皆さま、こんにちは。
ようやく、町も涼しくなって来ました。
さて、9月3日(火)の夜22時から、10月分の予約受付を開始いたします。
小川山のスラブで講習できるのも、10月までを予定しています。
11月からは、奥多摩の天王岩、湯河原幕岩になって来ます。
小川山を苦手とする人も多いので、ムーヴ講習としても是非とも。
追記。
9月14日(土)、15日(日)にエイド講習を依頼されました。
単純なカムエイドの復習から、アブミを使用したものまで。
残置(ボルトラダー?)のエイドのみならず、1m以上カムが効かないセクションがあるようなクラックの回収作業にも使えます。
原則、クラックリード講習を卒業した方を対象にします。ただ、クラックリード講習ですでにカムエイドを少し体験した方なら、対応できるかと思います。
興味がある方は、お問い合わせください。
登山講習、読図講習、ジム講習から、リード講習、クラック講習、マルチピッチ講習、雪上訓練、救助訓練、アイスクライミング講習まで。 初心者の富士登山から、アルパインクライミングを目指す方まで全力サポート。
2019年8月30日金曜日
スタティックとダイナミックの境界
8月25日(日)は、岩場リード講習にて、小川山。
女性STさん、復習参加の女性Mさんと女性ISさん。
スタティックムーヴとダイナミックムーヴ。一般的には、デッドポイントとランジが、ダイナミックムーヴの代表例です。
下の写真、スラブをトラバースしているところです。
ここで、片足バランスを作ることが出来ず、
「パッ!」と片足を移動させたとします。
これは、ダイナミックムーヴと呼ぶには派手さが足りませんが、スタティックとも言えないと思います。
この場面で、なるべくスタティックとダイナミックが分かりやすい例を挙げてみます。
この場面で、もし右足を遠くのガバ足に出すときに、片足バランスが出来ないのは承知で、「せーのっ!」で右足を広げたとします。
これは、ダイナミックですよね。
同じくこの場面で、完全な片足バランス(両手のプッシュでバランスは取るのはアリ)で、浮かせた片足をどこに置くか考えるような仕草をしたら、これはスタティックでしょう。
さて、最初に上げた足移動は、スタティックかダイナミックか?
①スタティックは、移動させる1点以外の3点での完全静止を含まねばならない。
と考えれば、ダイナミックかと思います。
②ダイナミックは、顕著な振り子運動などの運動エネルギーを利用したものでなければならない。
と考えれば、スタティックかと思います。
完全スタ、ちょいデッド気味、顕著な振り子運動などのダイナミックムーヴ、という3つ。
「ちょいデッド気味」を、どちらに含めるか、という話。
私としては、①の分類を推奨です。
ダイナミックムーヴには、安全管理上のデメリットが幾つかあり、あくまでも
「これはダイナミックムーヴなんだ!」と自覚した上で使うべきだと思います。
「ちょいデッドであれ、デッドではある。」という認識です。
<かわいい女(5.8)のリベンジ完了>
「顕著な振り子運動を使ったダイナミックは苦手だけど、案外ちょいデッドは出来るんですね。」
と思うことが多いです。
おそらく、ちょいデッドは運動エネルギーのコントロールに失敗しても、次のホールドをミートできることが多いため、指の強い女性などにとっては「あんまり怖くない。」と言うことだそうです。
(コントロールの成否が、指の消耗を左右はしますし、難しければ止まらないはずですが。)
こういう経験から、②としてダイナミックムーヴを分類して考える人がいるのも、理解できます。また、それを前提とした会話もよく聞きます。
<Song of Pine(5.8)をO.S.するSTさん>
これは、図というよりも動画とか実演が必要ですね。
まぁ、スタティックとダイナミックの境界をどこにするかは、案外大事だと思いますよ、という私の見解です。
