2013年3月31日日曜日

ロープワーク講習に、卒業はないかも

3月30日(土)、31日(日)は、ストーンマジックにてロープワーク講習。
本来は、マルチピッチリード講習だったのですが、雨にて変更。

1日目は、常連の男性HYさん、男性NMさんのペア。
2日目は、常連女性TZさんに加えて、2日目も連続のNMさん。
当塾では、自立した登山者・クライマーを育てることを目標にしておりますので、基本的には

「初見ルートでもリードでチャレンジ出来る = 卒業」

となります。
ただ、リード出来るとは言っても・・・

危なっかしい(特に、トラブルに弱い)、効率が悪い、などの問題は残ります。

そういった意味で、一応は自立している初級者が

・より高い安全
・レベルアップ

を求めて講習を受講するというのは、よくある話です。
で、当塾のロープワーク講習は、まさにその部分に重点を置いています。

例えば、

①ロープの畳み方を、今までよりキッチリやることによって効率アップ

②岩場リード講習で習得済みの終了点作業(結び替え・懸垂)を、より完璧に

この2つは、講習生の方にとっては終わりなき戦いと言っても良いぐらい・・・。
もちろん、こういった基礎は講習の前半。

後半は、その方が未習得の技術を講習します。

例えば、

①懸垂下降の仮固定
②懸垂下降のバックアップ
③登り返し
④リード&フォローのシステム
⑤セカンドのテンション解除
で、初級者のうちは

「懸垂下降って、どうやるんだろう?」
「登り返しって、どうやるんだろう?」

といった型に目が行きがち。

でも、実際は懸垂下降をセットするまでの手順(と、その意味合い)こそが、

・致命的なミスをしやすく
・上級者ほど、効率的な手順を知っている

ポイントなのです。
つまり、

「基本的な型を覚えたとしても、ロープワーク講習は終わらない。むしろ、そこから当面は、レベルアップの期間。」

だということが、私も講習経験を積むうちに分かったことです。
なので、最近は型を一通り講習するというスタイルは止めました。

今は、

・反復練習をして、手順の意味合いを体に染み込ませる
・ちょっとしたトラブル対応など、本人が考える場面に時間を掛けて、手順の意味合いを体に染み込ませる

といった方向にしております。
なので、

「今日一日で、登り返しもテンション解除も両方覚えるぞ!」

と勢いごんで来ても、半分の時間は基礎練習です(笑)。

どうやら、その方が安全なクライマーが育つらしい、ということが私も分かって来たのです。
もっとハッキリ言っちゃうと、

岩場とかで講習の脇でやっている初級者さんのロープワークが、あまりに危なっかしくて注意することも度々。

講習生の方々には、その期間はサクっと乗り越えて欲しいというのが、私の願いです。
具体的な講習内容
1日目:
・ロープの畳み方(通常、背負いの両方。ロープのさばき方も含む。)
・終了点作業(結び替え、懸垂下降、立木の場合)
・リード&フォローのシステム
・ハンドクラック練習

2日目:
・終了点作業(結び替え、懸垂下降、立木の場合。ギアが足りなかった場合の対処も一部織り交ぜて。)
・登り返し(懸垂下降との切り替えも含めて)
・ハンドクラック練習

とはいえ、私の教えられることにも限りがあるので、私の3分の2くらいの技術になったら、さすがに卒業だとは思いますけどね。
それ以上習いたい方は、もっとロープワークに強い先生が良いんでしょうが。

ただ、そこまで行く人って講習生の中には今後何人いるんだろうか?
って、思う程度です。

2013年3月29日金曜日

6月の講習予約受付

6月の予約受付を、4月1日(月)から開始いたします。

土日だけは少し競争があるようなので、2日前に公示しました。
(公平にするため)

5月のカレンダーを見ての通り、土日以外は、すぐには埋まりません。

では、よろしくお願いいたします。



※今回は、特に講習形式に変更はありません。

ただ、HPを現在やっている講習形式に、順次合わせているところです。

2013年3月28日木曜日

自立した登山は、時代の要請?

3月27日(水)は、自分の山行で八ヶ岳。
ガイドの寺田さんと。
寺田さん、スキーに海に、本当にすごい人だそうです。
私は、その分野に明るくないので、よく分からないんですが。

ただ、雪崩の研修では、私の講師にあたるような人。
ラッキーなことに、またまた色々と話を聞けました。
一方で、昨年たまたまクライミングを講習する機会があったんですが、その時はまだまだ初級者って雰囲気。

でも、
「山をオールラウンドに楽しみたい。」、って気持ちの強い人で、モチベーションは最高!

