5月8日(金)は、岩場リード講習にて、小川山。
新規のチームで、男性KSさん、男性INさん、男性HSさん、女性MNさんの4名。
岩場へのアプローチは、初心者には結構難しいです。まず、登山道のように標識はありません。
(いくらか、マーキングはあったりもする)
トポ(『日本100岩場』)を見ても、分岐点を詳しく教えてくれる訳ではありません。
(とはいえ、岩同士の位置関係は図示してある)
さらに、実際には踏み跡が分岐していることが多く、岩場まで導かれるように到着できるものではありません。
<荷物の収納も、課題山積>
じゃぁ、なんで初心者のための標識を立てないんでしょうか?
長くブログを読んでくださる方には、毎度の話で恐縮です。
つまりは、
「アプローチも含めて、クライミング」
「それが、登るための1次試験」
といった考え方です。
<スラブの練習>
「よりナチュラルな状態で、自然の岩を登ることが、素晴らしい。」
「そのために、それに値する力量を持った人間だけが登れるものだ。」
っていう、根本思想に基づいています。
バックカントリーガイドの友人と話しても、その他のアウトドア経験者に聞いても、究極は同じような考え方です。
<スラブの練習>
「間口を広げて、誰でも安全に自然の岩を楽しめるようにしましょう。」
なかなか、耳障りの良い言葉です。
実際、この考え方があるから、5.9のルートには5.8のセクションにもボルトが打ってある訳で。
(上級者だけが登れれば良いなら、5.9のルートは“ボルト無しでのフリーソロ課題こそが美しい”って話になるので。)
<トップロープでの練習>
・アプローチは、標識や赤テープに溢れる
・ボルトルートは、ジム並みのボルト間隔に打ち足される
・クラックは、隣のボルトルートから登ってトップロープでトライするのが当たり前になる
・プロテクションの悪いクラックは、ボルトが打たれる
といった事態になるかもしれません。
こうなると、ナチュラルな自然を楽しむことの方が、難しくなってしまう訳です。
<ビレイも指摘いろいろ>
たとえば、それが当たり前で育った世代が、何の気なしにチッピングしちゃうかもしれません。
あるいは、ボルトが抜けたことに怒って、JFAを訴えちゃうかもしれません。
最悪、クラックやマルチが、ボルトだらけになってしまうかも。
つまり、「誰もが楽しめるように」っていう思想は、クライミングにおいては難しいんです。
<片づけ中>
って感じに、私は理解しております。
クライミングは、右翼より。(特に、クラックやマルチなどのトラッド、本チャンなど)
自然の造形美を堪能する観光地が、左翼より。
夏山登山道が、折衷案。
って感じで考えると、覚悟が座るように思います。
<下山>
講習生の皆さんが目指しているのは、軽いレジャーではありません。
良くも悪くも、マニアックな世界なのですね。
<雨蓋に、トポをしまってもらう>
・アプローチの岩探し
・スラブの足置き練習
・トップロープのビレイ
・エイトノットに関して
・ATCを落とさない方法
・終了点まででゴールとするか、トップアウトするべきか
・安定ムーヴ、レスト中のオブザベ
・ヌンチャクの向き、長さ、など
今回のように新規の方と話すと、もはや自分にとっては大前提になっていることを、じっくり話すきっけになります(笑)。
4人の方々、マニアックな世界に二の足を踏むようにも見えたり、興味津々にも見えたり(笑)。
どうなりますかねー。