2015年5月13日水曜日

プロテクション戦略 ~~卒業生向けの実践編~~

5月13日(水)は、クラックリード講習にて、湯川。
足利の男性NMGさん。
<台風一過で、まさかのパリパリ乾き>

●入門編

落ちそうなときは、プロテクションが必要。

例①
落ちる気がしないような簡単なセクションから、核心部に入る場合。
→ そのムーヴで落ちるために、プロテクションが必要。

例②
持久系などで、常に多少の落ちる可能性がある。
→ 1つカムを決めた段階で、そのカムで進んで良い安全圏(ランナウトして良い距離)が決まる。少なくとも、その距離以内に、次のカムを決める必要がある。
<快晴>

●基本編

カムは、抜ける可能性がある。
ただし、厳しい基準でチェックしたカムが抜ける可能性は、1%よりも遥かに小さい。

したがって、カムは無造作に連発するよりも、確実なものを1つ決めてランナウトした方がマシ。

そして、どうしても確実なカムが決められないときは、固め取り。(バックアップのために、2つ以上のカムを取る)
<ボルダー練習>

●実践編

とはいえ、実践で1つのカムに命を託すのは、リスクがある。
人間には、ミスがあるのだから。

そこで、条件によっては積極的にバックアップを取る。

例えば
①落ちる可能性が、(感覚的に)10%以上あるなど、落ちること前提のムーヴを繰り出す。

②核心部の前に、明確なレストポイントがあり、固め取りする労力には全く問題ない。

③不安定な体勢でのカムセットとなり、セットミスの可能性を感じる。
<デゲンナーで、落ちる練習>

つまり、

→ 数メートルの核心部があるルートなら、直前に固め取る。
→ 持久系のルートなら、間隔短めにプロテクションを取ることによって、後半戦は1つ抜けても2つ目が自然とバックアップになる。

というイメージ。
<無名フィンガー(5.9?)>

また、城ヶ崎などで、「確実にセットしたつもりのカムが外れることがある。」という話も聞いたことがあるでしょう。
さらに、カムだけをセットして、クリップし忘れたというヒヤリハットも、聞く話です。

そういう意味でも、可能な限りバックアップが推奨される訳です。
<2トライ目>

でも、実践はシビアです。

核心前に、1個しかカムが決められないルートもあります。
持久系のルートの出だしで、どのムーヴで落ちてもバックアップがある状況を作るってのは、手間が掛かり過ぎます。
<無事にR.P.!>

そんなとき、どうします?

「危ない!」
と即断してトライ中止?

「仕方ない!」
と考えて、1個のカムに全神経を集中してカムセット?

「落ちる確率次第!」
と考えて、取れるリスクかどうか総合判断?
<お次は、北京の秋(5.10b)>

総合的な判断なんで、正解は無いと思います。

ただ、そういうリスクを意識して登れるかどうかです。

クラックリード講習では、これについては軽く触れる程度。
卒業した方向けの、実践的な課題でしょうねー。

なんせ、本気トライを重ねることでしか身に付かないものですから。
<オンサイトトライも、惜しくも1フォール>

本日で、NMGさんはクラックリード講習を卒業といたしました。

リードで判断経験を重ねて、強くなってくださいませ!
<初めて講習で使った、ラプター(5.8)>

具体的な講習内容
・スタンスを押しこむ力を意識
・ハンドジャム、引き付けを、最小限の力まで脱力すること
・カムセット練習(地上にて)
・カムで落ちる練習
・本気トライ
無名フィンガー(5.9) R.P. 2便
北京の秋(5.10b) オンサイトトライするも1フォール

・ワイド練習を少々
ラプター(5.8)を使って、足技などを少々