久々に会ったら、一通りの基礎は出来る人になっていました。


<今回のターゲット、赤岳東壁。1ピッチで敗退しましたが。>
さて、寺田さんの仕事は、スキーと海だけでなく、

“自立した登山者の育成”
こそがテーマだそうです。

なんで、最近は夏のテント泊縦走、春の山スキーツアーを講習することを主眼にしているとか。
彼曰く、これは時代の要請。

例えば、

・登山ブームから数年が経ち、一部には「もっと本格的に!」という人が現れている
・現代人の日常にはない、「命に関わる判断」という本質が、山にはある
彼は、その底辺を主に講習していることになるので、

「いま、お客さんのニーズが、そういう方向に来ていることをビンビン感じている。」

という話だそうです。
アルパインの世界も、10年前に比べると

「どんな手段を使っても、難ルート!」

という時代から

「入門ルートでも、ちゃんと登ろう!」

という時代に移り変わって来ているのを感じます。
“ちゃんと”
っていうのは、

・フリー、オンサイトなどの現代的なスタイル
・高い安全意識

などなど。
彼曰く、私のやっていることは、まさにドンピシャ。

「5年後には、石田くんがやっているようなスタイルは、エントリー層の間で流行すると思うよ。」

そうなったら、同業他社も現れるし、講習専門の会社経営する人も出てくるという予想。



今現在、入門アルパインを現代的なスタイルで講習する人って、他に全くいないのが現状なんですけどね。

この先、どーなって行くんでしょう。

無料体験講習会(3月)

3月26日(火)は、無料体験講習会。

昼は、雪上訓練レベル1に参加したことのある男性OYさん。
加えて、リード講習も兼ねて常連女性SMさん、同じくODさん。

夜は、新規の女性SDさん。
本日の場合、無料体験講習会と絡めて、SMさんとODさんにはリード講習第1回目。

・ネコ足
・トップロープのビレイ(特に、スライドする方法)
・踏み換え
・クリップ練習

などを行いました。
昼間の方は、自立したい仲間が少ないので、どうしてもマンツーマンが多くなってしまいます。

が、マンツーマンだと伸びが非常に遅い・・・。
仲間が1番大切ですね。

本日は、2人に同じ内容の講習ができて、本当に良かったです。

阿弥陀北稜を完登!

3月25日(月)は、阿弥陀北稜にてアルパインリード講習。

リード予定の女性TZさん、フォロー予定の男性NMさん。

<暗いうちに出発>
マルチピッチリード講習の卒業生は居ない、と前回書きました。

が、1番それに近いところにいるとすれば、TZさんです。
秋には、マルチピッチリード講習で二子山中央稜も完登していますし。

そして、NMさんはTZさんとともに阿弥陀北稜に先月に下見にも来ています。

これなら、今回はバッチリでしょう!
という訳で、今回は2人で作戦を立ててもらい、私が付いて行きがてらアドバイスする形式。

その場で、
「こうすると良いですよ。」

下山後に、
「今度は、こうすると楽になりますよ。」

といった話をします。

<荷物のデポ、装備の装着>
・どうやって軽くするか?

<どこから右手の北稜に取り付くべきか?>
・雪崩道を避けるか?
・近道はどこか?

<さあ、いよいよ岩場>
・どこから取り付くか?
・準備で手間取らない段取りは?

<必死のロープ操作>
・どうすれば、手際よくなるか?
基本的には、マルチピッチリード講習を同じ形式です。

対象としては、マルチピッチリード講習を数回受けている人に限ります。


さて、後は完登へのラストラン!

<ダイナミックな登攀気分>

<完全に残雪期だが、景色は素晴らしい>

<プロフィール写真にでも使えそうな、ロープを畳む1コマ>

<完登して、阿弥陀岳の頂上で40分も休憩>

<気合いを入れて、急な雪壁を下山>

<無事に下山>
危なっかしいミスもなく、素晴らしい登攀でしたね。
二人で相談しながら、色々なことを決めるのも、本当に良かったです。


具体的な講習内容
・アックス、ギア、などの収納方法
・手袋などの選び方
・ロープワーク(マルチピッチリード講習と同様)
・雪崩についての基礎

こういったルートに、今すぐ自分達で行くのはオススメできません。
が、ちょっとロープを出すかも、くらいの夏なら急峻な登山道に登るのが、良いステップアップになると思いますよ。

真教寺尾根、黒戸尾根、西黒尾根、探せば色々あります。

マルチピッチリード講習のモデルケース?

