2023年2月28日火曜日

4月分の予約受付

3月6日(月)の夜22時より、4月分の予約受付を開始いたします。

4月より新料金となりますので、HPにて御確認ください。
例)4,000円の定期ジム講習が、5,000円。

マルチピッチ講習は、三ツ峠、越沢などを予定しています。
クラックリード講習は、湯川を予定しています。
岩場リード講習は、湯河原・天王岩などを予定しています。


富士山ガイド関連のお知らせもしておきます。

①富士山登頂率向上ツアー
https://www.mfi.or.jp/~taisikan/mountain_tour.html
僕が担当する回もあります。

②シェアツアー、プライベートツアー、オンライン富士登山


③個人ガイドも受けます
一般的な歩行技術なども、当然説明します。
高山病対策や、富士山ならではの事情も、色々と話しながら登れます。

例えば、クライミング講習を継続受講している方で、登山は触り程度しかやったことが無いという方でも、楽しめるかと思います。経験・体力レベルなどを伺って、準備山行を講習としてオススメするかもしれません。
日程が合えば、①の富士山登頂率向上プログラムも、面白いと思います。

個人的には、富士登山は単調なセクションも長いです。登山に心得がある方でさえ、基本を講習してもらいながら歩く方が楽しいのではないかと考えています。もちろん、そういう方には準備山行はオススメしないので、ご安心ください。

2023年2月27日月曜日

ジムリードならではの、ショボいトライ

とある日、講習生の方が友達同士で登っているのが、何となく目に入っていました。

ウォームアップで5.8〜5.10aまで数本登り、その延長で5.10bの前にロープを持って来ました。
オブザベも少々で、ビレイ準備も完了、というアップ的な流れの最中に、「ん!?これは、結構悪そうじゃない?」と気が付きます。

そこで、ロープは解かずにビレイヤーを待たせたまま、数分間のオブザベ延長。
急遽、防寒具のフリースも脱いで、トライ開始。

トライ自体は見ていないのですが、その中でも結構頑張っていたようで、終了点直下まで粘りのクライミングで到達。
そして、終了ホールドを見落とし、終了直下のホールドで頑張って終了クリップを行おうとして、手繰り落ちとなってしまいました。

 ※手繰り落ちそのものの反省(いつがクリップの諦めどきだったか?)については、ムーヴに依存するので、今回はスルーします。手がプルプルでクリップしたのではなく、クリップ中に足がスリップしたので、ある程度登れる人でも避けづらいパターンなのが難しいです。

ちなみに、終了点ホールドはガバですが、見落としやすいのも理解できます。
その面は、ラインセット(色分け)のルートなのですが、終了点は何ルートか共有となっているため、色分けではなく、その色のテープが貼ってあるのです。
特に、その壁を初めて登る方などは、ときどき同じ状況に陥っています。
ただ、壁が低いのでオブザベで気付く可能性は十分にあり、その壁を何度か登ったことがあれば、思い出せた可能性もあります。

反省したその方は、再びウォームアップに戻り、1時間ほど後に本気トライとして上記5.10bをR.P.しておりました。
こういう失敗って、岩場なら起こりにくいと思います。

①岩場はリスクがある、という利点

・5.10bのルートでも、5.8セクションが絶対に落ちられないため慎重に登るケース
・核心ムーヴは落ちても安全なように設計されているが、クリップ先行はできずに、それなりのフォールは覚悟するケース
・初見ルートであれば、岩の脆さ、終了点作業、などをイメトレしてから出発するケース
・ビレイヤーの立ち位置、ロープバッグの位置、持っていくギア(ヌンチャクの本数など)、などを考えて、ビレイヤーと会話するケース

などなど、通常どれか1つには当てはまります。
そのため、本当に易しいルート(or再登でのアップ)の直後に、ちょっと悪いルートを目の前にすれば、安易に取り付くことが憚られます。

その緊張感が、実はスパイスとなり、まともなトライへと導いてくれます。

②ジムの滞在時間による焦り

平日夜、会社帰りの方のリードトレーニングは、とても忙しそうです。
登る本数それ自体を目標にしていたり、本気トライの数を目標にしていたり、そこまでじゃなくてもウォームアップは2連続・3連続で登る方も多いです。

それ自体ダメだとも言い難く、それで多くの初心者には効果がありそうですし、これで私なんかより遥かに強くなる方もいるのだと思います。
しかし、かなり意識しないとバカになりそうなルーティンでもあります。

短時間のリードトレーニングで、質を高めるための提案としては。

・アップは、オートビレイやボルダーなど、パートナーとは別れてできる方法を採用して、練習量と時間の確保。(ビレイからの解放)
 ※ただし、どうしてもリード勘を取り戻したい人は、1〜2本はリードするなども考慮に入れる。

