「オンサイトに強くなる」みたいな記述は、溢れていると思います。
実際、オンサイトに弱い人は多いです。
何が問題なのか、考えてみましょう。
<瑞浪、ワイドマスター2>
①オンサイトに強いとは?
一般的な回答
「R.P.グレードに対して、O.S.グレードが近い」
コンスタントに2日間でR.P.することが多いグレード(たとえば、5.12a)の1〜2個下のグレード(この場合は、5.11c〜d)は、コンスタントにオンサイト成功(例えば、成功率30%など)している人もいます。
この人は、かなりオンサイトに強い方だと言えます。
(注)この場合のグレードは、最高R.P.グレード、最高O.S.グレードではありません。
自分がトライするべきルートを決めるための基準として、コンスタントにR.P.やO.S.できるグレードを考える必要があります。
(注)R.P.では、ハングドッグによるムーヴ練習ができるので、「コンスタントにR.P.できるが滅多にO.S.成功しないグレード」というのが存在するのは止むを得ない。多くの場合、このグレードが最高O.S.グレードとなる。
もうちょっと解析的に言うと、
「(本人にとって)核心部のムーヴが一発で成功するぐらいのルートであれば、どうにかオンサイトしてしまう確率が高い人」
ということになります。
・入念なオブザベ
・行きつ戻りつによるホールド探り
・クリップ、レスト戦略(クラックの場合は、プロテクション戦略)
・省エネムーヴ
・土壇場の粘り
・核心ムーヴの頑張り
などの総合力が問われます。
個人的には、この総合力こそがリード能力の本質で、R.P.能力に関してはボルダー能力の方が大切な気がしてなりません。
②総合力の前段は、基礎力
・「クリップ戦略」
全然オブザベできない人には、厳しいです。
・「核心ムーヴの頑張り」
全くランナウトしていない状態なのに落ちるのが怖すぎて、一手を出せないようでは勝負になりません。
・「行きつ戻りつによるムーヴ探り」
5.11のルート中、5.9セクションで行きつ戻りつしただけでバテバテだと、厳しい戦いでしょう。
つまり、①で言うところの総合力は、諸々の基礎力を前提にしています。
ここで言うところの基礎力は
・オブザベ能力
・入門ルートを安定して省エネで登る能力
・落ちることへの慣れ(ランナウトしていない状態でO.K.)
・落ちてはいけないセクションへの対応(クライムダウン敗退の考慮、など)
・(クラックの場合)プロテクション戦略への慣れ
などに当たります。
これら基礎力が最低限のレベルになっていないと、総合力は発揮しようがありません。
③総合力がゼロに等しい初級者は、具体的にどうやって練習すべき?
A:それでも、オンサイトトライは頑張ってみましょう
まずは、ジムでホールド替えした直後の壁を、無節操に触り散らかす癖を止めましょう。
オンサイトトライは、一生に一度きりの大切なものです。
心構え
1)分からないなりに、オブザベは入念に行うべし
2)最高O.S.グレードの2つ下のグレードは、本気トライと認識してトライすべし
最高O.S.グレードは、得意系・ラッキー・集中力が合わさって達成されたものである。再現性は、極めて低い。それより少し易しいグレードこそが、ちょうど良い戦いになる。
3)さらに易しいグレードも、オブザベや行きつ戻りつを行い、オンサイト(orフラッシュ)を取りこぼさないように留意すべし
典型的には、グレードから甘く考えて取り付き、「テンショーン」と気軽にギブアップして、「グレード〇〇にしては辛いよー。」というコメントを放ってしまう人が、あまりに多いです。
ちゃんと準備して取り付き、粘ったり頑張ったりで、きっちり一撃する習慣を付けましょう。
B:基礎力が向上する練習方法を行いましょう
基礎力は、本気トライを繰り返しているだけでは、なかなか身に付かないものが多いです。
たとえば、以下の習慣。
・「テンション」によるギブアップ癖が抜けない人
・「オブザベって、全然分からない」と喋っている人
こういった基礎力は、本気トライを「週に2日×数回×10年」行ったとしても、ほとんど変わらず、むしろ出来ないことに慣れてしまう人が大勢おります。
<ひばりチムニー>
Aは、自覚の問題である程度は改善できます。
少なくとも、ここまで熟読できた方なら、素養はあるかと思います。
Bは、独学では改善できないのも理解できます。
自分に足りない基礎力を発見するのが第一のハードル、それを改善する練習方法を考えるのが第二のハードルです。
講習では、第一のハードルは私からの指摘、第二のハードルは私からの練習方法の提案、といった具合でハードルを緩和していきます。
ちなみに、マルチピッチやバリエーションは、R.P.能力ではなく、O.S,能力が問われます。
当塾は、山で安全に登るためのクライミング技術というコンセプトがあるので、スポーツとしてのクライミングの中では「O.S.が得意」ぐらいになってもらいたいと思っています。
<ひばりチムニーは、基礎力を測るぐらいのルートかな?
チムニーの入門グレード、落ちてはいけないセクションでクライムダウン敗退の考慮>
<「アームロックききますか?」は、5.10aなので基礎力を測るには、ちょっと難しめ?>
3月23日〜24日:瑞浪
ウォームアップなどの記録は割愛
1日目:ワイドマスター2 丸一日費やして、R.P.
2日目:ワイドマスター(5.12a) またしても敗退
<講習生の間ではお馴染みらしい「神秘体験」>
<スカーレット(2級)は、10回以上かかった>
<スカーレットの裏側も面白かったです>
最近は、野猿谷に3回、城ヶ崎ボルダーに1回、という感じです。
ここ最近で、最も印象深かった課題。
長尺なので、気が向いたら鑑賞ください。
<野猿谷、ボルダーの抜け口で困る編>
動画を編集するのが大変そうなので、以下の解説文で何となくイメージが伝われば幸いです。
・野猿谷のルーフクラック課題で、ルーフ部分はバラシ済み、2日目のトライ。
・2日目も、相当やり込んで、ようやく突破。。
・そのままトップアウトするつもりだったが、上部が悪め。(絶望するほど難しくはないが、落ちるとマット外になることも含め、リスクあり。)
・トンネルを抜ける作戦に変更。
・トンネルは、身体のサイズ的に無理と悟る。
・ハング下の外傾スタンスしかないチムニーまで戻り、根性の大レスト。
・直上ラインにチャレンジするが、抜け口のホールドが欠けそうでビビり、根性のクライムダウン。(自分でも戻れるか怪しかったが、やや奇跡的に成功。ちなみに、足ブラ状態でもマット外ではあるが、ギブアップフォールなら許される程度の高さ&下地なので、マントル失敗だけが大事故のリスクあり。)
・再び、外傾スタンスしかないチムニーで、根性の大レスト。
・意を決して、直上ラインを完登。