2019年2月25日月曜日

カムスタックから学ぶ、自立への姿勢

2月22日(金)は、IUさんからの特殊オファーで、城ヶ崎のファミリーエリア。
要約すると、
「カムスタックをして、自力で回収を取り組んだのだけれど、全く出来ません。それを回収して欲しいです。また、この機会に回収について知りたいです。回収を頼んでいる時点で、自立していないというモヤモヤがあります。どうでしょうか?」

「回収できるとは限りませんが、数時間は頑張って、あとの時間は普通に講習しましょう。」
と、これを受けて今回へ。
マンツーマン覚悟という話でしたので、カメチヨにも来てもらって。
カムを残置していると、心が痛みます。
ルートを汚した申し訳なさ、恥を全国に晒している情けなさが混ざって、IUさんも「クラックから逃げたくなった。」、「心の闇。」などのセリフを数々。

そして、2時間弱で、無事に回収。

IUさんの顔も、見るからに晴れやかです。
そして、その後で懸案のルート“ファザークラック”を2トライして、無事に再登!

「これで、登らないでおくとトラウマになって、二度と登れなくなりそうなんで、登りたい。」
という熱意が素晴らしい。

山で遭難したら、必ず遭難現場に再訪するタイプの山屋ですね!
さて、夕方にカメチヨ先生が、マザークラックにトライ。

と、ここでまさかのカム3個(笑)スタック。
もうすぐ暗くなるということで、懇願されて、私が回収に上がりました。

で、「やっぱり、こんなんじゃ私はクライマーじゃない。クライマーになりたい。」と落ち込んだカメチヨ先生。
翌日に友達と再訪して、敢えて同じ場所に(笑)カムセットして、R.P.。
そして、自力回収したそうです。
今回のケースで、私の中で思い出された2つの経験則がありました。

①カムスタックは、誰でもやってしまう可能性がある。自分より上手いクライマーでも、回収できないこともある。だからと言って、最初から自分より上手いクライマーと岩場に行きたがるようでは、自立は出来ない。
とはいえ、本当に回収できなかったら、そのルートをクリーニングするためにも、後日に自分より上手いクライマーに頼むのは止むなし。

「山行計画では自力下山出来なかったら死にますぐらいの覚悟で取り組むが、事故後に救助が来てくれたら感謝する。」
というのと、似ていますね。

②他人の力を借りてしまうと、心のしこりは残る。そして、それはR.P.というフィナーレを迎えることで、「まぁ、登れたから良いか。」と感じる人と、「クライミングは過程が大事だから、これで登ったことにしてはイケナイ。」と感じる人がいます。

もちろん、私は後者の考えに立って講習を行っています。IUさんのファザーも、カメチヨのマザーも、これで100%満足しては駄目だと思います。途中段階で、私がカム回収しているので。
ただ、こうなってしまったら、とりあえずR.P.だけはしておいた方が良いと思います。

反省はしつつ、トラウマにはならないようにする、というバランス感覚に立って、次のルートに活かして行きましょう。

まぁ、2人とも姿勢が素晴らしいと思うので、釈迦に説法でしょうけどね。