2011年9月28日水曜日

ジムでのリード講習最終回

9月28日(水)の夜は、ランナウトにてリード講習の第3回。
本日は、男性OSさんのみの受講です。

前回までの苦戦が嘘のよう、最初からビレイの動きが出来ております。
なんと、1時間で落ちたり止めたりする講習内容を終えてしまいました。

あとは、本気トライしてもらって臨場感出す方針で。

まずは、5.10aをO.S.、5.10bも辛くもO.S.。
最後に、5.10cをテンション掛け掛けでトップアウト。

クライミング初めて2ヶ月でこれじゃあ、ムーヴ講習は必要なしでしょうね。
ジムは、自力で大丈夫でしょう。

あとは、岩場リード講習、マルチピッチ体験、雪山入門といった方向で、当塾を御利用いただければと思います。

具体的な講習内容
・落ちる練習
・ビレイで止める練習
・ビレイヤーの立ち位置
・本気のリードトライ
・落ちる可能性がある人のビレイ実践

オマケ講習として
・ロープの畳み方(畳むだけ、背負う方式の両方)

もはや、早く岩場に行きたいですね。

ムーヴ講習

9月28日(水)の昼は、ランナウトにてムーヴ講習。
本日は、常連女性Kさん、西国分寺在住の女性KDさんという2名。

2人とも、会社を退職してからの再スタートで、クライミング講習を受け始めました。

そして、Kさんは本日、5.10aをリードで完登!
KDさんは、レスト態勢などの基礎練習です。
まだまだ伸びてしまいますね。

2人とも、目標はジムではなく、登山のバリエーションルート。
登山も立派な運動ですから、年齢的に仕方ないこともあれば、年齢を言い訳にしたくないこともあります。

スポーツには若者らしいポジティブシンキングが刺激になるとはいえ、若者とだけ登るのはやはりツラいでしょうね。

今回で、良きパートナーが見付かったかもしれません。

具体的な講習内容
�Kさん向け
・同じルートを3回続けて登り、少しずつ楽になるように修正する練習
・5.10aのリードトライ(完登!)
・ダイアゴナル、バックステップの復習

�KDさん向け
・脱力の復習
・中期レストのコツ
・ネコ足

引き続き、頑張りましょう。

無料体験講習会9月

 9月27日(火)は、ランナウトにて無料体験講習会。

昼の部は、常に参加者少なめ。
空いているのが売りですね。

講習初参加の女性KDさん、来月に岩場リード講習を予定している女性IGさん。
KDさんは、脱力やレストといったクライミングの基礎。
IGさんは、5.11bを3回のトライでR.P.する中で、僕が降りる度にアドバイスしていくというもの。
(早く判断を付けた方が良い場面、楽なムーブが発見できる場面)

2人なら、全く別の内容を講習しても、それほどのロスは感じられません。


夜の部は、3名。
講習初参加の男性2人組ANさん、WDさん。
それから、富士山から無料体験講習会を経て、来月は奥多摩で登山講習を予定している女性KSさん。

3人のレベルはバラバラですが、少人数なので共通項目を講習することが出来ました。
ネコ足、レスト(肘を伸ばす、チョークアップ)、腰を壁に近付ける、など。

最近は、無料体験講習会は人数少なめ。
参加者には、お得な状況が続いていますね。

越沢バットレス、マルチピッチリード講習

 9月26日(月)は、奥多摩は越沢バットレスにてマルチピッチ講習。
今回は、常連女性TKさんのリード練習です。
マルチピッチのロープワークは、実際にやってみると最初は混乱気味で致命的なミスが不安です。

しかし、TKさん。
「致命的なミスだけは避けよう」という落ち着きが出てきたように感じられます。
そして、リード中も「困っても、なんとかせねば」という意識で行動出来てきたようです。

“ベストでなくても、致命的でない程度の判断をしていくこと。”
当たり前のことですが、自立して登るためには必要です。

とはいえ、講習受講歴が長くなるほど、あるいは年齢的に遅くアルパインクライミングを志した人ほど、忘れがちになるように感じます。
理由は色々あると思いますが。

そして、意識改革というのは単刀直入な説明では上手くいかないことが多いもの。
僕は大学で教育学をかじりましたが、まさに学校教育の核心部みたいです。
(知識・技術よりも教えづらい、という意味で)

