12月8日(木)は、宝剣岳にて雪上訓練の講習。
今回は、最近はクラックの虜になってきた女性TMさん。
ガイド登山などで雪山経験は豊富ですが、再度1からスタートするための講習です。
雪上訓練と言えば、滑落停止技術が目に付きます。しかし、実際に訓練してみると、色々なことが分かります。
① 滑落停止は、雪質によって全く確実ではない。
(訓練意味なし説の人もいるくらい!)
まず、落ちないこと。次に、転び始めの制動こそが重要!
ただし、滑落停止訓練自体は、雪質ごと、斜面の角度ごとの感覚を身につける上で有効だと思います。
初心者の場合、転んでも止まる斜面の下りでビビり過ぎたり、逆に本当に危険なのに思い切り良すぎたりします。
滑落停止訓練1つで、手っ取り早くこの感覚が身につくなら、ありがたいことです。
しかも、滑落停止で止まって助かった例もあります。
やっぱり、やっておきたいですね。
②アイゼン歩行は、コツが教えられなければ意味が半減
フラットフィッティング、フロントポインティング、という言葉の意味は、本ですぐ分かります。どの本にも、「フロントポインティングばかりだと疲れるので、フラットフィッティングを多用しましょう」と書いてあります。
ビビりの私は、「前向きで下る」という芸当が全く出来るようにならず、常にクライムダウンの日々10年。
この意味が理解できたのは、つい3年くらい前です。
特に、下りのフラットフィッティングは、ムーブにもコツがあります。
これが少しでも分かると、歩行が随分楽になるので、絶対に教えたいところです。
③ 耐風姿勢は、正三角形でなくても良い
これもまた、踏ん張れる態勢という意識でやれば大丈夫です。
変に固定観念を持つよりも、瞬時に突風に備える練習を数こなせば十分でしょう。
その他、一般的な本に書いてあることだけでも、上記内容と同じくらいはあります。
さらに、実体験のようなことも、教えたいことは沢山あります。
ただまあ、この日は軽い吹雪・・・。
しかも、滑落停止をやるには地面の露出が多くて痛い・・・。(滑落停止は諦め)
訓練半分、ホワイトアウトの中での実践登山半分、といった内容でしたね。
具体的な講習内容
・キックステップ(下りのスクワットっぽいムーブも練習)
・アイゼン歩行(直登、直下降、斜登行、斜下降。ターンの際のピッケル持ち替え)
・ピッケルの持ち方(ピックが前?後?)
・耐風姿勢の反復練習
・手の指の暖め方
・ピッケルの収納方法
・ピッケルの落とし止めの自作方法
・千畳敷~宝剣山荘~伊那前岳手前まで縦走し、千畳敷に下山。
(歩行中は、ルートファインディング練習)
ワイドクラックまでリードするTMさんも、吹雪の稜線はまた別の恐さ!
一瞬は完全に心折れながら、頑張りました!
僕としても、クライミングだけじゃなく、山の講習も増やして行きたいですね。