2015年5月30日土曜日

再受講は、劣等生ではない

5月29日(金)は、1コマ目でリード3回目。
女性OGさん。
(OGさんは、今回でジムリード講習を卒業です。)

2コマ目で、リード2回目。
NS夫妻、男性WNさん、女性WNさんの4名。
本日の講習生5名、ほとんど何かしらの再受講を経験して、ここまで来ております。

ムーヴLv.0を2回以上受けた方が、4名。
リード2回目を2回受講した方が、2名。
リード3回目を2回受講した方が、1名。
講習の順序は、ムーヴLv.0、リード1回目、2回目、3回目、岩場リード講習、・・・となっています。
でも、1つのクラスに滞在する時間は、人それぞれ。

続ける人は、結構しぶとい。

また、マルチピッチリード講習の卒業生の面々も、少ない回数で終えた人は、むしろ少数派です。

どっちかと言えば
「今回で、卒業とします。」
と言われても、

「自分は、まだまだ不安一杯なんで、しばらく受けたいです。」
と思うくらいの人が、長い目で見ると成長速いように思います。

焦らなくても、意外なほど伸びます。
一刻も早く岩場に行きたい気持ちは分かりますが、もう一呼吸、落ち着けば大丈夫ですよ。
マルチ卒業生をパッと思いだす限りでも

ONさん、NMさん、HYさん:
岩場リード、クラックリード、マルチリード、それぞれ全て2日以上の復習受講。

MJさん:
クラックリード、マルチリードは、2日以上の復習受講。
そもそも、クラックリードの卒業に相当苦労したタイプ。

WNさん:
クラックリード、マルチリード、ともに相当長かったタイプ。

ARさん:
ジムリード講習を終えてから、1年後に1回目~3回目まで全て再受講したという唯一人。
というか、2クール目に受け始めたのが、本格的にクライミングに傾倒するタイミング。
その後も、全体的に復習受講好き。

もちろん、割とパパっと卒業したり、復習受講少なめでも優秀な方もおります。
でも、「回数が多い方が、不出来な訳ではない。」という証拠には十分なっていると、私は感じます。

時間を掛ければ、ほとんど誰でも出来るようになることだけしか、教えていないのですから。

2015年5月29日金曜日

レスト体勢

5月28日(木)は、ムーヴLv.0を2コマ。
1コマ目は、女性THさん。
2コマ目は、男性OHさん、男性ISさん、男性EMさん、加えて新規女性OMさん。

(本日は、写真なし)

一手一手レストする練習をすると、3割くらいの人が、次の一手を取りに行くムーヴ中にレストをします。

これはこれで、短期レストといって、ムーヴの流れの中でちょっと血流をうながす有効な技術です。
(イメージは、パワーゲージが減る速度を落とす役割)

でも、この練習の意図は、より良いバランスを体で感じることです。
なんで、次のホールドが届かないようなスタンスで、レスト体勢を作ることもアリです。
(イメージは、レストのためだけに一度身体を安定させるムーヴがある感じ)

むしろ、「ここなら長居できるなー。」という気持ちの余裕を持ってレストしてもらい、先の手順やスタンスの位置をオブザベーションするくらいの体勢です。
初心者には、まずはこのレスト体勢をしっかり覚えていただきたいです。

クラックやマルチまで見通すと、考えながら登る習慣、ってのが有利だと思うんですよね。

一登入魂

5月26日(火)、27日(水)は、自分のクライミングにて、カサメリ沢。
久々にボルトルートです。

今井先生、長門先生、そしてお初のY本先生。
こちら3人は、全員5.13bにトライするということで、驚き桃の木の皆さんです。

都合により、写真は1日目のものだけ。
<鳳凰(5.13b)をトライするY本くん>

我ながら、1日目は結構調子もよく、2本の5.12aを2撃。
(1本は、オンサイトすべきだったのを失敗した感が否めないんで、素直には喜べないのですが・・・)
<ワイド講習も受け付ける長門先生>

