「リード上達のため、ボルダリングが必要だと感じたが、ボルダリングで挫折した。」という人は、非常に多いと思います。
特に、山屋系で「リードクライミングは中級レベルに達した自負があるが、ボルダリングはどうも好きじゃない・・」という人が多いです。
私自身もそうでしたし、講習生にも多いです。
講習生の中には、「私は、最初からボルダリングも楽しかった。」という全く問題が無い人もおりますが、それはラッキーな例です。
挫折ポイントを列挙して、何が大切かを考えてみましょう。
①落ちるのが怖い
タイプは様々です。
・リードだと、テンションによるギブアップができるが、それが不可。
・リードのハングドッグだと、他のホールドを持ってチョンボクリップしてトップロープ状態でムーヴを探る習慣があったが、それが不可。
・リードだと、腰から落ちてハーネスにぶら下がる感覚だが、ボルダーは足から着地せねばならない。
・リードのちょっとしたフォールより、ボルダーの着地の方がちょっと衝撃が強い。
・ボルダーで骨折した話を聞いて、何となく避けている。(落ちる態勢に応じたリスク分析など、頭脳戦は苦手)
・リードでも、垂壁やスラブでは着地姿勢が問われるので、実のところ強傾斜しか本気トライができない。
分析していくと、
「そもそもリードの本気トライも、ショボいんじゃないか?」
という感じが見てとれます。
だからこそボルダーに向き合うべきなのか?
それとも、ボルダー以前に「リードで落ちる練習」に向き合うべきなのか?
そこは、どちらから始めても良いと思います。
とりあえず、どっちかは改善を始める方が良いですね。
<クラックリード講習@城ヶ崎>
②できないムーヴに打ち込むのが、精神的にキツい
リードは、多くの場合は「部分的には、ムーヴができる」ぐらいの難易度のルートをトライします。
本気トライの例)
・オンサイトで良い勝負だった。
→ 作戦ミスなど、様々な反省点を考える。
・オンサイトには失敗したけれど、ハングドッグして数回練習したらムーヴはこなせた。
→ 数トライでのR.P.を目指そう。
・テンションかければムーヴはできるんだけど、なかなか繋がらない持久系ルート。
→ 体調を整えて本気トライに臨む日を作る。
核心部or別パートの省エネを考える。
全パートに身体が慣れるまで、日数や回数を打ち込む。(最終手段)
「ムーヴができない」例として、以下のケースは私は時期尚早と考えます。
1本のハングドッグで核心部を、10〜20回練習するとします。
これを、×3本やってダメだった。
大きな理由は、2つ。
⚫︎ハングドッグが、ボルダーの練習として見ると非効率。
(ビレイヤーも大変。テンション中も、地面に座っているときと比べ、完全な回復が見込めない)
⚫︎持久系のルートの場合、あまりに厳しいムーヴが連続すると、R.P.まで繋げられる見込みが薄い。
だからこそ、ボルダーをやって、色々な「できないムーヴ」を試行錯誤すべきです。
しかし、リードに慣れている人ほど、「できないムーヴ」に向き合う機会が少なく、精神的に追い込まれやすいです。
ここの精神的安全性を保つため、私なりに考えた方法は後述。
<ボルダーで練習>
③雰囲気が苦手
ジムのリードエリアの休憩時間は、山の話が割と多かったりします。
「先週末のアイスクライミングは・・・」
「こないだの事故は・・・」
「〇〇のクラックエリアへのアプローチは・・・」
「こないだ、ワイドクラックを初めてやって・・・」
「八ヶ岳の積雪状況は・・・」
山のサロン的な雰囲気もあります。
一方で、ジムのボルダーエリアは違います。
いわゆる街の世間話をしたり、ストレッチ・筋トレなどのメニューを話していたり、他のボルダージムの話をしたり。
岩の話も、岩場ボルダーの話だったりします。
ここに、何となく居場所が無いと感じるのも、メチャクチャよく分かります。
特に、ボルダリングがそれほど好きでない状態で、意を決してボルダリングに打ち込み始めた頃は、1つのハードルになりやすいです。
私は、今となってはボルダリングも結構好きなので問題ないのですが、昔はキツかったです。
