2022年3月30日水曜日

5月の予約受付

4月4日(月)の夜21時より、5月分の予約受付を開始いたします。

小川山での岩場リード講習は、スラブが苦手な方には是非とも何度も御参加いただきたい内容です。
たとえ、岩場リード講習を卒業まで通っていただいた方であっても、1回の参加でお伝えできる内容は限られたものです。
ただ、そこで得られたものは、きっと何度も思い出す内容になるかと思います。

今年は、GWを休業とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

2022年3月23日水曜日

初登者の考えを意識する

フリークライミングの1つの考え方として、
「初登者と同等以上のスタイルで登ってこそ、再登したと言える。」
というのがあります。

一番顕著なのは、
「マット無しで登られた課題を、マットを使ったらダメでしょ。」
というものです。
たしかに、下部での落ちる姿勢の難しさ、中間部での落ちられない場面の多さ、上部での「もしかしたらマットのお陰で助かるかも」という保険が無くなる感じ、などを考慮しても、まるで同じ完登とは思えません。

僕自身はマットを使うので、「それじゃぁ、〇〇を登ったとは言えない。」と言われれば、その通りだとも思います。

他方で、その人がどういう考えでマット無しで登ったのかも、少々気になります。

①岩と真摯に向き合い、自分が克服してこそクライミングだ
②時代的にマットが無かっただけで、今なら普通に使いたい
③本人にとって簡単だったので、マットを敷くのがめんどくさかった
④マットを敷けない、敷いても意味があまり無い(川に落ちる、下地が悪すぎる、など)
⑤その他

通常、名のある課題だと①、②だと思います。

②の場合、それに追従するのもナンセンスに思えます。
・ナッツで登ったルートは、カムで登っちゃ反則?
・リングボルトで登ったルートは、現代のボルトに打ち替えたら反則?
・昔の登山装備で登った雪山は、現代装備で登ったら反則?
・携帯電話が無い時代に登った山は、携帯持って行ったら反則?
など、色々と考えが巡ります。
また、開拓者本人も、「今なら普通にマット使うよ。」と言う可能性も十分あるため、自分だけが拘るなんてアホかなという気もしてきます。
当時の登り方に感嘆はしますが、同じことをする必要は無いという考えです。

一方、①の場合は、難しいと思います。
僕の考えでは、2つ考慮すべき点があります。

A.開拓者が、再登者に自分を超えてより良いクライミングをして欲しいという感情

僕自身も、上からぶら下がってボルトを打ったルートが1つあります。そこ以外、全てナチュラルプロテクションのマルチなので、止むを得ない妥協だと今でも思います。結果、僕はトップロープ状態でムーヴを探った上でのR.P.で完登しました。ただ、そこを再登する人には、是非とも下から普通にトライして欲しいと思っています。僕の場合、僕より強い人は無数にいるので、いくらでもO.S.する人が出るでしょうけど(笑)。
さらに、この話がトップクライマー同士の高難度課題であれば、「クライミング界の限界を押し上げる一助になれば。」という想いもあるでしょう。

B.際限なく安易になっていく流れへの警鐘

マットを使えば、落ちる姿勢や、落ちた場合の想定、クライムダウン敗退に対して、甘い人でもトライできるようになります。ただ、「それで本当に事故が減るのか?」という疑問もあります。実際、マットはあっても事故はあります。
単に、「怖がり」と「度胸がある」の二項対立でしか考えられないボルダラーを生み出してしまい、登りながらのリスク管理を真剣に考えなくなってしまうのではないか、という危惧が昔からあったのでしょう。

例えば、登山道難路などは、整備すればするほど弱い登山者が来るので、事故が減るのかは微妙なところ、という印象を持つ方(ガイドなどのプロ系の人)もおります。
リードでも、際限ないスタイルの妥協が、本当に安全に繋がっているかは疑わしいと、僕も思っています。

この問題は、マットが事故を減らしたかの統計を取ることに意味はなさそうです。
つまり、「装備進歩が、クライマーの意識退化を凌駕したか?」などということを調べるよりも、意識退化しない方法を必死で模索すべし、という結論が見えているからです。


この2点を考慮した上で、最終的にどう考えるかは、本人の価値観にも依存します。

僕は、
Aに関しては、「初登者に申し訳ないとは思いつつ、基本的には自分のスタイルを押し通す。」(僕自身の体重、落ちる技術では、ほとんどの課題がマット無しではトライを諦める方向に向かいそう。まぁ、実際には開拓した本人も、最初の何人かの再登者ぐらいしか気にしないでしょうし。)

