2018年8月16日木曜日

8月12日(日)は、岩場リード講習にて、小川山。
女性NNさん、女性KBさん、女性FSさん、男性FMさん。
落ちたらダメな場面。
例えば、1本目のボルトが高いとか、途中がランナウトしているとか、ボルトが信用できないとか、色々あると思います。
ボルダリングでも、最後のマントルは落ちたら怪我する課題って結構多いですよね。
山だったら、そもそもロープを付けてない場面もあります。

で、その場面で、
「この一手(or一歩)出しちゃったら、戻れないな。」
と頭をよぎることがあると思います。
そこが、あなたのクライミング技術においての判断の分岐点になります。(どのムーヴまで確実にクライムダウン可能かは、人によって違います。)

さて、この場面での自問自答を考えてみましょう。

「今なら、まだ引き返せる!」
「進んだら、もう多分引き返せない。確実に次のボルトまで進めるかな?ホントのホントに自信持って大丈夫?」

もちろん、第三の選択肢を探しても構いません。
引き返せそうな別ラインを模索するとか、別ムーヴを模索するとか。
これが見つかれば、いつでも引き返せる状態で行軍しているので、ミスったら大事故とは思いつつもパニックだけは避けられそうです。
そんな会話の後。
講習生Aさん:
「私、そんなに(リスクを)考えてたら心が負けちゃいそう。私、怖がりなんですよ。(普通に登っちゃダメですか?)」

私:
「なるほど。うーん、でも考えないと長生きできないと思いますよ。」

講習生Aさん:
「分かりました。」(しぶしぶ、という雰囲気。)

たしかに、リスクを想定するとドキドキしてしまうから、片目つむって登りたい、という心理はあると思います。

講習生Bさんからも
「すごく気持ちは分かります。でも、考えないとヤバイです。」
というコメントをいただけました。

一方で、
「私は、考えずに突っ込むこと自体できないなぁ。もう、どうやっても考えちゃいます。心配だし。」
という講習生Cさんも。
この方としては、怖がりだからこそ考えずにいられない、という感覚なんでしょうね。
さて、皆さんは誰の感覚に近いでしょうか。

ちなみに、落ちたら行けない場面で、登ることも降りることも出来なくなって動けなくなることを、私は大学時代に蝉(せみ)だと教えられました。
「蝉にだけは、なっちゃダメだから!」

2018年8月14日火曜日

コーヒーが頂ける安定感

8月10日(金)は、ムーヴLv.0。
女性SGさん、新規女性NIさん。
本日、登っている講習生から「いま、すごい安定して、しっくり来ているんです。」という実況をいただきました。
状況を見ると、両手両足を別々のホールドに置いた状態、つまり4点支持の状態です。

そういうの、ありますよね。
しっくり来て、心地いい感覚というのは、バランスを学ぶ上では重要だと思います。

ただ、欲を言えば片手は使っていない状態(両足なら3点支持、片足バランスなら2点支持)で、しっくり来るバランスを感じて欲しいという話をしました。
これは、クリップ、(ゆくゆくは、カムセット、アックスのスイング)などの基本的な態勢だからです。

すると、「片手で安定できました。残った片手で、コーヒーとサンドイッチが頂けそうですわ。」という上品なコメント。
それは、カムセットよりアックスのスイングよりも厳しい判定基準になっていて、将来に繋がる安定感だと思います(笑)。

レストとは何ぞや、ということを理解する1つのアプローチでしょうか。
私の方が「なるほどねー。そういう風に理解が進むわけねー。」と、しみじみ思うのでした。

2018年8月11日土曜日

9月の予約受付

遅くなりました。
8月14日(火)の22時より、9月分の予約受付を開始いたします。

例年なら、沢登りに興じるので休業設定日を多めにしたいところですが、今年は無しになりそうです。
というのも、いい加減に指の変形を治療してみようと思いましたので、自分の登りはお休みすることにしました。という訳で、現在は高月整形外科に通院しつつ、講習以外は登らない運動を心がけております。

ストックワークとか沢登りも、クライミングの本気トライよりは大分マシなんで、あとは経過次第ですね。
自分にとって、色々お試し期間です。

ではでは、よろしくお願いします。

2018年8月10日金曜日

衝撃は吉と出るか

8月4日(土)は、マルチピッチ体験にて、瑞牆。
NSさん夫妻。
人生初のマルチピッチとなる2人。
「都岳連の沢講習みたいな、歩きっぽいところを登るような気楽な考えで来た。」
という奥様。

