2013年1月30日水曜日

安全意識と、クライマー的な大人度

1月24日(木)、25日(金)は、湯河原幕岩にて岩場リード講習。
青梅の男性HDさんは、初日のみ参加。
高崎の女性HMさんが、2日間の参加。
「クライミングの危険を感じる能力、っていうのは経験によって養われる。」

もっともらしい言い方ですが、よく考えると危ない!
要するに、
「ちょっと危なっかしい目にあったりしないと、安全意識の高いクライマーにはなれない。」
たとえば、

ジムでオートビレイ機の付け忘れについて、スタッフから説明を受ける。

「付け忘れる人が、実際に居ます。」

と聞いても、自分が死ぬような場面はボンヤリとしか想像できません。

「登る前に、必ず自分でチェックしてください」
と言われても、危機意識に実感が籠っていないので、よく忘れる人orチェックしない人がいます。
そんな人が、どうやって安全意識が高まるのか?
という話です。

まず、自分自身がオートビレイ機を付け忘れたり、周りで付け忘れた人を見かけたりして、

「やっぱ、あることなんだ。怖いなー。」
という位の認識を持ちます。

最後に、オートビレイ機の付け忘れで大事故に至った話を、怪我の容態も含めて詳しく聞いたりして、

「あの時の自分も、そうなっていたのかも・・・。紙一重だな。死んでても不思議じゃなかった。」

と、背筋がゾクゾクするような恐怖を感じます。
これでようやく、安全意識が高まります。

オートビレイ機1つとっても、ちょっと危ない橋を渡る。
なんて、恐ろしい分野!
で、リード講習なんかしていると、特にそんなことの連続。

「身を守る唯一のボルト、ちゃんと見た方が良いですよ。こういうボルトは怪しくて、こういうボルトは99.99%大丈夫。」
なんて話をしても、

「あー、なるほど!」
という納得顔のHDさん。

「ふーん・・・」
という実感の篭らないHMさん。

想像力の差か、それとも修羅場の数の差か(笑)。
実感の篭らない人が、理由を理解していない訳ではありません。

理由が分かっても、なんとなく分かる人、分らない人がいるってのが、なんとも成熟度っぽくて興味深い。

以前は、「ポカーン」だった人が、「なるほど」と変わるような時間経過。

「(クライマーとして)大人になりましたねー。」
と、言わずにはおれません。


同じ話は、
・ビレイヤーが壁に近付く理由
・今落ちたら、どのくらい落ちるのか予想することの重要さ
・終了点作業でミスをしたら、死んでしまうこと
・クラックで、落ちそうなムーヴの前にカムを決めることの重要さ

何でもそうです。

実際に、講習で落ちる練習をしたりすることで、かなりイメージは湧きます。
講習で出来るのは、その程度です。

そして、最終的には時間を掛けて想像を巡らせたり、ヒヤリハッと経験を積むしかないでしょう。

気を付けましょうね。
HDさんは、リードの危険を予想するには十分大人だったんで、知識を説明して実践練習し、今回で無事に終了。
とはいえ、結び替えで間違えそうになったりはするレベルなので、十分に気を付けてください。

HMさんは、まだ「ポカーン」とするような話も多かったので、仮免許レベル。
誰か、出来る人と一緒に行って、「リードさせてもらう」くらいが丁度良さそうですね。
そうすれば、段々と想像も湧いてきますよ。

具体的な講習内容
・クライムダウンの練習(1本目が高い場合など)
・ウィップフラッシュ現象
・ボルトの種類(リング、RCC、ハンガーいろいろ、ケミカル)
・終了点作業(結び替え、懸垂下降、立木のみの場合)
・終了点の仕組み(流動分散、固定分散、独立分散)
・捨て縄の使い方
・実践リード練習を多数