2022年1月23日日曜日

豊田ツアー(怖い編)

豊田ツアーの続き。
岩場ボルダーの大きな魅力の1つとして、後半部分の多彩さがあると思っています。

僕の中での分類は、こんな感じです。

①平和系
下部核心をこなせた人ならば、まず落ちることは無い条件の良いトップアウト。
<平和系の1本>

②本チャン系
●岩が欠ける可能性を少し感じる。そこで変な落ち方をすると、怪我or死亡。
(とは言え、おおむねガバなので、リスク承知で突っ込むか、リスク回避のムーヴを必死で探すかを大いに迷うべき場面。一般的に、ジムボルダラーは、岩が欠けた経験数が少ないと思うので、気にせず登ってしまうと思われる。)

●パワフルでは無いが、テクニカルでミスしてフォールする可能性を強く感じるムーヴがある。かつ、そこでフォールすると怪我or死亡。自分より巧い人は怖くないと予想されるが、自分は怖いため、判断に迷う。

⇨主な解決策は、行きつ戻りつ、超が付くほどのスタティックムーヴ、めちゃくちゃ真剣なオブザベ、敗退のタイミングを見誤らないこと。リードの落ちてはいけない場面に近い。

③パワフル系
●岩が欠けるリスクは感じないが、落ちたくないセクションが結構ホールドが悪かったり、ムーヴ強度が高い。自分より強い人は怖くないだろうと予想されるが、自分は怖い。

⇨主な解決策は、十分な休憩を取ってからのトライで、出力をキープすること。落ちそうなら、途中敗退を繰り返すこと。

④落ちるの難しい系
●ハイボールという程ではないが、自分にとっては完全には自信が持てない。そのため、落ち方が非常に易しくなるムーヴを意図的に選んで、半ば諦めながら手を出すように落ちてしまいたくなる。

⇨主な解決策は、ムーヴ毎の落ちる態勢を真剣にイメージすること。これは、ほぼ岩場ボルダーでしか考える機会が無い私にとっては、最も難しい気がする。また、体重が重いことも、2〜3mが他の人より微妙に高く感じられているように思えてならない。
<落ちるの難しい系の中間部を越え、最後は本チャン系へ>

このルートの動画。
3トライ目ぐらい?

同じく、落ちるの難しい系の中間部から、本チャン系のトップアウトと感じたポールポジション(1級)。
ちなみに、下部の比較的安全な核心部は、2時間ぐらいトライしてようやく成功したもの。

<平和系>

<パワフル系と見るべきか、落ちるの難しい系と見るべきか、迷う1本。ちなみに、この課題は限定解除して、普通に登りました。>

もうちょっと、補足を深めておきます。

②と③は「落ちれない系」という意味では仲間です。
ただ、対処方法が大幅に異なり、③はボルダーで特に多く感じられるので、私の中では是非とも別枠にしたいものです。

②〜④を全て、怖い系と語るのは簡単ですが、それぞれ対処方法が異なるため、分類する意味を感じます。
これをメンタル系と呼ぶ人もいるようですが、「怖いけど、度胸で突っ込め!」を連想させるため、初心者に誤解を与えます。個人的な印象ですが、やめた方が良いように思います。

②(本チャン系)や④(落ちるの難しい系)を制したときには、強い達成感があります。とは言え、①(平和系)だと安堵感が著しく、岩に「ありがとう!」と言いたくなります。

リードに比べてムーヴに集中できるはずのボルダリングですが、結局はライン取りとかリスク管理が楽しみの主要なファクターを占めるのは、岩場らしいと言えば岩場らしいことです。

2022年1月17日月曜日

豊田ツアー(クラックボルダー編)

12月11日(土)〜16日(木)は、自分のクライミングにて、豊田の岩場。
カメチヨと。
今回は、動画も2つ付けました。

岩場のボルダリングの魅力は、ラインを自分で設定することにあると思います。

もちろん、設定された課題を登るのも楽しいですし、掃除していただいたり下地整備していただいたのも、ありがたいと思います。
さらに、自作ラインを登るだけでは、ついつい自分に甘い課題設定だけになってしまうので、既成ラインに打ち込むべき論も、理解できます。

