2020年8月31日月曜日

10月の予約受付

9月2日(水)の夜21時より、10月分の予約受付を開始します。

小川山、瑞牆、湯川も、登りやすい時期だと思います。


定期開催のムーヴ講習は継続しておりますので、どうぞ御参加ください。

前記事の、成果に直結しないことを練習するのは、1人ではなかなか難しいですから。


また、9月のスケジュール欄にある富士山登頂率向上プログラムは、以下の企画です。

石井スポーツ登山学校「富士山ガイドと行く富士山登頂率向上プログラム」

2020年8月27日木曜日

成果に直結しない練習は、いつやるか

8月10日(月、祝)は、リード1回目&ムーヴLv.0にて、女性AKさん。
8月13日(水)は、リード2回目にて、女性AKさん。
ムーヴLv.0にて、女性KTさんも加えて2名で。
「リードで落ちる練習をした方が良さそうだ。」とは思っているが、ジムに行くと目の前の宿題回収やムーヴ解決に夢中になる、というケースは多いと思います。

「低グレードで足置きの練習をする時期を作った方が・・・」
「低グレードで全ホールドでレストする練習をする時期が・・・」
「ボルダリングで、ちゃんと着地を意識する練習をした方が・・・」
「オブザベに時間を掛けた方が・・・」
「ときどき動画を撮った方が・・・」
やらない理由は、何なのでしょう?
①目の前のムーヴ解決、宿題回収が楽しい。
(実際、クライミングの主たる楽しみだとも思う。)

②それが上達に繋がると信じている。
(実際、目の前の課題に夢中になることは、上達の半分くらいの要素を占める気はする。)


また、この話で一番代表的なのは、ムーヴの矯正だと思います。
例えば、腕で引く登りから脇を締めるフォームに切り替えている最中は、以前より登れなくなることすらあります。
丁寧に登る練習をしている最中は、以前よりスピードがゆっくりになり、前よりもグレードが落ちることすらあります。
しかし、いつか変えないと故障リスクが高いままですし、雑な登りは岩場での事故にも繋がります。
そして、練習方法さえ正しければ、数ヶ月~数年で少なくとも以前と同じレベルまでは登れるようになる、というのが自分や友人、講習生を見ていての印象です。

この期間を、長いと捉えるか、短いと捉えるか。

岩場で事故を起こせば、本当に恥を感じます。ヒヤリハットですら、人格否定された気分になります。
宿題回収や目の前のムーヴ解決だけを追っていても、何年も上達を感じないことは、十分に起こります。

一般的にクライミング歴5年~10年にもなれば、上達はゆっくりになるものです。
そう考えれば、数ヶ月~数年はそんなに長くもないと思います。
例えば、60代以上とかだと、数年はツラすぎると気持ちを推し量れる反面、年齢が高いほどこういう基礎を見直さないと故障や事故リスクが高い、という風にも見えます。

これを本気で実感できるのって、
・故障経験者
・大事故経験者
・10年くらい成長を感じずに腐りかけた経験のある人
くらいかも(笑)。

でも、上記の人って、クライミングを辞めるか紙一重な気もします。
僕自身、全部に多少は当てはまっていますが。
人間の悲しい性ですねー。

2020年8月26日水曜日

お知らせ

今週末、8月30日(日)が、クラックムーヴ講習(ワイド予定)となっております。

参加条件は、クラックの5.9を3本以上オンサイトまたはフラッシュしていることです。

比較的申し込まれることが少ないクラスなので、興味がある方は是非ともどうぞ。

2020年8月25日火曜日

3が、できてない

8月8日(土)は、岩場リード講習にて、小川山。
全員復習参加で、女性Mさん、女性YIさん、男性SRさん。

8月9日(日)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性SUさん、復習参加の女性ISさん。

題名は、Mさんが自身を振り返って挙げた言葉です。

動きの解説なので、分かりにくくなること承知で、文章にしてみます。

まず、両手両足の4点が岩(ジムのホールドでも同じ)に接している状況を、「4」と呼びます。

次に、このうち1点が岩から離れている状況を、「3」と呼びます。


クライミングを、「原則1点ずつ手足を動かしていく将棋やチェスのようなゲーム」だと捉えるという話です。

具体例で見て行きます。


・「3」で余裕を持って完全静止できれば、チョークアップ、クリップ、レストなどが可能になります。

・「3」で静止できないまま、スピードや反動を利用した形で、「パッと」手(足も同じ)を出せば、デッドポイントになります。


「意図的な片足バランスで手を出す、2点支持」、「乗り込む際に、自然と下足が離れる2点支持」、「ダブルダイノやコーディネーションのように、複数支点を同時or連続的に動かす動き」、「肘・膝・背中といった、主要4点以外を支持支点として使う動き(ワイドクラック、ハリボテ課題、ニーロック、など)」、という例外は存在します。


