2019年1月31日木曜日

お守りは、身を滅ぼすか?

1月26日(土)、27日(日)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
1日目は、女性NBさん、新規男性KDさん、復習参加の男性ITさん。
2日目は、男性HNさん、男性MTさん、女性Mさん、女性ISさん。
カムが効いていなくても、とりあえずクリップしてしまいたくなる心情、というのがあります。
本人に聞くと、「無いよりマシ。気持ちの問題。精神安定剤。」みたいなことを言う人もいます。

本チャン系の人が言うところの、“お守り”ですね。
図1、図2ともに、やや苦しい態勢で、次のカムを決めたが、「効いてない。」と自己評価できている状態です。

図1は、ランナウトは全くしておらず、トップロープ状態です。
図2は、足首~足元くらいのランナウト具合で、結構緊張感のある状態です。

図1の場合、クリップしなくても安全です。
また、クリップすると、カムが抜けた場合に手繰り落ちと同じことになります。

図2の場合、クリップしなくても安全なのですが、少しランナウトしているので早くクリップしたくなります。
また、クリップすると、カムが抜けた場合に手繰り落ちと同じことになります。
冷静に考えれば、
「もう1回カムを決め直す。どうしてもダメなら、下のカムでフォールしてトライ終了し、ハングドッグに突入。」
くらいの判断で良いと思います。
(他にも、細かい手段は色々ありますが。)

それでも、どうしてもクリップしてしまいたくなる心情が強烈な講習生も、これまで何人もいました。
可能性として、いくつか考えられます。

①「効いてないカムでも、テンションぐらいなら行けるだろう。」という期待。
→実際、大丈夫だったり、ダメだったり。

②「カムで落ちるのは嫌だから、何が何でもトップロープ状態を好む。」ので、図2の状況で冷静さを保つことが出来ない。

③「そもそも、ジムやボルトルートでも、膝下くらいで落ちることが出来ない。」ので、図2の状況で冷静さを保つことが出来ない。

経験上は、「①~③、全部ちょっとずつ思い当たる節がある。」という方が多い感じでしょうか。
リードというのは、道を切り拓くというイメージで、それは下から着実に安全を積み重ねて行く、という感覚です。

「今回は事故らずに済んだぜ、ふー。」
みたいなリードは、ちょっとズレているんじゃないかと思います。

少し話を広げると、ノープロのチムニーとか、本チャンのランナウトとかは、戻れる範囲で行くか、100%近い確信の元に突っ込むか、を繰り返すと思います。
結局、考え方は似たようなものだと思います。

尖鋭的な記録とかを読むと、もうちょっと際どい突っ込みを繰り返してそうなんですけど、あれは1%の大事故リスクを負っていると理解することにしています。
実際に尖鋭的なことをしないので、真に理解できる日も来ないでしょうけど・・・。
実践本気トライ
ITさん:無名フィンガー(5.10a) R.P.。2日間。
NBさん:初孫(5.5) フラッシュ
HNさん:オバステ正宗(5.8) O.S.
ISさん:パープルシャドウ(5.8) O.S.
Mさん:パープルシャドウ(5.8) 1テンにてトップアウト

2019年1月28日月曜日

クライミングジャンルと登り方

1月25日(金)は、ムーヴLv.0。
男性AIさん、新規男性SHさん。

2人とも、本日でジムリードに進んでO.K.としました。
本人が望む望まないに関わらず、育った畑の違いというのは出ますよね。
また、得意分野は成果も出やすいので、さらに好きになるという部分もあり。
(他ジャンルから逃げている、という自責の念に駆られることもありつつ。)

フリークライミング経験がある講習生のムーヴの特徴を見ていて、常々感じる分類です。

①スポートリード O.S.とR.P.両立系
②スポートリード 打ち込みR.P.系
③スポートリード トップロープリハーサル系
④ボルダー コンペ系
⑤ボルダー 打ち込み系