しかし、それでも自分が見出したラインを登ることは楽しいものです。
<破裂、という課題から左壁なしという限定を解除して登ったチムニー>

楽しいチムニー (動画)

最近思っているのですが、出だしがハングしたワイドの場合、シットダウンスタートよりも、寝転がってスタートするレイダウンスタートの方が、面白いムーヴになるし、リードでの一場面を再現していて練習にもなる気がします。
<とりあえず、マットありで。マットがあると、着地だけでなくスタート姿勢が高くなってしまう問題もあるが・・・。>

<一応、マットなしでも完登しておくカメチヨ>

破裂の裏面(動画)

花崗岩で目を引くラインと言えば、クラック、カンテ、スラブ、ダイク、連続するボケット、などが考えられます。
例によって、クラック以外は大抵トポに載っているので、それらも普通に楽しんで登ってはいます。
<ポールポジションの右にある割れ目>

<3トライ目?ぐらいで完登するカメチヨ>

<桜餅の右にあるハンドクラック〜スラブ>

<クラックセクションは、無事に通過。スラブセクションは、怖い系のため断念。>

さて、今回のツアーで一番印象に残ったルーフクラック。
4日目のレスト日に、たまたまウロウロしていたら発見し、ちょっとだけ掃除して5日目に数トライして完登できました。
右抜け、左抜け、みたいな感じでバリエーションも取れるので、必然的に核心部を複数回登って反復練習になります。
<ルーフボルダーあるあるで、ヘッデンが必要>

<サイズ感は、こんな感じ>

<右抜けする場合、このチムニーで大レスト可能>

自分で見つけたラインで、かつ本気トライとして最も丁度良い難易度で、一番印象深い課題でした。

<ときどき、課題設定されている綺麗なクラックもある>

ところで、ワイドクラックのグレードって、ボルダーだと何故か甘めな印象です。

リードだと、ワイドの5.12aは超ムズイ(その他のフェース、どっかぶり、ハンド〜フィンガークラック、ステミング系のルートなどとの比較)印象です。
しかし、ボルダーだとワイド系の方が1級が狙いやすいという印象です。
歴史的な経緯とか、ボルダラーにワイド人口が稀少、あたりが理由でしょうか。

まぁ、だからどうしたという話ですが、いつの日かグレード改訂されるんですかね。石灰岩みたいに、世界標準に合わせるムーヴメントになるとか。

2022年1月6日木曜日

安全基準向上にまつわる痛み

12月4日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん、男性HGさん、復習参加の女性WNさん、復習参加の女性ISさん。今回にて、TGさんはクラックリード講習を卒業といたしました。
12月6日(月)は、岩場講習にて女性NJさん。
12月7日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性ASさん、女性TNさん。
12月8日(水)は、雨中止にてムーヴ講習で、男性KBさん、女性SHさん、男性ABさん。
12月9日(木)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。2コマ目が、ムーヴLv.0にて男性KIさん。
12月10日(金)は、リード1回目にて、男性TNさん、男性NOさん、男性TRさん、女性MDさん。

WNさんが、カムの使い方に自信を失ってきて、クラックリード講習を復習参加してくれました。
マルチピッチ講習も卒業し、アドバンスクラック講習にも何度も参加して、月に何日もカムを使っている人ですら、そういう時は訪れます。
実際に、カム抜けフォールを体験しなくても、以前より目が肥えて
「うーん、微妙に納得しきれない部分もあるけど、これで行っちゃうか!」
という自問自答が、段々と気持ち悪くなってくることも多いです。

そこで、気持ち悪さを我慢し続けていると、大抵はリードが嫌になってきます。
クラックを辞めてボルト専門になるか、クラックは簡単なのだけをリードする方向になるか、トップロープリハーサル組(オンサイトトライや、グランドアップのハングドッグは諦める)になるか。