しかし、例外は一旦置いておいて、ベーシックに1点ずつ動かすシーンを考え、これを講習で徹底的に練習するシーンはよくあります。


「ちゃんとバランスが取れるまで、1点を動かしちゃダメだ!」

というイメージを叩きこむ感じです。

で、Mさんの感覚としては、以下です。


「3」で静止するために、バランスがとれるまで待つ意識はある。ただし、そもそも3点の配置が悪く、全身に力を込めて数秒我慢して静止する感じになってしまう。

際どいクリップ、一瞬のシェイク、ぐらいには使えるが、悠然とした安定感は得にくい。


つまり、「この3点(ホールド+スタンス)なら安定できる」という“定石みたいなもの”が身に付いない、ということに衝撃を受けたようでした。

これができれば、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?


・今まで、際どい「3」だったところが、悠然とした「3」になり、精神的余裕が生まれる。結果的に、次のホールディング、足置きが丁寧になる。

※クラックでは、ジャミングやカムセットのために滞在時間が必要になるため、この傾向が顕著になる。


また、ジムに関しては、

・定石を理解することで、足のオブザベが進歩する。

可能性もあります。

興味深いのは、YIさんがクライミング経験や最高グレードの割には、「3」の安定感が高いことです。

本人に尋ねると、
「単に、(グラグラするのも、デッドするのも)嫌だからじゃないでしょうか?」
という回答。

それも、よく分かります(笑)。
デッド嫌いが高じて、初級者とは思えない巧みなムーヴを使う人って、結構いますよね。

当然、課題によっては、そのデッド嫌いが決定的なハンデとなりますが。
得手不得手は人それぞれですが、岩場でリードするというテーマの前には、ある程度のムーヴ矯正がなされていきますね。
実践本気トライ
1日目
YIさん:Song of Pine(5.8) フラッシュ(過去の講習で、1本目まで辿り着けずに敗退している)
    かわいい女(5.8) O.S.

Mさん:小川山ショートストーリー(5.9、下部をボルト沿いに登る、恐らくは設定ラインで) O.S.(厳密には、限定しないバージョンで上部は登ったことがあるが、易しいのであまり関係ないか?)
SRさん:小川山ショートストーリー フラッシュ(以下同文)

2日目
ISさん:草餅(5.9) 敗退。ムーヴはできそうだったが、1テン時点で相当に疲労していたので、エイドダウンを開始した。


 

2020年8月19日水曜日

自主性の方向性

8月7日(金)は、自分のクライミングで、小川山。
Kタク先生、Y子さん、ナエさんのトリオと。
サイコロ岩下のエリア。

自分より判断力が低い人と登る場合、先輩(?)的なポジションの人は、何に自主性を持ってもらいたいと考えるのでしょうか?

<トライ中、いかにパニックにならないか>

・トライするルート選択

・各自のトライ中のリスク管理

・ヌンチャクの本数などのトライ準備

・終了点などのロープワーク

・ラインのルートファインディング

・そもそものアプローチの岩探し

・ホールド探し

・フォールの恐怖心コントロール


個人的には、どの要素も他力依存に陥って自立できない初心者も思い浮かびます。
「どれも全部。」という気持ちがありますが(笑)。

今回ご一緒したメンバーは、ジムスタッフ、コンペティターなどとあって、僕とは

別分野のスペシャリスト。


例えば、ハングドッグ中のムーヴアドバイスには、アドバイスされる側の自主性を重んじているように見えます。

「自分は、~~でやりましたよ。きっと、××さんのリーチでも同じようなムーヴになるんじゃないかとは思うけど、まぁ他のもあるんじゃないかな。例えば、△△とかもありそう。」


さすが、ジムスタッフらしいアドバイス!

<まだリードで落ちられない中で、気迫で5.12aをR.P.してしまうのは、流石>

初心者側が

「これについては、まずは自力で考えたいので、とりあえず口出さないで下さい。後でフィードバック下さいませんか?」

と言えたら良いのですが、なかなか言えない人間社会。

むしろ、不安症な初心者は、どんどん情報を聞いてしまいます。


自主性の方向性が、成長の方向性を決めるんでしょうけどねぇ。

いつもの話ですが、改めて感じた1日でした。
具体的に登ったルート

・トポとの照合が上手くできないのだけど、5.9ぐらいのを2本、5.10~5.11aぐらいのを4本。

2020年8月16日日曜日

副次効果の方が大きかったのでは?

