2019年5月24日金曜日

リード中の思考

今夜より、7月、8月分の予約受付予定です。

5月16日(木)は、リード2回目。
女性OJさん、復習参加の男性NMさん、復習参加の女性Hさん。
リード中、意識していることを改めて整理してみます。

①一般的な注意事項
・逆クリップ、Zクリップなどの、やってはいけない事例集。慣れてくれば、これらはほとんど自動化。
・ロープがムーヴ中にヒールや膝に干渉して、落ちたらひっくり返るリスクはあるので、これには中上級者も一定の注意が必要。

②今(あるいは次のムーヴ中に)、落ちても大丈夫か?
・ランナウト具合。
・下にテラスなどの有無。
・ビレイヤーに関すること。
・次のムーヴに失敗した場合の、態勢。

③次のクリップ(あるいは、レストポイント)までの、ホールド、スタンス。

④ムーヴのコツ、あれこれ。
・「こういうケースでは、こういうイメージでやると、ちょっと楽なんだよな。」といったケース毎のもの。
・フォーム、省エネ技術など、一般的なもの。

一応、講習中はそんなイメージで体系立ててやっています。
それに対し、ある講習生は
「私は、②と③しかほとんど考えていない気がします。」
という感想。

まぁ、それが一番優先順位が高いので、現時点では賢明な判断かもしれませんね。
コツに関しては、地上周辺でのトラバース練習などで身体で記憶したもののみが、自然と出てくる感じでしょうか。

少しずつ、全体が見渡せるようにして行きましょう。

2019年5月22日水曜日

7、8月分の予約受付

皆さま、こんにちは。
明後日の5月24日(金)の夜22時より、7月、8月分の予約受付を開始いたします。

7月のうち3週間は富士山に行っているため、8月分と合わせて行うことにします。




ついでに、指の近況報告。
ジムなどで本気で登っても、中2日空ければ、復活する感じです。
講習で岩場に行くと、登らなくても浮腫むので、まだ岩場で自分の登りをするのはリスクが高そうです。おそらく、手術跡が完全には引いていない様子。

また、手術前(昨年の8月)よりも痛みはマシになって、今では大部分のホールドで影響を感じないまでになりました。
ただ、変形そのものはあまり良くなっておらず、ハンドジャムどころかクラックに手が入らないことも多いです。やはり、将来的にはクラックをやりたいので、ストレッチを試行錯誤中。

今のところ、ジムで登る前の軽いアイシング、1~2時間のウォームアップ、本気トライを何本か、追い込みトレーニングを自重して、終了後のアイシングはしっかり。そして、週2回のペースを保てば、「どちらかと言えば、良くなっている感覚。」という状況です。

とはいえ、ここ数か月はランナウトでリードの本気トライ中心なので、それに関してだけは復活してきたと思います。
この際、リード課題の全R.P.を目指してやろうと。5.12bぐらいまでしか存在しないので。
ただ、5.11c以上は1日に1本ペースになりがちなので、追加ルートが現れたりすると、ゴールが遠のきます(笑)。
ただ、これはこれでゲーム的に面白いので、楽しくやっております。

2019年5月17日金曜日

反省会は難しい

5月15日(水」)は、特殊オファーにて、セルフレスキューについて越沢バットレス。
女性IUさん、女性HMさん、男性NSさん。
今回の最後、シナリオレスキューとして、私が出したお題。

ルートは、1ピッチ目。
Ⅲ級(5.5?)程度のクラック~土のバンドを歩くようにトラバースして、太い立木というピッチ。

リード:IUさん
フォロー先発:HMさん
フォロー後発:NSさん

・トラブル設定
フォローのNSさんが、土のバンドに入るところでフォール。
登ってきたクラックラインから、数m逸れた場所に宙づり。
土のバンドより、5mほど下。地上から、10mほどの高さ。

NSさんに怪我なし。
NSさんは、登り返しのロープワーク技術が出来ない。
大声で、助けを求めるところからスタート。
NSさんと太い立木のビレイ点は、声が届きにくい。
この日は、朝から
「フォローが宙づりになったら、どうやってロワーダウンしようか?」
というロープワークを検証していました。

カラビナをパタパタさせる方法、ルベルソの説明書にある方法、ムンターに切り替える方法、などを検証。
そんな訳で、設定を聞かされていたNSさんは、私が想定していた解決策がすぐに浮かびました。
で、答えを半ば知っている状況で、IUさんとHMさんの奮戦を見守るという立場に。
最終的には、救助に行ったはずのHMさんもNSさんの横で宙づりになり、身動きが取れなくなりました。
それに対し、2人ともをロワーダウンしようとしたIUさんも、最終的にはロープがこんがらがり、どうしようも無い状況(いわゆる詰み)。