そうなると、2日目は全身ボロボロの疲れ。

午前中に、5.12aにトライするも、ムーヴも1箇所を未解決のままトップアウト。
ただ、その未解決部分も、大体のムーヴのイメージは分かったので、フレッシュに近ければこなせるように感じました。
<長門さんの鳳凰(5.13b)>

ただ、そのルートは午後は日当たり良好で、本日は夏日っぽい。

これを、もう1トライするとなると、ヘッデン間近の夕方にしかチャンスはありません。
もし、そうすると午後は18時くらいまで、ひたすら寝たり、岩場偵察?
<通算3便で、R.P.らしい!>

で、もう1つの選択肢は、
「今日の自分の体力なりに1撃~2撃できそうなルートを探して、登りまわること。」

この方が午後の時間を有意義に使えるし、カサメリはあまり来たことがないので、知らないルートは盛り沢山。
<後輩にいじられまくる審判ルックス>

で、今回は・・・

皆さんの魂のトライに押されて、一登入魂をチョイス。
<指皮をケアするY本くん>

寝て待つこと3時間。
夕方に起きだして、ルート下部をトラバースしたり、岩場見学に歩いたりしてウォームアップ。

さて、これ以上待つと、スタンスが暗くて見えなくなる手前の時間になって、ようやくトライ開始です。
<休憩中>

とはいえ、本日は夏日。
残念ながら、岩は暖まりきってしまい、1トライ目よりヌメリます。

でも、一登入魂タクティクスのお陰で、未解決パートもムーヴ成功!

ここから、持久系のセクションに突入です。
<3人に比べ、写真だけでもドン臭さが伝わる私>

が、しかし。

やはり、ヌメリには勝てず、持久系のセクションの出だしの数手目でフォール。
むー、惜しくもなんとも無い・・・。
<1日目の最終トライは、時間配分ミスにより、ヘッデンで>


成果にはなりませんでしたが、自分の中では「本気トライof本気トライ」が出来たので、良しとしました。

10年以上前に、先輩曰く
「石田君は、経験が浅いから、いっぱい登らないとトレーニングできないんだよ。いずれ、本当に良いトライなら、1トライや2トライでも翌日に全身バキバキになるようなことが出来るよ。」
<金のわらじ(5.12a)>

うーん、2日目の終了時より、1日目の終了時の方が疲労困憊だった気もするので、まだまだ出し切れてないのかも。

クライミング道は、生涯学習ですねー。
<核心抜けて、完全レスト>

具体的に登ったルート(全て、ボルトルート)

1日目
・トータルリコール(5.10b) 再登でアップ
・ネコの手(5.10b) 再登でアップ
・バットマン(5.11b) 出だし核心で、数回目に成功。そのままR.P.。
・ワニワニワニ(5.11b) 再登でアップ
・ギャラクシアン(5.12a) 1テン、2便目にR.P.。
・金のわらじ(5.12a) テン山、2便目は出だしフォールして、仕切り直し。完全真っ暗の中、初のヘッデン5.12a(笑)。

2日目
・トータルリコール(5.10b) 再登でアップ
・ぞうりむし(5.11a) フラッシュ
・ごっくん小僧(5.12a) 1トライ目は、午前中にムーヴ出来ず。2トライ目は、夕方やるもフォール。
<この後、無事にR.P.できました>

2015年5月25日月曜日

気持ち上向く

5月24日(日)は、ロープワーク講習。
前日に続き、女性ARさん、男性FKさん。
FKさんは、システム系はまだまだです。

前日のマルチでも、

・複数支点でのビレイ点作りで、連結方法の比較検討で頭を悩ませる
・ロープは、どこに置くと絡みにくいかに、頭を悩ませる
・下山するに際して、ロープを背負う方法は、まだ知らない

などなど。
他にも、

・ビレイポイントにおけるパワーポイントに、自分のセルフを直掛けすべきか、離すべきかで悩む
・ロープのちょっとした整理に、手で畳む方法が洗練されていない

などの、小さめな問題も浮き彫りに。
その一方で、これまでのマルチは、あまりにも混乱して

「ツライ!」
というイメージだったのが、

「楽しめるなー。」
という気持ちになったそうです。
こうなると、全ての練習に対して、前向きになれますね!

