2021年12月18日土曜日

小さくて確実な進歩

11月20日(土)は、アドバンスクラック講習にて、女性ISさん、男性ITさん、男性MKさん。
11月21日(日)は、男性MBさん、女性GTさん、女性HNさん、復習参加の男性SKさん。
11月23日(火、祝)は、クラックリード講習にて、女性YIさん、復習参加の女性ISさん、復習参加の女性IUさん。
11月24日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
11月25日(木)は、ムーヴLv.0にて、女性HDさん、女性TNさん。
11月26日(金)は、リード2回目にて、男性KTさん、女性AMさん。
11月27日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん。
11月28日(日)は、岩場リード講習にて、女性YZさん、女性NMさん、男性MBさん、男性NHさん。
11月30日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、男性NOさん、女性MSさん、女性HNさん。
12月2日(木)は、ムーヴLv.1にて、男性MBさん、女性WNさん。


ISさんが、この2週間で語った自身の進歩。

①アドバンスクラック講習にて、自分たちでフィックスロープを張り、懸垂下降してアプローチするエリアに行きました。帰りも歩いて戻ることはできませんので、緊張感もあります。
私がフィックスロープを張って、それを使って全員で懸垂下降する場面。

「お掃除講習と同じシステムだ。理解しているシステムだけに、心が平穏になった。」
「グリグリによる(ロープ)1本懸垂でも、むしろ安心感があった。途中で、仮固定も自信を持ってできた。」
「ザックをハーネスにぶら下げて懸垂するのも、やったことがあるから気が楽だった。」
などと、喜んでくださいました。

②同日、「自分が登りたいラインをどれでもトライしてください。」という設定でオンサイト成功した後に。
「カムが効きそうな場所、難易度、核心の場所、おおよそ全てオブザベ通りだった!」
と、目利きの進歩を感じていました。

③クラックリード講習での復習参加にて。
「立木の懸垂で、ほとんど心が動揺しなくなった!ここの部分に関しても、自分は成長していた。」

④同日、易しいルートでのムーヴ練習にて。
「(城ヶ崎のスベスベの岩質で、5.4ぐらいとは言え)テーピング無しで、ほとんど痛みなくジャミングを自然に使うことができた!」

今回の例は、ロープワーク系での進歩実感2つ、オブザベでの進歩実感1つ、ムーヴ系での進歩実感1つ、という具合です。
これを末長く続ければ、必ずや未来があると思います。
1年後に爆発的にグレードが伸びるという意味ではなく、伸び止まりにくく、生涯学習としてクライミングを楽しめるということに未来があると思います。

「悪いルート触んなきゃ強くならないよ。」
という仲間の言葉を間に受けて、(半ば闇雲に)限界ルートを触りまくるものの
「(取り組み方に問題があるのか)強くなっている気がしないっす!(最初だけは強くなったけど・・・)」
という人もいると思います。
そして、老化・ブランク・故障でパフォーマンスが下がり、モチベーションが低下しきった人をどれほど見てきたでしょうか?

この差は、どこから生まれるのでしょう?
誰にとっても、一考の価値がある問題だと思います。

2021年12月17日金曜日

限定ルート、ルート近接問題との付き合い方

11月19日(金)は、自分のクライミングにて、神戸の岩場。
Y田さんと。
都市近郊型の小さな岩場に多い、限定ルート、ルート近接問題。

限定ルートが嫌いという人は、結構多いと思います。 
「自然なラインを登りたいよね。」
「限定して5.11aなら、限定なしで5.10cの方が良いルートだったのにね。」
「誰かに登らされている感じがしてムカつく。」
などなど、様々な感想があると思います。

※「隣の岩は無し」など、ある程度は自然なルールとして受け入れやすい限定もあるので、限定のサジ加減にもグラデーションのような濃淡はあります。また、開拓者は限定していないのに、ローカルクライマーが限定を後付けしてしまい、それがネット上で主流派のように語られる事例もあります。さらに、初登後に岩の形状が変化して、今となってはボルトラインから2mぐらい横を登った方が、岩の弱点となる場合もあります。「限定=開拓者が悪い」というのは、言い過ぎなので注意です。