ここで、およそ2時間が経過していたこともあり、これにてゲームオーバー。
あとは、私が手助けに入りました。
さて、主な感想&反省。

NSさん:
・今回の設定ではナシだったけれど、フォローであっても登り返しは必須技術。
・ミスコミュニケーションが、最大の敗因。
・これが練習で、本当に良かった。

HMさん:
・シナリオ開始時点で、IUさんとのコミュニケーションで、自分の役割が曖昧だった。
・とにかくNSさんの近くに行って、状況を見なければと思った。(結果、土のバンドから下まで不用意に降りてしまった。)
・登り返しが、上手く出来なかった。(設定上、登り返しが出来ないのはNSさんのみ)

IUさん:
・自分の指示が曖昧だった。(HMさんに、偵察をお願いしたつもりだった。)
・ロープワークで詰んでしまった。
<シナリオ開始>

立場上、色々な事故(ヒヤリハットも含む)の反省会を相談されることが(最近特に)多く、改めて色々思うところがあります。
あえて例は挙げずに、抽象論だけ語ります。

事故の理由を語る際に、誰もが無意識に分類していること。

①似たような失敗経験がないと、予想できないこと。
②不可抗力。(自然条件、心理的な要因、疲労、など)
③もう少し用心深く行動していれば、避けられたこと。

建設的反省をするなら、③にフォーカスすべきです。
②についても、「こういう心理のときは、一層気を付けよう。」と思えれば、わずかながら建設的な反省になります。

失敗した本人が、①、②を語れば、言い訳がましく聞こえるものです。
一方で、周りが③を声高に叫ぶことは、本人を痛烈に批判しているような雰囲気にもなります。

まず、ここにコミュニケーションの難しさがあります。
<宙吊りのNSさん>

次に、③について深く考察すると、事故者本人の普段の行動から見直そうという気持ちになります。

多くの場合、事故現場にいたパートナーは、それ以前からの登山・クライミング仲間です。
ですから、「今回に限らず、事故者本人が少しリスキーな行動をとるような気がしていたんだけど、上手く伝えられなくて今現在まで来てしまった。」という責任を感じていることも多いです。
そして、それをここぞとばかりに伝えようとします。

これは、ものすごく大事なことですし、上手くいけば全体的な事故確率の低下に繋がるので、使命感が沸いてしまうものです。
しかし、相当なストレスを伴うコミュニケーションとなるので、人間関係が悪化し、半年~数年の冷却期間が必要になることすらあります。

これらを踏まえた上で、これが決定版という反省会の方法は、私も知りません。
ここから先は、登山・クライミングのスキルではなく、もっと別のスキルにあたるのでしょうしね。
ただ、こういう分野にいる限り、避けて通れないものだと思います。

どんなに重要な話でも、ある程度のところで切り上げることも必要です。
ガンバ!

2019年5月14日火曜日

省エネor確実

5月11日(土)、12日(日)は、岩場リード講習にて、小川山。
1日目は、女性YIさん、女性STさん、男性Nさん、復習参加の男性STさん。
2日目は、男性NMさん、男性FMさん、男性FTさん、復習参加の女性HSさん。
今回、話題に上がったことで、「省エネと確実性は、イコールではない。」というのがあります。
①省エネ かつ 確実   ⇒ どんな場合も有効
②パワフル かつ 確実  ⇒ 安全重視の場面で、有効
③省エネ かつ 不確実  ⇒ 省エネ重視の場面で、有効
④パワフル かつ 不確実 ⇒ 核心の勝負

というイメージです。

省エネのイメージは、7~8級のフィジカルしか使わずに突破するムーヴを発見する、など。
確実のイメージは、スタティックで行けば、次のホールドがハズレくじなら引き返せる、など。
岩場でリードに適したムーヴを講習していると、講習生が②が③よりも上位概念のように聞こえるみたいです。
実際、そう思っていただいても差し支えないと考えています。

ただ、ジムのハングルートなどは、②よりも③を優先してアプローチセクションをこなした方が、最終局面での余力が残る可能性も高いでしょう。
<ムーヴの検討中>

私のイメージですが。
・ボルト間隔が近い ⇒ 省エネ重視
・ボルト間隔が遠い ⇒ 確実性重視
・緩傾斜や凹角など、レストポイントが豊富で、各パートで力を使っても何とかなる ⇒ 確実性重視
もっと細かく言えば、確実性にも色々あると思います。

