2025年11月3日月曜日

1月分の予約受付

11月7日(金)の22時15分より、1月分の予約受付を開始いたします。

これまで通り、雪山講習・アイス講習は事前受付をしておりました。
前夜のジム講習、前日や翌日の岩場講習が不可能になるためです。
ただ、その条件さえ満たしていれば、今からでも雪山・アイスの講習は別日でも受付可能です。

ジム講習の場所に関しては、なるべく最初に申し込んだ方の希望に沿うように合わせています。
Dボルダリングプラスリード立川、ランナウト、ストーンマジックが主な候補です。
私から、ジム指定する場合もあります。

クラックリード講習、アドバンスクラック講習は、原則として城ヶ崎です。
岩場リード講習は、原則として湯河原です。
マルチピッチ講習は、1〜2月は原則行いません。

講習場所、料金、その他のお問い合わせがある方は、事前にメールなどでご相談ください。

2025年11月2日日曜日

半端者である自覚は難しい

10月29日(水)は、小川山。
31日(金)は、甲府幕岩。
どちらも、桂くんと。

両日のクライミング内容とは、全然関係のない話ですが・・・。
<小川山>

以前、ガイド見習いをしていたときに、色々と感じたことがありました。
最初に、お客さんは「自立したクライマーになることを、熱望していない。」という点があります。

・地形図を読んでルーファイせずに、人の後ろを歩いてもモヤモヤしていなさそう。
・天候判断など、お任せでも気にしない人も多い。
・撤退判断はガイドにお任せなのは当然として、敗退基準などについて突っ込んだ質問をして学ぼうという意識は感じない。

また、練習と称してフリークライミングの岩場に来ても同じです。

・トップロープを張ってもらい、ガイドが先に登って見本を見るのが当然。そうでないと嫌がる人もいる。
・ガバホールドの位置、スタンスの位置などは教えてもらいながら登りたいと思っている人も多い。
・リスク管理はガイド任せなので、トップロープで振られ落ちする場面などは想定しておらず、軽い振られ落ちでも怪我しそうになる場面がある。(「考えないでも、(ガイド講習会だし)大丈夫だろう」という思考に慣れている。)
もちろん、これを即座に悪いとは言えません。
例えば、「老後の楽しみとして、クライミングと緩く関わる方法としてガイド登山を選んでいるのだ。」と言われれば、我々とは別ジャンルの人だと認識すべきです。

とはいえ、私は相当な教え好き、しかも当時は20代前半の熱い盛りです(笑)。
果敢に「自立し、考えて登ることの楽しさ・厳しさ」を説こうとしました。

お客さんたち自身も、「レベルが低いルートなら、自分たちで行きたい。」、「ボルトルートやジムくらいなら、リードしたい。」などと考えている人も多く、なんだか期待も捨て切れません!

※メインガイドの師匠にとっては、それが微妙だったと映る場面も多かったとは思います。ご迷惑をお掛けしているとは、分かっていましたが。
<アップだが、かなり怖い>

これを3年ほど続けた結果、お客さんの傾向が見えて来ました。

①ごく一部だが、本当に自立する思考に向かう人がおり、彼らはガイドから離れていく。

②「ガイド山行を続けながら、レベルが低いルートだけは自分たちで行く。」、「岩場やジムで、易しいルートや十分にトップロープリハーサルしたルートだけをリードする。」ということを続ける人は、半端者のジレンマから抜け出せない。

③自立した登山者・クライマーへの道のりに興味を示しつつも、それは雑談の中だけ、という人もいる。
①は、優秀なガイドの元からは、お客さんのうち1%の自立したクライマーが輩出される仕組みそのものです。
ときどき岩場で、「〇〇さんの講習会出身で・・・」とかいう強い(当然、グレードのことではない)人が稀にいますので、彼らに相当します。

