2017年12月11日月曜日

越沢と私

12月10日(日)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
女性SMさん、男性OMさんのペア。
<1P目>

先週、学生時代に越沢でパートナーに事故らせてしまった、という話はしました。
<もうすぐ日が当たる>

ただ、懲りない我々は、それでもシステムとリード練習のために越沢に通いました。

1年ほどして、大学4年の秋、ようやくフリークライミングの成長曲線に乗った私。
(それまで、5.10aがやっとだった。)
楽しくなって、ジム、岩場、そして越沢に通い直すことになります。
<御来光を待つ気分>

それまで、沢、ヤブ尾根、ラッセルと割と冒険的なことが好きだったのに、越沢では残置を使っていた私。

当時、ほとんどカムを持っていなかったのも災いしていたと思います。
<暖かくなってきて、2P目スタート>

そんなモヤモヤのまま1年、2年と経ち、残置無視というセンセーショナルなワードが紙面を賑わしました。

ようやく、クラックも5.10bぐらいは登れていた私。
プロテクションが取りやすそうなピッチから、徐々に残置無視をやってみます。
<日向だ!>

で、1つの結論に達しました。

残置無視かフリーか、どちらかで無ければ、岩(壁、あるいは山)を登ったと言えないんじゃないか。
<柔らかな日差し>

そうなって来ると、
「初心者も、最初からそうやって学んだほうが良い!むしろ、残置は危険登山者を誘っている!」
という熱い気持ちが湧いてきて、残置(特にリングボルト)に対する憎しみが(笑)。

当時、残置撤去の話も出ていたので、私も越沢に行くたびにチョイチョイ残置を間引くという行動に出ていました。
<昼過ぎには、完全な日向>

当然、
「それは強者の論理だ!」
「初心者時代に散々残置のお世話になっておいて、ズルい!」
という反論も予想はしていました。
歴史的にも、そんなことを繰り返してますしね。

これに対して、完全に納得してもらうことは難しいと感じています。
なので、残置撤去という強硬手段は、今はやらないと思います。

ただ、初心者時代から残置A0という習慣は、やっぱりダメだなという思いは、一層強くなりました。
<3P目>

実際、残置を間引いたことが先輩の耳に入って怒りを買い、泣く泣く残置ハーケンを1人で打ち足しに行ったこともあります(笑)。
<フォロー中>

余談ですが。
何となく、フォロー中に残置を抜くことに罪悪感を覚えた私。

「自分が残置にクリップしたいときにこそ、せめてものフェアさ。抜くべきタイミングではないか?」
という、変なルールを自分に課したことも。

具体的には、アイゼン+軍手でのリード中に、ハンマーを振る、という行動をとっていました。
<懸垂下降>

思い返しても、意固地さがにじみ出る私。

スタイルとか、初心者への教育的配慮、という観点から見れば、ちょっとズレてます(笑)。
パートナーからは変人扱いされます。

ただ、まぁ色んな意味で私を鍛えてくれたトレーニングだったとも思います。
<やや、足が絡みがち>

当時より、多少は世相も変わったような気がします。

初心者時代から、クラックに親しむ山屋も増えました。三鷹のジャムセッションも流行ってます。
初級者っぽい人が、本チャンのオールナチプロってのも、そんなに特殊な話じゃなくなったと思いますし。

一方で、越沢でも三ツ峠でもハンガーボルトは増えているとも感じます。

クライミング界も、アメリカ経済みたいに分断された社会なんでしょうか。
まぁ、それも昔からなんでしょうけど。
<越沢には珍しい、ハング越え>

近いだけあって、今後も長い付き合いになりそうな岩場。
少しずつ考えて行かねばと思います。