバラと挙げます。

・他人の事故、ヒヤリハット
・モヤモヤした感覚(グリグリでビレイして手を離してしまったり、他人のビレイを見て違和感を感じたり、岩場でランナウト中に戻れないムーヴで突っ込んじゃったり、プロテクションに不安を感じたり、切っ掛けは色々)
・何かを指摘した際に、人間関係が壊れないようにする配慮(これが下手だと、技術的なことは曖昧な会話しかできず、雑談主体のパートナー関係になる)
・自分の方が正しいと確信しているが相手が納得しないときに、熱くならずに後日に説明するぐらいの精神的余裕(帰宅後、じっくり考え直すのがプラスになる)
・別の意見を聞いたとき
・「自分が山のベテラン(安全な人間)だと思ったら、その人はすでに遭難のリスクがある。」という先輩方の格言
・クライミングがリスク管理が半分、登り半分ということを忘れ、完登やムーヴに夢中になることが多いという日常(特に、ジムなどの本気トライ中はそれに近くて良い部分もあるが、日常的にクライミングを考える内容から、安全管理の比率が下がってきたら、バカになり始めと僕は思っている)
・他人に技術を説明しようとして、自分の理解が曖昧なことに気づくとき

あとは、強制的に安全管理に思考を向ける方法として、『生と死の分岐点』、フリーファンの安全ブックによる今年の保険使用事故例紹介、などをときどき読むという方法もあります。
事故例ばかり読むのは疲れますから、何かで思い立ったときに読むぐらいで良いかと思いますが。

2021年7月28日水曜日

9月分の予約受付

9月分の予約受付を、7月30日(金)の夜21寺よりスタートします。

また、ムーヴ講習の定期クラスについて、1点変更してみます。
8月まで:火曜ムーヴLv.0、木曜ムーヴLv.1
9月:火曜ムーヴLv.0、木曜ムーヴLv.0

Lv.0の火曜は定員オーバーで受講できない方がチラホラおり、Lv.1の木曜は参加者0人で不催行という日がチラホラあったので。
Lv.1受講可能な方も、定期クラスを受講する際は、Lv.0として参加することになりますので御承知おきください。
全員が一定レベル以上の日の方が教えやすい内容もありますので、どうしてもLv.1でやりたいという方は、定期クラスではなく、従来通りの講習枠で受講お願いします。

また、これまで通り、現在0人の日については、別の通常講習を受講したい方の申し込みがあれば、そちらを優先いたします。

最後に、夏の合宿について質問がありましたので、ブログに書いておきます。
原則は、アドバンスクラック講習として行います。
ワイドクラック、アプローチなどに困難さのある岩場、などが対象です。
クラックリード講習を卒業し、5.9以上のクラックを3本以上オンサイトorフラッシュしていることが参加条件です。
ただし、現在1名となっている日については、それ以外の方も相談に応じます。
具体的には、岩場リード講習の参加条件を満たしている方であれば、岩場リード講習に相当する内容の講習に変更する可能性もありますし、クラックリード講習の参加条件を満たしている方であれば、クラックリード講習に変更する可能性もあります。

間近のご連絡となりましたが、今からでも参加したいという方がいたら、ご連絡ください。

2021年7月25日日曜日

ジムのカチルート

6月29日(火)は、リード2回目にて、女性YZさん、女性NMさん。
6月30日(水)は、岩場リード講習にて、男性YKさん、男性ONさん、男性HDさん。
7月1日(木)は、ムーヴLv.0にて、男性NMさん、女性HZさん、女性IGさん、男性YMさん。
7月3日(金)は、雨中止にてムーヴ講習で、男性TGさん、女性WNさん、男性SDさん、女性Mさん。
7月6日(火)は、ムーヴLv.0にて、男性YMさん、女性HGさん、男性MBさん。
7月7日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
7月9日(金)は、ムーヴLv.1にて、女性YIさん。