また、隣のルートと近すぎるのが嫌いという人も、結構多いと思います。
「それ使っちゃったら隣のルートになる。」とか言われることもありますし、実際に言われなくても、自分自身で「どこまで使うのはアリなんだろう・・・。」と悩みながら登るのは、ストレスがあります。
それゆえ、クラックの明確なラインに惹かれるクライマー、隣のルートとの間隔が広い海外のボルトルートに感動して帰ってくるクライマー、といった人も多いのでしょう。

しかしながら、限定を積極的に破って“自分が好きなように”登る人というのも、少数派です。
(僕自身その少数派に属しているので、限定は破ることが多いです。2ラインが近い場合は、「2つのボルトルートどちらにクリップして登っても良い。」、つまり「1ラインしか無いと仮定してオンサイトトライする。」という遊び方にしています。もちろん、余興的な感じで限定ラインを遊ぶことはしますが。)

さて、限定ルートが嫌いだが、限定を積極的に破れない人の心理を考えてみます。

①負けた気がする。
極端に言えば、ジムのルートで、別のホールドを使って登ってしまうと、ルートの意味が無くなります。それに近い感覚。

②名前のあるルート、正式に(?)グレーディングされたルート、こそを登りたい。
限定を破ったり、自分が好きなように登った場合、友人に「○○を登ったよ!」と報告できない恐れがあります・・・。また、「ちゃんと登れば良いのに・・・」と残念な人扱いされる恐れすらあります・・・。

③開拓者への礼を払いたい。
例えばボルトルートでは、開拓者の意図に反する登り方をしては失礼な気がします。
まして、限定ルートを非難して、開拓者に嫌な気持ちをさせてしまわないか不安にもなります。
ただ、実際に開拓者の人と話をする機会があったりすると、「自分が好きなように登れば良いよ。」と言っていただけるケースが多い印象です。
※「当然ナシでしょ!」と言っている開拓者も居ます。

④自分でラインを見出して登る自信が無い。
ブーブーと文句は言いつつも、自分の岩を見る目や、それに伴う自己責任には自信が無い。
(初級者の場合、ある程度は仕方ない部分も・・・)

①〜③は、私自身にもある心情です。
④は、岩場クライマーとしてはダサい感じもします。ただ、ジムとボルトルート専門の人などは、岩そのものを登る感覚は薄く、提供された課題を登っている感覚なので仕方ないかもしれません。

個人的な印象ですが、ブログ、facebook、インスタ、などの影響で、②の心理は強化される傾向があるように思います。
見知らぬ人に、「それは登ったことにならない。」とか思われるのも嫌ですしね。

具体的に登ったルート(全てボルト)
・アルマジロ(5.9) 再登
・ガバ丸(5.10a) 再登
・ウィリー左(5.10b/c) 再登
・長谷川ルート(5.11d)、御開帳(5.12a)、という2ラインを1ラインと見なして O.S.(体感5.11c) このルールなら、限定感はだいぶ薄れるので、そういう考え方の人には良いかも。
・ウィリー右(5.11b) 1回ハングドッグしてムーヴ解決。次の便で、R.P.。ボルダーの練習、っていう感じ。(通算2日間)
・バブルス下部バリエイション(5.11c) ボルト自体にはクリップして登れたが、ボルトが指示するラインからは外れている感覚があり、モヤモヤが残る感じ。バブルスに合流してから先は、2度登ったことがあった。

瑞牆、二子山、城ヶ崎あたりのビッグエリア、あるいはクラックなら、こういうモヤモヤは、そもそも起こりにくいんですけどね。
とは言え、近郊岩場には今後も行きますし、講習でも使い続けますので、この問題とは一生付き合っていくことになりそうです。

