2026年9月22日火曜日

主杖流し 〜 噴火口の底 〜 お鉢巡りの主要全ピーク

富士山仲間に誘われて、開山期間を終えてから富士山のバリエーションルートへ。

N川、S木、K陽と4名で。
<入山時点では、ギリギリ天気が持っている>

主杖(しゅじょう)流し 〜 剣ヶ峰 〜 噴火口の底 〜 お鉢巡りの主要な全ピーク 〜 富士宮ルート下山
という行程。

主杖流しは、尾根とも沢とも言えないような斜面の溶岩流を登るラインでした。
つづら折りしづらいライン取りで、直登気味です。
やや大股にならざるを得ず、脚がめちゃくちゃ疲れました。

岩場歩きは、槍穂の縦走路より易しいぐらいで、傾斜も緩いです。
ただ、登山道よりは当然脆く、バリエーションルートにしては岩が硬めという感じ。
溶岩流と溶岩流の間のザレ場歩きが随所に入るので、そこも疲れます。

入山前は、ルート難易度が分からない上、同行者もクライマーではなかったので、不安でロープとかを持参しましたが、杞憂に終わりました。
ちなみに、支点は色々取れそうなので、1ポイントだけロープを出すとかは可能でした。
<主杖流しの終盤。ほとんど終日、小雨>

剣ヶ峰に到着後、噴火口の底までザレ場を下ってみます。
下りに30分ぐらいですが、浮石だらけなので、なかなか緊張します。

そして、登り返しで脚力が疲労困憊です。
<噴火口の底>

さて、ダメ押しで主要全ピークのお鉢巡り。
ちなみに、お鉢巡り中は、「旅行会社ツアーなら一般的には中止」というレベルの強風、小雨。

以下、山頂の呼称は、こちらのサイトと同じ。(呼称が分かれている)
https://photo-kataru.com/623ap_MtFujiSummitarea.htm

・剣ヶ峰は、本日2回目の登頂。

・雷岩にも一応登頂。
やはり、近づくと小さい。
1箇所だけ、Ⅲ級ぐらい。

・釈迦の割れ石は、岩としても割と立派だが、巻く。
カムが無いと直登は危険なので、諦め。巻き上がった後に裏から見ると、ピークというより肩にしか見えないのが残念。
ちなみに、巻いてもⅡ級ぐらいの岩登り。

・白山は、登頂。
今のように正確な測量技術になる前は、剣ヶ峰より高いと思われていたらしい。
いつも、横目に見るだけだったので、ちょっと嬉しい。

・久須志岳、登頂。
吉田ルートの隠れ御来光スポットらしい。

・大日岳、登頂。
吉田ルートの山頂御来光ツアーでは、個人的にココが一押し。
360度の眺望と、周辺のピークより高いので山頂っぽい。
お鉢巡りが付いていないツアーなら、可能な限り大日岳まで連れて来たいというのが、私の拘り。

ちなみに、吉田口山頂というのは、久須志岳と大日岳の間のコル状の平坦地を指すようだ。
この平坦地に、山小屋と神社が立ち並んでいる。

・伊豆ヶ岳、登頂
こちらも、初めて登った。
ちょっとザレ場を歩く必要あり。

・成就ヶ岳、登頂。

・駒ヶ岳、登頂。
浅間大社奥宮の裏側で、ロープも張られているので、シーズン中は立ち入りが難しそう。

・三島ヶ岳、登頂。
こちらも、初めて登った。
<もうすぐ下山という頃合いで、景色が広がる>

登山開始から2時間ほど、主杖流しのスタート時点で小雨。
雨が止んだのは、富士宮ルートを半分くらい下山してから。

雨が降っていないのは登山道上で、バリエーション中は大体ずっと小雨という、なかなか珍しい体験ができました。
富士山仲間3人は、体力は私よりあるので、ペースに付いて行くのが大変です。
ところどころ、ペースを落としてもらいました。
ただ、必ずしも登山全般に詳しい訳じゃないので、ちょっとアドバイスはしました。
(体力では敵わないあたり、学校山岳部の顧問っぽい感じですが・・・)

①ダウンは濡れたら終わりなので、こういう日はフリースなどの中間着を雨具の内側に着ての行動がオススメ。
ダウンよりは、化繊のワタ物の方がオススメ。
(個人的に、防寒具が多めだったので貸せたけど。)

②ヘッドライトを忘れたら、早急に自己申告した方が良い。
何時まで粘るかとか、そういう戦略に大きく関わる。
(個人的に、予備ヘッドライトを1つ持っていたので問題なかったけど。)

③落石危険地帯は、「フォールラインを外して歩く」or「なるべく距離を詰めて並んで歩く」。
後者の場合、上の人が石を落とせば当たるが、落とした距離が小さくなるから、エネルギーが小さい。
どちらを選ぶかは、状況を見て決める。

④危険地帯では、トイレなどに行くときでも必ず声掛け。
お互いの位置関係を把握して、何かあったら早急に助けられるように。
本日のお鉢巡り中は、終始ガスっていて視界が悪かった。

