2020年2月27日木曜日

メンタル先行型

2月22日(土)は、ムーヴLv.1にて、女性THさん、女性KIさん、男性STさん。
2月23日(日)は、リード講習にて、MHさん夫妻、男性MBさん。
<壁の中で滞在しながら、ムーヴの基礎練習>

KIさんは、心技体のうち心に光るものがあります。

オブザベで核心予想をしても、ノーマークの場所が核心であることが多い印象です。
しかし、オブザベ中に蓄えた心の準備は大したもので、レストポイントが豊富なルートなら、見ごたえのあるオンサイトトライとなります。
<黄色5.10b、THさん>

ウォームアップなどでムーヴの動画を撮っても、滑らかさはあまり無く、まだまだ型を遂行しているような印象です。
しかし、トライ中は、レストポイントから何度もホールドを探り、最後に「絶対登ってやる!」と言わんばかりの気迫でムーヴを起こします。
<動画撮影>

また、
・安全管理のミスを反省する姿勢
・自分の技術不足を受け入れる姿勢
・人との競争よりも岩やジム課題と真摯に向き合うことに重きを置く姿勢(外発的動機付け < 内発的動機付け、という印象)
といった点は、私も頭が下がる思いです。

「意識レベルは5.14・・・」、などと私は感じます。
(「身体は5.14」って言われる人が、ときどき居るので、それと同じイメージ。)
<黒5.10dを3撃するKIさん>

そして、KIさんとよく一緒に登るTHさんの本日のトライも、メンタルの賜物!
1トライ目のハングドッグで成功したムーヴ記憶も曖昧な中で、「もうダメか?」と観客が思うところ、どうにかレストしまくって核心突破。
そして、堪えて堪えて終了点へ!

パートナーは、似てくるものなのでしょうか(笑)。
<あなたが重きを置くのは、心技体のどれでしょう?>

クライミングに限らず、物事の上達に最も大事なものがモチベーションであるなら、彼女達のようなメンタル先行型は、かなり優位です。
1トライ毎の集中力が素晴らしく、強い達成感を伴う完登を毎週のように味わえます。
さらに、失敗に対する謙虚さは、弱点を減らしていく力にもなります。

故障や事故でもないかぎり、登れば登るほどクライミングが好きになりそうな印象です。

一方で、KIさんの悩みとしては、
「そうは言っても数年前からメンタル先行で、上手いクライミングが出来ないことを日々実感する。」
だそうです。

たしかに、人間は得意分野を練習しがち(私も心が痛い)なので、メンタル先行型はメンタルに磨きがかかります。
それはそれで凄いんですが、もうちょっと滑らかに登りたいというのも、よく分かります。まぁ、心技体の技も終わりはないんでしょうけど。

本日は、ムーヴ基礎練習に加えて、オブザベ練習をやりました。
さてさて、少し悩み解決に繋がるでしょうか。

2020年2月25日火曜日

シーサイド、ピエロ

2月28日(火)、29日(水)は、自分のクライミングにて、城ケ崎のシーサイド。
1日目が、S本先生、チッペ先生。
2日目が、S本先生、Hさん。
<シンデレラをトライ中の2人>

2年近くぶりに、岩場でのリードをして来ました。(講習で、5.11aまでは登ることはあるが。)

登りそのもの以前に、
・パッキングの下手さ
・準備の遅さ
・持ち物を日陰に置くなどの段取りのイマイチさ
・ウォームアップや本気トライのルーティンに乗れない自分の特殊性(アップを数本登って、本気トライを数本、追い込みを数本、という割とよくある流れに乗れない)
などで遅れを取りまくりです。

相変わらずの自分のダメさに、軽く打ちのめされ。
でも、2日連続なので、少しだけ改善しつつ。
<アップ中のS本先生>

肝心のトライの方は、ピエロ(5.12a)をオンサイトトライ。

散々、戻りながらムーヴを探るものの、結局は核心が始まり「ガンバ」コールをもらったと同時にフォール・・・。リーチを活かして、クリップ先行していたのに、なんかショボすぎです。
しかも、すっかり時間も掛った上に、どっかぶりのポンプアップも出来ない私は、そのままロワーダウン。
<チッペ先生>