・本気トライは、数ではなく、質を重視。3トライして諦めてテンションするよりは、2トライでも上質なトライを。そうすれば、オブザベの時間も取れる。必死の行きつ戻りつや、渾身の一手が出せる可能性も高まる。
 ※トライ数減少でフィジカル低下を恐れる人は、ボルダーをやるとか、別のトレーニングを取り入れるとか、いくらでも工夫の余地はある。そもそも、上質な本気トライは、低質な本気トライよりも、遥かに1トライで出し切れるため、トレーニング効率が落ちるかどうかも微妙。

上記の※印を色々考えて、自分の力量や生活スタイル、ジムに滞在できる時間に合わせてアレンジすること自体が、一人一人の脳味噌の使い所なのだと思います。
コーチ無しでメニューを考えるのって、多分かなり難しいことなんで、講習などで個別相談には応じたいと思っています。

2023年2月21日火曜日

ムーヴを壊す

<城ヶ崎のトップダウンのエリアにて、ユマグリ練習中のNS夫妻>

写真とは全く関係ない話で恐縮ですが、考えさせられる問題が色々あります。

ジムで、「ムーヴを壊す」ことでの完登はせずに、ひたすら設定ムーヴに拘って、トライを続ける方がいました。

※ムーヴを壊す:明らかに設定ムーヴではない登り方をすること
 典型例
・悪いホールドを保持する課題で、そのホールドを使わずに登れた。
・左右にジグザグトラバースしながら登るセクションで、直上でショートカットできた。
・ランジ課題を作ったが、足用に付けたホールドを持てる女性が居て、ランジ不要になった。
・コーディネーション課題を作ったが、リーチがある人はスタティックに届いた。
・ヒール課題を作ったが、パワフルな真っ向勝負でも乗り切れた。

細かい足位置とかは人によって違うのは当然としても、「もはや、違う課題になったね」と思うことは多々あります。
本気かどうかは別としても、ブーイングが飛ぶこともあります。
私も身長が185cmなので、ジムでは頻繁に経験する話です。

もちろん、「ルール的にオーケーな登り方ならば、どんなムーヴであれ構わない。」というのが、一般的な共通見解です。そもそも、クライミングのルールですから。

ただ、ムーヴを壊すことが常態化するデメリットも理解できます。
①悪いホールドを、心理的にも避ける癖が付きそう
②設定者に対して、心情的に申し訳ない
③ランジ、コーディネーションなどは、易しいグレードでこれを常態化すると、難しいグレードのランジ、コーディネーションに一層対応しにくくなる
(クラックをジャミングやワイド技術を使わずに登る、なども同様)

個人的には、①と②は別口で考えた方が良いと思っています。
悪いホールドはグレードを1つ上げればもはや避けられない、設定者の教育的配慮はありがたく受け取りつつ別の形で活かすことを考える、とか。

ただ、③は相当重要な問題だと思いつつ、実際には壊して登ることが多いです。
その際、「苦手克服の練習方法を、自分なりにどう工夫できるか?」が、最重要な気がしています。

私の性格なら
・超入門のランジ課題を自作して反復練習する
・なぜランジが苦手なのかを解析して、その前段階であるはずのデッドポイントの動きを研究して洗練させる
などを考えます。

ただ、「壊して登ったら、もうその課題のことは忘れて、次の課題のことだけを考える」という方も多いでしょう。
そうなると、たしかに苦手は苦手のまま温存されます。

今回のご本人は
「とりあえず(何でもアリで)完登しておき、それから練習すれば良い。とか(皆が)言っても、結局登ったら(自分も含めて)やらないじゃん。だから、嫌なの。」
という問題意識です。
その昔、めちゃくちゃ登りが雑な私の先輩が「とりあえず、グチャグチャでも完登しておいて、洗練させるのはそれからだよ。」と話していましたが、彼が丁寧に登る練習をしているのを見たことはありませんでした。

今回の方もクライミング歴15年以上でしょうから、苦手の温存ということに対しては、骨身に染みているのだと思います。
実際、バラシ(パート練習)では、ときどき設定ムーヴで成功したりしているので、全くの夢物語を狙っている訳でもありません。

心情的にも理解できますし、練習としても考えられる方法の1つだと思います。
基礎練習メニュー考案は解析力が肝だとしたら、彼の方法はストイックさと諦めの悪さが肝です。
キャリアの長い方々なら、両方を試して一方を採用したり、どちらも挫折したりの経験があるかと思います。