もちろん、これ以外の方も居ます。

個人的には、③のうち他人にトップロープを張ってもらうというのだけが自立していないと思っているだけで、ジャンルの好き好きは十人十色です。

ただ、打ち込み系の人は「次に打つ課題は何にしようか?」という発言になり、O.S.重視やコンペ系の人は少ないトライ数で登れるルートを目指す傾向にあります。
で、それが見事にトライ中のムーヴや姿勢にも現れるなと感じています。

時代のトレンドなのか
「登山から入ったけれど、通いやすいのはボルダージム。よって、結構難しいボルダーをこなす力量がありつつ、リードのリスク計算や墜落姿勢は初心者っぽい。しかしながら、マルチにはすでに結構行っているし、スポートルートでもそれなりのグレードをR.P.していたりもする。」
というパターンが多いなと思います。

当塾システムからすると、「もうちょっとリードの基礎をしっかりやって。」と言いたくなりますが、彼らの強みとしてはトレーニング意識・健康管理、強度の高いムーヴへの驚くべき順応です。
会話していて、「すごいっすね。さすがですね。」の連発。
私の方が学ぶ側になる思いでいっぱいで、自分が教えることに自信を失うことも度々です。
もちろん、それ以前の講習生も多いです。
今回の2人もそうで、何となく「ボルダーは、またちょっと違いますよね。」ぐらいの発言をしていたのが、この文章の切っ掛けで。

そんな方に向けて、最後に簡単に。

ムーヴや思考の傾向には、リード癖、ボルダー癖、トップロープ癖があると感じています。
トップロープ癖は、得は無いと思います。
リード癖、ボルダー癖は、中距離走と短距離走のイメージで、メリットデメリットが色々あります。
ボルダー癖がリードに災いする部分もあるのですが、それでもボルダーに順応することはリードに関しても将来性を広げます。

結局は、通いやすいジムに通って練習するという、ありきたりな話です。
ただ、それでも自分の相対的な位置づけを知っておくことは、良いことだと思いますよ。

2019年1月24日木曜日

偵察も楽しい

1月24日(木)は、1人で富士山御殿場口。
今日は、冬型バッチリで登れないだろうと踏んで、偵察がてら途中まで。
<ガスガス>

御殿場口は、実は今回が初めて。
というか、富士山は吉田口しか歩いたことがないんですが・・・。
<たまにガスが晴れる>

暗いうちから歩き始めると色々迷いそうだし、夏道とブル道の判別も付かなくて混乱するだろうしで、いきなり日帰りアタックするのは気が引けて。

それから、吉田口よりは御殿場口の方が風も比較的マシで、日照時間は格段に長いので、冬向きだとは聞いていたので、その辺を体感しておく意味でも。
(まぁ、もう吉田口は行かなくても良いかな・・・。登頂さえ出来れば。)
<見た目にも、3,000m以上は結構風が強そう>

実際、その通りだなと思いました。

明るくなってから出発して、七合目の小屋まで往復してみましたが、そこまでは弱い風。
こんなに冬型バッチリなので、驚きです。

ただ、さすがにここから上は、本日は厳しそう。突っ込んだら、前回と同じ目に遭いそうでした。
<七合目、日の出館>

我ながら、偵察山行は割と好きかも、という感じです。
自分で思っているよりは、レッドポインターなのかもしれません。

地形、目印、アイゼン着脱ポイント、多少は風が避けられそうな場所、自分の体力目安、色々と記憶しちゃいましたよ(笑)。
とりあえず、本日はここまで。
<本日は、砂走館まで>

<下山中>

<南東面なのもあって、2,000mくらいになると、この状態>

<平和です>

行動記録
 6:20 太郎坊洞門
11:45 七合目、日の出館
12:00 砂走館
15:15 太郎坊洞門

2019年1月23日水曜日

富士山ガイドのススメ

HPに、富士山ガイドに興味を持ってくれそうな方への紹介文を載せました。
所属先は、吉田口登山道の太子館です。

大変お世話になっており、現在も多くのことを学ばせてもらいつつ、仕事へのモチベーションを高めさせてもらっています。

登山経験のある大学生、フリーター、将来ガイドになりたい人、多くの人に強くオススメします。

楽な仕事ではありませんが、やりがいは大きく、スキルは必ず上がると思いますよ。

何手に1回クリップか?