久々の更新なので、とりあえずムーヴネタ。

女性はカチが得意だという定説があり、実際そのように感じますが、その原因について少し考えてみます。

①そもそも、ホールドが持てている。
・指が細いため、男性より1本多くの指が掛かる場面がある。
・指が短いため、男性が第一関節まで入らないホールドでも、第一関節+αまで入ることがある。
・男性より軽い。
・ピアノ経験者など、指先に力を入れることに慣れている人が多い。(これは仮説)

少し専門的な言い方をすると、ホールドが効く方向に肘が向かっていない状態でスローパーを持てる人は少ないですが、カチは指が強ければそれなりに持てます。
同じルートをやっている人で、自分より肘の向きが変な方向に向いちゃっているのに、カチを持てていると、「どんだけ指強いんすかー。」と感嘆することになります。

次に、カチが連続するルートの特性を考えてみます。
ボルダーなら、自分の普段登るグレードのカチ主体の課題、スローパー主体の課題、ガバが複数出てくる課題を、脳内で比べてみると良いと思います。
リードなら、自分の限界グレード(O.S.グレードでも、R.P.グレードでもO.K.)付近で同様のことを思い出します。

ルートを作る側の気持ちで考えると、ガバや掛かりの良いスローパーなら、大きなデッドムーヴのターゲットにすることもできます。また、そのホールドをマッチさせたり、足ブラで次のスタンスに振り子するような動きもさせられます。他にも、ヒールフック、プッシュ、手に足なども、設定しやすいでしょう。
一方、カチを連続させた場合は、そうは行きません。
そのグレードの割には悪いカチを持たせるなら、比較的バランスの良い位置に足を付けざるを得ないのですが、そのスタンスも(数手前に使った)カチになります。その中でも、ダイアゴナル、フラッギング、ハイステップ、両足バランス、掻き込み、ちょっとだけデッドポイント、といったベーシックは動きは色々あるものの、割と地味な課題になります。
また、ホールドが悪いカチの場合、次のホールドを遠くすると極端に難しくなるため、相対的には一手一手が近くなります。
つまり、グレードの割にガバが多いルートに比べて、動きが地味になる(良く言えば繊細になる)ことが、有利に働く可能性があります。

ちなみに、スローパーの場合は、グレードの割に悪いホールドを連続させたとしても、ホールドが大きいのでヒールフックがしやすく、マッチの持ちどころ問題が発生したりして、カチルートよりは見た目チョット派手になります。

という訳で。
②カチを連続させたルート特性が有利に働いている。
・ベーシックな動きが多く、ヒール、ランジに近い感覚の大きな振り子、非常に遠い一手、足ブラ、手に足、プッシュなどが少ない。
・ホールディング、足置き、ともに繊細。
・レストやクリップなども、カチでせざるを得ない。(リードの場合)

さて、ここから自己批判の目で振り返ってみます。
①は、体重が軽く、細い指の男性もいる。
②は、様々なムーヴのパターンよりも、ベーシックな動きの洗練に意識を向けて練習している人は、男女問わず得意になる。(実際、そういう人も散見される。)

今回は思考しやすくするために、ルートを3分類しましたが、実際には
「手は相当悪いカチだけど、足はガバ(orスローパー)にヒールフック掛けて、ほとんど足で傾斜殺すイメージでソッと通過。」
みたいなムーブも頻出だと思います。
こういう場合は、カチが得意な人が有利なのか、ヒールが得意な人が有利なのか、微妙なところです。
つまり、多くのケースは、もっと有利不利が判別しづらい微妙なケースです。

「そもそも、有利不利を真面目に検討すること自体に意味があるのか?自分ができないムーヴを練習するだけだろ!」
という硬派な意見もあろうとかと思いますが、知らないよりは知っている方がムーヴを考える手助けになっているので、私は続けようと思います。
あと、考えるのは趣味なのでやめられません。