2トライ目は、核心の出だし(サーカスとの共通セクション)は出来たものの、そこからのマントルが出来ず。散々ハングドッグさせていただき、諦めかけたころに突破。
そこから、上部も右往左往しながら時間を掛けてトップアウト。

これにて、1日目は終了。
<チッペ先生のシンデレラ完登トライ>

<吠えまくり>

<おめでとうございます!>

<S本先生のシンデレラ>

<ピエロ>

<ロープがハングに激しく擦れそうなので、ダブルロープにて>

<オンサイトトライで、落ちる直前です>

感触としては、「ホールド、ムーヴが分かっちゃえば、7割以上で繋げられる。」という感じ。
(決まったムーヴはそこまで強度が高くはなく、レストポイントもある。)

2日目(実は、自分のクライミングで連登するのも2年ぶり)。
アップ後の1トライ目で、どうにかR.P.。

自分の実力では、最小のトライ数だったと思います。
成績としては、良くも悪くもないです。

が、1、2トライ目が自分的にイマイチで、たぶん行けると思った3トライ目に登っただけ、という気もして満足度は中の下。
<2日目>

そのあとは、風に吹かれて(5.11a、ボルト)、ルーズガール(5.10d)、タイトボーイ(5.10c)を再登。

シーサイドって、こんな感じの岩場だったなぁと、しみじみ(笑)。

5.10台で被っていると、さすがにガバっぽいです。
しかし、上手くバランスをとって引き付けることが出来ず曖昧なデッドになってしまう自分の弱さを再認識。
チョーク跡があるから持てるとは思うんだけど、ホールドの掛かりを知らないから本当はスタティックに手を出したいのに、それが出来ません。

もうちょっと、こういうのを意識して練習しましょう。
<トラバース、結構落ちる、シンデレラ>

<2日目にして、相当好感触を得た様子>

<昼頃は暑くて、休憩が長めになる我々>

とはいえ、普通にリードが出来たので、とりあえず良しとしましょう。
またよろしくお願いします。

2020年2月20日木曜日

育った畑を理解する

2月11日(火、祝)は、リード講習で、女性YOさん。
2月16日(土)は、雨中止にてムーヴLv.1にて、男性KYさん。

例によって、講習で扱ったテーマではなく、個人的に考えていることです。
“ボルダラーらしい登り”について。
今回は、安全管理の話ではなく、スポーツとしてクライミングを考えます。

強いボルダラーは、ムーヴも上手いです。
足置きも丁寧だし、フック系の技も上手い、デッドもスタティックも上手に使い分けます。
おまけに体幹もしっかりしていて、ムーヴのブレも少ないです。

ただ、「リード主体の人の滑らかさ、省エネ登りとは、ちょっと違う・・・。」という印象を、結構みんな持っていると思います。
「具体的に、どう違うか?」ではなく、「なぜ、そうなったのか?」という点を、いつも考えています。
それが、お互いにとって上達のヒントになることは、間違いないので。

1つの要素として、意識の違いが挙げられます。

まず、リードのオンサイトトライで失敗した場合を考えます。
上部の核心で力尽きた、という状況です。
その場合、クライマーが反省すべき点として

①上部核心までの道のりで、誤ったムーヴを選択して、消耗した個所はどれだけあるか?
②レストポイントは、十分に活用できていたか?
③上部核心のムーヴを、思いつくまでに時間が掛かり過ぎていないか?(orもっと良いムーヴは無いか?)
④そもそも、オブザベでもっと分かっておくべき点は無かったか?
⑤クリップのタイミングなど、安全上の問題、省エネ上の問題は無かったか?
などがあります。

これは、レッドポイントのために、ムーヴやレストポイント、クリップ態勢を完全記憶していく、という作業においても同様です。
いかに無駄を省き、効率良く登るか?というテーマで、ルートと対峙しています。

一方、ボルダラーは少し違います。
まず、誤ったムーヴの連続で一撃できたとしても、「強い!」の賞賛です。
しかし、自分のフィジカル限界付近の課題では、ムーヴを練りに練ります。そして、リードクライマーのハングドッグより、はるかに上質で高回数を、課題に打ち込み続けます。
だから、フィジカルも強く、際どい足技も巧みになるのだと思います。
つまり、ボルダラーとしては正しい意識なんじゃないかという私の印象です。