ただ、登れる課題を登れない様子を見るのも、周囲の人には違和感があります。
反対に、私がコーディネーション課題を壊すときも、周りからは違和感と、「いや、人によってムーヴは違って良いんです!ガンバガンバ!」という心情の両方が聞こえてくることがあります。
どっちを選択しても、クライミングが人間社会の一部であることを痛感させられます(笑)。

僕個人は、
基礎練習のメニューはめちゃくちゃ考える。しかし、「オンサイトトライは設定ムーヴに拘る」などの本気トライが不利になる自主規制は極力しない。
という結論に落ち着いています。
ボルダーでは、例外的に設定ムーヴでしばらくトライを続けることもあります。トライを重視するか、そのムーヴをこなしたいか、という気分と状況で。

最終的な結論は人によって微妙に違うとしても、「うーん、それは自分はやらないけど、分かります。そんなに変じゃないと思います。」という範疇に収まってくると思うんですよね。

2023年2月14日火曜日

伸びる講習生の3タイプ

最初に断っておきますが、これは全く科学的な話ではありません。
講習生を見て「経験的に、この人は伸びそうだな。」という僕の感想です。

結論としては、3タイプ。
理解が早い、情報収集力が高い、自分の弱さに向き合える、です。

タイプ① 理解が早い。

私が説明したことに対して、
「ってことは、〇〇についても△△ということが言えますよね?」
「××に関する問題と、同じ構図ですね。」
といった、理解を示すリアクションが非常に良い方々です。

大学教授の方、医師の方、東大などの高学歴の方、コンサルの方、などに多い印象です。
時として、私の論理的な破綻を見抜いてくるだけに、こちらにも良い緊張感があります。

当然、フンワリした講習生も多いのですが、不思議なもので何年も通っていただくと多少なりとも変化を感じます。
たぶん、リスク管理と向き合う中で、必要な思考方法なのでしょう。
似たような原因のヒヤリハットを何回も味わっていたら、死亡リスクが高過ぎますしね。

個人的に興味深いのは、この手の方々は社会学とか哲学的な素養がある方が結構居て、
・集団心理
・リスクや上達に対する心構え
・山屋の感覚と一般社会からの眼
などについて、一段高い視点を教えてくれることがあります。

東大・京大では教養で結構仕込まれるのか、本人の興味なのかは不明です。

タイプ② 情報収集力が高い。

意味のある情報を、大量に仕入れる力がある人です。

例えば、ビレイに関する疑問が湧いたとして、ネットで素人さんの記事を色々見つけて、それを読んでも、混乱が深まるだけかもしれません。
アルテリアのページを見たり、ちょっと読むのが大変そうな入門書を見たり、用具の説明書を読み直したり、といったことが調べ始めの姿勢としては正しいでしょう。

この場合、意味のある情報というのは、理解するのに労力が掛かることが多いです。

少々専門的な文章を読むと、分からない単語が出て来たりします。
そこで、さらにググったり、クライミング入門書の索引を調べ直したりして、それでも可能な限り読み進めます。
さらに、これを複数の文献で行います。
本人がそれなりのレベルであれば、中上級者向けの技術書を探したり、登山とは関係ない文献を当たったり、英語文献を読む人もいます。

それでも分からない点や、自分の理解が合っているかの確認のために、僕に質問を投げてくる人がそれに当たります。
質問される僕もタジタジ、という可能性が十分にあるので、緊張感が溢れます。
ただ、僕も色々と話が聞けて助かります。

僕自身、かなり苦手とする能力で、大学院で研究に不向きだと痛感した一因でもあります。
ちょっと分からなかったら、すぐに分かりそうな人に聞きたくなるのですが、教授はそれを甘えとして許さない雰囲気がありました。

この能力が僕より高い人が居る一方で、スラスラ読める文章しか読む気が起きない人も居ます。
僕自身、自己評価は中の下。

タイプ③ 自分の弱さに向き合える。

・重大なヒヤリハットを経験したときに、本質的な反省点を見出せるまで考えることを止めずにいられるか?
・精神的ダメージを受ける指摘を受けたとき、ブツブツ言いながらも軌道修正していけるか?
・できないムーヴの原因が超が付くほどの基本からのやり直しが必要だと気づいてしまったとき、それを実行可能か?
・自分の到達点と目標達成までの距離感が、実は想像の3倍以上あると知ったとき、努力を続けられるか?(講習の卒業システムなども、これに当たるケースがあります)

事故やヒヤリハットの例が分かりやすいのですが、本質的な反省というのは、なかなか難しいものがあります。
事故を起こしたルートに再訪して完登するだけでは、全く不十分なことも多いです。

