2011年9月28日水曜日

小川山、お殿様岩の“大貧民ルート”

 9月23日(金)、24日(土)は、小川山にてマルチピッチ体験&ボルトルートのリード講習。
都岳連卒業の女性2人組(ARさん、FYさん)、なんと3週連続の講習です。
初日に行ったのは、ボルトルートのマルチピッチ入門として有名なガマルート。
写真の通り、ひたすら景色が良く、快適なクライミングです。
写真も最高。

まずは、ここで先週の越沢で覚えたロープワークの流れを実践。
 


そして、2日目はワイルドさが売りの大貧民ルート!
このルート、頂上の下降用支点以外には残置は皆無。
ビレイ用の支点の大部分は木、もしくはクラックというナチュラルなルートです。


クライミングの根本的な考え方に、「そのままの自然を登ろう。だって、その方が小さな冒険として満足感が高いから。」というものがあります。

その実践方法としては、以下のような例です。

・ボルトを極力打たないで、ナチュラルプロテクション(自分で設置する支点)で登る
・人工(エイドクライミング)よりも、フリークライミングで登る
・ルート集は詳し過ぎず、自分で上へと登るためのラインを探って登る

もちろん、他にも色々あるでしょう。
一般的なもの以外にも、その人ならではの拘りなんてものもあります。

僕自身、個人で縦走するときは
・山小屋で物を買うのは反則
・水が取れない場所(槍穂の縦走路など)では、水を買うのも反則
という意識でやってます(笑)。

「もともと“登山道”という他人が整備してくれた道を歩いているくせに?」という論理崩壊は自覚しておりますが、そうじゃないと個人的には「登った!」と自分に言えない気がするんです。
学生時代からの、全くの個人的な拘りです。
「テント縦走なのに、水買ったら軽くなるなんて、ズルイ!」、そんな感覚ですよ。




僕の個人的な拘りへの脱線は置いておいて・・・

こういう話は、頭で理解できても、自分のクライミング観そのものに重ね合わせるのには時間が掛かるものです。
今回は、そのことを少し体感してもらうには最高のルートだったんじゃないでしょうか。

支点の豊富に取れるクラック、支点の取れないスラブ、分かりにくいルート、そして岩峰の頂上へ。(頂上は、ありがたくもボルトあり)
正直、僕自身がルート探しをしつつ、自分のクライミング的な楽しみを感じてしまいました。
今回のお客様は、リードの緊張感を意識して付いて来て下さり、相当に興奮しておられました。

会話の節々から、ルートを登った前後での考え方の変革が伝わってきます。
大貧民ルート、5.8、3ピッチというスケールでは測れない素晴らしいルートです。

具体的な講習内容
※お客様のモチベーションが大変に高かったため、超過密な講習(特訓)でした。

初日
①朝は小雨につき、キャンプ場の東屋にて
・ボルトルートの終了点作業(結び替え、懸垂下降)
・流動分散、固定分散、独立分散の確認

②午後は、ガマルートでマルチ体験
残置支点の種類、現場にある終了点の仕組み、などを登りながら説明。
トポの終了点を越え、さらに岩峰頂上を目指すも難しそうなスラブが現れ、断念。

③夜は、まさかのテント内で講習
・捨て縄の利用方法
・ダブルフィッシャーマン
・ウィップフラッシュ現象

2日目
①早朝から水晶スラブで朝練
・リードで落ちる練習
・ビレイで止める(流す)練習
・“やわらかソラマメ”(5.7)のフラッシュトライ
・一般的な終了点の説明

②昼から、お殿様岩の大貧民ルート
※真の頂上を目指すには、プラス1ピッチ(おすすめです)。
様々な支点の取り方、などを説明。

③夕方に水晶スラブに戻って残業!
・終了点が木のみ、という場合の実践練習

都岳連の卒業生とは言え、リード講習をしならがマルチピッチ体験という離れ業は尋常ではありませんでした。
今回で、スポートルートに自分で練習に行ける自信が付き、今後身につけるべき技術がハッキリと思い描けたそうです。

全く凄いとしか言いようのないモチベーションで、つくづく圧倒されます。