ただ、リードクライマー目線で言えば、3級をコンスタントに登れる人が、4級~6級を力技で登っても反省するチャンスには恵まれないとも言えます。
(コンペのように、少ないトライ数での成績と向き合う場合は、リード的な考え方も重要になって来るのかもしれませんが。私は経験ないので、不明。)

ここから、私なりにやるべきこと。
①講習では、リードクライマーとしての考え方を、なるべく丁寧に分解して説明する。
(初級者はテンションしたら、トップアウトすることに執心してしまい、そこまでの道のりを反省するという思考に至らない場合も多い。そもそも、ジムではトップアウトしてヌンチャク、カムを回収する必要は無いので、トップアウトすることに達成感を見出すのは上達過程としていかがなものでしょう?)

②自分がボルダリングをするときは、ボルダラー的な意識を持つように心がける。
(限界付近のフィジカルで、テクニックの限界付近を、なるべく経験すること。)

とにかく、総合力的なことが好きすぎて、②をやろうとするとツラくなる自分は、何なんでしょうね(笑)。
まぁ、出来ることからやって行きましょう。

2020年2月14日金曜日

健全な判断力は、健全なレストに宿る

2月9日(日)は、クラックリード講習にて、城ケ崎。
男性NMさん。
「安定したレストは、焦りの少ない正常な判断力を担保する。」
という点が、私は大事だと思います。

特に、クラックやマルチなど、安全管理要素が強くなるほど大事な印象です。
とはいえ、ジムでも焦って登る人ほど・・・、と結局は同じかもしれません。
次に、
「安定したレストは、焦りの少ない正常な判断を担保する。」
という点に着目して、持久力を評価してみます。

最上の大レストとして、
“レストポイントに戻れば、何度でも全回復に近い状態になれる。“
と置きます。

「ノーハンドで立てるテラスじゃなきゃ無理。」
と感じる初心者も居ます。

「垂壁で、マッチできるガバ、足もフラットで奥行き5cmもあれば。」
と感じるぐらいになれば、垂壁の易しいルートは相当落ち着いて登れるでしょう。

一方で、トップクライマーのオンサイトトライで、ルーフのような形状でも、ホールドを探ってはレストポイントに何度も戻るシーンを見たこともあります。
さすがに全回復かは分かりませんが、相当程度の回復が見込めているから戻るんでしょう。
<岩場でお会いした>

続けて、次善の大レストとして、
“レストポイントで、悠然と左右交互にシェイクやチョークアップを繰り返せる。時間的制約は、それほど無い。しかし、数手進んでから戻ってきた場合は、完全回復は難しい。”
とします。

戦略的には、
「行きつ戻りつには向かない(orせいぜい1回や2回)だけれど、ムーヴを完全に固めたレッドポイントトライにおいては、十分なレストポイントになり得る。」
というイメージです。
<彼こそは>

そして、最下位の大レストとして、
”両手交互にシェイクは出来るけれど、時間的制約が大きい。”
とします。

これは、手はガバだけど足が悪い場合など、数回だけのシェイクで出発する感覚です。
最後に、この観点で自己評価してみます。

イメージしやすくするために、条件を整えます。
・ジムの大ガバで、持ち替えが容易なハンドホールド。
・スタンスは、奥行き5cmのフラットホールド。
・ステミング、ヒールフックなどで傾斜を殺す技は、使わないこととする。

70°以下(ノーハンドレスト可能)、80°、90°(垂壁)、100°、110°、120°、130°、と10°毎に評価。

例えば、Aさんは
・90°では、最上のレスト(戻り可能)が出来る。
・100°では、次善のレスト(悠然だが、戻り不向き)なら出来る。
・110°では、最下位のレスト(時間制約)のみ可能。
という感じです。

安全管理について、私の個人的見解。
・90°(垂壁)では、初級者でも正常な判断を下しながら登れる可能性が高まります。
・110°では、少なくとも初級者には無理でしょう。オンサイトならオブザベで読み切る能力、レッドポイントでもムーヴを固める能力、安全なトライをする上での必須条件だと思います。
ちなみに、ジムでのリード成果予測にも応用できます。

