4月9日(火)は、15時台に早上がりする前提で、越沢にマルチピッチリード講習。
常連男性HYさん、NMさんのペア。
<登れそうなラインを、事前にオブザベーション>
マルチピッチリード講習も、ここ最近何人かに行う中で、だいぶ体系化されて来ました。何人かに同じ講習を行うと、
・共通の間違いやすいポイント
・その人特有の間違い
が整理されてきて、こちらも段取りに慣れて来ます。
さて、実際に行う流れ
①壁をオブザベーションする練習
(登りやすそうなラインを予想、プロテクション状況を予想)
例)
「あの辺までは、クラックが続いているし、立ち木でビレイポイントも大丈夫。」
「あの辺は、ランナウトするし、ホールドが豊富かどうかは行ってみないと分からない。」
まず、これを岩場の全景を見て行い、角度を変えて眺めて、さらに取り付きで1P目も行い。
答えは言わず、この後に登る際に自分で確認してもらいます。
<リードを意識しつつ、確実に登る>
②1回、フォローで上まで登ってもらう
全体の流れを復習するだけでなく、リードを意識して登ってもらう。
具体的には
・各ピッチが始まる前に、再度オブザベーション
・カムを回収する際に、抜きがてら、もう一度セットしてみる
・ランナウトしている場所は、リードの心境になって、クライムダウンしたりしつつ時間を掛けてフォローする
・ビレイポイントでの動き、私の行動原理などを、質問に答えながらゆっくり登る
これで、たかが3ピッチなれど、懸垂下降までで3時間ほど。
③それから、易しめで、しかもカムがよく効くピッチで、リード練習。
登り始める前の、講習生同士の相談時間をゆっくり取る。
(登攀ライン、持って行くギアの量、ビレイポイントの算段、敗退方法、取り付きでのビレイ位置、などを本人達の直感に委ねて)
リード後に、改善点をこちらで指摘。
(ロープの流れ、取り付く前の作戦、ロープワークの段取り、など)
④本人の余裕を見つつ、負担の高いピッチをリード練習
・ピッチグレードが難しい
・プロテクションが難しいor落ちたら死亡などのリスクあり
・ビレイポイント作りが複雑(複数のカムを連結する、など)
⑤ここまでのクラック講習では扱わなかった内容を補足合間合間を見て、
・ビレイポイント作り
・ハーケンの打ち方
・ロープワークの効率化
など
と、まあここまでで3~5日、ってとこでしょう。
あとは、自主練習と補習がオススメです。
自主練習では、主にシステムに慣れることが出来ます。
易しいⅢ級ピッチでも構わないので、カムを決め、立ち木でセカンドをビレイし、懸垂下降で降りる。
1ピッチで練習を行えば、リスクも低くて理想的です。
補習は、その他のリード講習を終えて受ける人と同じ。
マルチピッチは、たいがい最初は危なっかしいことをします。
そして、その全てを体系的に講習するのは、実際にムリ!
マルチピッチリード講習3日~5日を終えたあとも、本当は同じだけの日数を補習したいくらいです。
そこで、オンサイト能力を高めてもらいます。
その頃には、小川山の大貧民、セレクション、そして錫杖の左方カンテ、なんかも手が届くはずですよ。
具体的な講習内容
・上記の③を1回ずつまで
次回から、④を少し取り入れます。
④をやってもらうのが、本当に恐いんですよねー。
でも、まずまず順調です。