2016年5月9日月曜日

登って感じるエトセトラ

連投で失礼します。
6月の予約受付は、今夜開始です。
度々すみません。

GWは、S本先生、K口さんと、クライミングツアー。
4月30日(土)、5月1日(日)、2日(火)は、九州にて。

またも、講習生向けなのか怪しいくらいの内容でして・・・。
前記事とも関連していますが、今回は私の主張はありません。

次回からは、もう少し軽い内容に戻る予定です。
<開拓のために来たS本先生>

初日は、K口さんと小積ダキ。
10ピッチ近いスケール、2時間のアプローチ、下降路も暗くなると厄介そう、他パーティも稀、といった本チャン的な岩場です。

今回は、残置使用、オールフリーでのチャレンジにしてみましたが、全く歯が立たずに下部半分で敗退です。
<小積ダキ>

ただ、歴史を感じるという意味では、勉強になる1日でした。

『日本の岩場』、『登山体系』によると、メインのラインは2つ。
蜘蛛の糸、中央稜、です。

どちらも初登ラインは、5.9程度のチムニーを数ピッチ辿り(どちらも共通)、上部で一部のボルトラダーを交えつつ、なるべくフリーで登るというもの。
(現在は、5.11bでフリー化されている)

ただ、その後に中央稜の下部として、チムニー横のツルツル垂壁にボルトラダーが設定されたようです。
(「チムニーが苦手だから」みたいな安易なボルトなのか、「ボルトを使っても、壁の強点を!」というディレッティシマの熱い志なのか)
<登山道にも渡渉あり>

さらに、そのボルトラダーは、現代風のハンガーボルトにリボルトされております。

それこそ、1mおきにハンガーボルトが連打されているという、不思議な光景です。
ジムよりボルト間隔が近いので、かなり安全なボルトラダーです。
<1P目のチムニー(5.9)は、初登ラインらしい>

さらにさらに、そのボルトラダーの横に、45mクラスの長大なオフィズスがあります。

「大体的な掃除を行って開拓した」みたいに書いてありますが、周辺のクラック内に詰まる泥を見ても、かなりの労力だと感心します。
アプローチ2時間という時点で、掃除用具を持ち込むガッツに感嘆。
<30m×2ピッチあるチムニー>

「どう考えても、ラインはこっちでしょ!」
という主張なのか、単にオフィズスがあるからそこから登りたかった(登ってほしかった)のか?

現在、中央稜の下部におけるバリエーションピッチとして、紹介されている印象です。
5.10bのオフィズスとなると、本チャンの1ピッチ目としては、相当厳しいですしね。
<向かいは、手つかずのクラック群?>

この日は、4ピッチほど蜘蛛の糸(5.9のチムニー、など)を登って、ボルトラダーのビレイ点を使って懸垂下降敗退。
余った時間で、例の45mオフィズスを登って帰りました。

偶然にも下部3ライン全てに触れて、それぞれの気持ちを想像する、というチャンスに恵まれた感じです。
<45mクラスのオフィズス、右フェースにボルトラダー、さらに右(写真より外)に初登ラインのチムニー>

2日目は、比叡山。

午前中は、残置無視・トポ無視で、好きなラインを登りました。

岩自体は堅く、クラックも多くて、快適です。
クラック内に草が詰まっていたり、クラック横にボルトが打たれていたりと、再整備したらすごく良くなりそうな気配は感じます。

かなり美しい花崗岩なので、小川山・ミズガキに、遜色ないルートになりそうです。
<比叡の隣、矢筈岳>

リングボルト主体のクラシックな練習ルートをリボルトしたのかもしれないし、ミニマムボルトなどの共通理解が薄いという噂が本当なのかも分かりません。 

これは、今後の課題なのでしょうか。
<比叡は、垂直以下の傾斜主体で、クラック多し>

午後は、観音(kannon?)クラックとおぼしきショートルートをオンサイトトライ。

ギリギリオンサイトできて、体感5.11a。
夜に、色々とブログ検索などしてみるも、記録が全く見つからず。
<マルチ講習できそうな難易度のラインも>

諦めかけていたら、数日後に三倉のキャンプ場で、初登者さんに遭遇!
グレーディングは、5.10cだそう。
あれを、5.10台として登るテクニックは、まだまだ無いなと実感です。

ついでに、
「あそこのムーヴが分からなくって、何度も行きつ戻りつしました。」
みたいな話をしたら、
「あー、あそこね。」
と嬉しそう。

初登者の思い入れ、再登して欲しい気持ちは、数十年経っても残るものなのでしょうか。
<気分は夏>

3日目は、S本先生が開拓中のマルチへ。

10日以上に渡る作業を越えて、各ピッチの掃除、ボルト打ちは済んだものの、R.P.していないピッチがあるという話で。
なんせ、初期段階の掃除が大変だったそう。

(掃除跡から想像できる範囲より、もっとずっと大変だと仰っておりました。)
<S本君の開拓ルート、1ピッチ目>

私も、1ピッチ目の5.11aくらいのスラブをトライさせて頂きます。

ミニマムボルトの精神が厳しめで、正直ビビりまくり。
核心はボルトに守られているとはいえ、結構落ちますよ!
どうにか、2トライでR.P.。

観音クラックの初登者と同じく、S本くんも再登者を迎えて嬉しそう。
<フォールすると、ハング下に落とされます>

S本先生も開拓経験が少ないので、

「危険って程じゃないっすかねー?」
「もうちょっと右に打つべきか迷ったんですけどねー。どうですかね?」
「結局、僕より強い人しかトライしないと思うから、全然問題ないとは思うんですが。(上部に難しいピッチが控えているから)」

と色々と感想を求められます。

「超厳しいっす!って思うほど、ミニマムボルトが厳しいスラブのクラシックほどではない。
でも、気軽に限界グレードにチャレンジできるほど、ボルトが近くもない。
中間くらいかな?
ボルト位置は、(高めだから怖くなくて僕は助かるけど)小さい女性とかはマスターオンサイトトライできないかも・・・。」
<ユマーリング>

午後は、フィックスロープでユマーリングして、S本先生がトライしたいピッチのビレイ。

50mクラスで、クラックとボルトフェースを繋ぐ持久系ピッチ。
一応、全ムーヴを解決したようでしたが、繋げるのは相当厳しそうでした。
これは、私は触らず。

しばらくは、プロジェクト扱いでしょうか。

<核心ピッチトライ中のS本君>

開拓の歴史を感じる小積ダキ、再整備したらという可能性を感じる比叡、初登者の思いに触れる観音クラック、最新ルートの開拓に励むS本くん。

事前に聞いた話と、そんなに大きなズレはないのです。
だから、経験のある人なら、この文章を読んだだけで色々想像がつくと思います。

でも、登ると、さらに身近に感じますね。
<懸垂にて、カム回収>