自分なりに、
「あれは、〇〇すれば防げるから、次回からそうする!」
と決めても、実際に山に行くと微妙に現実に合わない場面があったりして、さらに頭を悩ませたりします。

フワフワした友達に話しても的を得た指摘はもらえませんし、ピリッとした人に聞いたら「そもそも、普段の取り組み方や考え方から変えて行きましょう。」ぐらいの耳の痛いことを言われそうです。

しかし、それでも向き合い続ける人は居ます。

雪山でめげたら、雪山を辞めることだってできます。
雪山のために、地図の読み方から学び直す必要性に迫られたり、一人で雪山ハイキングから出直すべきという焦燥感に駆られるかもしれません。
ほとんどの場合、本当に向き合うべきことは根が深く、複数の基礎を見直す時間が必要になります。
だからこそ、向き合う人には見返りがあります。
クラックでも、マルチでも、アイスでも、リードとトップロープ問題でも、ボルダーでも、よくある話です。

ちなみに、結局は辞めないんだけど、ウジウジする期間が長い人も居ます。
こういう人も、1〜2年後には反省点が整理されていることがあるので、逃げ口上を並べつつも内心は向き合っていたのだろうと思います。
今回のテーマの「伸びる講習生」という観点では、決してスムーズに伸びるタイプではないので、オマケです。

ただ、上述の2例は極端なタイプとしても、2〜3年と講習を続けていれば、タイプ③に多少なりとも素養がある人だと思って、期待をしています。
講習で、色々な指摘をされるのは、結構キツイこともあるはずですから。


終わりに
今回は、学ぶことに対する思考方法にフォーカスしました。

・体力があって、たくさん練習できる
・運動経験などの影響で、フォームが良い
・コミュニケーションが上手で、ストレスが少ない
・基礎練習が好きで、試合みたいな緊張感も好き

などの観点も、実際は1つあるだけでも、相当なアドバンテージです。

あとは、
「タイプ③の能力が爆発的に高かったら、タイプ①やタイプ②の能力すら付くんじゃないか?」
なんていう妄想もしますが、タイプ①は「学校の勉強が得意だったか?」に依存する部分が大きいので、社会人になってからの逆転は相当困難でしょうね・・・。
得意な人の代表に、東大医学部出身者とか、物理学を大学で教えていたような人、などなどが並びます。その方々も、才能だけでなく長年の努力で身につけたものでしょうから、流石に全然違いますよね。
タイプ②は、心構え次第である程度は補えるでしょうが、僕も苦手なので何とも言えません。
やはり、得意な人の代表例は、英語の専門文献でも物怖じしない方々だったり、自分でまとめ資料を作成してしまうような人なので。
個人的には、タイプ③の講習生には感動を覚えるので、それだけで十分ありがたいのですが。

何の能力が高いと、長期的に良いのかは、なんとなく考えてしまいますね。
講習に限らず、僕自身の練習どころか、人生にすら当てはまることなのが、興味深いです。

2023年2月6日月曜日

人様を見ると胸が痛む

例①
いかにも肘や肩を壊しそうなフォームで登っている人を見かけると、気になる人はいると思います。
私も、そういう部分はあります。

ただ、ちょっとアドバイスしたぐらいでは、良くならないケースが大部分です。
ときどき、10分のレクチャーでも少し伝わって、多少だけマシになることもありますが。

講習生であっても、「肘が痛くてフォームを直したい」という希望で10回以上をムーヴ講習に通ってくれるような方でない限りは、ちょっとアドバイスするに留まります。
もちろん、ジムで知り合いと5分程度立ち話するのと、講習生に1時間とか練習に付き合うのでは、できることは違います。

そして、故障するとクライミングから離れます。
一定期間登らないことで、ひとまずマシになりますが、登ると再発する人が多いです。
そして、二度と戻って来られない人もいます。

痛くなってからフォームを直す必要に迫られても、ここで突然と真面目に向き合う人間に変われるでしょうか?
講習を受けるにしても、1回や2回では効果が限定的だと予想されていて、しかも10回受けても劇的に変わるとまでは保証してくれないものです。ここに、自分のクライミング日程を全振りできる人が、どれだけいるでしょうか?