講習を受ければ、以前よりはカムセットを慎重に決める方法論が理解できると思います。
しかし、それを実践するためには、以前以上のスタティックな登りや、持久力が要求されます。
つまり、多くのルートは少し難しく感じられ、登れたルートが登れなくなる現象も当然起こるでしょう。
これが、痛みです。

同じ構造を客観的に見るため、視点を自分よりも初心者に向けてみましょう。

リードを始めたばかりの人が、
・ロープが足に絡んでいても気づかずに完登
・墜落距離を計算せずに突っ込んでいて危なっかしく見えること(クリップのタイミングが変、など)
・レストせずに登り続け「考えるなんてムリ!」と諦めている
というのは、ジムでも岩場でも頻出だと思います。

彼ら初心者は、「怖い物知らず」だからこそ登れる部分が大きく、知ってしまうとグレードが1つ2つ下がるはずです。
しかし、この痛みから目を背け続けると、いずれリードが嫌になるはずです。

一方で、それを知ったことは、本人にとってはプラスに違いありません。
事故リスク低減だけでなく、それを活かして攻めのトライができることだって、いずれあるでしょう。(多少ランナウトしていても、「フォールしても、綺麗に落ちられるはずだ!」と読めるなど。)

残念ながら、痛みは一生続くと思います(笑)。
それを越えた数がベテランの風格を醸し出すものだ、とでも諦めましょう!

2022年1月3日月曜日

2月分の予約受付

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

さて、2月分の予約受付を、1月5日(水)の夜22時よりスタートします。
土日祝日のみ、数件の時間ピッタリ申し込みがある傾向なので、その申し込み方法を予定している方は、第二希望も書いていただけるとスムーズかと思います。

では、どうぞよろしくお願いします。

オブザベ能力とオンサイト率における、逆相関の疑惑

12月3日(金)は、自分のクライミングにて、御前岩。
Y田さんと。

この日とは全く関係ないのですが、ジムのリードに関するオブザベで最近感じていること。
ランナウトの常連男性数名が、オブザベが得意だという風に、私には見えます。

具体的には、自分がトライしたことが無いルートでも
「あそこは足位置が〇〇だから、こういう態勢になって、次を取るときは△△になるから苦しいですよねー。」
などと話が弾みます。

しかし、彼らが良いオンサイトトライを頻繁にできているかというと、そうでも無いです。

例えば、本気トライ前のオブザベは1〜2分で、「はい。読めました。」とばかりに取り付きます。
そして、土壇場の頑張りが無かったり、オブザベが違ったときに修正プランへの移行がグチャグチャになって消耗し切ったりして、オンサイトすべきルートを逃しているようにも見えます。
一方で、「オブザベが苦手」を自他ともに認める女性の中に、何名かですが、本当にしつこくオブザベを続ける方が居ます。
実際、ムーヴまでは読めていなくて、1時間かけてもホールドを記憶するだけで精一杯という部分も多そうだなと、会話の節々から感じます。

しかし、彼女達は土壇場の頑張りが凄まじく、結果的にオンサイトや少ないトライ数での完登を手中に収めているように見えます。

ここから、いくつかの示唆を感じます。

①オブザベには、トライ前の覚悟を決める意味合いもある。すぐに読める人でも、しつこくやった方が良さそう。同様に、オブザベが苦手だとしても、しつこさが予想以上の成果をもたらす。

②オブザベでサブプランを考えておくことは、多くの人がサボりがち。そこに時間を掛けることで、①の問題も好転するか?

考えてみれば当然の話で、入門書にも書いてありそうなレベルです・・・。
例によって、文字に書けるのは心構えみたいな話ばかりですね。

「そもそも、オブザベが得意になりたい!」
という話は、図解したり、本人との対話の中で行う必要がありますので、ムーヴ講習を受けていただければ幸いです。 

具体的に登ったルート
・ハートブレイク(6b) 再登×2回(アップにて)
・アレジオン(7b+)
1トライ目は、ハングドッグしてムーヴ解決。2トライ目にて、R.P.。結果は、残念でしたが、次に繋がる何かを感じたので、これはこれで。
・キープフォレスト(6b) O.S.
・ドラゴンホール(6b) 再登