Aさんの場合。
・90°(垂壁)なら、オンサイト成功率が高め。本人にとって易しいグレードを、取りこぼすことが少ない。レッドポイントも、結構いける。
・100°では、オンサイト成功率はオブザベ能力と運頼み(戻れないから)。レッドポイントは十分に楽しめて、最高レッドポイントグレードはこの傾斜で出すこともある。
・110°では、オンサイトは相当単調なルートだけしか出来ない。レッドポイントでも、少し厳しいムーヴが出てくると、繋げられないことが多くなる。
・120°以上では、ほぼ全ガバのルートしか登れない。

私自身で言えば、「120°になると、ほぼレッドポイントしか出来ない。130°以上は、ほぼ全ガバのルートしか登れない。」印象です
終わりに。
持久力にも、色々な要素があって、それに対応したトレーニングもあります。

今回挙げた持久力は、突き詰めると
「傾斜壁でも、ガバで大レスト出来ますか?」
という問いになります。

これを鍛えるという意味だと、実は最大筋力が大事なんじゃないかと思います。
「最大筋力の何%以上だと、毛細血管が収縮してしまって、徐々に酸素不足に陥る。」という話に戻ります。

強傾斜で十分なレストが出来ないのは、最大筋力が足りないという可能性があります。
「あれ?持久力の話じゃなかったの?」
という突っ込みがありそうですが、今回はスルーします。
<本日は、落ちる練習、懸垂回収、エイド、などの安全管理メイン>

今回は、「レストしたくても出来ない。」というフィジカル限界値のイメージで書きましたが、多くの講習生はそれ以前の問題であると感じています。
ガバを持ったら、すぐに足を上げてしまって、レストポイントを通過してしまうなど。
この場合は、最大筋力よりもテクニック習得に重きを置いて欲しいところです。

実際の岩場だと、ステミングやワイドムーヴで傾斜を殺してレスト出来る場面も多いので、フィジカルよりもテクニックが勝ることも結構あります。(ジムでも、ヒールフックやニーロックで大レストできる場合が結構あります。)
ですから、「自分が対応できていない」傾斜でも、何とか登れることも多々あります。

そんな感じで、実際には他の要素も盛りだくさんで、むしろ講習中そちらをメインにアドバイスすることになります。
参考程度に。
<鬼ころし(5.7)をR.P.>

<懸垂回収>

2020年2月13日木曜日

好きも色々

2月8日(土)は、岩場リード講習にて、湯河原。
男性THさん、男性EDさん。
本日の2人は、岩場初体験&2回目。

「いやー、岩って良いですね!」
という言葉の連続。
太陽の光を浴びながら、自然の岩でウォームアップを兼ねたムーヴ練習。
「なんて、贅沢なんだ!」

「岩の匂いが良い!」

足裏感覚について講習中。
「岩って、足つぼマッサージみたいに気持ち良いっすね!」
と言って、裸足で足指とスタンスとのフィット具合を確かめるほど。

いやはや、あまりに楽しそうで、こちらも嬉しくなります。
ところで、とあるジムスタッフ談話。

「壁にあるホールドを見ていると、自然とムーヴを考えてしまう。誰も居なくても、(目検討の)課題を考えてしまう。他の人がトライしているのを見ると、自分ならこういうムーヴかな?と考えてしまう。しかも、そのときに使う筋肉が反応して、ちょっと疲れたりするんです。ほんと、ちょっとビョーキですよ。」

クライミングが好きにも、色々ありますねー。
そういう根本的なモチベーションは、ときどき思い出していきたいですね。

2020年2月8日土曜日

また自分の話です

2月6日(木)は、リード1回目。
MHさん夫妻。
<壁の中で、レスト態勢を作る>

またもや、本日の講習とは無関係に、自分の話。
最近、ジム専に近い練習に取り組んでいるだけあって、少しだけ成果が出始めたように思います。

まずは、体感。
・持てるホールド、動けるムーヴ、といったフィジカル的なこと。
・全般的なバランス、足に関してはヒールフックの感覚が、少し繊細になったこと。
・不調のときに、130°壁で感じる不快感が、ようやく無くなって来た。

次に、具体的な成果。
先日、荻パンで1回目にボロボロにやられたのは書きました。そのときは、5級を全部登るだけで精一杯。
1週間後に再訪して、4級を5本、3級を1本登れたので、自分的には会心でした。