1月22日(火)は、ムーヴLv.0。
全員新規で、女性KBさん、女性Tさん、男性SKさん、男性MDさん。
ジムのヌンチャク1本目と2本目(2本目と3本目でも)の間に、何個のホールドがあるでしょう?
2個~4個ぐらいでしょうか?もちろん、ルートによって異なります。

もし3個だとすると、平均して3手に1回はクリップ態勢を作る必要があります。
(ホールド1個を1手だけ使うという前提です。マッチなどは考えない。)

もちろん、正確に3手毎に1回ではありません。
(4本目は引き付けクリップして、5本目は腰クリップなどの戦術を取れば、)ジムでも一気に6手ぐらい進むことも、あるでしょう。

このクリップ頻度、あなたはどう考えますか?

「ほとんど常にクリップ態勢を取れるぐらいで登っている感じじゃん?」
と、思う人もいるでしょうか?

「2~3手だけ短いボルダーを頑張って、また安定して、を繰り返す感覚?」
とイメージする人もいるでしょうか?

これ以上の深入りはしませんが、今回の講習生の感覚としては
「結構な頻度ですね。」ぐらいの感じでした。
リードに必要な技術とは何か?これは、大きな命題ですね。

2019年1月22日火曜日

ボルト位置を読む

1月19日(土)、20日(日)は、岩場リード講習にて湯河原。
1日目は、男性NMさん、女性FIさん、女性FSさん。
2日目は、女性SBさん、女性STさん、女性FIさん、新規男性IDさん。
<初日はポカポカ>

「もし、あなたがこの岩にルートを拓くとしたら、どこにボルトを打つか?」
という発想で、岩を見ると色々な発見があると思います。

例えば、下記の難易度構成。
傾斜は、70度くらい。
「ノーハンドスラブ課題として登るには非常に厳しいが、良いスタンスに立っているときはノーハンドレストも出来る。」
くらいの感覚だと思います。

さて、ボルトはどこに必要でしょうか?
会話の流れから、そんな質問を講習生にしてみました。

「最低でも、6級の入り口には欲しい。」
「最初の5.6は無くても良いけど、次の5.6は1本あった方が嬉しい。」
「次の5級の入り口は、絶対必要。」
「最後の6級は少し長い。入り口は絶対で、出来ればそのボルトが膝下~足首になるぐらいでもう1本あると嬉しい。」
<ギアの軽量化について考える2人>

「あった方が嬉しい。」ぐらいのボルトは、無いルートも多々あります。
「絶対必要。」というボルトは、ほとんど全てのルートにあると思います。

そう考えると、このルートを登るのに要求されている能力も見えてくると思います。
こっちは、正統派っぽい考え方。

また、オンサイトトライのオブザベで、「妙にボルト間隔が近いってことは・・・」という裏読みも出来ちゃいます。
こっちは、邪推っぽい考え方ですけど(笑)。
<2日目は、寒し>

こういうのは、ジムのルートをオブザベするのも同じだと思います。
「たぶん、こういう動きをさせたいんだろうけど、こうやって抜け道あるよなー。」
とか。

(抜け道ムーヴの善し悪しについては、また色々な意見があるでしょうけど、私はガンガン使う方針です。)
<スワンガール>

まぁ、この読みは往々にして外れることも多いものですから、そういう心づもりも必要です。
設定者の心理にはなりきれないし、多くの場合は設定者は我々再登者よりも上手いので。

ただ、それでも読むことで多くのことが学べるはずだと感じています。
<限定について議論になりやすいアブラカダブラ>

実践本気トライ
NMさん:フック船長(5.10a) R.P.。2トライ。
    アブラカダブラ(5.10a) ハングドッグして、ムーヴを1ヶ所割愛してトップアウト。
FIさん:アブラカダブラ(5.10a) O.S.。