・ほぼ100%成功する (文字通り、確実)
・グラッと来ない(ほぼ完璧なスタティック)
・クライムダウン可能(可逆)

まぁ、この辺は徐々に分かってくれば良いと思います。
<1本目まで、木の根があり、下地は良くない状況>

さて、本日でNMさんと、FMさんは、岩場リードを卒業といたしました。
とはいえ、まだ岩場リードの予約も入っていますので、引き続きよろしくお願いします。
実践本気トライ
2日目
NMさん:かわいい女(5.8) フラッシュ
HSさん:Song of Pine(5.8) O.S.
FTさん:Song of Pine(5.9) フラッシュ


<核心最初のムーヴ。ここは、戻れるムーヴだと、探りやすい場面。>



2019年5月13日月曜日

考える習慣

5月8日(水)は、リード2回目、3回目。
女性KBさん、男性SNさん、女性KBさん(1コマ目のみ)、復習参加の男性SKさん(1コマ目のみ)。
ビレイの立ち位置、リードの戦略、ムーヴの良し悪し、など、ジムで考えるべきことも数は多いです。

3人寄れば文殊の知恵で、初級者が何人かで話し合えば、ある程度の結論が出るものもあると思います。
逆クリップとかは、勘違いしている人と、本を読んで正しく理解している人の割合からしても、何人かで話し合えば結論が出そうです。
研究熱心な人なら、独学で複数文献に当たったりして、どうにかするレベルのことでしょうし。

一方で、初級者同士で話しても、なかなか結論に至らない問題もあると思います。
ビレイの立ち位置などは、落ちる練習とセットでやらないと理解が難しいので。
<逆クリップやZクリップについて、自分の理解を披露>

もっと言えば、中上級者であっても考え続けていることは、いくらでもあると思います。
「これが正解!」とは言えないんだけど、考え続けて真理に近づくしかない道のり。

安全管理、オンサイト戦略・レッドポイント戦略、ムーヴの選択、トレーニング方法。
初心者にとって、今の悩みがどのくらい難しい内容なのかは、なかなか見抜きにくいものです。

それでも考えて、話し合って、講習で質問して、みたいなサイクルは続けていきたいですね。
ある程度、基礎が身について来たら、今以上に考えることも楽しくなりますから。

さて、本日で2人はジムリードを卒業といたしました。
とはいえ、再度ジム講習を受けたいということですので、頑張って行きましょう。

2019年5月7日火曜日

落ちられる系

5月6日(月、祝)は、クラックリード講習にて、湯川。
女性Hさん、復習参加の女性FSさん、復習参加の男性MKさん。
落ちるのが苦手な人(以下、落ちない系)、足首くらいなら落ちられる人(落ちられる系)、というのはクラックリード卒業生でもあります。

落ちない系の人は、プロテクション間隔が狭く、通常は安心して見ていられます。
ただ、落ちたくない気持ちのあまり、効いていないカムにクリップしてしまい、かえって手繰り落ち相当のフォールを経験する人も多いです。
基本的には、落ちられる系の方が優れていると思います。

・フォール時の受身をイメージしながらムーヴを起こす意識
・墜落距離の計算をしながら登る意識
などが、前提にあるはずなので。

安全に落ちられるならば、完登へのチャレンジも出来ますし、クライミング能力の上達速度も速いでしょう。

頻繁にひっくり返って落ちる人、テラスに激突などを考えずに闇雲に突っ込む人は、落ちられる系には含めません。
ただの危険人物、という位置づけです。
ここまでは、いつもの話。
本日、落ちられる系の人ならではの失敗がありましたので、御紹介。

①胸の前あたりで、プロテクションセット。
⇒安心して、1歩進む。

②最終プロテクションが、腰あたり。
⇒全く、次のプロテクションを取るそぶりは見えず、登り進む。

③最終プロテクションが、膝あたり。
⇒やや苦しい態勢だったこともあり、それほどプロテクションセット態勢を画策せず、もう一歩進む。

④最終プロテクションが、足首あたり。
⇒かなり苦しい態勢。プロテクションセットを試みるも、難しい状況。ただ、15cmくらい上に大きなスタンスがあったので、そこに乗ることに。

⑤最終プロテクションが、ちょうど足元あたり。
⇒良いスタンスは、右足のみ。片足で、プロテクションセット態勢を作るのに大苦戦。しかも、墜落距離から考えて、もう一歩進むとグランドフォールのリスク大。足元ランナウトは、さすがに恐怖心もあるようで、ついつい効きの悪いカムにクリップしたくなったり。最終的には、どうにかプロテクションセット出来て、力尽きる。これにてテンション。
イメージ出来たでしょうか。