③は、「自立しない」というスタイルを堅持していると言えます。
<真っ暗な・・・>

②は、30〜60前半くらいのお客さまに最も多い傾向です。
モチベーションも色々と混ざっています。

A)自立して登ったら、「本当の登山・クライミング」って感じで楽しそう。(最も純粋なもの)

B)ガイド登山ばかりだと、お金も続かないから、易しいルートは自分たちで行きたい。(節約思考)

C)ジムやボルトルートぐらいはリードしないと、格好が付かない。(他人の目)

※フリークライミングの完登が、O.S.やR.P.として表記されるため、クライミングジムや岩場で知り合いと喋っても会話が噛み合わない。特に、ガイド登山で多少なりとも登れるようになった人は、トップロープで少々難しいルートをトライしていたりするので、ジムや岩場で「ちょっと登れる人」と勘違いされやすく、居心地が微妙なんだとか。あるいは、自分がトップロープで触ったルートをリードトライしている人に、ムーヴを教えたりという場面もあったりして、本人達も立ち位置がよく分からなくなっている。
<私と同じく、プアプロセクションで敗退する桂くん>

しかし、ここで幾つかの問題が起こります。

●近場の入門ルート(入門マルチであれ、ボルトルートの低グレードであれ、何のジャンルであれ)は、触り尽くしている。

一般のクライマーが、入門ルートで少々の痛い目に遭いながら培って来た基礎を学ぶための最良のルート達がオンサイト状態でなくなっている。
<夕方、ひよこ豆スラブに移動>

●プライドが邪魔をする人も多い。

例えば、ガイド登山とは言え、それなりに難しいマルチとか冬期バリエーションに行ったことがあるという実績が邪魔をします。
あるいは、トップロープや、トップロープリハーサル後のR.P.で、それなりの高グレードを登ったことがあるという実績が邪魔をします。

プライド以前に、「自分は、5.11の実力がある。5.10bくらいは余裕だろう。」と本気で勘違いしている人もいます。
すぐに、泣きそうな目に遭うのですが・・・。
●一般の初級者を見下してしまう癖が付くことも多い。

ガイドから見ると、初心者エリアにいる人たちのリスク管理はボロボロだったりします。
また、練習方法を見ても、「そんな練習方法じゃ、10年後も同じことやってる未来が見えるわ。」と感じるものです。

それを、ガイドはお客さんに話します。
実際、お客さんへの教育としては、その話が有効な場面も多いです。

しかし、その話を頻繁に聞かされ続けたお客さんは、自分が「ガイド側」のような錯覚を覚えることがあります。
実際に、ガイドに習った技術は山岳会のものよりも優れていることが多々あり、錯覚でない部分はあります。

とはいえ、リスク管理や練習方法に多大な問題ははらみつつも、とりあえず自力でそのエリアに来ている人は、ガイドのお客さんよりも言葉に表しにくい強さが隠れていることもあります。

●「連れられの悪癖」VS「ガイドに習ってきた経験」。どちらがプラスになるかは非常に難しい。

例えば、トップロープで難しいルートに触ることに慣れた人は、とにかく無我夢中で上を目指します。
自分が本来リードで取り付けるグレードより上のルートなので、レストしながら考えるどころか、「私にとって、レストポイントが無い!」という本人の気持ちも理解できます。

さらに、核心部でぶら下がり、ガイドやお客さん仲間から、下から「やいのやいの」とホールドや足位置の指示を受けます。

これに染まると、お客さんは核心部のことだけしか記憶せずにロワーダウンされることになります。

実際には、リードというのは、核心部に行くまでの省エネ・レスト・ルーファイ・リスク管理などを洗練させて、核心部にエネルギーをぶつけるものです。

こういった悪癖が付いてでも、「高グレードをトップロープで触り続けた方がグレードが伸びて、結果的には低グレードならリードできるようになる。」という持論を展開する方もおります。
この持論は、難しいマルチでガイド登山、入門ルートは自分たちで、というのと似た構図です。