「いやいや、体験って言っても、それなりにヒーヒー言うメニューなんじゃないかなぁ。」
と勘ぐる旦那様。
普段なら、その中間ぐらい(最高グレード5.7~5.8ぐらいのクラックで、数ピッチ)で体験講習を行うことが多いです。

NSさん夫妻のように、5.8程度のクラックを何本かオンサイトしているぐらいの実力であれば、「いやはや、本気でした。」とか言いながらもノーテンでフォローはしてくる程度。

それで、じっくりシステムとか、考え方とかを整理していこうと。
が、最近の猛暑で、日陰中心のマルチという限定が付きました。

色々思案した結果、瑞牆にて講習。
いつものように、講習生が選んだラインになるべく沿うように、私がリードしていくという趣向です。
なので、ルートファインディング次第で各ピッチのグレードは変わります。
果たして結果。

1P目:講習生体感5.8、チムニー系。いきなり本気。しかも、オブザベとムーヴが全然違うので、とても疲れた様子。2人とも、ノーテン。
2P目:講習生体感5.8、チムニーとかハンドとか。やっぱり本気。でも、1P目よりはオブザベが当たって、少しは余裕があった。奥様が、岩から立木に乗り移るときに1フォールを喫する。
3P目:講習生体感5.5~5.6。木登りなど沢の高巻き風味。余裕を持ってノーテン。
4P目:講習生体感5.10a~5.10b、ハンド~チムニー。見た目より遥かに難しくて、大苦戦。奥様は、ムーヴ解決不可能にてエイド混じりで突破。旦那様は、テンションを多く掛けつつもムーヴで突破。
5P目:講習生体感5.8。一箇所チムニーがクライミングっぽいが、あとは概ね高巻き風味なワイルドな構成。 2人ともノーテン。
2人にとっては限界グレードの連続ですから、当然ながら全ピッチで荷揚げとなります。
(自分でサブザックを背負っているので、各自でちょっと荷揚げ。)

とにもかくにも、疲れ果てた様子。
そして、岩峰の頂上付近にトップアウト。

2人の口から出た言葉は、
「頑張った!」
「良かった!」
でした。
「なぜフリーなのか」、「なぜリードなのか」という以前に、とにかくトップアウト出来たら嬉しくなるという原始的な喜び。
これくらい追い詰められると、強く感じるものなのでしょう。

(だからと言って、「マルチは、なんでもアリだ!」は肯定しませんけど。)
今回は、ちょっと厳しすぎる設定の感は拭えません。
ただ、とにかく大きな衝撃の中で色々なものを感じたようでした。

例えるなら、ワンゲル上がりの学生が社会人山岳会に入って、最初っから冬壁に連れて行かれたようなカルチャーショックでしょうね。
これにめげず、コツコツやっていきましょう。
クラックも、ロープワークも、千里の道も一歩からです。

2018年8月7日火曜日

富士山から帰宅

6月30日(土)、7月1日(日)の研修から始まり、7月12日~8月3日までで、計10回ほど登って来ました。
今シーズンは1本目のツアー開始とともに、すぐに夢中になり、クライミングのことはすっかり忘れておりました。
普段はインストラクターという立ち位置が好きなのですが、ガイドはその富士登山を成功させることが全てと割り切って出来るので、たまには楽しいものだなと思います。

が、山頂御来光ツアーは夜間登山で疲労を蓄積し、昼間のツアーであっても連続勤務(朝に下山して、午後から出発のツアーを担当するもの)で精神的余裕を無くし、台風の中で下山してドップリと装備を濡らし。
心身ともに疲弊は凄まじく、今は遠征帰りのようにボーッとして半日が過ぎていくこともあります。

たぶん、高度の影響とか、時差ボケみたいなものもあって、富士山期間中は回復が今一歩なのかと思っています。

今シーズンは、ガイディングは夢中でやりましたが、成長を感じたのは関係業種の人達の振る舞いが以前よりも見えるようになったことでした。9年目にして、ようやく富士山のビジネス構図が少し見えてきたような気がします(笑)。

「周りを怒らせないようにしつつ、自分の担当ツアーのお客様のメリットを追求する。」というのが難しいので、今までは見て見ぬフリをしていて、関係各所を怒らせていたような気もしますが。
もしかしたら、少し混雑が減ってきて、ガイディングに余裕が出来たのかもしれません。だとすると、自分の成長では無いけど・・・。