2019年1月18日金曜日

ここ最近のこと

今週は、ランナウトで3本の5.11cが登れました。
うち2本は、一応O.S.です。
(ホームジムの場合、ホールドやら壁の形状やら知り過ぎていて、オンサイトトライでもフラッシュ以下の難易度ですが。)

ようやく、指の痛みを恐れて課題を選り好みすることも減って来ました。
本気トライ中も、指の痛みで無意識にセーブする気持ち悪さも減って来ました。
戦績だけなら、8割方は戻ったと言えるかと思います。

一方で、1日登ると最低数日は空けたい感じです。
実際上は、週に1回、2週に1回のペースで本気で登るのが、良いリズムだと感じています。

あとは、野外環境下だとアップやアイシングが十分に出来なかったり、身体が冷えたり、自分の調子に合わせて課題を選べなかったりするので、自分のクライミングで岩場に行くのはまだ先でしょうか。
ボルダーもかなり怖いし、リードでも強傾斜は怖いです。自分の意図に反して、指に負担が強くなる瞬間を感じるので。
あとは、クラックも怖いです。

ただ、手術前はあらゆるホールディング、ジャミング、カムのトリガー操作で痛みを感じて、まるでクライミングに興味が持てないレベルだったことを思えば、相当回復していると思います。
そう言えば、富士山ガイド中もストックを使うとちょっと痛かったんですよね。それが、とりあえず雪山で普通に行動していることを思えば、有り難いことです(笑)。

どこまで良くなるかは分かりませんが、とりあえず今よりはマシになるでしょう!

2019年1月17日木曜日

◎、○、△

1月14日(月、祝)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
男性STさん、女性MKさん、女性Mさん、女性ISさん。
テスティングで掛けられる荷重 < テンションなどの静荷重 < フォールなどの動荷重

ということで、カムの効きをテスティングで判断することは難しいものです。
(ただ、表面の風化など、何かしら情報が得られることもあります。)

で、目視でのチェックにならざるを得ません。
今回の講習生の中で、何度も話に上がったのが、下図。

「多分効いている(○)」×2個、「バチ効き(◎)」×1個、どちらが信用できますか?
という実際上の判断を考えて。
図1は、説明書通りのセット。
図2は、ちょうど凹部にカムの歯が収まるようなセット。
普通に考えたら、カム抜けは有り得ないと思います。

図4は、フレアーにセット。これは、怪しいです。

図5は、フレアーした右面の中に、局所的なパラレル面を見つけたセット。
「上手い!」と見るか、「見間違いもありそうで不安。」と見るか。

ちなみに、図6は図5と同様に局所的パラレルが存在するフレアークラック。こちらは、かなり見間違いが少なそうなパターン。

図3は図2の奥に大きな凹部があって、もしそこまでカムが歩いたら全開きするパターン。
私の感覚ですが。

図1、図2は、バチ効き(◎)。
図5は、多分効いている(○)。
図4は、抜ける可能性が高い(△)。

さて、話を戻して、
○×2個、◎×1個、どちらが良いですか?
講習生からは、幾つかの意見が出ました。

「実際、登りながらだと○ぐらいのセットは頻繁に出てくると思う。だから、どうすべきとも言えないけれど。」
「○でも十分止まるでしょう。」
「理論上は、◎×1個の方が良さそうなんだけどなぁ。」
「自分のセットに対して、◎と確信を持つことが難しそう。」
「◎と思っても、実際は図3みたいになっていて、回収時に見てみると全開きしちゃっていることもある。だから、◎だと言い切ることがどうなんだろう。」

と、そんな訳で結論には至らない話し合いでしたが、これはこれで有意義だったかなと。
考えれば考えるほど、不安は募りそうです(笑)。

ということは、核心部に突っ込むときは、
◎×2個、○×3個、◎×1個+○×1~2個、ぐらいなら御安心ですけどねー。

あとは、どこまで妥協するか。
ちなみに、△は何個で○相当とみなしますか?