<無事に再登するも、無知の知を感じるISさん>
2019年8月28日水曜日
クラックの副次効果
8月24日(土)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性NMさん。
クラックをやることで、フェースひいてはジムでのクライミングにもプラスになることは、あります。単純にジャミングが使えて有利、といったことを除いても、色々あると思います。
本日、NMさんがクラック初体験で感想に上げていたのは、
「圧倒的な滞在時間。これでまた、レストが上手くなりそうです。」
とのこと。
ジャミングを決めるだけでなく、カムセットに要する時間、ランナウト具合を考える時間など、色々と時間が欲しいですよね。
長時間滞在の手助けとなるのは、足置きかもしれません。
足がスリップすることが多い人は、疲れちゃいますしね。
あるいは、他に手助けになるのは、クライムダウンに適したスタティックムーヴかもしれません。
不必要なダイナミックムーヴで、進退窮まることは慎みたいですからね。
他にも、先が読めないと怖いので、次にカムが効きそうなポイントまで、オブザベを真剣にやるようになるかもしれません。
総じて、丁寧に、ゆっくり登ることの重要性を、再認識させられるかと思います。
<ツムツム(5.9)>
個人的には、完全なスタティックを強く意識することによって、ダイナミックムーヴの振り子運動の意味を再認識出来るようになる、という感覚です。
<長期滞在の必要性を知る>
「色々と手を出すと、上達しない。」
と考える人も多いので、
「確かにそういう部分もあるけれど、プラスになる部分も多いので、無駄にはならないですよ。」
と思います。
他にも、リード中の様々なリスク認知とか、ホールディングとかにもプラスはあると思います。
何事も、深いところでは繋がっていますしね。
2019年8月26日月曜日
高校生
8月21日(水)は、ご縁があって高校生2人にリード講習。
NJ君、UD君。
高校山岳部での冬山登山は、原則的に行われておらず、春山での残雪登山があります。可能性を狭める「~~禁止」というのは好きではありませんが、①高校生の雰囲気、②山岳部の顧問やコーチの登山技術、③自己責任論の難しさ、などの実態をイメージすると、禁止も理解はできます。
自分が顧問の立場だったらと思うと、さらに色々考えちゃいますが。
一方、リードクライミングは特に禁止されていないようです。
ジムでのキッズクライマーの活躍、ユース選手の活躍は周知のこととして、小川山などでも高校山岳部がトップロープやら疑似リードやらをやっている姿を見かけることはあります。
禁止されていなくても、結局は同じ構図だと思っていますが。
ただ、どうせロープクライミングをやるなら、若いうちからリードして欲しいと思います。
それに伴ってリスク管理とか、自己責任について学んで行ってほしいと思っています。
案の定、雰囲気は大人の講習とは違います。
そして、理解が進むごとに態度(目の色)が分かりやすく変わってくるのが、この年代を
教える面白さかもしれません。
リードが面白いと思ったら、続けて欲しいものです。
きっと、すぐに上達するでしょう。
2019年8月23日金曜日
煩悩との戦い
8月17日(土)、18日(日)は、クラックリード講習にて、湯川。
初日が、女性Sさん、女性FIさん、男性FMさん、男性KTさん。
2日目が、女性FIさん、女性YDさん。
<アイドルの撮影会みたい>
リードって、10年続けていても初心者レベルということは、よくある話だけど、ボルダーだと少ない気がしますよね。
リードのコンスタント5.10aの人口比率、ボルダーのコンスタント7級人口比率とで比べても、リードの5.11a、ボルダーの甘めの5級で比べても何でも構いません。
なぜ、ボルダラーは伸びるのか?