Bに関しては、「際限ない妥協は回り回って自分自身をリスクに晒す、という考えで、自分自身に制限(これ以上は、無しってことにする)を与える。」

というのが現実的かなと思っています。

ボルダーマットを例にはしましたが、プリクリ問題、残置とトポを追いかける問題、トライ前に情報収集しまくる問題(動画も含む)など、割と何にでも当てはまる構図だと思います。
ちょくちょくBの観点では話していますが、たまにはAの観点を意識するのも良いことかなと思います。

ちなみに、僕は初登の記録をバックナンバーを漁って探すのは苦手なので、個別具体的な課題がどう登られたかは、あまり気にしないことにしています。ときどき有名クライマーの文章を読んで、考え方だけを感じるぐらいでも、インプット過多になりそうですよ・・・。

2022年3月17日木曜日

「モヤモヤが残る完登」をいろいろ挙げてみる

前記事の湯河原ボルダーの話を、一般化して「クライミングでよくあるモヤモヤした感情」として捉えてみます。
当然、登山にも通じる話です。

①危なっかしい完登
・ジムで、逆クリップに気づいたが、そのままR.P.した。
・ジムで、明らかにグランドフォールするタイミングでクリップを行った。
・クラックで、ロワーダウン回収中に、核心部のカムが効いていないことに気づいた。
・落ちてはいけないセクションを、自分ながら危なっかしいと感じるムーヴで突破してしまい、「2度とやりたくない」、「生きてて良かった」と思った。

②自力感の低い完登
・ムーヴを指示されながらマリオネット状態で登った。
・トップロープを張ってもらったり、ヌンチャク掛けが自分でできないルートを登った。
・自分ではアプローチで迷ってしまうエリアに連れて行ってもらったが、ルートではO.S.やR.P.などの成果があった。
・トポや残置を追いかけて、山のバリエーションを登った。
・連れられ登山で、雪山、バリエーションルートを登った。

③グラウンドアップ感の低い完登
・トップロープリハーサルを行った。
・掃除などの都合で、ホールドやカムセット位置を分かった状態でリードした。
・怖そうなセクションでのカムセット位置を、あらかじめ聞いてしまった。

④初登者のライン、トポのラインと違いを感じる完登
・ボルトが意図するラインとは、少しズレたラインを登っただろうと自覚している。
・人気ルートなのに、明らかに触られていないホールドを使い、脆かった。
・限定ラインが趣味に合わず、自分で「限定なし」や「無理の少ない限定」として登った。
・SDスタートしかトポに載っていないが、届く範囲スタートの方が自然に感じて、そう登った。

番外編
⑤設定ムーヴと大幅に違う完登(主にジム)
・ランジ課題で、飛ばないで届いた。
・スローパー課題なのに、ホールドのフチをカチとして持った。
・マッチ設定なのに、飛ばすことができた。
・蛇行ラインなのに、まさかのショートカットができた。(結果、使わないホールドがいっぱい。)

さて、どう思いますか?

④について補足します。
ボルトルートで「そこ使ったらグレード下がるよ!」と他人に言っている人はイマイチとしても、ボルダーのような小さい岩でラインが判然としないときに人に聞いたり、動画で確認してしまう気持ちは理解できます。
④は試合で言えばルールに相当します。「ルールは正確に決めてくれなきゃ困る。」という気持ちも分かりますが、「ラインなんて自分の目で見て決めるものだろ。」というクライミング観には岩を登る姿勢が感じられます。
ちょうど、ロクスノ最新号でも話題になっていますね。

答えの無い問題提起ですが、私なりの考えは以下。

①危なっかしい完登
→程度にもよるが、ミスによるリスク増大は完登失敗と見なす。その方が、長い目で見て自分のリスクを下げるため。
ただ、リスクを分かった上で取った行動(悪天につかまる可能性5%と分かった上で突っ込んで登頂した、1%の背中から落ちる可能性を分かった上でマントルに踏み切った、など)に関しては、全否定してしまうとアルパインっぽい遊びの自由度が極端に下がる気もする。しかし、それを続ければ、いずれ必ず大事故になるのも確か。

②自力感の低い完登、③グラウンドアップ感の低い完登
→なるべく厳しく完登失敗と見なす。ただし、ボルトルートで他人がヌンチャクを掛けているものを使う、掃除した結果でグラウンドアップが無理、などは仕方ない。

一方、上級者の方々で、危険なルート(R/Xのもの、フリーソロ)を③に関しては妥協してリハーサルしまくって完登、といった文化もある。
また、トップロープリハーサルにも、「落ちたら怖い」、「ランナウト区間が安全に登れない」などの消極的な理由ではなく、純粋にバラしやすい方法の選択として、上級者がトップロープでのバラしを一部許容している場面も見かける。初級者のリード技術不足によるトップロープリハーサルとは事情が異なるため、一見問題は無さそうでもある。
ただ、私個人は、ボルトルートでも未だに落ちたら怖いし、フォール姿勢やランナウト区間の安定ムーヴにも課題ばかりだと感じるので、この方法は採用できない。