「自分は、システムに弱い。」
という印象から

「まだまだ修行が足りないけど、自分も上達過程にはあるようだ。」
という実感へ。
やっぱ、気持ちって大事ですねー。
前日の完登が、だいぶ効いているようでした。
FKさん、しばらくマルチは封印して、ショートルートの岩場通いをしようかと思っていたそうです。

このままマルチ講習継続でも、しばらく封印でも、どちらもアリ。
ただ、どっちにしても気持ちがプラスになったのは、何よりでした。
具体的な講習内容
・ロープの畳み方を洗練
(肩畳み、背負い、手畳み、手コイル)

・アルパインクイックドローの作り方、スリングの収納を洗練(ARさん)
・懸垂下降の仮固定(FKさん)
・懸垂下降意のバックアップ(FKさん)
・メインロープを使ったビレイ点の作り方いろいろ(ARさん)
・ショートルートの終了点作業を洗練(FKさん)
・懸垂下降のバックアップ各種(ARさん)

・フィンガークラック練習

マルチピッチにも、本気トライ戦略を

5月23日(土)は、マルチピッチリード講習にて、三ツ峠。
女性ARさん、男性FKさん。
<快晴!>

マルチピッチとはいえ、1ピッチが難しいことも多いです。

特に、今回の2人にとっては、三ツ峠の残置無視、オンサイトトライは、それなりに難しいものです。
<いつ見ても、デカイなー>

そこで、今回は2日目の日曜は、天気予報が微妙という時点で、ロープワーク講習に決定。

1日目のみを、本気トライ。
これで、思う存分に出し切れます。
<オブザベ中>

次に、午前中はビレイ点作り、ハーケン打ちの講習。

マルチピッチで混乱しがちな、ロープワークについて、体力を使わずに練習タイム。
<ハーケンを打って、実際に静荷重してみる実験>

<FKさんは、ビレイ点作り練習>

そして、1ピッチ毎に十分にオブザベーションをします。

「カムを、どれだけ持って行こうか?」
「ビレイ点は、どんな感じに作れそうか?」
「出だしのハング越えは、どんなムーヴになりそうか?」
<1ピッチ目のAR姫>

もちろん、実際のリードそのものも、十分に本気トライ。

9割方オンサイト出来そうなピッチを選んでおりましたが、それでも行きつ戻りつしながら、十分に時間を掛けて登ります。
<なかなか良いクラック>

<核心、抜けた!>

そうなると、荷物を背負ったフォローは苦労必須!

そこで、荷揚げも頻繁に使います。
<ワイドムーヴ!>

<ザックは、数メートル下にあるため、これから荷揚げ>

<姫にしごかれる組長>

それでも、1ピッチ終わる頃にはグッタリ・・・。

そこで、核心ピッチの前後では、ビレイ点のテラス毎に10分ほどの休憩をとりました。
(意図的ではなく、息が上がっていたので、「10分くらい休憩しましょうか?」と声掛けした程度)
<十分に大レストして、2ピッチ目へ>

結果的に、この戦略が大当たり!

1ピッチ目のフォローで、フラフラに目を回していたFKさん。
10分休憩を含む、20分以上のビレイ点作業の後で、2ピッチ目にオンサイトトライ!

個人的には、2ピッチ目の方が悪いと思うのに、見事にオンサイト!
<組長、渾身のトライ>

<フォローで、何度も落ちるAR姫>

<でも、楽しそう!>

<さすが、三ツ峠の景色>

マルチは、スピードも大事です。
特に、日没が迫るようなシチュエーションだと、それは確かです。

で、今回の2人が採用した戦略は、あえて逆を行くものばかり。
「焦らず、ゆっくり、時間を掛けて」
<スクランブル交差点のような混雑>

これはこれで、本当に有効だと思います。

マルチピッチとはいえ、各ピッチが本気トライなら、本気トライ戦略を使おうって話。
また、マルチピッチに不慣れな2人が、ロープワークをじっくり考えられる余裕もあったようです。
<渋滞回避して、ハンドクラックへ>

<ようやく空いてきた17時>

実際、12時5分に登攀開始して、三ツ峠山頂にトップアウトしたのは18時。

いつも通りの長丁場です。
でも、本当に有意義な6時間だと思うんですよ。
<トップアウト目前>

全力を出しつくして、各ピッチをオンサイト!
初登攀気分で、トポを見ずに山頂へ!