⑤天気のマシな登山道など、ほぼ絶対的な安全圏であっても、ある程度はお互いの位置関係を把握しつつ下る。
全く立ち止まらず、一度も合流することなく下山すると、かえって「あいつ、何かあったんじゃないか?」と仲間が不安になる。

⑥主杖流しは、途中敗退がしづらい可能性を感じていたので、「小雨の中で突っ込むか?」など、慎重に判断したい。(結果的には、歩いて下山敗退はできそうだった。)
一方、お鉢巡りの各ピークは、危険すぎる岩場が出てきたら敗退して、お鉢巡りの登山道にエスケープすることが容易なので、ギリギリまで攻めても良いと考えていた。
個人的には、とにかく歩き疲れました。
結果論ですが、ロープは不要(釈迦の割れ石を登る、とかなら別です)で、ストックが欲しかった(ストックをしまうのは、お鉢巡りの一部のみ)という印象です。

そして、富士山を別の視点で見てみたり、仲間と雑談しながら歩くのは、本当に面白かったです。
企画してくれたN川さん、一緒に遊んでくれた2人も、ありがとうございます!

2026年9月5日土曜日

急がば回れ

ワイドクラックのムーヴ講習を頼まれて、瑞牆ボルダー。
しかし、午前中はフェースでのムーヴ基礎講習を行うことが多いです。

「ワイド講習を頼んだのに、半日はフェース?」と思う方もいるでしょうから、少し意図を説明します。
<午前中、ウォームアップを兼ねた基礎練習>

理由①
フェースとクラックは、基本的には同じ動きが多い。

例)
・ホールディングがジャミングに変わるだけで、ムーヴ自体の仕組みは変わらないことが多い。
・「手を出すときは〇〇な姿勢で」、「足を動かすときは△△な姿勢で」といった基本中の基本は同じ。
・「岩場ではスタティックで、戻れるムーヴが基本」、「リードは、省エネが重要」などの基本も同じ。
・フォーム(脇を締める、背筋を伸ばす、骨盤、などなど)も基本は同じ。

ちょっと最初は分かりづらいのですが、クラックこそ上記の基本が大切です。

ムーヴもへったくれもない「ガムシャラに、もがき上がる」といった身体操作では、こちらから何かを指摘しても、講習生に変化は見えません。
<午後は、いよいよワイドボルダー>

理由②
課題になっていないフェースの10級を見つけることはできるが、クラックボルダーの10級を見つけられないことも多い。

低負荷で無限に登り続けられるぐらいの課題を繰り返し登り、基本を習得することが大切です。

午前中は、ウォームアップを兼ねて、低負荷の課題を何十回も登ります。
10級ぐらいの課題が何本もあるなら、途中で課題を変えることも可能です。
その際、クライムダウンも行い、さらに基本の理解を深めてもらいます。

午後は、お目当てのクラックボルダー。
しかし、1本登るごとに体力を消耗するので、1回ごとに10分以上のレストを挟んだり、動画を撮ったり、私の解説をメモしたりして、時間を有効活用していきます。

それでも、数時間も講習すると筋肉や体力の限界が訪れ、講習終了となります。
<この手の形状では、外足のヒール&トウが肝になることが多い>

ちょっと補足します。

クラックがフェースと同じというのは、
・ジャミング
・フットジャム
・アームロック
・ニーロック
・ヒール&トウ
・バック&フット
などの技術はありつつも、ムーヴの組み立ては概ねフェースと同じであるという意味です。

もちろん、典型的なOW(オフウィズス)のように、一つ一つの技というよりも技のコンビネーションが大切な形状もあります。

しかし、コンビネーションを教えるのは一朝一夕には行かない、ということが私も講習経験で痛いほど分かりました。

個別の技も不安定な初心者に、コンビネーションを教えようとしても、意識すべきことが多すぎて大混乱に陥ります。
また、コンビネーションの解説を理解してもらうためには、手足を動かす順番を正確に意識できるという能力が必要になります。

かと言って、1つだけの技(例えば、ヒール&トウ)を教えても大して楽にはならず、講習の意義を感じてもらうことが困難です。

そういう意味でも、初心者講習では典型的OWや、真っ向ジャミングのルートは、それほど必要ないように思っています。
スタンスやホールドがあって、クラック技術を交えつつ登れるぐらいのルートの方が、基礎練習には向いていると思うのです。

※講習生が、真っ向ジャミングのルート、真っ向OWのルートを登れるように指導して欲しいと思っているのは分かっています。それにより、コミュニケーションに齟齬が生まれ、講習を続けられない方が多いのも理解しています。しかし、それらを最初から教えるのは全然効率的じゃないと思うに至りました。
<さすがに、結構上手!>

ちなみに、今回参加してくれたHSさんは、上記の基礎講習を何度も何度も受講した上で、今では真っ向OWでの反復基礎練習が可能なまでに上達しました。

それでも、1本トライするごとに5〜15分のレストは必要そうです。
「1つアドバイスして、最低でも数回は反復してもらう。」
という流れを考えると、1日に多くの技術習得はできないことがイメージできるかもしれませんね。