2022年7月12日火曜日

富士山に行ってきます

明日から8月2日まで、いったん通常の講習はお休みにして、富士山ガイドに行ってきます。
仕事が少なければ帰宅しますが、まだ4日先のことしか分からないので何ともです(笑)。

1点だけ、お知らせ。
登山ガイドの林智加子さんとのコラボ企画で、岩場歩きのためのクライミング講習を小川山で実施します。
普段は、リードしか講習していない私ですが、今回ばかりはトップロープで講習しますので、これを機会に是非ともどうぞ。
https://soleilguide.com/tour_detail/detail/287502/
槍穂・劔などを目指す方など、是非とも丁寧な登り方を身に付けましょう。



別件で、ちょっとブログを書きたいなと思って、ついつい書くタイミングを逃してしまった2点。
面白く書く余裕がないので、要点だけまとめます。

①残置無視のコツ
・残置無視を「初登攀ごっこ」として十分に楽しめない
・安全意識を高めるキッカケにならない。
という方に向けて、その原因を考えます。

a)「いざとなれば残置を使おう。」というルールで登っている
⇨リード中やビレイ点での敗退シナリオまで含めて、残置は無いものとして戦略を組むと、初登攀ごっこが上質なものになる。一番ダメなのは、残置のクリップ我慢大会になっている状態。

b)ビレイ点は残置を使っている
→時間が掛かり面倒なことは分かっていますが、最重要なポイントの1つ。カム複数で取ったり、立木で取ったり、ピナクルなどを、リード中にピッチを切るタイミングを考えながら登ります。ここに、残置を追うのでは味わえない戦略的な面白さがあります。そもそも、初登攀ごっことして、ビレイ点使ったらダメです。

c)トポのラインを追ってしまう
→理想は、行ったことの無い岩場をトポ無視でオンサイトトライすることです。三ツ峠、越沢バットレス、二子山中央稜の周辺を適当に登る、沢登りの途中など、どんな初級者エリアでも本気でやれば結構楽しめます。行きなれた岩場で行う場合、どうしてもライン名称が分かってしまうのですが、「2P目はプロテクションの取りやすさを考えて、〇〇ルートからトラバースして△△ルートに入る。」といったルートファインディングも積極的に行うべきです。これは、決して「○○ルートからの逃げ」ではありません。あなたのラインを読む眼には、それが登攀ラインに映ったので、自信を持って検証してみましょう。もちろん、a)で述べた敗退シナリオは十分に考えた上で、ダメならダメで敗退すれば良いのです。


②トップローパーからリードクライマーへ
リードでのグレードよりも、トップロープのグレードが高いことは、クライマーとしては褒められたものではありません。
スタイルとして格好いい・ダサいというのも、あります。さすがに、この水準ならスタイル論争になる心配も無いレベルだと思います。

ただ、その背景にある技術や心構えについて、正確にクライマー同士が語り合う機会は、少ないように思います。ついつい「あんなのクライミングじゃない。」と言いたくなりますが、これは批判として幼稚だったと、自分の過去についても思います。
ここが正確に語り合えれば、かなり世界は変わるのかもしれませんね。

a)リード技術そのものが不安(墜落距離の予測、落ちる態勢、ロープが足に絡むことの予防、プロテクション技術、などなど)
b)登りが雑で、リードで本気トライすることが苦手。落ちたらダメなセクションで、落ちそう。
c)登りが雑で、リードだとパンプするタイミングが大幅に早い
d)先が分かっていない状態で登る怖さ・リスクに対して、どう向き合うべきかの戦略・心構えを鍛えようという気持ちが無い

a)〜c)は、リード主体の人からすると基本中の基本だと思います。
d)は、言語化されることが少ないので、どの程度意識しているかに相当なグラデーションがあります。初登攀ごっこの話とも通じるところがあり、登山・クライミング技術の根っこにある精神性だと考えています。パイオニア精神と、それに伴うリスク管理、と言ったら大袈裟ですが、ボルトルートのリードでさえも、多少は意識すべきことだと思います。

この2つの要点まとめで、何か登りを考えるキッカケになることができたら、幸いです。