今回の皆さんは、全員「何個でも○にはならない。」という回答でした。
実践本気トライ
MKさん:鬼ころし(5.7) R.P.
STさん:純(5.8) 再登
Mさん:初孫(5.5) フラッシュ
ISさん:純(5.8) R.P.

2019年1月13日日曜日

富士山、敗退

1月11日(金)は、1人で富士山へ。
<6合目、穴小屋跡にて>

今回のモチベーションは、3つです。

①山歩きで、少し勘も戻って来たし、本格的な雪山も行く気になってきた。
②ここ最近の山歩きは、毎回富士山を眺めていて、夏のガイドの思い入れと相まって、気持ちが上がって来た。
③雪上訓練でアイゼン・ピッケルワークを講習なんかしちゃっているけれど、自分の技術が本当に使えるものなのか不安になってきた。
<登山道は、結構黒い>

午前2時40分、馬返しより出発。
所々に凍りつく足場で、早めにアイゼン装着。

午前5時ころ、五合目より少し下で、新品のアイゼンに履き替え。
佐藤小屋、星観荘のあたりの最後の樹林帯で、防寒具をしっかり着込む。
<御来光と山中湖の位置関係が、夏とは違います>

午前6時ころ、六合目あたりで風が強くなり、ゴーグル、ヘルメット装着。
ただ、滑落の危険はしばらくは無さそうだったので、ピッケルは7合目より。
<八合目、太子館>

午前8時すぎ、太子館。
八合目あたりから、危険を感じる場面がチラホラ。
本日は、冬型の気圧配置が午後から緩んで来て、徐々に高気圧に覆われるはず。よって、下山の方が風は弱くなるという読みです。
午前9時すぎ、本八合目でいよいよ風が強くなる。
下山道側にトラバースすると、風下でだいぶマシなので、そちらから続行。

午前10時36分、九合目にて強風にて敗退。

下山道側の雪壁が、徐々に急斜面になってきて、耐風姿勢をとりながら前進することに限界を感じる。
登山道に合流しようとトラバースをかけるも、九合目の鳥居上が立っていられないレベルの強風。(ちょうど、このあたりの登山道が尾根上になっているので、歩きやすいが風は強い。)

ガッカリしつつ、ホッとしつつ、1時間40分かけて本八合目までクライムダウン敗退(耐風姿勢の都合で、前向きに降りられない)。
<九合目から40分ほどクライムダウンしたところ>

午後0時30分ころ、本八合目。
そのまま15分ほど降りて、3時間半ぶりの座れる休憩(笑)。
八合目~七合目は、ときどき危険地帯はあるものの、安全圏(突風で倒れても滑落しなさそう、など)も多いので、だいぶ心休まります。

七合目でピッケルからストックに戻します。
<七合目の花小屋から登山道を見上げる、すごく傾斜は緩いが、氷化してます>

<午後1時過ぎには、日が沈む冬の吉田口登山道>

<町は、まだ明るいのに・・・>

午後2時ころ、六合目。
少し降りて、樹林帯に入り、ヘルメット、ゴーグルを外し、衣類調整。
<六合目は、ここだけ雪がほとんど無い地帯>

午後4時40分、馬返しに下山。

いやはや、冬にボッカしていたという強力さん、明治の装備で気象観測に乗り出した野中夫妻、「どんだけ凄いんだ!」と再確認です。
私も、学生時代に1回登頂はしているんですけど、あのときは条件良過ぎたんでしょうね。
帰宅後に天気図を見たら、どうやら夕方まで高気圧には覆われなかったようで・・・。しかも、冬型も強めだったみたい(笑)。まぁ、私には無理な日でした。

2019年1月10日木曜日

ジリ貧の滞在

1月9日(水)は、リード3回目。
女性KDさん。
レスト中に作戦を練る、という基本があります。

良いレストポイントでは、パワーゲージがほとんど下降しない(もしくは、回復する)ので、作戦タイムに適しています。

ただ、ジリ貧のレストポイントってありますよね。
もしくは、両手ともホールドから離せないけれど、一応止まれるときとか。
一般的には、そんなジリ貧のとき、どうすべきか。