八王子Dボルでは、先日初めて1級が1本登れました。我ながら規格外のリーチなので、1本の成果で自己評価するのは無理があります。
ただ、2級が登れる比率も、僅かずつ上昇しているので、僅かな上達の証として見て良い気がします。

※個人的には、3級/4級(Dボル)≒4級(ランナウト)≒5級(荻パン)。

「成長を、体感で見るべきか、成果で見るべきか?」という難問は、両方ともに微々たる成長が見られるので、避けて通れそうです。

最後に、指に関して。
・本気トライ中に、ある程度の指系ホールドを持っても、後々に影響しにくい。(指が強くなったのではなく、ボディが少し強化されたお陰か?)
・岩場の寒さなどで、ある程度は耐えられる。(でも、豊田はちょっと失敗だった。)
・ジャミングのために伸ばしたい、という欲求に向けて、ストレッチも微々たる成果を感じる。また、マッサージし過ぎたと感じた翌日に、腫れることが無くなった。

とりあえず、少しずつ成長曲線に乗っているようなので、日々は楽しいです。

2020年2月5日水曜日

「自分は安全」という神話

3月の予約受付開始は、2月7日(金)の夜21時スタートです。
念のため。

2月2日(日)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性HNさん、女性YYさん。
事案①
10年以上前のことです。
とあるジムで、どっかぶりガバガバのルート。やや苦しそうにアップしている人を見かけました。

すると、クリップ態勢が上手く取れないらしく、3ピン目、4ピン目を掛けずに登り続けます。
そして、5ピン目でクリップ。そのまま、登り続けて行きました。

「あそこで、クリップ飛ばさない方が良いんじゃないですか?」
と声を掛けても
「危なかったら、無理しないから大丈夫です。」
という返事。
(この人とは、それっきり会話していません。)
事案②
つい1ヶ月ほど前に、ランナウトのお客さんで、明らかに墜落距離の計算をしていない人に話す機会がありました。

「今、トップロープ状態なのか、膝くらいなのか、足首なのか、足元なのか、意識しないと危ないですよ。」
すると

「たしかに、意識してないです。他の人を見ていたら、色々思うのにね。意識した方が良いよね。ただ、危ないと思ったら、他のホールド掴んだりして、無理はしないから。」
という返事。

この人は落ちるのが苦手です。
・トップロープ状態で周りからガンバコールが飛んでいる状況
・明らかにクリップ遅れで周りが心配して見ている状況
どちらも、無関係に落ちそうなら他のホールドを持っている印象です。

事案③
トップロープでは5.11を積極的にトライしていても、リードになると5.10前半という人。

私から見ていると、ロープと身体の位置関係、墜落距離の計算が今一歩に見えて、不安に感じます。

一方、本人は
「リードで無理はしないから、大丈夫だよ。」
と仰います。

たしかに、5.11ではバンバン落ちながらムーヴ探りしているが、5.10bでは疲れたらすぐさまチョンボクリップしているように見えますから、フォールする回数(確率)自体が少ないのでしょう。

※ランナウトは、オートビレイで気軽に難しい課題に触れる。まぶし壁なので、チョンボクリップは容易。そういう甘々な環境の一方で、課題自体は特に5.10台がピリ辛な印象。

さて、皆さんはどう考えるでしょう?

リードでフォールする確率が低い、という意味ではリスク管理になっています。
一方で、「安全なフォールが出来るように、要素を考え抜く習慣付け。」という意味では悪癖が常習化しています。
だから、たまにしかフォールしないけど、フォールしたら事故る可能性は、一般のリードクライマーよりは高めです。

※要素は、墜落距離の計算、ビレイヤーの弛み・体重差・立ち位置、落ちる態勢、ロープと身体の位置関係、岩の形状、など。

リードのフォール回数と、フォール1回あたりの事故確率で、事故確率が決まると仮定すると・・・。
トップローパー気味でときどきリードをする人と、恒常的にリードする人では、どちらがリスクが高いかは厳密には分かりません。

ただ、多くの場面で気になるのは、
「無理しないから大丈夫だよ。」
という回答で、それ以上に議論が深まらないことです。

「~~さえ守っていれば、自分は安全だ。」というのは、自分自身を思考停止させる麻薬的なフレーズなのかもしれません。
これは、私を含めて全員気を付けるべきことですけどね。