といった、切り口で僕も含めて皆さん好き勝手なことを言う、という雑談。
<カムセット練習>
②ボルダリングは、そういうメンタルコントロールできる人以外は、辞めちゃうんじゃないか?(KTさん)
③リードは、クリップが気持ちいいから、何か凄いことをしているような気分になりがち。やっぱ、紐が諸悪の根源なんじゃないか?(Sさん)
そう言えば、沢でも岩稜でも、「ロープ出す。」っていうと何か凄いことしたような達成感があった。内容的に、それが歩きに近いリードであれ、間違いだらけのダメロープワークであれ。(FIさん)
個人的には、教え好きのオジサンが初心者の女の子に講釈を垂れる、という場面もリードでは多いと思います。
しかも、同一の組み合わせで岩場も連れまわしていたりします。
もちろん、ボルダーでもあるんでしょうけど、リードほどは根深さを感じません(笑)。
思えば、リードは常々煩悩と戦っております。
オンサイトが難しそうなら、ついつい他人のを見たくなったり。
繋げ核心のR.P.は、そのルートを放棄したくなったり。
落ちるのが怖くて、ギブアップのテンションコールしたくなったり、ルート外のガバを掴んでトップロープ状態にしたくなったり。
(しかも、それぞれに妥協が賢明な判断という場合もあり、葛藤は尽きない。)
これらを乗り越えて、ジムのリードをスポーツとして取り組めるようになるまでに、一体どれだけの年月が必要なんでしょうか?
私自身、カチカチとクリップ音を鳴らしながらアップルートを登るぐらいでも十分に楽しいと感じる日もあります。
一方で、ボルダーはバラシを積極的にしたとしても、それ以上の逃げ道は断たれています。
登れない言い訳をしようが、それを我慢しようが、苦しくなるのは自分自身。
いつも、ボルダーで行き詰るたびに、淘汰されそうになる自分を感じます。
<フラッシュトライ>
だからと言って、ボルダーだけやっていれば、リードのリスクコントロールが出来るという風にも行きませんので、単純なボルダラー讃美という訳にもいかず。
色々な畑の人が交わって、考え方を交流させるところも、クライミングの魅力なんですかねー。
<本日、初クラックのFMさん>
<エイド練習>
2019年8月20日火曜日
隣の芝は青い
8月14日、16日で、リード1回目~3回目を全部まとめて受講した、男性NSさん。
これにて、ジムリードは卒業といたしました。
・ジムボルダー主体で、甘めのジムで3級(辛めのジムで4級)ぐらいをトライしている。・岩場ボルダーは数えるほど。そして、エリアは御岳。
・登山は、無雪期登山道までで、これ以上はロープを使えないと危ないと思って、ステップアップは中断中。今でも、ときどき無雪期登山道は行く。
・ロープクライミングは、ジムも外も連れて行ってもらったことが、数えるほど。
・穂高の屏風岩にも興味津々で、一方でリードコンペ動画も見たり、トップクライマーのビッグウォールフリーの記事を読んでみたり。
そんな方って、結構いるもんなんですね。
トップロープにも不慣れかと思いきや、リードの落ちる練習で、すぐに受け身姿勢にも適応していきます。
省エネ技術の話をすると、なんとなくイメージはビッグウォールフリーにだったり。(5.13のピッチでは確実に消耗するから、5.11のピッチは省エネで登らないとダメだ、みたいなイメージ。)
<本日、5.10dをオンサイト、5.11aをハングドッグしてトップアウト>
そして、あるときようやくクライミングそのものが好きになって来て、ようやくバリエーションのためのクライミングとしても成長曲線が順調になってくる感じです。(そこまでは、実に伸びないことも多い。)
いつもながら、対極で面白いです。
個人的には、ボルダラーさんの練習意識・研究意識には感心させられっぱなしで、耳が痛くなりつつも「流石ですね~!」を連発してしまいます。
一方で、なかなかクライミングが伸びない山屋さんの話、あるいは山岳会のモヤモヤ話は、「めっちゃ分かります!」を連発してしまいます。
