2025年10月28日火曜日

岩場では、上手く行かないことも多い

10月24日(金)は、桂くんとカサメリ沢へ。
ストロンブレイカー(5.11c、フィンガー系)をトライしに。

結果としては、3トライでR.P.しました。
(3トライ目で出だし落ちして、10分ほど休んでから仕切り直して再スタートしたので、それをカウントすると4トライ目。)

オンサイトトライは、全然ダメ。
2トライ目は、可能性はあったものの8割以上で負けるべくして負けた感じ。
(自分レベルだと、少なくとも肝になるポイントだけは暗記しないと、奇跡を待つ感じになってしまう。)

3トライ目は、大雑把なムーヴが固まって、ようやく登れたという感じです。
<R.P.した3トライ目、核心部スタートあたりから>

反省点
・ムーヴの暗記が不十分につき、バタバタ(核心中のスメア位置が大雑把過ぎて迷う、核心を抜けてからの左手ホールド忘れ)
・フォーム(肩の挙上を抑える、必要以上の猫背は避ける、など)が悪く、体幹が上手く使えていない

良かった点
・小雨が降ったり止んだりの中で、心折れずにトライできた(実際、核心のクラックの内部はパリパリに乾いていた)
・核心を抜けた直後にムーヴに迷い始めてからの、土壇場での踏ん張り
<10月2日、ジムリードでのR.P.トライ>

比較対象として、ジムでのR.P.トライ動画を上げてみます。
同じく3トライ目。(1日目に1トライ、2日目に2トライ。合計3トライ。)

・足順も含めて、ほぼ暗記は完璧です。
※「行ってみたら、意外とバランスが取れた。」という感じで、新たにレストポイントとして使用している場所が数カ所あるが、大きなムーヴの流れには影響しない。

・姿勢も、自分基準では悪くはないです。

もちろん、スメアが滑るなど、細かいミスはあるものの、概ね計画通りのトライができました。
<ストロンブレイカーをR.P.する桂くん>

本来、R.P.トライはこういうものです。

ハングドッグで暗記したムーヴやレスト計画を、忠実にトレースしていきます。
その中で、いかにミスを少なくして「核心じゃないところで、スリップフォールを防ぐ。」、「核心じゃないところでの消耗を抑える。」などを着実に履行します。
その上で、核心部に全てをぶつけます。

(2〜3トライ目では暗記が不十分というケースも十分に考えられ、その場合は若干のオンサイトトライ的な駆け引きが要求されます。)
<人気者の桂くん>

さて、岩場だと上手く行かない理由を、一応解説します。
(これを自分で書くと、なんだか下手な登りの言い訳を書くようですが。)

①カムセット位置、ロープの足絡み、核心部で多少のランナウトする計算(墜落距離、落ちる態勢)など、考えることが多い。

※このルートは短いこともあって、肩にかけるギアラックを使わずにトライしました。その方が、ムーヴのストレスが軽減できるためです。ただ、それによりカムを左右どちらの手でセットするかを記憶して、その順番にハーネスの左右ギアラックに並べるという作業が増えました。
これに、トライ前後の脳味噌のキャパをかなり取られました。

※このルートは下部が脆いため、固め取り、比較的ホールドが欠けにくいムーヴ選択、などの考慮事項が色々ありました。
<同じく、ストロンブレイカーをR.P.する青木くん(本日は、別パーティで現地で会う感じ)>

②岩場では、ジャミング位置、スメア位置、クラックのふちを持つ位置など、正確な暗記を困難にする要素が多く、大体のムーヴ概要だけをイメージして再現に挑んだ方が良いケースも多い。このルートは、核心でジャミングはするもののフェースっぽい動きになるため、ある程度の暗記も要求された。

※ジムは、ホールドが限られているため、暗記が易しい環境。
<核心部のスメア移動のシーン。我ながら、不格好。>

③小雨が降ったり止んだりの天気になり、2トライ目と3トライ目は、トライするか否かをちょっと考えるぐらいの状況になった。

※比較的、雨に強いルートだったので問題はないと信じつつも、不安要素を上げればキリは無い。あとは、荷物を雨から守ったりするので、気もそぞろな状況。

(注)
講習生などを見ていると、①〜③で実際に全くと言っていいほど実力を発揮できなくなったり、危険な目に遭ったりしている。
それを避けることに脳のキャパを優先的に使うこと自体は、やむを得ない。
<うーむ、素人っぽい>