本人自身が、多いに反省すべきケースを実体験したり、逆に 上手く行く例を体験したり。
何にせよ、「具体的な実体験を伴わないと、説教くさいだけになってしまう」というのが教える際の難しさです。

僕も、TKさんに意識改革して欲しいと思っていたので、最近は色々と具体例は出してみました。
(カムによるエイドクライミングでリード、ジム講習ではR.P.タクティクス)
それが少し効いたのか。
あるいは3ヶ月前の三ツ峠で致命的なミスに対して、厳しくダメ出ししたのが効いたのか。

それとも、本人自身が3ヶ月の間に、何か気付くような経験を積んでいたのか。

本当に、見違えるような落ち着いたクライミングが出来ていました。
また1つ、クライマーに近づいたように思います。

具体的な講習内容(今回は、トレーニング内容)
<Ⅲ級凹角を、リード&セカンドビレイ&懸垂下降のセット練習。4回>
ロープワークの細かいコツを、毎回少量ずつ指摘。
1回ごとに、効率的なロープワークに近付けていく練習。
コール無しの練習。

<そのままマルチピッチで、3ピッチ目までチャレンジ>
プロテクションが取りにくい2ピッチ目は、講師がリードして、ハーケン回収の実践練習。
3ピッチ目は、TKさんにチャレンジしてもらうも、さすがに敗退。
そこから懸垂下降。

<Ⅲ級のクラックピッチで、オンサイトリード>
声が全く届かない状況でのビレイ点作業!
ロープも重い中、見事に完遂!

次回は、再び三ツ峠に戻り、Ⅳ級リードとビレイ点自作を再度チャレンジいたしましょう!

小川山、お殿様岩の“大貧民ルート”

 9月23日(金)、24日(土)は、小川山にてマルチピッチ体験&ボルトルートのリード講習。
都岳連卒業の女性2人組(ARさん、FYさん)、なんと3週連続の講習です。
初日に行ったのは、ボルトルートのマルチピッチ入門として有名なガマルート。
写真の通り、ひたすら景色が良く、快適なクライミングです。
写真も最高。

まずは、ここで先週の越沢で覚えたロープワークの流れを実践。
 


そして、2日目はワイルドさが売りの大貧民ルート!
このルート、頂上の下降用支点以外には残置は皆無。
ビレイ用の支点の大部分は木、もしくはクラックというナチュラルなルートです。


クライミングの根本的な考え方に、「そのままの自然を登ろう。だって、その方が小さな冒険として満足感が高いから。」というものがあります。

その実践方法としては、以下のような例です。

・ボルトを極力打たないで、ナチュラルプロテクション(自分で設置する支点)で登る
・人工(エイドクライミング)よりも、フリークライミングで登る
・ルート集は詳し過ぎず、自分で上へと登るためのラインを探って登る

もちろん、他にも色々あるでしょう。
一般的なもの以外にも、その人ならではの拘りなんてものもあります。

僕自身、個人で縦走するときは
・山小屋で物を買うのは反則
・水が取れない場所(槍穂の縦走路など)では、水を買うのも反則
という意識でやってます(笑)。

「もともと“登山道”という他人が整備してくれた道を歩いているくせに?」という論理崩壊は自覚しておりますが、そうじゃないと個人的には「登った!」と自分に言えない気がするんです。
学生時代からの、全くの個人的な拘りです。
「テント縦走なのに、水買ったら軽くなるなんて、ズルイ!」、そんな感覚ですよ。




僕の個人的な拘りへの脱線は置いておいて・・・

こういう話は、頭で理解できても、自分のクライミング観そのものに重ね合わせるのには時間が掛かるものです。
今回は、そのことを少し体感してもらうには最高のルートだったんじゃないでしょうか。

支点の豊富に取れるクラック、支点の取れないスラブ、分かりにくいルート、そして岩峰の頂上へ。(頂上は、ありがたくもボルトあり)
正直、僕自身がルート探しをしつつ、自分のクライミング的な楽しみを感じてしまいました。
今回のお客様は、リードの緊張感を意識して付いて来て下さり、相当に興奮しておられました。

会話の節々から、ルートを登った前後での考え方の変革が伝わってきます。
大貧民ルート、5.8、3ピッチというスケールでは測れない素晴らしいルートです。

具体的な講習内容
※お客様のモチベーションが大変に高かったため、超過密な講習(特訓)でした。

初日
①朝は小雨につき、キャンプ場の東屋にて
・ボルトルートの終了点作業(結び替え、懸垂下降)
・流動分散、固定分散、独立分散の確認

②午後は、ガマルートでマルチ体験
残置支点の種類、現場にある終了点の仕組み、などを登りながら説明。
トポの終了点を越え、さらに岩峰頂上を目指すも難しそうなスラブが現れ、断念。