しばらく、パソコンが使えない状況に陥っています。
タブレットがあるので、最低限の連絡はできますので、ご安心ください。
とりあえず、ファミレスのWi-Fiより。

梅雨の影響もあり、7月後半は全てジム講習でした。

7月23日(木)は、クラックリードが雨中止にて、ムーヴ講習。
男性KTさん。

7月24日(金)は、ムーヴ Lv.0。
女性AKさん、男性KTさん、復習参加の男性NMさん。

7月28日(火)は、やはり雨中止にてムーヴ講習。
女性Mさん、女性 YIさん。
で、その夕方にリード講習。
男性AHさん、男性SHさん。

7月30日(木)は、ムーヴ Lv.0。
新規で、男性SJさんと男性HJさん。

8月4日(火)は、ムーヴ Lv.0。
女性AKさん、男性NYさん、男性KIさん。
AKさんは、リード講習に進んで O.K.としました。

8月6日(木)は、ムーヴLv.0というか、団体貸し切りのような形。
全員新規で、TWさん親子、男性HNさん、女性YZさん。
易しいルートで、足音を立てない(ネコ足)ように登る練習があります。

それによって、
・足置きが最低限レベルで丁寧になる(よく見る、凹凸と足裏を合わせる、など)
という直接的な効果もあります。

これだけなら、このメニューは初心者専用なのかもしれません。
しかし、実際にやってみると、ジムの5.7では出来ても、5.9では相当難しかったりします。

やや体幹に力を込めたり、プッシュなどを多用して、どうにかバランスを作って、何とかネコ足をキープすることになります。

これを突き詰めると、省エネよりもネコ足を優先した登りになるため、「はたして実践的なんだろうか?」という疑問が沸きます。

そのため、5.8以下、7級以下ではネコ足練習をしている人は居ても、5.10bや6級でネコ足練習する人は、激減します。
しかし、初心者時代にネコ足を意識したことで、足位置を考えたり、ムーヴを考えるようになった日々を思い返して欲しいのです。

実は、こちらの副次効果の方が、あなたの登りを変える切っ掛けになったのかもしれません。
もちろん、5.10cが本気オンサイトトライの人にとっては、5.10cでネコ足練習している場合ではありません。
足音が立つかどうかが問題ではなく、最も合理的な動きを選択すべきです。
(とはいえ、中上級者は本気トライでもそれほどバタバタしないものなので、それはどういう理屈なのかは真剣に考える価値ありです。)

でも、5.10aを根性でネコ足してみる、というゲームは、意義深い練習になるかもしれません。
副次効果を狙っているんで、ゲームをクリアするために、めちゃくちゃ頭を使って工夫することが大切です。
これが、すぐに「〜〜の場面で役に立つ。」というものではありません。
でも、こういう副次効果で、あらゆる場面に通じるムーヴの理屈が理解できることもあります。

この話は、ネコ足だけではないと思います。

初心者時代に行った練習を、再評価する切っ掛けになって欲しいものです。

2020年8月6日木曜日

セルフジャッジ

7月18日(土)は、雨にてロープワーク講習。
NSさん夫妻。

7月19日(日)は、ムーヴLv.0とリード講習3回目。
復習参加の女性HNさん、男性KYさん、MHさん夫妻。
これにて、KYさんと、MH奥様は、ジムリード講習を卒業といたしました。
本日の講習とは関係ないのですが、よくジムなどで話題になる話。

・手足限定課題で、他のホールドに触れてしまったとき。
・左壁なし、カンテなし、などと書いてあるのに、触れてしまったとき。
・ボルダリングのスタート周辺で、マットに擦れてしまったとき。

あなたは、どうしますか?
①ルール上、使ってはいけない(無いと仮定して登っている)ので、アウト。
②他にホールドが付いているんだから、仕方ないので、セーフ。(コンペや岩場なら、そもそも付いてない。)

それぞれに言い分があります。
「コンペじゃないし、岩場で~~を完登した!と他人に発表するわけでもないので、厳密にやる必要はない。」
という意見もあります。
(知り合いには「登ったよ!」と言いたいと思うので、程度の差こそあれ発表しているという考えもあります。)

「長い課題だと、ちょっと触れたぐらいでトライを辞めたくない。」
という気持ちも分かります。
僕も、オンサイトトライなどのときに、痛感します。
反対に、こういう場面も見かけます。