さて、この状況を打破する方向性は2つ。

A:今回、反省点に挙げた内容を、改善する。
特に、フォームは無意識化が望ましい。
(これは、やっぱり状況が単純化されたジム練習が大切。特に、ウォームアップでの基礎練習が大切。)

あとは、核心後のムーヴ暗記に関しては、「核心さえ越えれば、何とかなるだろう。」という甘えがあったことは否めないので、これはシンプルに油断もありそうです。
<R.P.後は、懸垂での回収>

B:岩場の悪条件に、脳のキャパの30%とかを取られている状況を、10%ぐらいを目指す。

●手順足順の完全暗記よりも、大雑把なムーヴ概要のイメージだけで再現に挑む(真っ向勝負のクラックに特に多いパターンな気がする。ワイドも含む。)ことに、慣れ親しむ。

●本チャン的な悪さに慣れる
・小雨でも(登れそうな状況であれば)諦めない
・ヘッデンでも(登れそうな状況であれば)諦めない
・脆い岩でも(リスクコントロールできそうな状況であれば)諦めない

どれも、一朝一夕には改善しないものばかりですねー。
グレードは(ほとんど)上がらなくても、クライミングは生涯学習に足るゲームだと思います。
頑張りましょう。

2025年10月20日月曜日

リトルサンシャイン(5.12a) R.P.

10月17日(金)は、桂くん、青木くんと瑞牆のカサメリ。
<飛鳥(5.11b)をO.S.する青木先生>

雨上がりにつき、乾きの良さそうなフェース主体のエリアへ。

まずは、トータルリコール(5.10b、ボルト)でアップ。
三者三様の登り方で、なかなか興味深いです。

石田:
・確実性(戻れる、スタティック、パンプしづらい、などなど)の高いムーヴを探しまくる。
・結果として、易しいセクションも、それなりに時間を掛ける。
・レストしながら上部を見上げるオブザベを重視。
  (登攀スピードが、遅いタイプ)

青木くん:
・上半身のフォームが美しい・・・。
・保持力と懸垂力に自信がある人に多い「とりあえず保持してしまえば、足位置は考えなくても自然と身体が反応するさ」的な発想が漂う。
・ジム店長でセットも頻繁にこなしているだけに、ムーヴを考えていない訳ではない。
  (登攀スピードは、概ね速いタイプ)

桂くん:
・アプローチセクションは、ぐいぐい高度を稼ぐ。
・核心部になると、慎重に慎重を重ねるタイプ。(完登を大切にする、怖がり、の両面で)
  (登攀速度は、場面により大きく異なるタイプ)
<続いて、桂くんのO.S.トライ>

次に、私は「ちちくりマンボウ(5.10c、ボルト)」のフラッシュトライ。
トポに「オールNPでよく登られている」と書いてあるので、オールNPにて。

このルートは、グレードでは判断しづらいのですが、地上からのオブザベもほとんど見えません。

難易度予測が難しい理由。

①30mの5.10c。
ムーヴは非常に易しい可能性もあるが、バッチリ5.10cのムーヴが出てくる可能性もある。
(ノーハンドレストなどで無限レストができるルートの場合、5.10c×3回=5.10cというグレーディングの考え方がある。逆に、5.10a×3回=5.10cという考え方もある。)

②オールNPがやりやすいルートか否か?
「クラック主体なのに、ボルト打っちゃったの?」的な構成もあれば、「本チャン的なフェースに、頑張ってカム決めながらランナウトする場面も許容」的な構成もある。

結果としては、①に関しては難しい部類、②に関しては中間ぐらいの部類だったため、私にとっては十分に難しく、1時間のトライになった・・・。
<桂くんがO.S.決めたー!>

十分に疲れたので、順番は1回休み。
14時頃に、リトルサンシャイン(5.12a、ボルト)のO.S.トライ。

結果は、全然ダメ!

第一核心で、呆気なくフォール。
ムーヴを変え、そこは一回で突破。

第二核心でクリップできず、A0クリップ・・・。
そこから、20分ぐらい(?)第二核心後半を「あーでも無い、こーでも無い」とハングドッグしますが、直射日光が当たり始めて、ムーヴ練習不可能に。
一応、再現性の低いムーヴだけれど1回だけは成功したので、次のトライに期待です。
(A0クリップ部分だけは、クリップムーヴが解決しておらず。)
<ストロンブレイカー(5.11c,NP)をトライする青木くん>