3月23日(土)、24日(日)は、マルチピッチリード講習。

常連男性ONさん、初日のみ参加の女性TZさん。
マルチピッチリード講習では、実際にお客様にリードして頂きます。

で、

・ライン取りを間違え
・ちょっと危なっかしいことをし
・ロープを絡ませ
・カムなどのプロテクションの戦略に頭を悩ませる

トラブル連発をやってもらいます。


<姿勢が苦手なONさん、骨盤が後に行ってますね>
それに対して

「もっと、こうした方が良いですよ。」
「それは、危ないから止めてください。」

などの指摘を行って行きます。


<1ピッチ目で基礎練習>
つまり、この講習を受ける段階では、

“行こうと思えば、マルチピッチに行けるかもしれない。けど、たぶん経験者と行かないと危なっかしくて仕方がない”

くらいの実力が求められます。
具体的には

・リード&ビレイ
・数回のフォロー経験
・カムセット
・1ピッチの終了点作業などの、基礎的なロープワーク

などは分かっている前提です。



で、新たに講習する内容は、

・ダブルロープの扱い(リード、懸垂)
・固定分散などによる、カムでのビレイ点作り
・ハーケンの打ち方
・登り返し、セカンドのテンション解除、などのロープワーク(できれば、雨の日のジムで)

くらいです。

<フォローしながら、カムの回収>
あとは、クラック講習の補習と同じ・・・。

ひたすらピッチ数をこなして、効率と安全性を上げてもらいます。


<2人で、ギアの数やビレイ位置などの相談>
そんな中、岩場に残置されている支点の種類も説明します。

特に、施工が間違っているものなんかは、要注意です。
まだ、マルチピッチリード講習を卒業した人、というのはおりません。

居るとすれば、
「もうすでに、マルチピッチに行っちゃってます。」

という人が、1回だけ私にアドバイスを求めに来たことがある、という話くらい。
私も、正直何回で
「まー、自力で行ってみちゃって下さいよ。」

と、言えるかは読みづらい。

ただ、1つ分かって来たのは、

”マルチピッチリード講習を受けたら、1ピッチだけをリード&フォローして、懸垂下降する練習を自力でガンガン行うべき”

ということです。

実際に、2ピッチ目でトラブルが発生すると、本当に事故に繋がります。
しかも、最初のうちは失敗ばっかり(笑)。

<本気のリード>
この3日前に、TZ塾シングルピッチリード講習、なるものが開催されたそうです。

(TZさんが講習生仲間2名を連れて、越沢の1ピッチ目を練習したというもの)

そういうのが大事ですね。

<2日目は、二子山のつもりが雨で河又>

<ビレイ点の作り方、ちょっと寂しいマンツーマン>
具体的な講習内容
・上記の内容を、実践で出てきた都度に


<夕方に、登り返しのシステム練習>
ONさん、さすが戦略家!
マルチピッチまでの道のりは、早い方かな?

TZさん、故障中ながらも思ったより登れてホッと一息ですね。

2013年3月23日土曜日

ムーヴ講習は、下のクラスに参加してもO.K.

3月22日(金)の夜は、ムーヴ講習レベル0。

無料体験後、初回の男性SRさん。
同じく無料体験後、初回の女性KIさん。
加えて、常連男性Hさん。 
常連男性Hさん、実はクラックリード講習も終えているくらいの経験者。
ホントは、レベル1かレベル2が丁度良いくらいの人です。

ですが、今回は日程の都合でレベル0に参加。
(※上のレベルの人が、下のクラスに参加するのはO.K.)

ただ、レベル0は“全くの素人さん~ジムでのリード以前”というのが、対象。

したがって、トップロープのビレイ操作も講習内容のうちです。

そんなことで、上のレベルの人が参加すると、
「まどろっこしいなぁ」
と感じるかもしれません。

それでも構わないのであれば、レベル0の中で講習を行います。
で、今日は・・・

A:
レベル0の2人は、トップロープのビレイ練習を兼ねつつ、基礎練習。

B:
Hさんは、完全に別メニューで独りで登ってもらい、それを私がアドバイスしていく形式。

結果は、かなり成功でした。
今回は、偶然にもレベル0の人が偶数だったから出来たこと。

しかも、Hさんが約半年ぶりのムーヴ講習だったので、ちょっと教えるだけでグイグイ伸びる状態だったからこその成功かも。

レベル0の人が、1名or3名だったら、Hさんと組んでもらうしかなかったですけどねー。
その場合は、下のクラスに合わせたHさんに、多少我慢してもらう予定でした(笑)。