④初登者のライン、トポのラインと違いを感じる完登
→人間なのでモヤモヤするが、最終的には自分がラインだと思うものを登ることに真剣になるべき。つまり、グレードやルート名を気にせず、ラインを登るのが、結局は心の健康に良い。結果、その場にいるクライマーと話が合わなくなることは、甘んじて受け入れるべき。
不自然なラインと感じても、余興やトレーニングとしては登っても良い。

番外編
⑤設定ムーヴと大幅に違う完登(主にジム)
→課題によっては相当モヤモヤするが、最終的には自分が登りやすいように登るしかない。練習として登る場合は別だが、トライとして登る場合は、「ルール範囲内であれば何でもアリ」というのがムーヴ戦略だと思う。リーチがある私は「ズルい」と言われることもあるが、止む無し。



以下、まとめ。

価値観は人それぞれとは言うものの、「皆、似たような考えに落ち着くべき場所がある。」という部分も大きいように感じます。
トップクライマーの〇〇さんと××さんの中間ぐらいのスタイル、などという感じで何パターンかに落ち着くものでしょう。私を含め、ほとんどの人はスタイルを確立する道半ばで一生を終えるのかもしれませんが(笑)。

スポーツとしての本質の一つが能力向上にあるため、「グレードが気になる」、「他人と比較してしまう」のも仕方ないですし、良い面もあるでしょう。

ただ、「何のために登るのか?」という原点に還ると、リスク管理とか達成感と向き合うことがアウトドアスポーツの本質だと思います。
クライミング友達とも、「どのルートを登ったか?」よりも、「どう登ったか?」、「どう苦労したか?」を話した方が盛り上がると感じています。

モヤモヤは、本質を捉え直すチャンスなんですかね。


1月25日(火)は、ムーヴLv.0にて、男性WNさん、男性KIさん、女性THTさん。
1月26日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
1月27日(木)は、リード1回目にて、女性HDさん、女性TNさん。2コマ目で、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性YDさん、女性HUさん。
1月29日(土)は、アイスクライミング体験にて、女性HNさん、女性Mさん。
1月30日(日)は、クラックリード講習にて、女性YIさん。
2月1日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性ONさん、男性UWさん、男性KTさん。
2月2日(水)は、岩場リード講習にて、男性NOさん、男性AHさん、男性SHさん。
2月3日(木)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。2コマ目は、ムーヴLv.1にて、女性WNさん、女性MDさん、女性AMさん。
2月5日(土)は、自分のクライミングにて、湯河原ボルダー。カメチヨと。そして、この日は寒すぎて、一人で湯河原山頂へハイキング。
2月6日(日)は、岩場リード講習にて、男性MBさん、女性SHさん。
2月8日(火)は、リード1回目にて、男性KIさん、男性WNさん。
2月9日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
2月10日(木)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性HUさん。
2月12日(土)は、クラックリード講習にて、女性YZさん、男性SUさん、男性HDさん、男性NNさん。
2月13日(日)は、雨でロープワーク講習にて、女性YZさん、男性SUさん。
2月14日(月)は、雪上訓練にて、女性YDさん、男性MBさん。

2022年3月14日月曜日

湯河原、木漏れ日

ブログの順序は前後しますが、1月から3月まで4回ほど湯河原ボルダーに通い、木漏れ日(1級)を登りました。
(その課題だけをやっていた訳ではありませんが。)

主に、2つのモヤモヤがあります。
今回は個人的な心情記録で、後日もう少し一般化した記事を書くための前段というイメージです。

①ラインが限定っぽく、かつ判断が微妙なホールドがある
カンテの隣で、カンテにも手が届く範囲です。実際、トライをやめるときにカンテに逃げたこともありました。
ただ、カンテラインにも課題が設定されており、トポに「カンテ無し」と書かれていなくても、カンテ無しなんだろうと想像できるものです。
限定課題はモチベーションが下がるものの、「カンテ無し」、「隣の岩は無し」くらいは、ボルダーならばセーフという感覚なので、ここまでは個人的にはオーケーです。

次に、終盤にカンテの一部のような、カンテではなくフェース面のホールドのようなガバが出てきます。
これは、私の主観で「アリ」と見なしました。
(他のクライマーが、使わないように登っているのも見かけましたので、その人の見地からすると私は登ったことにならない可能性ありです。)