暗くなり、ヘッデンを装着しての2トライ目。

第一核心は、思い切りよく突破して大レスト。
第二核心中の懸案のクリップは、夕方の冷えた岩のフリクションに助けられ、初の成功。
そのまま第二核心の後半は、3回連続で唸り声を出しながら、ギリギリでガバを掴みました。

そのまま終了かと思いきや、最大光量モードにしていたヘッデンが省エネモードに切り替わり、薄暗い世界に・・・。
スタンスは見づらさ、ヘッデンのスイッチの調整などにハラハラしつつ、どうにか落ち着いて終了点へ・・・。
<続いて、桂くん>

しみじみ、私にとっては5.12aが難しいです。

今回のルートは、
・O.S.は、ある程度のラッキーに恵まれたと仮定しても無理だった(現状では、到底不可能なレベル)
・3トライ〜2日目に持ち越しが妥当な戦績(今回の2撃は、実力の割には上手く行った方という感覚)

という自分との距離感に思えました。
<近年は、モデルとしても活躍している青木先生>

15年くらい前に初めて5.12aをO.S.したときと比べ、諸々の成長は感じているのですが、グレードへの反映はごく僅かです。

この分だと、生涯の最高到達点(何歳になるかは不明)でも「スポートルートは、5.11後半〜5.12aぐらいが丁度いいグレードっす!」と言いそうな気がしています。
<泥くさいトライが得意な桂くん>

とは言え、悲観はしていません。

キャリア10年を越えれば成長と老化の狭間ですから、僅かでも伸びれば大成功な訳です。
自分にとってトレーニングすべきことも見えているから、十分に楽しんでおります。
<ガンバ!>

<うーむ・・・。5.11cのクラックも難しい様子。>

2025年10月15日水曜日

リードの思考

「リードを教える」ことに主眼を置き、生活している私です。
しみじみ、2つのことが重要であると思います。
<岩場リード講習>

①安全な状況では、「一手出して落ちる」習慣を付けるべし。

典型的には、クリップを先行させることに成功した「トップロープ状態」です。
この状況で、「テンショーン・・・」などと言ってギブアップする癖を無くすことが、最初の一歩です。
(せめて、「落ちまーす」と言ってフォールしましょう。)

「だって、怖いものは怖いじゃん。」とか、「今はトップロープ状態でも、あと数手登って次のクリップまで行けなかったらトップロープ状態じゃなく落ちることになるから、もっと怖いじゃん。」とか、色々なボヤきは重々承知しています。

その一方で、これが出来るようにならないと、リードクライミングの安全管理の理解はボンヤリしてしまいます。
トップロープ状態、トップロープ状態+α(ちょっとだけリード状態)ぐらいのフォールを頻繁に繰り返すことで、リードの判断・落ちる姿勢・ビレイなどがようやく腹落ちしてくるのです。
<5.9以下でも、1本目が6mぐらいの高さにあることは日常茶飯事>

②「落ちてはいけないセクション(危険ゾーン)」では、「戻れるムーヴ」で登ること

・スタティックムーヴへの執着
・逆再生可能ムーヴの選択(稀に、スタティックでも戻りづらいムーヴが存在する)
・肝になる部分は、ホールドの暗記(クライムダウンしてくると、発見しづらいホールド・スタンスへの注意)
・特に気になる場所は、ムーヴの暗記(本人のオブザベ能力・ムーヴ暗記能力に、かなり依存する)

補足)
①が苦手だと、危険ゾーンと安全圏の境界線把握が曖昧になります。
①が苦手な人は、そもそも「恐怖とリスクの判別」という発想が弱いことが多いため、判断力が向上しづらいでしょう。
<マルチ講習@三ツ峠>

もう少し、別の角度から見てみます。

例えば、リード状態(トップロープ状態ではなく、腰位置が最終プロテクションより上)で行き詰まった(登れそうもない)とします。

取りうる選択肢は、2つしかありません。
●フォールする
●クライムダウンする

状況によっては、フォールは怖いだけ(どこにも激突しそうもない)でしょう。
状況によっては、フォールは死亡を意味するでしょう。

これを意識し、現状の安全度、数歩先の安全度、などを考慮して歩みを進めます。
これが、リードクライミングの思考です。
<今回で卒業とした、YZさん>

本当にリードを覚えたいなら、この思考に慣れる必要があります。

逆に、この思考を妨げる悪癖を考えてみます。

●ジムでリード中に、自分が落ちられないぐらいクリップのタイミングを遅らせてランナウトし、怖くなってルート外のホールドを掴んで、事なきを得た。

これを3本目ぐらいで行って、本当に危なっかしい人もいます。
ルート最上部で行うのは理論上は怖いだけですが、「その識別が怪しい」と見える人も多いです。

この習慣は、上に活路を求める登り(「上がっちゃえば楽になる」的な発想)を状態化させてしまいます。
リード状態では、潔くフォールするか、クライムダウンするかの2択です。(安全の担保は、上ではなく、下に求めましょう。)
他の選択肢を常態化させることは、思考力の成長を歪ませます。