③夜は、まさかのテント内で講習
・捨て縄の利用方法
・ダブルフィッシャーマン
・ウィップフラッシュ現象

2日目
①早朝から水晶スラブで朝練
・リードで落ちる練習
・ビレイで止める(流す)練習
・“やわらかソラマメ”(5.7)のフラッシュトライ
・一般的な終了点の説明

②昼から、お殿様岩の大貧民ルート
※真の頂上を目指すには、プラス1ピッチ(おすすめです)。
様々な支点の取り方、などを説明。

③夕方に水晶スラブに戻って残業!
・終了点が木のみ、という場合の実践練習

都岳連の卒業生とは言え、リード講習をしならがマルチピッチ体験という離れ業は尋常ではありませんでした。
今回で、スポートルートに自分で練習に行ける自信が付き、今後身につけるべき技術がハッキリと思い描けたそうです。

全く凄いとしか言いようのないモチベーションで、つくづく圧倒されます。

2011年9月21日水曜日

花崗岩のドキドキクライミング

9月18日(日)、19日(月)は、小川山にて自分のクライミング。
今回は、アルパイン系のクライマー10人くらいのチームに混ぜてもらいました。

今回は、スポートルートの多いゴジラ岩に2日連続。
アプローチ50分ということもあり、空いています。
しかも、小川山の岩峰の中でも高い位置にあり、見晴らし最高!

さらに、乾きも良く、ボルトも全体的に新しい岩場です。

 













岩登りはジムクライミングを比べて、色々な面白さがあります。
単純に、岩そのものを登るという興奮、達成感はもちろんです。

そして、今回のようなロケーションもそれを助けてくれます。

中でも、ここ小川山の花崗岩はクライミングテクニックとしても奥深くて魅力があります。

花崗岩は、他の岩に比べてフリクションが効くため、一見してスタンスと思えないところに足が置けてしまいます。
さらに、それはホールドにも言えることです。


初心者がビビって足が置けないのは当然としても、僕ら中級者だって「エッ!?ここ立てるんだ!」という連続。
下の写真、僕が2回トライしたルートの大レストポイントです。
写真の女性はほとんど足だけで体重を支えています。
が、僕の1回目はしっかり立てず、随分と手に頼っており、イマイチ休めず。

傾向として、「案外、立てるものだ」ということは分かっているので、ギリギリのトライのときは足を信じてムーブを起こすイメージです。
まず、これが緊張感があって最高!

そうはいっても、やっぱり足が滑って落ちることも多々・・・。
上手い人は滑らないのに。
単なる度胸試しではなく、体重の掛け方、足の運び、体のブレの少なさ、なんかの技術なんですね。

しかも、このテクニック、度胸試し的なトライを繰り返さないと身に付きません!
そして、一度コツを掴むと、先ほどまであんなにパワフルに感じた所が、簡単に感じたり。

長くクライミングをやっていると、ホールドの配置と掛かりで大体の難易度予想が立ってきます。
それが良い意味で裏切られ続け、緊張感とテクニックの絶妙なバランスを楽しむ花崗岩。

面白いですよ。


具体的なルート
<1日目>ゴジラ岩周辺
・終了点で会いましょう(5.11b)
アップなしで取り付いたらテン山。もう1回やって2撃。スラブ!

・アジアの星(5.12a)
1箇所、ムーブ解決できず。暑いため、後回しに。

・ルート名忘れた①(5.11b)
FL。スラブとフェースの中間。持久系で吠えながらギリギリ。

・ルート名忘れた②(5.11b)
O.S.。垂壁のカンテライン。やっぱり花崗岩のドキドキ満載。やっぱり吠えながらギリギリ。

<2日目>ゴジラ岩周辺
・ルート名忘れた③(5.10b)
FL。久々のドスラブ。ドキドキ。

・ルート名忘れた①(5.11b)
アップがてら再登。やっぱりドキドキ。

・ヒメシャラ(5.12b)
薄被りのカンテライン。1便目はテン山。2撃。(ちょっとグレードあますぎ?)