落ちられる系の人であっても、②や③の場面でプロテクションセットしておくことが、この場合は完登に繋がったのでないかと思います。

プロテクション間隔が狭いと疲れてしまうので、避けたい気持ちは理解できますが。
最後に、
「私は落ちられない系だから、そんな怖い目には遭わないぞ。むしろ、効いてないカムにクリップしないようにだな。安心!」
と思った人もいらっしゃると思います。

たしかに、その通りです。
ただ、大抵の講習生は進化するもので、徐々に落ちられる系に変身してきたりもします。

そのときになって、落ちられる系がついついギリギリまで突っ込む気持ちが理解出来ちゃうかもしれません。
予言めいたことを言うようですが、そういう人を何人も見ているので。
<懸垂下降にて、カム回収>

実践本気トライ
FSさん:曲がり煎餅(5.8) 一応フラッシュ。ただし、安全上の問題があったので、夕方にキチンと再登してもらいました。

MKさん:草餅(5.9) O.S.
     無名フィンガー(5.10a?) ハングドッグして、ムーヴ解決。トップアウト。
<無名フィンガー>

2019年5月5日日曜日

安全のグレーゾーン

4月29日(月、祝)は、岩場リード講習にて、天王岩。
男性SKさん。

同じく、5月3日(金、祝)も、岩場リード講習にて、小川山。
男性SKさん、女性YIさん、男性NMさん、男性FMさん。
<ムーヴ練習中>

リード中、落ちてはいけない場面、というのがあります。

・ランナウトしていて、グランドフォールが確実視される
・テラスに激突が予想される
・その他、落ちた場合に怪我のリスクが大きい

反対に、落ちても大丈夫な場面、というのもあります。

・信頼できるボルトに、クリップした直後で、トップロープ状態とみなせる
・わずかにリード状態(初級者ならば膝下ぐらい)にあるが、テラスなどの障害物がなく、安全にフォールできる
<リードで落ちる練習>

安全な方を白、危険な方を黒とすれば、
「白黒はっきりさせると、自分の行動指針が決まって良いですよ。」
というのが、リードの基本だと思います。
<小川山>

白(安全)ならば
・リラックスできる
・ちょっと思い切りが要るようなムーヴもこなせる
・理想的には、ジムボルダーやジムトップロープと同じくらい頑張れるはず

黒(危険)ならば
・岩が欠けてフォールしても、大怪我だと自覚せよ
・次のボルトまで安全に辿り着けないと判断したら、下のボルトまで戻るべき
・思い切りの要るムーヴは、原則やるべきでない

白か黒かで行動指針が異なるので、クライマー本人が自分の状況を知る必要があります。
<アプローチ練習>

さて、次によくある初心者心理として。

「落ちるのが怖すぎて、ルート全体が黒寄りのグレーに感じてしまいます。」
というもの。
(本人は、ここまでハッキリとは言語化しませんが・・・。色々尋ねると、結局はこれに行きつくことが多いです。)
<スラブ練習>

グレーだと、
・落ちても大丈夫なのかな?とにかく、怖すぎて落ちたくない。
ということになります。

これが、ルート全体に渡って続くというのは、なかなか厳しいものがあります。
心理的にも、リードしたいという気持ちを削ぐでしょうね。
<リードで落ちる練習>

グレーだと感じた場合、本来どうすべきなのでしょうか?
講習生が、よくする発言や行動を思い起こしてみます。

①「ビレイされているんだから!」 、「自分を信じろ!」、「怖いって思うな!」などと、自分を鼓舞。(白として振る舞っている?)

②「怖いから、テンション出来るところまでクライムダウンします。」(黒として振る舞っている?)

①を選びがちな人、②を選びがちな人、どちらも居ると思います。
その日の気分などにも、影響されるでしょう。

ただ、第3の選択肢として、クリップ済みのヌンチャクを目視するなど、白か黒かを再度見つめ直すというのもあります。
<ムーヴ練習>

ちなみに、十分に冷静に考えても、白黒ハッキリしない場面もあります。
(大丈夫そうな気もするけど、怪我のリスクがありそうな気もする。)

この場合は、黒として振る舞うしか仕方ないでしょう。
<動画撮影>

全部がグレーに感じちゃう、というのも分かりますけどね。
少しずつ、解消して行きましょう。
実践本気トライ
FMさん:かわいい女(5.8) ハングドッグして、ムーヴ解決してトップアウト
NMさん:Song of Pine(5.8) O.S.
<白か黒か、それともグレーか>