2020年2月4日火曜日

3月の予約受付

こんにちは。

2月7日(金)の夜21時より、3月分の予約受付を開始いたします。
マルチピッチ講習も、例年3月から開始しています。(今年は、気温が高いので、さらに余裕でしょう。)

また、1週間ほど休業させていただく予定です。
今のところ、宮島に行くつもりです。2年前に中途半端にしてあるラインがあり、気になって仕方ないので。

2020年2月3日月曜日

ラインの独立性

2月1日(土)は、クラックリード講習にて、城ケ崎。
復習参加のMさん。
<ジャミングの悩み相談会>

また、本日の講習とは関係ないのですが。
Mさん他何名かと、“好みのルート“談義から派生した、湯河原とルートの独立性の話。
「もし、シャクシャインの面に、スードラが無くて、1本だけの贅沢なラインだったらカッコいい。」
「いや、でも東京近郊の皆が行くようなとこしか行かないからか、そんなの見たこと無い。」
「その点、クラックはラインが独立していることが多いから、良いかも。」

といった話題。
ちなみに、小川山の卒業試験(5.10b)、水曜日のシンデレラ(5.10d)、などのように、5.10台でアプローチ20~30分圏内でも、そういった贅沢なボルトルートもあります。
<ジャミングや、ワイドムーヴを、オブザベで除外して考える癖がありますね>

独立したラインのメリット。
・見た目のカッコよさ
・限定ホールド、限定ライン談義に振り回されることが無い(ルートファインディングも含めて、クライミング能力。ボルトから、横に離れたラインを登ってもO.K.。)

一方で、ルート数が多いことが近郊岩場の存在意義というのも否めず、葛藤があります。
<徹底して、ムーヴ練習>

例えば、桃源郷エリアの岩が、アプローチ1時間以上のところにあったとします。

とりあえず、最初に開拓候補に挙がるのは、
・Wasshing(5.7のクラック)
・コスモポリタン(5.9のクラック) 上部が土で詰まりやすいので、あまり登られていない。
の2ライン。
「コスモポリタンは、一応初登だけしておくけど、大掃除するのは諦めるか・・・。」という判断になりそうです。

次に、
・アボリジニ(5.10aのカンテ)
・サンセット(5.10aのカンテ)
が目を引くラインです。

アボリジニに関しては、カンテの両側を登れることがトップロープ試登で判明するでしょう。
が、憧れのハワイ航路の側は、「どこまでアボリジニ側に寄って良いか?」問題になりそうだと予想されるので、捨てようという判断になりそうです。
サンセットも、「意外とカンテから離れた方が登りやすいから、限定ルートになっちゃうね。」と捨てる判断になりそうです。

その他のフェースに独立したラインが引けるかも試登してみて、
・伊豆の踊子(5.12aのフェース)
なんかが残ると思います。(トライしたのが昔過ぎて、独立性の記憶がちょっと不安ですが。)

私も講習でよく使いますが、シルクロード(5.7のフェース)、いんちきするな(5.8のフェース)、あたりは「Wasshingに干渉しちゃうからなー。要らないか。」という判断になるかと。

で、残ったのは
・Wasshing
・アボリジニ
・伊豆の踊子
の3本だけ。

これなら、かなり贅沢です。いわゆる、合理的なラインというヤツです。

私も「そういう岩場が最高!」と感じる方ですが、「そういうのが好きなら、湯河原じゃなくて瑞牆とかに行け!」と言われてしまいそうです。

そんな話から考えると、われわれ再登者の完登談義(それって、アリ?ナシ?)にも、思うところがあります。

①憧れのハワイ航路で、限定ホールド問題を議論するのは分かるが、アボリジニのような合理的ラインで「右に出ちゃダメ!」というのは、変なのでは?

②Wasshingで、左右のフェースに出たりしながらも、プロテクションだけはカムで登っても、ルートファインディングと見なされてO.K.なのでは?

③Wasshingで、左右のフェースのボルトを使ったら、それは岩登り本来の合理的ラインを登ったことにはならないから、アウトでは?

こういうのって、くだらない言い合いに発展しやすいので要注意案件です。
でも、避けては通れない話ですよね。
<ワイドも、オブザベに組み込んで行きましょう>