大原則は、
「落ちられる範囲or戻れる範囲のどちらか一方でしか、ランナウトしない方が良い。」
という話です。

そもそも論として、ジムではボルトは十分な数だけ配置されているので、「常に落ちられる範囲」に収まるようにクリップのタイミングを調整すべきでしょう。

※「常にトップロープ状態」というのは無理でも、「常に落ちても危険でない状態」を維持することは、ほぼ可能。「初級レベルでも、膝下程度のフォールは許容する。」という前提条件があり、ここが成長の壁になりやすい。
<クラックリード講習@瑞牆>

この理念が骨身に染みてきて、「(この講習生は)リードの思考を理解したな。」と判断しています。
(実際には、歴代講習生の中でも理解度に相当なバラつきがあります。ほぼ完全理解と呼べるのは、未だ10人未満という気がするのは、私の胸が痛むところです。)

リードの思考は、あらゆるリードクライミングにプラス効果があります。

・ジムリードでは、落ちるまで頑張れる(結果として、ロープの足絡み・ビレイにも敏感になる)
・ボルトルートでは、「落ちてはいけないセクション」と安全圏を明確に意識した、メリハリのある登りになる
・クラックでは、プロテクション戦略がまともになる(核心で固め取り、落ちられる範囲のランナウト、など)
・クラックで、いい加減なカムセットをしなくなる(易しいセクションでランナウトする場面でも、セットする少数のカムは正確に!)
・本チャンや沢登りでは、ほとんどが「落ちてはいけないセクション」であると自覚して、戻れるムーヴに執着するようになる

思考の流れは説明を割愛しますが、上記を理解したことにより
・ボルダリングの重要さが腑に落ちる
という効果もあります。

つまり、リードの思考に慣れることは、安全管理のみならず、登りのレベルアップにも繋がります。

※リードの思考に慣れる過程で、トップロープの自制、ジムでルート外ホールドの自制などの禁欲的な行動を行う必要があります。その際に、一時的にR.P.を狙えるグレードが下がりますが、そこは耐え抜いてください。特に、「リードの思考」や「リードの登り」からかけ離れている人ほど、グレードは大きく下がります。
<チムニーの練習>

私にとっての課題は、この思考の枠組みを教える方法です。
経験によって分かる部分もある一方で、場数を踏んだことが悪癖に繋がって修正困難になっている人も多いです。

日々の講習の中でも考えますし、運転中や布団の中まで「あの人には、こういう順序で教えてみたら半年〜1年後(月1〜2回の受講を想定)には伝わるだろうか・・・」と作戦を練っています。

結局のところ、レスト、足置き、スタティック、オブザベ、落ちる練習、と言った基礎中の基礎が大事だと年々痛感しています。
現状で高グレードが登れることよりも、私の感覚としては遥かに将来的に大切です。

一例として
「健全な判断は、健全なレストに宿る」
という話が挙げられます。
<岩場リード講習@七賢の岩場>

補足として、リードの思考はグレード向上にも寄与します。

●まともなリードの本気トライができること
●ムーヴの基礎中の基礎の精度が上がること
●ボルダーの重要性が理解できて、実際にトレーニング時間の何割か(8割以上でも良い)をボルダーに割けること

の3点により、1〜数年後にはグレードも向上するはずです。

ちなみに、リードの思考が骨身に染みると、
・グレードが書かれていないルートへのトライ
・グラウンドアップのオンサイト開拓
などにも応用可能です。

登山業界におけるリードって「道を切り拓く」みたいな意味だから、当たり前なんですけどね。

2025年10月3日金曜日

富士山周辺のあれこれ

今年は、富士山における雑学(観光案内のネタなど)へのモチベーションが少し上がった年でした。

理由①
榎戸さんを筆頭に、太子舘ガイドみんなが年々詳しくなっていて、劣等感が強まる。(もともと観光ガイドは苦手分野・・・。)
今年は富士山直前時期は仕事が忙しく、7月の富士山も人手不足で連続勤務が多かったため、お勉強する時間がほぼ無し。結果、昨年以上に自分の観光案内がダメだった。