・アジアの星(5.12a)
夕方の岩が冷える時間を狙ってトライ。R.P.(昨日から通算2撃)

今回のメンバーは、1日2日で5.13を狙う上級アルパインクライマーもいれば、生後7ヶ月の赤子を背負ってヘッデン下山するパワフル母ちゃんまで。

母ちゃんが登る際には、赤ちゃんは皆で交替で見守ります。
精力的かつ和やかなクライミングで、面白いグループです。

2011年9月20日火曜日

無料体験講習会のリマインド

毎月最終火曜日、クライミング無料体験講習会のお知らせです。

今月は、9月27日(火)です。
クライミングジム“ランナウト”にて。
昼の部は15時スタート、夜の部は20時スタートです。

どちらも、初心者歓迎です。
クライミング用品はジムでレンタル可能ですので、お気軽に参加ください。

もちろん、ワンポイントアドバイスを求める講習生の方も歓迎です。
講習生同士の交流の場として御利用ください。

参加御希望の方は、事前にメールでの御連絡をお願いしております。
特に、初めての方は、緊急連絡先を頂いたり、事前の質問に答えたりしますので、必ずお願いします。

もう少し詳しい説明は、ホームページを参照ください。

越沢バットレスで、マルチピッチ講習

9月17日(土)は、奥多摩の越沢バットレスにてマルチピッチ体験講習。
先週から引き続き、都岳連の1年コース卒業のARさん、FYさんの女性2人組。 
マルチピッチというのは、文字通り複数のピッチを登るクライミングです。
クライミングでいうところのピッチは、ロープで1回リードする長さにあたります。

対極にある、スポーツクライミングは、1ピッチの長さで難易度やムーブの面白さを追求します。
20~30mくらいの壁が一般的でしょうか。 

それに対して、マルチピッチでは大きな壁を登ること自体が目的。
というか、マルチピッチという用語、本来は分野の名前でありません。
元々は“大きな壁などを登る”ときの手段です。

(ちなみに、越沢バットレスは70mの壁で、マルチピッチの練習場として有名)

さて、この手のクライミングを自力で登れるその日まで、長い道のりがあることは先週説明しました。
ただ、今回のように連れて行ってもらいながら、「ロープワークの基本的な流れ」、「将来的に覚えるべきこと」を把握する体験というのも魅力的です。

私はお客様に、「スポートルート、クラック、そして最後にマルチピッチのリード」と順番に覚えるのがオススメだと紹介します。
その理由は、その順番が覚えやすく、覚えたてでも岩場に行きやすいからです。

実はもう一つ、クラックをやる中で“自力で登る達成感”を強烈に意識し、それからマルチピッチを始めると面白いだろう、という理由もあります。

今、サラっと5行くらいで書いた内容ですが、初心者がこの意味を想像するのはほとんどムリです。
僕も、あまり深く聞かれても説明に窮してしまいます。

そういう意味でも、やっぱりマルチピッチ体験は有効ですね。

お2人は、都岳連でのマルチピッチ初体験は、本人には強烈過ぎて記憶すらアヤフヤ(笑)。
しかし、2回目の今回は、「楽しい!」と繰り返しながら登ることが出来ました。

そして、僕が行うロープワークを眺めながら登る余裕も出てきました。


体験講習のもう一つの魅力は、単純な楽しさですね。

登山のためにクライミングを始めたはずなのに、いつまで経ってもアルパインクライミングに辿り着かず、モチベーションダウンした初心者も多いはず。
やっぱり、「クライミングやってて役に立った!」と思う場面は、必要だと思います。


具体的な講習内容
1ピッチのⅢ級凹角を繰り返し登る中で、基本を説明
・スリングの収納方法(ネジネジ、タスキ掛け、など)
・アルパインクイックドローの作り方
・カウテールの作り方
・ギアラックの整理の仕方(前列にヌンチャク、など)
・カムの回収方法
・コール無しの登り方、コール無しの懸垂下降
・ルベルソを使ったセカンド確保の流れ(説明程度)
・懸垂下降のロープ結束

実践
・第2スラブルート(Ⅳ+、3ピッチ)のルートを登攀

質問に応じて
・インクノットの効率的な結び方
・ロープの畳み方(背負う方法)

