富士山ガイド

 私は、23歳からフリーターとして先輩ガイドの見習いに付いて3年ほど過ごしました。その後、ガイド試験を受験しましたが、不合格。しばらくは、見習いも辞めて、純粋なフリーター山屋として登ることに専念することにしました。

そんな折、長門さんに紹介してもらったのが吉田ルートの太子舘ガイドです。
たしか、黒部横断中のテントの中だったはず・・・。

「勉強になるし、頑張れば結構稼げるよ。」
かねがね噂には聞く富士山ガイドでしたが、過酷という話も聞くので、ちょっとビビリつつ。そうは言っても、ときは派遣切りという言葉が流行る世相。アルバイトで首を切られる度に求人情報に労力を掛けるという、不毛な時間にも嫌気がさしていました。

気合いを入れて面接に行くと、同期新人には今井健司、青木達也という何回か会ったことのある同世代クライマーが。みんな、考えることは一緒です。スキーガイドの林智加子さんも同期で、富士山で初対面。他にも、知人の天野和明さんが先輩として在籍していることを知ることに。

新人研修のとき、担当してくれた先輩ガイドは植田幹也さん(当時は学生)でした。なんとか採用試験に受かり、仕事をしてみると、これが本当に大変。当時は40人ツアーを1人で任されることも多く、富士山ブームの真っ只中で大渋滞も頻発。本当に信じられない世界です。

一方で、今までの人生の中でも、最大レベルの感動です。自分の判断、説明の善し悪しが、お客様の安全や登頂可能性、満足度を大きく左右するのです。

そして、お客様にとっての富士登山は、人によっては一生に一度の大挑戦。そんな方からの感謝の声で、自分の存在意義を感じました。

教員志望を変更してガイドになろうと考えていた私にとって、モチベーションを再燃させてくれた場でもあります。

在籍者の多くは、大学山岳部やワンゲルの学生、高校山岳部出身の大学生、フリーター山屋、専業ガイドの駆け出し、といったところです。ただ、私と同様に専業ガイドになっても続けている人も居て、松本省二さんなどがそうです。

未だにガイドとしても人間としても修行の場として最高だと考えて、当面は続けさせてもらおうと思っています。

さて、どんな人にオススメしたいかと言えば、

① ガイドやインストラクターになろうと思っている人
2ヶ月でしっかり稼げるので、フリーター山屋やクライマーとしても良い職場で、必ず将来に繋がります。個人的には、テールガイドとかサブガイドやるよりも、富士山で3年修行した方が良いですよ。

② 登山が好きな大学生
7、8月は部活の合宿と重なりやすく、いわゆる強い山岳部の学生はほとんど来られません。普通の縦走登山しかやらないぐらいの経験で、大丈夫です。学生時代に、これほど強烈な人生経験を積む機会は、なかなか無いでしょう。社会に出てからも有効な経験ですが、それ以前に就職活動で富士山ガイドの話は大変ウケるらしいです。

③ 登山経験がある、先の見えないフリーター
これを契機に、人生が動き出すこともあります。

④ 自由業の方
高柳傑さん、榎戸雄一さんなど何人か。

珍しい例ですが、すでに専業ガイドになっている人が、あまりにも楽しそうだから夏の季節労働のつもりで入ってくることもあります。

もし、興味を持った人が居たら、是非とも連絡をください。
詳しい仕事内容、ツアー毎の給与、新人研修などについても、お話しできます。
そのシーズンの正式募集は4月からですが、早めに連絡をくれたら、直接会って話すことも出来ますよ。