もちろん、中間ぐらいの人もいますけどね。
隣の芝を眺めつつ、自分の人生を生きる感じですかねー。
2019年8月13日火曜日
落ち込むこと
8月11日(日)は、岩場リード講習にて、小川山。
男性SKさん、女性YIさん、女性KDさん、女性ONさん。
講習中、講習生の気分がとてつもなく下がる、という場面はよくあります。「なんで、こんなに出来ないんだろう。」
「なんで、怖いのに頑張らなきゃならないんだろう。」
「なんで、皆は普通に出来るんだろう。」
「なんで、こんな分野(岩場とか、リードそのものとか、スラブとか、クラックとか、そのときの講習ジャンル)をやっているんだろう。」
「そもそも、クライミングなんて怖いこと、やる必要あるんだろうか?」
(少し悲観的になりすぎて極論で考えている場合が多いので、辞めない方が良いです。)
それが怒りに現れる人もいれば、内に貯めこんで行く人もいます。
そんなとき、どう対処すれば良いのかは、もはやクライミング講習の範疇を超えている気がします。これまでの人生経験が活かされる場面かもしれません。
月並みですが、とりあえず励まされるよりも休憩することの方が有効だったりもします。
それにしても、クライミングというのは驚くほど初級レベル(岩場の5.9、ジムの5.10aを一撃するかどうかぐらい。あるいは、ルールとか岩場の安全管理の初歩を学んでいる段階。)であっても、こういう精神的な葛藤と戦う分野ではないかと感じています。
さながら、体育会の部活で「もう退部します。」、「いや、また~~と一緒に登りたいよ!」みたいな青春活劇でも起こるぐらいの勢いです。
リスクと向き合うからでしょうか、人間関係が近くて様々なパートナー問題が起こりやすいからでしょうか、天候判断なども含めて人事を尽くして天命を待つ場面が多いからでしょうか。
この葛藤は、プロスポーツの選手ですら(だからこそ?)不調でモチベーションが落ちたときなどに色々あるみたいなので、おそらく一生涯付き合っていくものです。
ただ、クライミングというのは、
「〇〇が出来ないので、どういった対策を考えるか?」
といったことを考える時間が、とても長いスポーツであると思います。
だから、クライミングを続けるうちに、そういう生産的な思考回路が板についてきて、対策にもバリエーションが出てきます。
それで、少なくとも私は少し打たれ強くなったと自覚していますし、周りの友人も比較的打たれ強い気がします。
かく言う私も、今日は荻窪パンプに行って、まぁまぁやられて来ました。
5級でも何本も一撃を逃し(というか、2本は結構打ち込みました)、4級などは半分以上で敗退し(むしろ、登れたのが数本あったと言うべきか)。
グレードは辛めだと思いますが、課題は面白いので、ときどき行きたくなります。
調子が戻った気がしても、まぁこんなものかと思いつつ、とりあえず全力が尽くせるようになったことだけでも喜ぼうと思います。
対策としては、今日のが十分にトレーニングになった気がするので、今のところ特別なトレーニングをせずとも、ボルダーを継続すれば少しは伸びそうですしね。
いずれにせよ、大きな成果はなくとも続けていれば少しは変わりますよね。
2019年8月12日月曜日
省エネ技術の必要性
8月10日(土)は、ムーヴLv.0。
新規男性NSさん。
次回は、ジムリードに進んでO.K.です。
上の図は、クライミング中の一手毎に、パンプあるいはヨレが進行していく状況をイメージしたものです。スタート時点を100%、垂壁で大ガバ(例えば、入門ルートの終了ホールド)すら保持できない状況を0%とイメージ。
通常の本気トライでは、途中に難しいムーヴが出てくるとか、悪いホールドが出てくるとかして、0%まで疲れ切らなくてもフォールを迎えます。
で、ムーヴ毎に消費量が異なるので、僅かでも消費量が少ないムーヴを発見することに努めます。