残りのシーズン、仲間達はまだまだ頑張っている訳ですが、どうにか乗り切って欲しいと願います。人手不足で、すごく大変そうですが・・・。

そして、ボチボチ自分の登りを再開しましょうか。

2018年8月6日月曜日

型か、創意工夫か

7月9日(月)は、クラックムーヴ講習にて、瑞牆。
女性IUさん、女性HMさん、女性HSさん、女性WNさん。

ワイドクラックを強く御所望の皆さん。
<アトムエリア>

「ワイドクラックは、型だ。」
という人がいます。

何となく、言わんとすることも理解できます。
ズドンとひと続きの割れ目は、1つのムーヴがハマれば、その繰り返しで高度を稼ぐことが出来るからです。

すごく平行で、ホールド、スタンスも少なく、フリクションも一様、といったザ・チムニーみたいなのを登るときは、それを感じます。

ちょっと極端ですが、ビックロック日吉のクラックは、まさに型の連続って感じに思えます。
<取り付きで、ムーヴを試行錯誤>

「ワイドが上手い人は、創意工夫を自分で出来る人だ。」
という人もいます。

サイズ、フレアー具合、傾斜がちょっと違うだけでも、最適ムーヴが違って感じるのも確かです。
ということは、サイズが違う人が登る後ろ姿を見ても、参考にならないことが多いです。

これって、本来は他のクライミングでも同じです。
が、ワイドクラックは何が何だか分からないと感じる人も多いので、他人のムーヴが参考にならないことが痛手に思えるのも理解できます。

前述の型も、自分のサイズ感に合った方法を探すのは自分自身。
見つかったら一気に高度が稼げる、という話になります。
<傾斜の寝た、フレアーチムニー。スタンスは豊富、所々にジャミングも効く。という条件>

個人的には、ワイドクラックの面白さは後者にあると思います。
そういう部分では、ジムのルートセッターみたいな趣向の人がやったら、楽しくて仕方ないと思うんですよね。
<動画撮影>

擦り傷が絶えない、見た目のムーヴが地味(ルーフワイドは派手だけど)、比較的泥臭いルートが多い、などのスポートクライマーを寄せ付けにくい部分があるのは否めませんが(笑)。
結局、山屋系のクライマーが多いのは、そういうことですかね。
<右足フットジャム、左足ヒール&トウ、という型がハマって、高度を稼ぎ始めた。右手だけは、奥の方にハンド~フィストも効く。傾斜は、垂直以下。>

創意工夫をして、どうにか発見したムーヴを繰り返して高度を稼ぐ持久系もあります。
形状が目まぐるしく変化して、1mごとに別ムーヴを考える必要があるような、多彩なムーヴ系もあります。

これを、何系と呼ぶかは好みが出そうですね。
<ヒール&トウが、効いてはいるが、少し痛そうにも見える>

<他の人と逆向きを試す、HMさん>

<やっぱり、同じ向きに戻す>

2018年7月11日水曜日

単純化された場を活かす

7月6日(金)は、昼にムーヴLv.0で、男性KTさん、女性SGさん。
夜はリード1回目で、女性KDさん、男性STさん。
7月7日(土)は、ロープワーク講習にて、新規のKKさん夫妻。
7月8日は、ムーヴ講習で強い要望につきビックロック日吉、女性Mさん、女性ISさん。

もうすぐ富士山につき、3日分まとめてでお許し下さい。
リードよりは、トップロープの方が単純です。
しかし、それなりに安全管理で考えるべき点はあって、講習生からの質問、私からの指摘事項は、結構多いです。
岩場でのロープワークより、ジムのロープワーク講習の方が状況は単純です。
しかし、それでも分かっていない点は数多くあり、質問やディスカッションが繰り広げられます。
3日目のビックロックにて。
ISさんが
「これ(ジムのクラック)って、形状が単純だからこそ、ジャミングとかムーヴの仕組みがよく分かりますね。来てよかった。」
という発言。
単純から複雑へ。
考えるべき要素が多いほど、クライミングが面白くなるという部分もあると思います。実際、私もそういう趣向です。

マルチピッチ、クラックなんかは、その典型でしょうか。
ムーヴも、「へー、なるほど。そんな動きもあるんだ。」と思うものが人気課題になったりします。

一方で、要素を分解して、単純化された状況だからこそ本質が見えてくるということもあります。
ジムクライマーは、単なる岩場への出不精ではなく、本当にムーヴとかトレーニングが大好きな集団と考えると、スッキリする部分もあります。

ジムをスポーツ的なトレーニングの場とみなすよりも、クライミングを単純化・凝縮化した場とみなす方が、練習意識が高くなる気がします。
単に「腕をパンプさせて帰ろう。」ではなく、試行錯誤の場として使えそうですしね。
当塾に通う皆さまは、図らずも要素が多いものを目指しているわけですね(笑)。

個別の要素を侮らず、ちょっとずつ伸ばして行きましょう。