クライミングって、初級者でもこんなにも楽しめるものなのかと、感じ入ります。
<人生で数回しか経験がないという、Vサインを見せる>

最後に、今回でARさんは、マルチピッチリード講習を卒業といたしました!
今後は、仲間ともマルチピッチを楽しんでくださいませ。

もちろん、マルチピッチ講習の復習参加、研修登山、冬の講習と、オプショナルな講習も各種あります。
これからも、長い目で山を学んで参りましょう。
<完登で、苦労も吹っ飛ぶ!>

2015年5月24日日曜日

戻れる1歩

5月21日(金)は、クラックリード講習にて、湯川。
女性HMさん、男性ONさん。

本日は、教え方メモみたいな内容につき、読解困難かも・・・。
「落ちたらいけない場面では、クライムダウン出来る範囲で、行けるかどうか試してみるのが有効。」
っていうのは、もう岩場リード講習、クラックリード、マルチピッチリードと、本当に口酸っぱく話す内容です。

だって、落ちたら死んじゃうようなランナウト状態で、登れず降りれずになったら、人生の詰みじゃないですか!?
だから、そういう状態でチョットでも難しいと、1歩1歩
「いまなら、まだ帰れるよな。もう1歩行っても、まだ帰れるよな。」

といった確認作業しまくり!

私は、メチャクチャ登るのが遅くなります。
もちろん、上手いアルパイン系の方々を見ると、そういったセクションでも一定程度のスピードでは登ってしまいます。

これは多分、

・突っ込んで行った先に対する、オブザベーションの自信
・1歩1歩確認しなくても、いざとなればクライムダウン出来る自信

といった経験値に裏打ちされているように、私は感じています。

だから、私みたいな半端者がスピードを真似したら、たぶん簡単に死んじゃうだろうなーと。
(もちろん、多少はやりますよ。)
だからこそ、講習生にてもクライムダウン出来る範囲、っていう安全圏を推奨しております。

で、薄々感じていたことが、今日確信に変わりました。

「クライムダウン出来る範囲を意識したくても、今の1歩1歩が戻れるかどうか意識できない人が多い。」
っていうこと。
もちろん、足位置を記憶するというテクニックも重要です。
が、どうやらそれ以前に、“つまづき”がありました。

いま、右足を上げた時、その右足を下ろせるかどうかを意識しているかどうか、という話。
本日は、実験的な意味も含めて、簡単なムーヴで足上げをする度に

「今の足移動って、戻れます?」
と指示を出して、足を元のスタンスに戻してもらいました。

すると、今回の2人の場合だと、ほとんど戻れないor戻りにくい、という結果に。
(これを繰り返したところ、戻りやすいムーヴを選択するようになってきました。)

これじゃー、1歩たりともクライムダウン出来ないですよねー。

もちろん、リード中に、いつもクライムダウンを意識している訳じゃないですよ。
ただ、クライムダウンできれば、安全圏に戻れたり、レストポイントに戻って別ムーヴで再チャレンジすることも出来ます。

数歩のクライムダウンを考慮するだけでも、戦略は圧倒的に楽になるっていう話です。
 具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツ(脱力、手首を返さない方法、親指の使い方あれこれ)
・ジャミングの引き付け練習
・戻れる1歩かどうか、確認練習
・地上でのカムセット練習
・カムで落ちる練習
・終了点作業の段取り
・実践本気トライ
HMさん:大和屋(5.7)をR.P.、デゲンナー(5.8)を再登
ONさん:デゲンナー(5.8)を1テン

2人とも、クラックというか、リード技術全般において進歩が強く感じられます。
時間は掛かりますが、毎回着実だと思います。