手順、足位置、ホールディング、足置き、ちょっとした態勢などのコツ、などなど工夫の余地は様々です。工夫が上手くいき、良いムーヴが発見される様子は、上の図の赤線が発見されたということです。
大変地味な練習ですが、ときには当然登れるべきルートを、より省エネで登るという作業をオススメします。
5.10台の人が5.10aを登る際に消費するエネルギーと、中上級者が5.10aを登る際に消費するエネルギーは全く異なるはずです。それに少しでも近づく努力は、難しいものですが。
リードが中距離走、ボルダリングが短距離走と言われる所以でもあり、リードでこそ重要になります。
ボルダリングの場合、6級を力づくっぽくねじ伏せた人が3級、ときには2級(!)を完登していたりして、いつもビビらされます。だから、ここで挙げた要素は、ボルダリングの中級ぐらいまでは、さほど重要ではないのかもしれません。
もちろん、省エネ運転が全てではなく、エンジンを強化したり、燃料タンクを拡張することもスポーツとしてのリードクライミングには大事なんですが。
まぁ、私は省エネ技術の習得を強く推奨しますよ。5.11後半が登れる講習生でも、5.10bとかを私から見て楽そうな動きで登る人は居ませんから。それに、マルチとかでは、易しいピッチで消耗していたら、続きませんからね。
本日の参加者が、ボルダリング主体で登られている方で、省エネとかレストについて沢山の小技を講習しました。観念としては、こんなまとめですね。
2019年8月9日金曜日
近況
富士山も終わって、ジムで登っております。
指の痛みや腫れは、週2回のトレーニングならばコントロールできる感じです。
たまーに、中1日のレストで登ってみたりもしています。
ジムのホールドならば、極端に避けるべきホールドは少なくなりました。
ジム限定ですが、1年と数か月前のレベルに戻ったような感覚がしています。(昨年の富士山明けで、あまりの指の痛みに絶望したので、それ以前に戻りたいです。)
戦績で言うと、ランナウトのボルダーで、相当通って赤テープが9割くらい登れる感じ。(前回が、40課題で36完登で、ジャスト!)こんなのは、課題の難易度が揺れたら変わってしまいますので、参考数値ですが・・・。
ちなみに、リードの全課題レッドポイント目標なんですが、今は暑いので休止中です。が、その間も着実にリードエリアの課題は増えていくという(笑)。
あとは、外に行くと諸々の条件で浮腫んでしまったり、指が伸びないからジャミングに支障が大きかったり、といった問題は残っています。
ただ、半年前と比べたら浮腫みもマシだと感じていますので、色々試してみます。
当面は、沢にでも行きたいなと思っています。
とりあえず、ちょっとずつ出来ることが増えてきて楽しい感じです。
頑張りましょう!
指の痛みや腫れは、週2回のトレーニングならばコントロールできる感じです。
たまーに、中1日のレストで登ってみたりもしています。
ジムのホールドならば、極端に避けるべきホールドは少なくなりました。
ジム限定ですが、1年と数か月前のレベルに戻ったような感覚がしています。(昨年の富士山明けで、あまりの指の痛みに絶望したので、それ以前に戻りたいです。)
戦績で言うと、ランナウトのボルダーで、相当通って赤テープが9割くらい登れる感じ。(前回が、40課題で36完登で、ジャスト!)こんなのは、課題の難易度が揺れたら変わってしまいますので、参考数値ですが・・・。
ちなみに、リードの全課題レッドポイント目標なんですが、今は暑いので休止中です。が、その間も着実にリードエリアの課題は増えていくという(笑)。
あとは、外に行くと諸々の条件で浮腫んでしまったり、指が伸びないからジャミングに支障が大きかったり、といった問題は残っています。
ただ、半年前と比べたら浮腫みもマシだと感じていますので、色々試してみます。
当面は、沢にでも行きたいなと思っています。
とりあえず、ちょっとずつ出来ることが増えてきて楽しい感じです。
頑張りましょう!