お客様にとって、衝撃的なレベルで楽しかったようで、「今後もマルチピッチ体験を交えながら講習して欲しい」という流れになりました。

「次回は、スポートルートのリード講習、マルチピッチ体験が両方できる小川山!」という話です。

2011年9月16日金曜日

R.P.タクティクス

9月14日(水)の夜は、ランナウトにてムーヴ講習。
今回は、常連女性のTZさん。

フリークライミングでいう完登は、一度もロープにぶら下がらずに登りきることです。

その際、「何度でもリハーサルトライO.K.」、「他人からのヒントO.K.」で無制限に練習し、最終トライで完登することをR.P.(レッドポイント)と言います。

例えば、1回目のトライで登れなかったルートを、2回目のトライで登ってもR.P.。
もちろん、20回以上のトライで登ってもR.P.です。


ってことは、レッドポイントのために闇雲に20回トライしたら損です。
逆に、何日もかけて計画的に取り組めば、相当難しいルートも登れてしまいます。

O.S.(初見一撃)とR.P.の差は歴然で、普通の人なら岩場の場合でグレード3つくらい。
ホールドの分かりやすいジムと言えども、大抵2つ以上は違うでしょう。

このときの戦略を、まさに"R.P.タクティクス"と言います。

R.P.タクティクスを駆使すれば、10回目のトライでムーヴ解決がやっとこのルートさえもR.P.することだって出来たりします。

とはいえ、今回はその基本編。
「ムーヴは解決出来るが、手順・足順が覚えられないルート」の手順を覚えましょう。

そのためには、そのルートを何回もトライし、手順をノートに書き出してみます。

まずはこうやって、手順を間違えずに登ることを練習しましょう。
淀みなく登れば、3mで力尽きると思うようなパワフルなムーヴの連続でも、10m以上登れてしまったりしまうものです。

速さも、立派な省エネですから。

具体的な講習内容
・5.10cのルートを使って、手順を書き出す。
(ノートの左側を手、右側を重要な足やムーヴやクリップを書くスペースにする方式)
ムーヴのメモの取り方には、色々な流儀がありますが、これもなかなか良いですよ。

本日は、TZさんは5.10cを4回連続で完登。
R.P.タクティクスを駆使するまでもなく、R.P.してしまいました。
ということは、R.P.タクティクスを覚えれば、もう1グレード行ける!?

何はともあれ、最高グレード更新、おめでとうございます!
本当に良かったですね。

2011年9月14日水曜日

疑似リード

9月13日(火)の夜は、ランナウトにてリード講習。
先週からの女性KSさん、男性OSさんの2人で、早くも第2回。

リード講習では、疑似リードという練習方法を積極的に使います。
これは、トップロープでクライマーをビレイした上で、リード練習を積むという方法です。

この方法ならば、リード本来の危険無しで、リードの仕組みや作業の段取りを体験することが出来ます。

ジムのリードの危険と言えば、ロープを足に絡ませたり、手繰り落ちしたりすることです。

同じように、岩場リードでも疑似リードを行いますし、クラックのときはトップロープでカムセット練習をしたりします。

最終的には、リードで本気トライが出来るようなタフなクライマーになって欲しい反面、リードを身に付けるときくらいは安全優先で行きたいものです。

次回は、落ちる練習とビレイの練習で、強いクライマーを目指してもらいます!

具体的な講習内容
・クリップの復習
・トップロープビレイの復習
・疑似リード(リードでやってはいけない事例集)
・ビレイの繰り出し方
・落ちる練習(軽め)

リード講習は、覚えることが山積み!
2人とも、頭がいっぱいいっぱいですね。

2011年9月12日月曜日

マルチピッチリードを覚えるまでの期間は?

9月11日(日)は、奥多摩の天王岩にて岩場講習。
今回は、都岳連の年間講習を終えている女性2人。(AKさん、FYさん)

今回、お客様からの最大の質問は「どのくらいでマルチピッチのリードが出来るようになりますか?」

これは、よく聞かれる質問です。
そして、案外困ります。
講習生を見ている感じだと、短くても1年以上、長くて3~5年でしょうか?
大学山岳部のバリバリのモチベーションでも、やっぱり1年以上は掛かることが多いでしょうね。

困る要素としては
・時間というよりも、経験量(岩場での実践)と練習量(ロープワーク&ジムクライミング)が決定的
毎週のように岩場に行けば、1年以内も夢ではありませんが、月1回を下回るようだと、一生ムリかもしれません。