2021年12月10日金曜日

〇〇をやらない方が良いと分かっていても、やってしまう原因

11月6日(土)は、マルチピッチリード講習にて、NSさん夫妻。
11月7日(日)は、岩場リード講習にて、男性NHさん、男性HDさん、男性YMさん、男性MBさん。
11月9日(火)は、ムーヴLv.0にて、男性ONさん、女性MYさん、女性YMさん、女性STさん。
11月10日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
11月11日(木)は、湯川の再開拓講習にて、女性Mさん、女性ISさん。
11月13日(土)は、クラックリード講習にて、男性TGさん、男性HGさん、女性MKさん、男性SUさん。
11月14日(日)は、マルチピッチリード講習にて、女性Mさん、男性KBさん。
11月15日(月)は、岩場リード講習にて、女性MDさん。
11月16日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性AKさん、女性YDさん、男性TNさん。
11月17日(水)は、ムーヴLv.0にて、女性NJさん。
11月18日(木)は、ムーヴLv.1にて、男性MBさん、女性WNさん。

・デッドポイントで、後ろに(壁や目標ホールドから離れる軌道で)飛んでしまう。(私もコレでした。)
・スローパーを、カチ持ちしてしまう。(私もコレでした。)
・明らかに正対が良さそうな配置で、不自然なキョンをしてしまう。
・スタティックで安定するための、最後の辛抱ができない。
・リード中、落ちても怪我のリスクがほぼゼロの場面で、諦めてテンションしてしまう。

これらは、一般的に悪癖と呼ばれるものです。

他にも、ムーヴの癖(フォーム含む)、ちょっとした雑さ、何らかのサボり癖、リード所作の癖、ビレイの癖、リスク管理の考え方の癖、などと挙げていけば、100個でも挙げることはできるでしょう。
当然、私にも沢山あると思います。

例えば、スローパーをカチ持ちしてしまう人を考えてみます。
本人が、それを良しとしてしまっていれば、修正は難しいと思います。
一方、カチ持ちしたくないとは思いつつ、どうすればスローパーが効くのかが分からず、本番になると結局カチ持ちで突破せざるを得ない(もしくは完登を諦める)という状況になります。

そうなると、いくら本番を繰り返しても、悪癖は治る可能性が低いです。

また、その人のために、
「決してカチ持ちできないスローパーを使い、かつ、そのスローパーはしっかり保持しないと次のムーヴに繋がらない課題。」
を作ったとしても、絶望的に難しく、その課題をパスせざるを得ないことが多いです。
(ランジが全くできない人に、ランジ以外では登れない課題をあげると、顕著です。)

この時点で、この人は弱点克服の行き止まり(本番で意識するだけの限界)に居ます。
まず、この自覚をできるだけ早い段階で持つことが大切です。

次に、スローパーが苦手な原因を考えます。
色々な人に話を聞くのも良いでしょう。

しかし、考えてもボンヤリして、頭がクリアにならない場合、
「カチ持ちできるぐらいのスローパーを、スローパーとして効かせる練習。」
「スローパーを完全保持しなくても登れる課題(リーチがあると飛ばせる、など)でも、敢えて完全保持してみる練習。」
などが考えられます。
ただし、これは軽症患者に効く薬で、重症患者には効かないと思います。(軽症患者なら、これを沢山やれば良いでしょう。)

自分が重症であると自覚したら、基本的な登り方から修正していくしかないと思います。
見る人が見れば、5.8や8級の登りでも、「この人はスローパーが苦手になりそうな素養がある。」くらいは分かると思います。(100発100中とは言えなくても、かなり分かるはずです。)
これを自分自身で見つけることは、なかなか難しいです。ここが、コーチングの意味ではないかと思います。
そして、見つけた弱点を全ガバルートで反復練習して矯正していく作業は、めちゃくちゃ地味です。

大抵の場合、言われることとして、
「これが本当に、〇〇の弱点克服に繋がるんですか?」
というのがあります。
実際、遠因を潰していくアプローチなので、どんなに言葉を尽くしても本人には理解しづらいものがあります。

しかし、それ以外に方法があるでしょうか?
だって、その弱点は軽症ではなかったと、実証済みだと思うのですよ。

また、基礎を見直すことで、大抵の場合は副次効果も期待できます。
「スローパーを意識しまくったら、他もちょっと良くなった。」
という具合です。
それが分かる度に、クライミングの仕組みって面白いなと思います。