題名は、Mさんが自身を振り返って挙げた言葉です。
動きの解説なので、分かりにくくなること承知で、文章にしてみます。
まず、両手両足の4点が岩(ジムのホールドでも同じ)に接している状況を、「4」と呼びます。
次に、このうち1点が岩から離れている状況を、「3」と呼びます。
クライミングを、「原則1点ずつ手足を動かしていく将棋やチェスのようなゲーム」だと捉えるという話です。
具体例で見て行きます。
・「3」で余裕を持って完全静止できれば、チョークアップ、クリップ、レストなどが可能になります。
・「3」で静止できないまま、スピードや反動を利用した形で、「パッと」手(足も同じ)を出せば、デッドポイントになります。「意図的な片足バランスで手を出す、2点支持」、「乗り込む際に、自然と下足が離れる2点支持」、「ダブルダイノやコーディネーションのように、複数支点を同時or連続的に動かす動き」、「肘・膝・背中といった、主要4点以外を支持支点として使う動き(ワイドクラック、ハリボテ課題、ニーロック、など)」、という例外は存在します。
しかし、例外は一旦置いておいて、ベーシックに1点ずつ動かすシーンを考え、これを講習で徹底的に練習するシーンはよくあります。
「ちゃんとバランスが取れるまで、1点を動かしちゃダメだ!」
というイメージを叩きこむ感じです。
で、Mさんの感覚としては、以下です。
「3」で静止するために、バランスがとれるまで待つ意識はある。ただし、そもそも3点の配置が悪く、全身に力を込めて数秒我慢して静止する感じになってしまう。
際どいクリップ、一瞬のシェイク、ぐらいには使えるが、悠然とした安定感は得にくい。
つまり、「この3点(ホールド+スタンス)なら安定できる」という“定石みたいなもの”が身に付いない、ということに衝撃を受けたようでした。
これができれば、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?
・今まで、際どい「3」だったところが、悠然とした「3」になり、精神的余裕が生まれる。結果的に、次のホールディング、足置きが丁寧になる。
※クラックでは、ジャミングやカムセットのために滞在時間が必要になるため、この傾向が顕著になる。
また、ジムに関しては、
・定石を理解することで、足のオブザベが進歩する。
可能性もあります。
興味深いのは、YIさんがクライミング経験や最高グレードの割には、「3」の安定感が高いことです。