・マルチピッチにも、小川山のフリーマルチ(一般に、ムーブは難しいが、低山でゲレンデ的)、穂高や剱岳の岩稜(一般に、ムーブは易しいが、アルパイン的な要素がある)があります。
前者は、フリーを頑張れば、数カ月で出来るようになる人もいるでしょう。
後者は、フリーは5.10台でも構いませんが、ちゃんとした判断が出来るようになるには、誰でも経験値が必要です。

・ロープワーク、フリークライミング、判断力、全てにおいて覚えが良い人と不得意な人がおります。
体力の程度も、ゲレンデの講習では僕から判断出来ません。
それら全てと、モチベーションを聞いて初めて、その人の成長スピードを予想します。
が、その予想自体が難しいのでアテにはなりません。

初心者の多くは、ロープワークさえ覚えればマルチピッチをリード出来ると思っていたり、逆にジムでグレードを上げることだけに執心していたり。
実際は、両方が大事です。

無限に時間があるならば、どんな大回りもありだと思います。
が、この手の質問をする人って、大抵強い“焦り”を感じています。
30代から60代まで皆それぞれが、「あと何年かしか本気でやれる時間が無いのではないか?」と思っています。

各年代の焦りの声を聞く僕の立場からすると、なんだか不思議な感じです。
70代でリードを目指す人は少ないので、60代なら気持ちは分かりますよ。

夢のアルパインと、今出来ること(岩場のトップロープ、ジムクライミング)との大きすぎるギャップに苦しむ焦り。
その焦りも、質問も、取り組み方のミスも、何もかもが「気持ちは分かりますよ!」ってなものです。

とりあえず、次回は三ツ峠でマルチピッチ体験講習をすることにしました。
焦りがある人は、やっぱりクライミングの目標全体像を見ておくのが良いかと思います。


具体的な講習内容
・エイトノット、ダブルチェック、トップロープのビレイの総点検
・脱力、チョークアップ、ネコ足などのムーブの基本
・5.8のルートに、トップロープで本気トライ!
(AKさんは1撃、FYさんも2撃できました)

焦りを感じるほど、モチベーションのある方々!
これから、長いクライミング人生が始まりますね。

ミズガキで、未知なるクラック遊び

9月10日(土)は、遊びでミズガキ山でのクライミング。
今回は、K島嬢と。

まずは、K島嬢が昨年行ったという未発表のクラックエリア(ミズガキの詩エリア)に行こうと試みる。
が、半ば計算通りの道迷い。

あとは、周りに見える岩から適当にクラックを探し、面白そうなものを選んで登るのみ!
前日の沢クライミングと同様、相当ワイルドなクライミングを楽しめました。

クラックの場合、トポに載ってなくても関係無いですからね。
問題は、下降点をどうにかすることくらいです。
まあ、アルパインに比べたら木も多いし、低山なんで余裕はあります。
これもオンサイトの楽しみですね。





具体的なクライミング内容
・アプローチ迷い1時間30分。

・顕著な大チムニー
1P目:アプローチのボロボロ斜面(Ⅴ級、25m、石田)
2P目:チョックストーンだらけの大チムニー(5.8、25m、K島嬢)
3P目:プアプロテクションの凹角(5.8、15m、石田)
「トップアウトしたら岩峰にトップアウト!」なんて夢見がちなことを考えていましたが、壁の上は猛ヤブに付き、クライミングを辞めて懸垂下降。

・再び1時間ほどクラック探し。

・カッコ良いクラック(20m)
見た目に5.11台だったため、石田のみ取り付く。
湿っていたが、ジャミングは効く。
ただ、かなり被っていて、部分的にムーブはこなせないため、エイドでトップアウト。
乾いていたら、5.11bくらい?

偶然に見つけた中では、掘り出し物ラインだと思います。
そのうち登りたいけど、また辿り着けるだろうか・・・?

・再び1時間ほど詩エリア探し。

・見た目に5.9くらいのワイド
最後にK島嬢がトライ。
が、取り付き直後がボロ過ぎて、クラックが綺麗なセクションに辿り着けずに敗退。
上は少し面白そうだっただけに、残念。

・アプローチは不動沢の駐車場からスタートしたが、下山は植樹祭公園に向かって下山。
25分で、遊歩道に着く。今度は、こっちからアプローチすべし。

・下山中、シンハンドのコーナークラックがあって綺麗。見た目に5.10前半?
しかし、これも再度辿り着けるか・・・?

開拓並に静かなクライミングが堪能出来ました。
これこそミズガキ?