①次の動きがイメージできるまで、ジリ貧に耐える。
②次の動きがイメージできていないが、突っ込む。

さてさて、皆さまどうします?
もちろん、状況にもよるので、今回は深入りしませんが。

(何回も練習したルートをレッドポイントトライしている場合は、あらかじめ次のムーヴのイメージが完成しているので、呼吸を整えがてらチラッとイメトレぐらいでも可でしょう。)
こういうのって、もともとの性格も出ますよね。
ただ、本来的には選びにくい方をチョイスすることが、吉と出ることも多いものです。

登りのキックステップ

1月8日(火)は、雪上訓練Lv.1-Aにて、天神平。
新規男性SKさん。
<晴れ!>

雪上訓練と言えば、アイゼン・ピッケルの使い方を期待する人が多いと思います。

ただ、基本のキであるキックステップも、奥深いと感じます。
普段、口で説明していることを図解してみます。
<図1>

まず、斜面に雪が積もっているので、図1のようになります。

もちろん、新雪が沢山あるときもあります。
少し硬い雪が、足で感じられる深さだけでも何層にもなっていたり、実際の状況はもうちょっと複雑です。

キックステップに対して、新雪を固めて足場にするようなイメージの人がいたりします。
ただ、多くの場合は、「少し硬い雪に蹴り込む」というイメージの方がしっくり来ると思います。
<図2>

図2は、少し硬い雪に、ほぼフラットに靴底の1/3が決まった状況。
<図3>

図3は、少し硬い雪に、外傾スタンスのように靴底の2/3が決まった状況。
<図4>

図4は、少し硬い雪に、インカットしたスタンスのように靴底の1/4が決まった状況。

図2~図4のどれが正しいとは一概には言えません。

・インカットしていると、滑りにくい。ただし、立ちにくい。
・フラットだと、まずまず滑りにくい。立ちやすい。
・外傾していると、滑りやすい。(滑らなければ)まずまず立ちやすい。

ぐらいの傾向はあると思います。

「じゃぁ、外傾に蹴り込む意味あります?」
という声が聞こえて来そうです。
<図5>

さて、図5は、斜面に足首~スネぐらいまで埋まった様子。
<図6>

図6は、真っすぐ立った姿勢で、キックステップを行う様子。

この状況だと、足裏が描くカーブの都合上、外傾スタンスのように決まってしまうこともあります。
そのまま乗り込むか、もう1回ステップを蹴り直すかは、あなた次第でしょうか。
<図7>

図7は、ストックにもたれかかって少し前傾姿勢で、キックステップを行う様子。

これだと、インカットやフラットに決まることが多いです。
重いザック(テント、クライミングギアのどちらか一方だけでも)を背負っているときは、重心調整でこの姿勢が楽なことも多いような印象です。

ただ、ずっとこの姿勢だと疲れるので、私は図6と図7の姿勢を織り交ぜながら登っていると思います。
<図8>

あとは、下りのキックステップのように、鉛直方向に踏み付ける力によって、ステップにすることもあります。

登りで使う頻度は多くないと思いますが、便利なときもあります。
<キックステップで進む(浅めのラッセルとも言えるでしょうか?)>

これに加えて、実際はもっと考えることはイッパイあります。

立木があったりすると、その周辺の雪の溜まり方がちょっと違ったりするので、ライン取りも大事です。
もちろん、ツボ足、アイゼン、ワカン、スノーシューで、歩き方にもコツがあると思います。

それら奥深さを総じて、「慣れ」の一言で片づけるのは、僕には出来ません(笑)。
<もうすぐ天神平のトップ>

僕も、ガイド友達の皆さんと比べたら上手い方ではないと思うのですが、考えながら歩くのが面白いと思います。
<自分が残したステップ跡>

<お疲れ様でした!>