2019年8月8日木曜日
3つの登り方と3つの批判
8月4日(日)は、ムーヴLv.0。
新規女性NSさん、新規男性KBさん、新規女性KSさん。
8月7日(水)は、ムーヴLv.0。
男性MDさん。(MDさんは、次回からリード講習に進んでO.K.としました。)
今回の参加者の方には、少し専門的な話になりますが、前々から思っていることで、この機会に。「一撃で登れるのなんか、余裕があるんだから練習にならないよ。」
という考えがあります。
極論として、オンサイト(この場合はフラッシュも)は練習にはなっていない発言。
これって、本当でしょうか?
2つ目に、
「数回で登れるルートなんて、足の見落としに気づいたから登れるとか、ムーヴ探ったらすぐ分かったとか、その程度のものだから、練習にならないよ。」
ということを言う人もいます。
つまりは、数回でR.P.出来るルートは練習にならない発言。
しかし、これも本当でしょうか?
3つ目に、
「何十回、何百回と同じルートをトライして、そのルートだけを自動化して登っても、そのルートだけに身体も頭も慣れているだけで、練習になってないよ。」
ということを言う人もいます。
つまりは、通いレッドポインターの否定発言。
これもどうなんでしょう?
この3つの登り方は、自分にとってどのぐらい難しいルートに挑むのが好きか、という好みによります。
とはいえ、よほど強い拘りがない限り、3つの登り方のすべてを味わうことになります。
例として
①本気オンサイトに丁度良さそうなルートであっても、何回もトライすることは有り得ます。
②数トライで片づけるつもりが、何日も通いつめることも有り得ます。
③ジムorよく行く岩場で、手の届く範囲のルートは全攻略したいとか考えたら、必然的に3つの登り方すべてを味わうことになります。
分かっていることは、3つの登り方どれを選択したとしても、御批判の通りになって上達しないことは有りうるということでしょうか。
例)安易な1トライ目
疲れたから「テンショーン。」、「あ、ここにホールドあったのかぁ。次は、使おうっと。」。
そして、無難に2~3撃。
これは、確かに上達しなさそうです。
一方で、本来ならば3つの登り方すべてに、上達するはずのテクニックが隠れているはずだと思います。
だから、この3つに安易に優劣は付けられないと思います。
さて、その隠れた何かを探すためのコツは、(・・・私も知りたいぐらいですが。)
今のところ、1トライ毎を気を抜かず、安易なギブアップはせずにやることですかね。
そこで悔しがることで、「もっと、あーすれば良かったのかも。」という洞察力が働くんだと思います。
根性論っぽく終わってしまいましたが、そんなものですよね。
なんだか私自身の自戒のような文章ですが、頑張りましょう。
2019年8月6日火曜日
2019年8月5日月曜日
当然の結論を、何度でも味わう
8月3日(土)は、岩場リード講習にて、小川山。
女性FSさん、女性FIさん、女性KB。
今年も、富士山で3週間ほど働いて来ました。色々と思うところがあったのですが、その中の1つ。
毎年、それなりの人数の新人ガイドが誕生します。
もちろん、その研修にも関わります。
そこで、新人ガイドであっても知っておいて欲しいこと、判断の基準となる考え方は多岐に渡ります。
普段の講習とは異なり、何でもかんでも伝えたくなってしまいます。
実際、1年目であっても責任ある仕事は任せられますので、こちらも老婆心が満開です。
しかし、知識を詰め込みすぎたり、ルールを強制しても、あまり意味がないと感じる場面も多々あります。
自分を振り返っても1年目は全くダメだったのに、というようなことも教えたくなります。
自分と同じ失敗をさせたくない、という心情です。
反対に、自分が1年目から出来たことは、「なんで、そんなことも考えないで行動しちゃうの?」ぐらいの強い口調をグッと堪えるという場面もあります。
そういうとき、そもそも教えるって何なんだろうとボンヤリ思います。
・自分の経験則を伝える ⇒ 結局、失敗しないと分からないことも多い。