「だとすれば、早めに気付く機会を!」とは思うものの、フォーム矯正は一時的には以前より登れなくなるケースが多いです。
今現在、普通に課題を登って楽しめている人に、これを課すのは厳しいものがあります。
だから、ほとんどの人は、そのフォームのまま行けるところまでグレードを上げて、加齢と共に故障して行きます。

もちろん、モチベーションが非常に高い人には、フォーム矯正は他の価値があります。
1年後、2年後には、以前より大きな筋肉が使いやすくなり、登れるようになる可能性が拓かれるからです。

また、フォームが悪い人は、日常生活でも姿勢が悪いので、加齢とともにクライミングをしなくても故障が続き、老化が早まっているように見受けられます。
できれば、クライミングを通して、自分の身体を見つめ直す習慣を付けてもらいたかったと思います。


例②
リードで、雑な登りの人を見て、その人の口から岩場(スポート、クラック、マルチ、バリエーション、アイス、沢登り、なんでも)に行っている話を聞くことが日常茶飯事です。

足置きが雑、レストが下手、行きつ戻りつに適したムーヴ選択という概念が無い、などなど。
その人が、純粋なジムクライマーであれば、まだ心は痛みません。
本当にジムで危なっかしい場面でだけ、注意すれば良いのですから。

個人的に問題は、「ジムでは良いけど、岩場で出会ったら怖くて見てらんないよなー。」と思う人の口から、岩場の話を聞くことです。

そして、ちょっとアドバイスしたぐらいでは治らないのも、骨身に染みています。

例③
リードで、チョンボクリップ(他のホールドを使ってクリップ)するのが、常態化している人も日常的に見かけます。

これも、例②のムーヴの安定感(行きつ戻りつや、厳しい場面でのクリップ姿勢)、他にもビレイ技術やフォール技術、などと向き合っていない証拠であるため、悲しくなります。

岩場で自分が怖いと思う場面では、トップロープやチョンボ棒を使えば安全にトライできると思っているのでしょうが、これらに向き合わないことが、巡り巡って自分の首を絞める日が来るでしょう。

また、フォームの問題と同じく、ヒヤリハットがあっても反省点を見つけるのも下手くそになるでしょう。「次回から、そこの場所はプリクリしよう。」という短絡的な回答を、毎回繰り返す人間になってしまうので。

そういう人に、「チョンボクリップは、やめた方が良い。」とだけ言っても、ピンと来ないでしょうし、それで中途半端に成功体験(色々なルートをR.P.してきた、グレードが上がってきた)がある人ほど、そう簡単には変えられないでしょう。
むしろ、最近始めたモチベーションの高い人に話した方が、理解が早かったりします。

一方、僕が行くランナウトの昼の常連さんとかは、もはや岩場にほとんど行かない層なので、例②や例③では、心は痛みにくいです。
同じ構図で、岩場に行かない人がほとんどのボルダージムがあれば、周りにどんな雑な人が居ようと、私の胸は痛みません(笑)。

例①は故障、例②と例③はリスク管理に関わる話です。
いずれにせよ、ジムで知り合いとする雑談としては重過ぎます。

・あの課題のムーヴはどうだった?
・このルートは、グレードの割に難しかったよ。
・今日は〇〇だね。

ぐらいの話の方が、気楽です。
生産性も低いですが、雑談に適しているので、積極的にするときがあっても良いと思います。

似た構図として
「なるべくムーヴは人に教わらず、自分で考える時間を大切にしたい。」
「オンサイトを大切にしよう。」
「集中力不足のトライをするぐらいなら、他のトレーニングと割り切った一日を作る方がマシだ。」(お触り、という考え方への戒め。ボルダーと比べて、リードはバラせばR.P.できるぐらいの難易度に取り付くことが多いため、これを戒める必要性が大きい。)

みたいな数々の心構えがあると思いますが、まぁ重い話ばかりで説教臭くなってしまいます。
ただ、これらの例は、イマイチに見えても胸は痛まないのです。

「故障とか、岩場での事故のリスク要因に対して、見て見ぬフリを毎日繰り返して来た。」
という自責の念は起こらないですからね。

人間は慣れる生き物だと言いますが、なかなか慣れないですね。
むしろ、年々クリアに見えてきてしまうために、孤独すら感じます。

自分自身も、他人から痛々しく思われている部分があるのでしょうから、まぁ自分だけが特別という訳でも無いでしょう。

2023年2月5日日曜日

追記

3月8日(水)は、休業といたしました。
3月分を申し込み予定の方は、念のため御確認ください。

また、4月より講習料の改定を行います。
今回は、3月分の予約受付ですので、直接は関わりませんが、ご承知ください。
目安としては、以下になります。
・ジムの定期講習 4,000円→5,000円
・岩場リード講習、クラックリード講習     10,000円→12,000円
・マルチピッチリード講習、アイスクライミング講習 15,000円→18,000円

詳しくは、HPに記載しております。
ご理解のほど、何卒よろしくお願いします。