色々モヤモヤするものの、1日目にトライした感じで「ほんの僅かに強くなれば登れそう。」という感覚を得たので、フィジカル目標と割り切って通うことにしました。
(普段は、フィジカル的には現状レベルで、技術的にできない課題が好みです。)

②トライが安全にできたか?
中盤、高さは低い割には下地が斜めで、かつ段差もあります。
ホールドが欠けるリスクは、触った印象では小さそうですが、形状的にゼロリスクとは言い難いです。
また、デッドポイントをする際に、完全に身体をコントロールできていて結果的にホールドに届かないだけならば、安全に落ちられる自信はあります。しかし、デッドポイント中に足が滑ったり、持ち手がすっぽ抜ける可能性もゼロとは言い難く、何十回と手を出せずにギブアップフォールを繰り返しました。

という訳で、トライ記録。
1日目:すっぽ抜けフォールで、段差の下にフォール(普段は、段差の上にフォールするため、マットも段差の上)。もしも、段差そのものに足を付いていたら、捻挫・骨折のリスクがありました。

2日目:寒さにより、ほとんどクライミングできず。諦めて、幕山山頂へのハイキング。軽い吹雪になりました。夕方、少しだけ気温が上がり、ちょっとだけトライしましたが、初日より後退。

3日目:体調がイマイチ、疲労もあり、予想どおり初日より後退。アイアンメイデン(4級)はSDなのですが、とりあえず届く範囲スタートが自分に丁度良さそうな課題だったので、この日はこれを打ち込んで登りました。(トポに載っている課題ではないため、グレードなどは無し。)

4日目:ようやく体調を整えて再トライ。核心部ですっぽ抜けフォールしないデッドポイントを発見し、核心部ができるようになった。バラしの最中、核心上のガバ取り(落ちたくない高さ)で、一度危ういデッドになって、肝を冷やしました。ただ、完登時は安全基準を上げてムーヴを起こすかどうかを判断したため、コントロールできたトライでした。

という訳で、完登したトライは安全と自己評価できたので、最低ラインはクリアなのですが、練習中にヒヤリハットに近い感覚があったので素直には喜べないという部分もあります。
1つの課題で2回も怖い目を見ているのは、我ながら残念です。

①に関しては、トライ前にオブザベで分かることですし、割り切ってトライしたつもりですが、やはりモヤモヤは完全には消えません。他者の考えを気にしつつ、今も文章を書いている自分の小市民ぶりを痛感させられます。

②に関しても、今の自分にとって「ややリスクコントロールが難しい課題」だと分かった上でトライしていました。もう少し、自分なりのトライ方法を確立していきたいものです。


1月12日(水)は、1コマ目がムーヴLv.0にて女性NZさん、男性Hさん、男性YSさん。
2コマ目もムーヴLv.0にて、女性TDさん、女性WNさん、男性FYさん。

1月13日(木)は、1コマ目がムーヴLv.0にて、女性NJさん。
2コマ目がムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性TNさん、女性HUさん、女性YDさん。

1月14日(金)は、登山入門にて大岳山〜海沢探勝路で、女性YDさん。
1月15日(土)は、岩場リード講習にて、男性MBさん、男性KBさん。
1月16日(日)は、アドバンスクラック講習にて、女性WNさん、女性ISさん。この日は、超入門ワイドにて、基礎的なムーヴの反復練習に専念。

1月18日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性TNさん、女性ONさん、女性Mさん、男性UWさん。
1月19日(水)は、岩場リード講習にて、男性HDさん、男性YMさん。
1月20日(木)は、岩場リード講習にて、男性MBさん、男性NOさん、女性TNさん、そしてグリグリの練習も兼ねて復習参加の女性IUさん。

1月21日(金)は、1コマ目がリード1回目にて、女性NZさん、男性FYさん。
2コマ目が、リード3回目にて、女性MDさん、復習参加の女性AMさん。MDさんは、これにてジムリード講習を卒業といたしました。

1月22日(土)は、自分のクライミングにて湯河原ボルダー。
これといった成果は無し、多少の進捗はアリ。

1月23日(日)は、岩場リード講習にて、女性SWさん、男性MBさん、男性NNさん。
1月24日(月)は、クラックリード講習にて、男性HGさん、女性YIさん。

2022年3月2日水曜日

4月分の予約受付

3月7日(月)の21時より、4月分の予約受付を開始いたします。

定期のムーヴLv.0は、これまで通り火曜の全てと、木曜の半分。
定期のムーヴLv.1は、木曜の半分。

講習エリアは、気温を見ての判断ですが、湯河原→天王岩、城ヶ崎→湯川、となっていく予定です。
マルチピッチ講習も、越沢だけでなく、三ツ峠なども選択肢に入ってきます。

ではでは、どうぞよろしくお願いします。