・何も伝えず、見守る ⇒ 経験が伝達されず、先人の失敗を繰り返す。
という2つの対立の中で、「そうは言っても、経験や知識を上手く伝えるための努力はすべし。」という当たり前の結論に、何度も何度もぶち当たります。
実際、5年前とかと比べても、今の方が1,2年目のレベルが高いような気がするので、あながち的外れでない努力は出来ているのでしょう(笑)。
この“上手く伝える”というのが、
・理由を説明すること
・疑似体験させること
・経験則の公式部分だけを暗記させていないか、自問自答すること
・本人が考えるための時間や問いかけを与えること
・何人かで一緒に考える機会を作ること
・教え過ぎ、タイミング、などに注意すること
などなどの様々な方法があるんだなと。
いや、これも当たり前すぎる結論で、それこそ遥か昔の先人が出した回答なんでしょう。
それを知識としてボンヤリと学んだからこそ、いま実感できている訳ですから、習っておいて良かったです。
今回も、帰り道で教え方やら、山岳会での先輩後輩関係などについて色々話を聞いていたので、こんな話になりました。
教えることを職業にしなくても、教えるっていうのは誰しも身近な場面ですからね。
さて、今回でFSさんとFIさんは、岩場リード講習を卒業といたしました。
とはいえ、クラックだけでなく、まだまだスラブも学びたそうでしたが。
では、引き続きよろしくお願いします。
2019年8月2日金曜日
どこでクリップさせたいかを読む
7月6日(土)、7日(日)は、岩場リード講習。
1日目は、女性STさん、新規男性KMさん。
2日目は、引き続きKMさん、復習参加の女性ISさん。
岩場においては、ボルトは意図を持って打たれています。「このムーヴ中に、落ちちゃいけないランナウトじゃぁ、さすがに怖かろう。」
みたいに、設定者が思ってくれていると考えれば良いと思います。
そこで、また図で考えてみます。
A~D、O~Rは、それぞれボルトが打たれている候補について挙げたもの。
左図は、ガバを持ってレストしている状態です。
経験上、このシーンではA位置に打ってくれているルートが多いです。
今のスタンスより一歩上がって、引き付けクリップになることもあります。
イメージは、ガバから届く範囲でなるべく高めにクリップされていた方が、今後のムーヴでの墜落距離が軽減される、という感じ。
B、Cというケースは、登る人にとっては有難みが少ない気がしますが、クリップそのものはやりやすいので、たまにある気がします。(Aの位置の岩質が脆い、ムーヴの都合で引き付けにくい、などの理由のときもありそう。)
Dあたりに打ってくれている場合、ガバを取る直前のムーヴが難しく、そこ用のプロテクションといった感じでしょうか。
次に、右図は小テラスのようなスタンスに立った状態です。
やはり経験上、Pの位置にあると今後の墜落距離が軽減されて助かります。
Oの位置だと、身長によっては届かないので、稀だと思います。ただ、テラスからの1歩2歩は難しくない場合などは、アリだとは思いますが。
Qの位置も稀ですが、グランドアップで手打ちボルトとかなら、そういうものかと思います。
Rの位置だと、テラスに立つ直前のムーヴ(例えばマントル)が難しく、そこ用のプロテクションかと推察されます。
そんなことを考えるようになると、設定されたクリップ態勢に導かれ、以前よりもボルトルートが登り易く感じるように思います。
初心者の場合、Aの位置に打ってあるのに、ガバより上のカチを保持して顔位置で必死でクリップ、みたいなことをやりがちです。
こういうのって、ジムでも同じじゃないかと思います。
僕も、ガバで引き付けクリップさせて、そこから4手ぐらいクリップしにくいムーヴを連続させ、次のレストポイントでクリップ、という感じでルートを作成することがあります。
この際、ガバで引き付けクリップを嫌い、結局悪い態勢でクリップしている人って結構多いんですよね。
まぁ、ムーヴの得手不得手もありますから、設定が全てではないのですが・・・。
<スラフェースの5.10aを見事にO.S.>