実際、入門ルートや低グレードは登れちゃうとは思います。
ただし、見るからに「地に足が着いていない人間」が出来上がります。
<甲府幕岩、初夏をトライする桂くん>

少し、話を戻します。

①は、ある種の理想です。
ただ、比率から考えてもガイドの教育成果とは思えません。
クライマーになるべき人が、クライマーになった。ガイドは、教育者であることよりも、本人が優秀なクライマーであることが最も大切。という話です。
彼らにとっては、当塾なんかよりも一流クライマーの弟子になる方が良いのかなとも思います。
もっと言ってしまえば、「ガイド講習に行かなくても、優秀なクライマーにジムとかで拾われて、登れるようになったかもね・・・」というぐらいの超優秀層です。

③は、いわゆるクライマーとは違うカテゴリーだとは思いますが、違うジャンルとして理解できます。

②は、ボリュームゾーン(人口が多い領域)です。
いつしか自立したクライマーに化ける可能性もあるので、私のような人間は強く期待も寄せがちです。
が、この状態が最も危険な時期とも言えます。

私の講習生にも、②の意識が強い人はそれなりの人数がいます。
「ガイド登山・連れられ山行・トップロープ講習で満足しているような、ちゃんとリードしたいような・・・」という層です。
もちろん、技術や心構えの習得に、最も難儀する層です。

しかし、今回書いたような内容って、本当の意味で理解できるのは自立したクライマーだけなんじゃないかと思います。
技術や心構えができて来て、ようやく当時の自分は半端者であったと思えるというのも、無理からぬ話です。
<ダーティークライマーズをトライする桂くん>

山の世界から離れて、一般化して考えてみます。

「自分が半端者でなくなろう!」と強く意識した分野以外は、誰もが半端者である可能性があります。
そして、半端者である自覚は非常に難しく、ジャンルによっては危険な状態ですらあります。
つまり、これを書いている私も何かしら半端者である可能性がある、ということです。
 

「自分自身や半端者に見える知人に対して、どうすれば良いの?」っていうのは、各自で考えた方が良いかなぁと思います。
以前、私の知り合いで「美味しいとこ取りは、出来ないんだよ。」と言っていた人が居ましたが、それを②のフェーズの人に説得するのは難しいんですよね。
<ハングドッグする私>

具体的に登ったルート
10月29日
・タワーランペ(5.9、NP &ボルト) 再登
・フルート(5.10a、ボルト) 前回ボルトルートして登ったが、桂くんがオールNPで登っていたので、今回は私もオールNPで。風化したクラックなので、かなりやりづらい。

・真っ暗な世界から・・・(5.12a、NP) 敗退。
先日もプアプロセクションで敗退しているので気乗りしなかったが、桂くんの強い希望により再訪。先日は、下部が少々濡れていたのと、プアプロセクション時点でヨレヨレだったので、再訪したら印象が変わる可能性にかけてみる。
今回は、懸案のプアプロセクションで、かなり余裕を持ってオブザベすることはできた。しかし、やっぱり自分の実力には見合わないと判断して、敗退&封印。

・燦燦(さんさん)(5.11b、ボルト) O.S.

10月31日
・ナベちゃん(5.8、ボルト) NPで登った方が自然なので、NPで。ついでに、右のクラックも登って、ウォームアップとする。
・ピリカ(5.10b/c、ボルト) 再登

・幻の右(5.12c、ボルト)
GWに丸1日で3〜4トライして、クリップムーヴが解決していない。

今回は、1トライ目のハングドッグでクリップムーヴが解決。
2トライ目は、下部のムーヴが固まっておらず、まだ全然ダメ。
3トライ目は、ある程度まで固まっていたが、スリップフォール。ちなみに、あまり惜しい感じはしない。

レストしづらいムーヴが続くので、私にとっては暗記がほぼ完璧でないと厳しいルート。
ただ、GWよりは色々と細かい成長を感じたので、それは良かった。