「できないムーヴを何度も練習して、あるとき他のスタンスに荷重してしまい、そのお陰で突破できてしまった。」
ハングドッグもボルダー課題も、マット擦れも左壁も、同じです。

この場合、「そのムーヴ練習は、何のためだったのか?」という疑問が生まれます。
回答①
「そのルートを、完登するため。」

回答②
「そのムーヴを習得した、という達成感を味わうため。」

回答③
「将来、似たような手足の配置が出てきたときに、対応できるようにするため。」

さて、どうでしょう?
①だったら、甘くジャッジして欲しいというのも分かります。

しかし、あなたが上達したいと考えてクライミングをしており、そのムーヴ練習が③だったら?
今まで10回、20回と同じムーヴを練習し続けたあなたの努力は、結実しないまま、その課題を立ち去ったのと同じになります。

素人さんがテンション張り張りのトップロープで「突破できた!」と言っているのと同じで、ムーヴが上手くなる可能性を感じません。
ここで1つ、妥協案があります。

疑惑のステップを踏んだとき、それがどれだけバランスに影響したかをセルフジャッジするという方法です。
同じく、マットに擦れたとき、それがどれだけ振られを止めたかセルフジャッジするのです。

もちろん、初心者には難しいと思います。
ただ、これを追求することは、「なぜ、ここに荷重されると、ムーヴが楽になってしまうのか?」を考えるきっかけになります。

つまり、セルフジャッジする習慣自体が、ムーヴの勉強だという考え方です。

この話に限らず、岩場クライミングも、セルフジャッジが多いですよね。
「エキスパートが、超厳格派」とも限りませんが、「強いのに、超ゆるゆる。」ということも少ないと思います。

厳しめにするメリット、デメリットを考察すること自体が、面白いと思うんですが、どうでしょう(笑)。

2020年8月4日火曜日

小川山スラブを念頭に置いて生きる

7月12日(日)は、梅雨の晴れ間を付いて、小川山で岩場リード講習。
女性STさん。
小川山のスラブが苦手だという人は、とても多いです。

これに対して、「通うしか無いよ。最初はトップロープだよ。」と言う人も居ますが、私は反対します。
最低限の5.7がリード出来るようになったら、5.8からはグランドアップで安定したムーヴとリスク管理能力を並行して上げていくべき、というものです。

その意味で、5.7のトップロープはまだ分かります。5.8~5.9までは、ギリギリでアリかもしれません。
ただ、トップロープ癖というのは脱却が難しいので、ボルトルートもクラックも何もかも、初心者時代を大事にして欲しいと思っています。
このグランドアップの壁を越えられない方は、是非とも講習に来て欲しいと思っています。
「課題が怖いのではなく、お前が危なっかしい登りなのだ!」という前提に立つことで、全てが始まります。

特に、岩場リード講習を卒業した後の復習受講は、小川山を強くオススメします。
さて、講習とは無関係に、ジムでは小川山スラブの練習は難しいのでしょうか?

たしかに、あの形状をジムで再現することは、難しいと思います。
かと言って、ガバ足主体のノーハンド課題をやっても、「何か違う気がする。」というのも理解できます。
この問いに、ヒントになりそうな話。

私がジムで講習生を見ていて、「比較的、小川山のスラブにも対応できるか否か?」は、かなりの精度で当たります。
登りの丁寧さ、フォーム、戦略、ちょっと変な癖、などから、「この手の課題とか、得意そうに見える。」とかは分かりますよね。

※中上級者なら、スローパー課題をトライしている姿を見なくても、「あの人、スローパーは全然ダメそうなフォームだね。」と分かるのと同じ。「どっかぶりはダメそうだね。」、「凹角はダメそうだね。」など、何でも同じ。

中級者がコツを理解しており、それを普段の登りに活用していないのがバレる、という現象です。
つまり、深いところでは共通のコツは存在しています。

ただ、それが出来なくっても得意系はそれなりに登れるので、意識改革が難しいのです。
この話は、中上級レベルでも言えることなので、自分自身の意識も常に疑う必要があります。

これを読んで、ジムでスラブの練習は不可能と思うか、工夫次第と思うかは、あなた次第です。
具体的に登ったルート
・つるかめスラブ(5.7) O.S. 繰り返し、練習。
・やわらかソラマメ(5.7) O.S.
・ソラマメ下部の左端のルート(5.8?) O.S.
・三食すみれ(5.9) O.S.