湯檜曽川ケサ丸沢、水線突破の面白み


9月9日(金)は、自分の山行で谷川岳周辺の沢登り。 
今回は、湯檜曽川の支流“ケサ丸沢”です。

この沢、アプローチが2時間以上、下山が3時間くらいで、遡行時間は3~4時間程度。
ちょっとアプローチに見合わないですね(笑)。

が、実際は「THE 良いとこ取り」。

入渓した直後から、小規模で美しいゴルジュとナメ!
黒部・屋久島などの有名大渓谷の源流部分のようです。


さて、今回は一般的な沢登りの魅力ではなく、もっとディープな楽しみ方を御紹介。
個々の用語を説明するキリがないので、初心者は読み飛ばして下さいませ。

沢登りでは、直登が困難な滝、水流沿いの突破が困難なゴルジュが出てくると、高巻きという迂回作戦を取ります。

しかし、ここで迂回せずに水線に近いラインを描ければ、それだけ楽しいということです。

その感覚は沢屋さん共通とも言えますが、どのくらいの労力を掛けて水線突破にチャレンジするかは、全く人によります。

そのチャレンジそのものを、沢登りの楽しみとし始めたゴルジュ野郎を、“ゴルジャー”などと揶揄することもあります。
今回は、ゴルジャーヘの誘いです。

<難易度>
遡行図にもよりますが、滝で“一般的に高巻く”と記載されていればⅣ級では済まないということ。
ほとんどの場合は、Ⅳ級+以上、場合によってはデジマル5.8以上、あるいはカムやハーケンでのエイドクライミングです。

淵や釜の突破の場合は、投げ縄、ショルダー、などの水との総合格闘技の様相になります。

<今回の実際のクライミング>
下の写真の右壁ラインを登りました。
見た目、プロテクションの取りづらいⅣ~Ⅴ級。
実際には、核心ムーブの下で9割方止まりそうなカムが効くⅤマイナスって感じでした。
(ただし、リードは空身で、クライミングシューズ使用)

先人の残置ハーケンも出てきました。(無視しますけど)



<魅力>
この難易度からも分かるように、準備さえしていけば、ほとんどのクライマーが登れるレベルです。
でも、これがトポ無しオンサイトだからこそ面白い!
「いやー、この先どうなってんのかなあ?」、「プロテクション取れずにこれ以上行けなかったら止めておこうか?」などとの駆け引きがあります。

しかも、単なる壁以上に、滝の横というのは燃えるものがあります。
なんででしょう?
これは、色々理由を考えてはみますが、共感出来る人とそうでない人とそれぞれです。

まるで
滝:「ここを登れるかな?フフ」
自分:「やるだけやってやろうじゃねえか!」
という楽し気な会話が聞こえてきそうです。

しかも、そこにラインを描いた先がまた素晴らしい。
安定した滝の落口でホッとしたり、遡行図には無いゴルジュや滝が現れてさらなるドキドキが始まったり、高巻きでは見ることの出来ない自然の造形美があったりします。

これも含め、まさにオンサイト!

ゴルジュの中や、複数段の滝の中段の景色は、頑張ったからこその御褒美!
最高の気分です。


<準備>
今回に関して言えば、滝のみが遡行図との違いです。
本チャン装備一式(クライミングシューズ、カム、ハーケン、ナッツ)だけ持って行けばオーケーです。

トップは空身でリードしたくなることが多いので、荷揚げやユマーリングの準備があるとベストです。

ゴルジュ突破を考えるなら、ウェットスーツはあった方が良いです。

高巻よりも時間が掛かることが多いので、余裕を持った時間設定でないと楽しめません。



<心構え>
敗退出来る範囲でオンサイトトライを楽しむこと。
プロテクションが取れないならば、クライムダウン出来る範囲でのランナウトを試みる。

グレードが付いていないところを行くので、ダメなら諦めましょう。
もっと上手くなれば安全に登れそうなラインもあれば、人間には不可能そうな水線突破もあります。

「登らねばならない」というものではありません。
降りるに降りられなくなって、登るしか無い状況。それは、死と隣り合わせとなります。



具体的な行程
5:50 土合駅
8:10 武能沢出合
8:30 白樺沢出合
9:20 2段25m滝の取り付き
10:10 落口(突破完了)
11:40 登山道合流点
15:00 下山完了

下山中に道を誤り、かなりの大回りをしてしまいました。
仕事中じゃなくて良かった。
凡ミスです。

あまりにも楽しい沢クライミングでした。