具体的な講習内容
SRさん、KIさん向け:
・一手一手、レストする練習方法
・ネコ足
・肩の脱力
・姿勢

Hさん向け
・オープンハンド
・ネコ足を、より完成度を上げて
・踏み換え
・反動ムーヴ
・反動の際に、胸の張りも利用する方法
・ランジ(最も易しいタイプ)

SRさん、もうリード講習で大丈夫ですね。
ロープも購入済みとのことですから、今度はリードで!

KIさん、そろそろシューズ、ハーネス、チョークバッグを買ってしまいましょう!
まずは、そこからですね。

2013年3月22日金曜日

ネコ足に関してあれこれ

3月21日(木)の夜は、ムーヴ講習Lv.1。
先日、リード講習を終えた男性HMさん、女性HMさんのペア。
ムーヴ講習で、ほとんど1番最初に伝えること。
それは、ネコ足。

「スタンスに足を乗せる際に、足音を立てずに置くこと」

です。

たしかに、上手い人を見ると、易しいルートを登るときは90%以上はネコ足。
また、本気トライであっても、半分くらいはネコ足。
ネコ足にする利点は?
と聞かれると、チョット困ります。

「なぜ、上手い人は足音が立たないのか?」
と聞かれれば、回答しやすい。

①スタンスの中でも、1番良い場所に置こうとしているから
(点で置け!などと形容される)

②足を移動させる際に、体がブレないようにしているから
(ブレると、壁を蹴ったりするので、音が出る)

そう、ネコ足は結果なのです。
ただ、①と②ともに、なかなか分かりにくい。

例えば、①は

「スタンスに、シューズのゴムを馴染ませる」

というイメージで理解できる人

「爪先で、スタンスを握るように」
(※逆に言えば、インカットしたスタンスは握りやすい)

というイメージで納得できる人

日々、表現は試行錯誤です。


また、②は言葉では説明しづらい。

ブレている人に、
「あなた、ブレてますよ」
と言っても分らない(笑)。

そこで、講習時には実験みたいな練習方法を紹介しています。

そのときに
「あー、自分はブレているんだ」
と分かって頂ければ上出来です。

ネコ足だけでも、奥が深いですね。


具体的な講習内容
・ネコ足
・肩の脱力
・指の脱力(オープンハンドも含めて)
・姿勢

・実践、本気トライ
※2人とも、この日の2便で5.10bをR.P.

ムーヴ講習も有効ですが、タイミングが合えば岩場リード講習がオススメです。
5.10bが登れれば、岩場でも5.9くらいは登れますよ。

2013年3月21日木曜日

今回は、クライミングを楽しむのが目的じゃない

3月20日(水)は、天王岩にて岩場リード講習。

先日、ジムのリード講習を終えた男性STさん。
新規の男性FDさん、男性OTさん。
<とりあえず、朝は終了点作業からスタート>

さて、この日は岩は前夜の雨で、易しいルートはビショビショ・・・。

しかも、彼ら3人はジムでも5.10bくらいがやっとこなので、乾いている5.9は本気トライになってしまい、講習になりません(笑)。

そこで、今日はビショビショの5.4を相手に、延々とシステムを講習。
<岩場でのロープクライミング初体験のSTさん。ビショビショでも楽しそう。>

ただ、皆さん本当にモチベーションが高い。

「今日は、クライミングを楽しもう、ってのが目的じゃありませんから。」
という雰囲気がビンビン伝わって来ます。

私も、心して講習せねば。
FDさん曰く

「普段は、みんなでガンバガンバ!さあチャレンジ!
っていうノリになりがち。

結構危ないのに、ロープワークを習う機会って意外といい加減だったりするから、今回は良かったですよ。」
具体的な講習内容
・エイトノット、ATCの扱い、などの基本確認(FDさん、OTさん)

・終了点作業
(結び替え、残置スリング。立木のみの場合は、今回は無し)

・ウィップフラッシュ現象
・落ちてはいけないセクションと、クライムダウンの練習
・ボルトの種類
・実践リード
これで、岩場リード講習の約半分です。

あとは、立木の場合、終了点の仕組み、捨て縄の使い方、実践本気トライ、などなど。
今回は、とりあえず日帰りだったので、できればもう1日どこかで受講して欲しいですね。