本当は、動画にした方が分かりやすい内容なのですが、ご容赦ください。
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「ダイアゴナル」、「振り」という2つの概念をちゃんと理解している人は、結構少ないです。
私は「振り」は、用語には適さないと思っています。理由は後述します。
①ダイアゴナル
対角線という意味の英語です。
何が対角線かと言うと、右手&左足(あるいは左手&右足)。
つまり、身体の対角線上の2つの支点です。
※「右手と右足は、同則(対角線ではない)」と見なします。
典型的には、「右手でホールドを持ち、その真下ぐらいにスタンスがある場合は左足で踏む」と2点支持で(右足はスタンスを踏まなくても)バランスが取れる、という意味です。
考え方としては、保持手+踏む足。
※この際、右足は壁スメアor空中に投げ出す、というパターンが多い。
注)この説明を、「左手でホールドを取るときに、右足を遠くに投げ出す(壁スメアor空中に投げ出してバランスを取る)。」つまり出す方の手+投げ出した方の足だと考えても、対角線(ダイアゴナル)であると説明できます。
その方が、絵面として対角線っぽい(左手と右足を伸ばす写真を見ると、一本の線に見える)ので初心者が理解しやすいのでしょう。
しかし、ムーヴ選択のオブザベ、R.P.のためのムーヴ暗記、など実用上は不便だと思います。
「右手でホールドを持ち、その真下ぐらいにスタンスがある場合は左足で踏むようにする。」
というムーヴを選んだ結果として、右足を遠くに投げ出すことになる訳です。
⭐︎初心者が混乱しやすいポイント
⚫︎「左手を出すのに、左足で踏んだら同則なんじゃないの?」
→ 保持手+踏む足で考えるべきところを、出す方の手+踏む足で考えると、真逆になってしまう。
⚫︎「もはや、自分がどのタイミングで何をしたのか全然意識していない。」
→ ムーヴ用語の以前に、登り方の基礎中の基礎(考えながらゆっくり登ること、など)を教えた方が良さそう。
⚫︎「右手保持、右足で真下のスタンスでもバランスが取れますが、何か?」
→ 実際に、同則のバランス(逆足:ぎゃくあし、などと呼ぶ人が多い)であっても、フラッギングなどを使うことでダイアゴナルと同レベル(あるいは場面によってはダイアゴナル以上)の安定感を得られることがある。そのため、「ダイアゴナルって、安定して結構便利だね!」という有り難みが感じられず、ムーヴ用語を理解する意味が感じられない。
とは言え、本来は2点支持を行うたびに、「ここはダイアゴナル、ここは敢えての逆足。」という具合にムーヴを理解した方が良い。
実用的には、オブザベや、R.P.のためのムーヴ暗記に使えます。
②振り
「そこは身体を振って(次のホールドを)取りに行った方が良いよ。」とアドバイスしている人がいますが、この「振る」というのが用語ではなく、イメージを表しているようです。
私の知っている範囲でも、3種類の意味で使われます。
A)側対
壁に正体するのではなく、レイバックなどの要領で、壁に対して腰を横に向ける。
正確には、「サイドホールドが保持手の場合に、保持手に対して正体する」ことで、壁に側対することになる。
B)ツイスト
次のホールドを取りに行く最後のタイミングで、身体を捻ることで距離を稼ぐ方法。
特に、強傾斜(大きくハングした壁)で使うことが多い。
これは、正体している場合も、側対している場合も使うことがある。
C)ダイナミックムーヴの「タメ」
典型的には、デッドポイントやランジに入る前の、身体をスイングする動作。
⚫︎個人的な印象では、30年以上のキャリアのあるクライマーはAのイメージで使う人が多いです。歴史的に、そういう使われ方をしていたのもあるでしょう。彼らは明確にAのイメージで使っているからまだ良いのですが、彼らに習った初級者たちは結構グチャグチャなイメージで使っているように思います。
⚫︎ボルダラーは、Cのイメージで使う人が多いです。「タメ」の動作について、方法論を喋りながらセッションするので、「もっと振って!」と言いたくなるのは自然なことでしょう。
⚫︎側対とツイストを区別していない人も多いので、Bで使っている人も多いです。
基本的には、A〜Cのどの意味で使われたとしても、文脈から理解できます。
ただ、文脈から理解できずに混乱している人も見かけます。
結論として、「振り」という言葉は、クライミング用語としてはイマイチだと思います。
「動きのイメージを、なるべく誤解ないように伝える」には不便なので、私の講習中は極力避けています。
側対、ツイスト、タメの3つの方が、まだ用語として使いやすいです。
「振る」についても、擬態語みたいな位置付けで、場面と相手を選んで、伝わりそうな状況のみの限定的使用はセーフかなと思います。