4日間を休業にしましたが、見事に台風で、レスト生活になりました。
久々に、ダラダラと書いてみましょう。
講習生を見ていても、学ぶ速度は人それぞれです。
習得率が高そうな人から、普通の人。
こう言われると、「習得率が高い優等生になりたい!」と思うのが、人情だと思います。
しかし、それは万人にオススメできる道のりではないと感じています。
<マルチピッチリード講習、小川山>
自分の成長が遅くて悩む人は多いです。
努力の割に、練習量の割には伸びない、という非常に一般的な悩みです。
これに、加齢による限界、何らかの才能の無さを突きつけられたりすると、さらに気持ちは落ち込むのが普通です。
さて、ここで興味深い考え方をする講習生がちょくちょくおります。
「自分は馬鹿だから、同じ説明を聞いてもなかなか理解できないんです。でも、いつか分かるから、気長に教えてください。」
「自分は不器用だから、ムーヴにしてもロープワークにしても、パパッと要領良くはできないんです。でも、ちょっとずつは成長しているから、自己満足できるし良いんです。」
「できないから講習に来ているんで、できていたら講習には来ません。」
といった具合です。
ポイントとしては、自分の成長速度の遅さを100%受け入れつつも、投げやりになっていないことです。
楽になると言っても、以下では教えられません。
「どうせ自分はダメだから、石田さんが言っているような自立したクライマーなんて無理だ。」とか、
「一生かかっても、〇〇なんて出来るようにならない。」とか。
(〇〇のレベルにもよりますが・・・、可能そうな目標に悲観的になるのは勿体ないかなと。)
僕自身、中学くらいまでは主要5科目が割と得意でした。
得意分野においては、そもそも自分の成長の遅さを受け入れる必要がありません。
ちょっと人より理解も早そうだし、そもそも学習内容に興味があるので。
この時点で、この姿勢を取るべきは苦手だった体育・技術家庭・美術・音楽の分野でしたが、全くそれができておらず、苦手に拍車が掛かって生きて来ました。
しかし、大学院で研究室配属になり、上述のリラックスした学びの姿勢の仲間達の方が、長い目で見ると優秀であることに気付きました。
「自分は何も知らないから、教えて。」といった具合に考えつつも、地道に資料を読み込んでいく立派な人が何人もいました。
つまり、相対的に少々他の人より理解が早いことよりも、リラックスした学びの姿勢を体現できる方が、人生長い目で見ると有利そうだ、という話です。
それが僕にとって体現できそうな分野が少なくとも研究ではないと判断したのは、今でも良かったと思っています。
登山やクライミングを通しても、その信念は強化される一方です。
ですが、中途半端に優秀だったり、負けず嫌いで頑張って来たタイプの人は、ここへの移行が難しく、しばらくは苦しいかもしれません。
実際、僕もそうでしたし。
ちなみに、この話は仕事になると、さらに感情がややこしくなります。
「できない。」、「分からない。」ことを隠すのも良くないのですが、実際問題として「プロだったら、これぐらいは・・・。」というプレッシャーは自他どちらからもあると思いますので。
実際、登山やクライミングはリスク管理を行うので、趣味と言いつつも「これぐらい、できなきゃ!」というプレッシャーは強い分野かと思います。
マルチピッチとか雪山は、パーティ全体の命運が自分の肩にかかることも多いので、その典型でしょう。
初級者であっても、プロ意識的なものを一部持っているような、不思議な感覚です。
一般の人でも「ファーストエイドやレスキュー技術を、学ばなきゃ!知らないなんて恥ずかしい。」という感情があるのも、それに近いものだと思います。
そこが面白さでもあり、リラックスしづらくさせている部分でもあり・・・。
ここまで、リラックスして学んだ方が良いが、リラックスするのは性格や立場などで結構難しい、という話を書いて来ました。
それでも、可能な限りリラックスして学びたい、という結論に尽きますかね。
もちろん、効率的に習得できる人の学び方は、参考にして行きましょう。
<別の日のマルチピッチリード講習>
<アドバンスクラック講習にて、しぐれ(5.9+)をO.S.トライ>
<2トライ目で、トップアウト>
<カムが足りなくなって、大幅クライムダウン>