2020年8月25日火曜日

3が、できてない

8月8日(土)は、岩場リード講習にて、小川山。
全員復習参加で、女性Mさん、女性YIさん、男性SRさん。

8月9日(日)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性SUさん、復習参加の女性ISさん。

題名は、Mさんが自身を振り返って挙げた言葉です。

動きの解説なので、分かりにくくなること承知で、文章にしてみます。

まず、両手両足の4点が岩(ジムのホールドでも同じ)に接している状況を、「4」と呼びます。

次に、このうち1点が岩から離れている状況を、「3」と呼びます。


クライミングを、「原則1点ずつ手足を動かしていく将棋やチェスのようなゲーム」だと捉えるという話です。

具体例で見て行きます。


・「3」で余裕を持って完全静止できれば、チョークアップ、クリップ、レストなどが可能になります。

・「3」で静止できないまま、スピードや反動を利用した形で、「パッと」手(足も同じ)を出せば、デッドポイントになります。


「意図的な片足バランスで手を出す、2点支持」、「乗り込む際に、自然と下足が離れる2点支持」、「ダブルダイノやコーディネーションのように、複数支点を同時or連続的に動かす動き」、「肘・膝・背中といった、主要4点以外を支持支点として使う動き(ワイドクラック、ハリボテ課題、ニーロック、など)」、という例外は存在します。


しかし、例外は一旦置いておいて、ベーシックに1点ずつ動かすシーンを考え、これを講習で徹底的に練習するシーンはよくあります。


「ちゃんとバランスが取れるまで、1点を動かしちゃダメだ!」

というイメージを叩きこむ感じです。

で、Mさんの感覚としては、以下です。


「3」で静止するために、バランスがとれるまで待つ意識はある。ただし、そもそも3点の配置が悪く、全身に力を込めて数秒我慢して静止する感じになってしまう。

際どいクリップ、一瞬のシェイク、ぐらいには使えるが、悠然とした安定感は得にくい。


つまり、「この3点(ホールド+スタンス)なら安定できる」という“定石みたいなもの”が身に付いない、ということに衝撃を受けたようでした。

これができれば、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?


・今まで、際どい「3」だったところが、悠然とした「3」になり、精神的余裕が生まれる。結果的に、次のホールディング、足置きが丁寧になる。

※クラックでは、ジャミングやカムセットのために滞在時間が必要になるため、この傾向が顕著になる。


また、ジムに関しては、

・定石を理解することで、足のオブザベが進歩する。

可能性もあります。

興味深いのは、YIさんがクライミング経験や最高グレードの割には、「3」の安定感が高いことです。

本人に尋ねると、
「単に、(グラグラするのも、デッドするのも)嫌だからじゃないでしょうか?」
という回答。

それも、よく分かります(笑)。
デッド嫌いが高じて、初級者とは思えない巧みなムーヴを使う人って、結構いますよね。

当然、課題によっては、そのデッド嫌いが決定的なハンデとなりますが。
得手不得手は人それぞれですが、岩場でリードするというテーマの前には、ある程度のムーヴ矯正がなされていきますね。
実践本気トライ
1日目
YIさん:Song of Pine(5.8) フラッシュ(過去の講習で、1本目まで辿り着けずに敗退している)
    かわいい女(5.8) O.S.

Mさん:小川山ショートストーリー(5.9、下部をボルト沿いに登る、恐らくは設定ラインで) O.S.(厳密には、限定しないバージョンで上部は登ったことがあるが、易しいのであまり関係ないか?)
SRさん:小川山ショートストーリー フラッシュ(以下同文)

2日目
ISさん:草餅(5.9) 敗退。ムーヴはできそうだったが、1テン時点で相当に疲労していたので、エイドダウンを開始した。