2016年4月25日月曜日

マルチピッチリード講習

4月23日(土)、24日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性HKさん、女性KIさんの初回です。
<今回初めて使ったライン>

2人とも、初回としては上々の出来でした。

私のイメージでは、4日分くらいの内容。
<スラブ>

マルチ講習、基本の流れ。

①立木で簡単にビレイ点が作れるパターンで、1ピッチのリード&フォロー&懸垂下降の流れを練習。

ここで、ロープワークの考え方や、危険行為について、本人が色々勘違いしていそうなことを修正します。

今回で言えば、
・パワーポイントの理解不足で、ビレイポイントがごちゃごちゃする
・足場の良いテラスで、うっかりノービレイ状態の時間を作ってしまう
・懸垂下降のロープセットで、ロープの落とし止めが無い時間を作ってしまう

などを修正。
<まだまだビレイも緊張>

②ビレイ点作り、地上練習

立木以外でよくあるパターンを2つ。
・カムなどで、複数支点で作るもの。
・ピナクル、巨木などで、メインロープで作るもの。

これの仕組みを、イメージ出来るまで練習。

2点か3点か、流動か固定か、といった細かい議論よりも、もっと個別の支点強度を気にして、リスク分散を考えられるように。
<クラックや立木を繋ぎながら>

③半ば岩稜歩きに近いレベルのマルチで、初登攀ごっこ

デジマルで言えば、5.6~5.7くらい?
ここで、ルートファインディング、下降路の判断を含めた、総合的な練習。
<初日のトップアウト!>

あとは、ここまでの出来次第。

最終段階の④としては、ある程度本気オンサイトトライっぽい傾斜で、初登攀ごっこ。
ここで、敗退判断、ルート変更、軽量化、などの総合的なルートファインディングを学んでいただく予定です。
<初の懸垂トップ>

今回の2人に関して言えば、1日目に①~③までをこなして、まずまずの出来。

「④を課題にしても、完登しそうな予感はある。
とはいえ、2日目も③っぽいルートで練習した方が、着実に経験値が積めそう。」

という私の勘で、岩稜的な傾斜のルートで初登攀ごっこ続編。
<2日目>

結果的には、良かったんじゃないかと思います。

クライミングに余裕があるからこそ・・・

・行きつ戻りつしてルートファインディングできる
・ロープワーク、リスク判断に、集中力の半分くらいを費やせる
・ビレイ点ごとに行われる、私からの指摘に、耳を傾けるゆとりがある
<1P目>

教えたい小技は、まだまだ今回の10倍もあります。
とはいえ、マルチ講習の基本的な考え方は、もう半分くらい分かったんじゃないかと思いました。

意外と(笑)、理解が早い2人です。
ロープワークには、特別強くないのですが。

ショートルート経験が多いので、リード自体はスムーズで、講習テンポが良いのだと思います。
<「めっちゃ楽しくなって来ました!」>

話は変わりますが。

HKさんは、冬にクラック講習卒業にしたときとは、だいぶ発言が変わったように思います。
突破力を付けたいか、山向けのリード総合力を付けたいか、みたいな熱い議論をしたのも、有意義だったのでしょうか(笑)。

その議論自体、答えもないのですが、今はその意味がよくよく分かっていただけた気がします。
<午後に、マルチをもう1本>

もちろん、その話だけじゃなく、全体的な印象です。

あくまで私の印象ですが、ちょっとクライミングに必要な能力が脳内整理されてきたのでしょうかね。
<ダブルロープの扱い>

一方で、KIさんは初日から2日目にかけて、何故か覚醒!

初日は、とにかくビビりまくって、
「オールフォローでも良いです。」
くらいの怖がりっぷり。

ロープワークも、状況判断も、なんとなく分かるんだけど、腑に落ちるまでは今一歩。
初日の初登攀ごっこでは、HKさんが中心に判断する状態。
<5.8くらいの綺麗なクラック>

それが、2日目には、
「オールリードでも良いです。行き先を考えながら登るのって、楽しいですね!」
とポジティブ発言を連発。

HKさんとも、イコールパートナーとして、先々を話しあえておりました。

あまりの変貌ぶりに、私とHKさんは笑うばかり。
<もうすぐトップアウト>

山も岩も、人間変えて行きますねー。

僕自身、考え方の変貌を毎年感じています。
でも、やはり講習生の変化速度はスゴイので、それを目の当たりにすると興味深いですよ。
<ここを終了点とする!>