今は、モチベーションの高いボルダラーのトレーニング談義も聞けるし、雰囲気の違いは良さでもあると感じます。
今は、モチベーションの高いボルダラーのトレーニング談義も聞けるし、雰囲気の違いは良さでもあると感じます。
<チムニーの練習>
④プライドが砕かれる
・ちょっと運動神経の良いビギナーには、すぐに抜かれます。
・「リードではあり得ない不安定さ。」、「山屋の登り方としては、危なっかし過ぎる。」と思うような登りの人にも、課題では全く敵いません。
・週2以上でボルダリングしているジムの常連さんには、全く敵いません。
・基本的に雑な登りなんだけれど、核心部だけは繊細なテクニックを駆使するボルダラーに対して、全面的に尊敬する気にもなれずに戸惑います。
・苦手な課題は、低グレードでも一撃できないどころか、ムーヴ分解すらできないこともあります。(「5級でも全然ダメ!」などと騒ぎたくなる)
・「山では、絶対使わないでしょ。」と思うような課題を避けまくっていると、後ろめたい気持ちになったりします。
要するに、山屋であり、リードではそれなりに登れるというプライドが、邪魔をする訳です。
<ハサマリング>
最後に、「できないムーヴ」の精神的安全性を保つコツを、いくつか考えます。
ボルダラーと言えども、やっぱり登れる課題が好き
⭐︎1〜2箇所のできないムーヴであれば、そこに何十回も打ち込んだとしても、ムーヴができたら完登できることが多いです。
それは、リードより遥かに「繋げやすい」からです。
これぐらいの成功体験を積むと、モチベーションを保てます。
⭐︎数回の練習でできる程度のムーヴだけのボルダリングも、十分に練習になったと考えます。
この難易度は、ハングドッグでも「よくあるレベルの難易度」なので、「こんなんじゃ、頑張りが足りない?」みたいな自問自答をしがちです。
リードクライマーで、ボルダリングも頑張ろうと意を決したくらいだと、ストイックな気持ちだけが先行し、自分を追い込みがち!
が、このレベルであれば、1日に何本も遊べるのがボルダリングの効率良さを示しています。
ボルダリングで、ホールド替え直後の壁が賑わうのは、このぐらいの難易度のルートが大量あるから、みんな楽しいのです。
リードは中級レベルでボルダリングが好きになれない場合、最初はこのぐらいのボルダリングを大量に楽しむことをオススメします。
⭐︎頑張って一撃を狙うぐらいの課題も、練習になったと考えます。
これは、リードで言えば、核心部のオンサイトトライに役立ちます。
<野猿谷で、ボルダーで講習>
そして最後に、経験上は最重要なポイントです。
⭐︎⭐︎⭐︎オーバーグレード気味な課題では、一手でも進んだら進歩だと考える。
例えば、普段4級をトライしている人が、3級に取り付くと大抵の場合は完登には至りません。
しかし、何回かやっていると、スタートから2手しかできなかったのが、「3手目ができるかも?」という気配が漂うケースがあります。
もちろん、それによって3級の完登に至るケースは稀です。
だから、「こんなの出来ても意味ない。」と思いがちです。
が、もともとの自分の原点を思い返してみると変な話です。
ボルダーは、「できないムーヴ」を効率的に練習するのが嬉しいポイントなのですから。
とは言え、こればっかりだと流石に辛くなってくるとも思います。
なので、私は以下のようにしています。
なので、私は以下のようにしています。
プラン1)
十分に課題が豊富な壁では、出来そうな課題を触る。
(頑張ってオンサイト〜1時間以内に完登、の間ぐらい)
結果として、全然歯が立たない課題だと分かったら、すぐに別の課題に転進したくなるが、進捗がありそうなムーヴであれば、しばらくは粘る。
(例えば、3手目が取れたら、満足して別の課題に転進などと、自分ルールを決める。)
プラン2)
ホールド替え直前の壁、よく行くボルダーの岩場など、煮詰まって来たら、この理念を強く意識して粘る。
結果的に、完登ゼロの日になったとしても、進捗に対して満足して帰る。
例えば、3手目を取れたら、後半は意外と易しめだったとか。
これに当たると、すごい成功体験になります。