理由②
今年の8月後半、岩場は暑すぎるように思えた。
7月の富士山ガイド明けでは、とても成果が上がりそうになかったので、ジムでトレーニング主体にした。
結果として、山の準備・片付けが無いので、空き時間があった。

「富士山ガイドは観光案内が本分では無い」のですが、「下手すぎるのは良くない」のも事実です。
お勉強をしても、記憶が脳内で関連付けられないと意味がないので、この機会に富士山周辺を少し歩いてみることにしました。
<ワゴニア>

さて、先日のメジャールート(御殿場〜富士宮、須走ピストン)に続き、今回は有名だけれど登山道でないライン(or廃道)を交えるシリーズ。

初回は、ガイド仲間の企画に乗っかり、ワゴニア見学。
昔は、車両規制などは無かったので、どこまで頂上を目指せるかやってみて、動けなくなった車両だとか・・・。

御殿場〜須走へとトラバースして行く踏み跡は錯綜しているので、砂場のキックステップみたいな感じも交えつつ。

3時間のハイキングですが、アクティブレストを兼ねて、楽しめました。
<ガイド仲間の2人>

<富士山の沢状地形は、溶岩流によってできたものや、崩れ(崩壊)でできたものなど>

<沢状地形を渡る>

<今回、めちゃくちゃ見かけたフジアザミ>

<車の都合もあり、須走〜御殿場に戻る>

2回目は、富士の樹海。
大室山周辺のハイキング。
今回は、榎戸さんが仕事の下見がてら行くのに、ガイド仲間2人で便乗させてもらいます。

私は、学芸大学の冒険探検部に9ヶ月間だけ所属していたのですが、そこの新歓合宿がこの辺りでした。

・前夜泊する際に自殺しようとしている女性を発見して、先輩が車で病院に運ぶ。
・読図練習として、何グループかに別れてオリエンテーリング。(尾根と沢が不明瞭な地形なので、難易度は少し難しい。ただ、巷で言われているよりもコンパスは効く。)
・風穴、氷穴に入ってケイビング体験。
・夜は、探検部あるあるの無茶ぶり飲み会。

という思い出深い場所です。
<風穴>


<大室山>

<富士山が見えるポイントチェックに余念がない榎戸師匠>

富士吉田市街、大月〜河口湖の高速、三ツ峠の岩場(マルチ講習中)の3カ所からの富士山は見慣れています。
樹海からだと方角が違うため、富士山の形が違って見えます。
<しばらく行くと、富士山がめちゃくちゃ見えた>

今回も半日コースにて、アクティブレストな感じ。
3回目の最終回は、御中道の一周。
こちらは、9月中旬になってから。

経験者の話によると12時間ぐらいとの見積もりで、道も廃道化しており、割と本気の登山です。
GPS無しで行きたかったので、それを了承してくれるガイド仲間のS君と。

暗いうちにスバルライン五合目をスタートし、明るくなるぐらいに、吉田ルートから踏み跡に入って行きます。
しばらくして、須走に到着。
<須走の御胎内を見学>

須走〜御殿場までは踏み跡不明瞭ながら順調。
午後は雨予報ですが、朝から降ったり止んだりに・・・。

宝永山も一応寄っておくと、暴風。
宝永山には巻き道があるため、「ツアーなら、本日は巻き道を選ぶかも」という感じです。
富士宮〜大沢崩れまでも、踏み跡を追うが、頻繁に見失う。
地形図・コンパス・山勘で、踏み跡と再合流したり、見失ったりを繰り返しつつ、進む。

<コンパス、地形図によると、大沢崩れ付近にいると思われるが、ガスり過ぎて判別不能>

<ビショビショでも楽しそうなS君>

大沢崩れ周辺を2時間ほどウロウロして、ようやく話に聞いていた渡渉ポイントを発見。
時間切れ敗退リミットの直前、もう諦めて富士宮に戻る10分前ぐらいでした。

大沢崩れを越え、暗くなる1時間前に大沢泊まり所(御庭〜大沢崩れにおける、廃道ではあるが割と明瞭な踏み跡の終点)に到着。
ホッと一安心。

ですが、最後のスバルライン直前で踏み跡を本格的に見失います。
しばらくはコンパスだけを頼りに、スバルラインを目指します。

が、暗くなって30分ほどして、いい加減に自分たちの地形図読みに自信を失い、Googleマップで現在位置を確認しました・・・。

個人的に、非常に残念な結果でした。
※山行自体は楽しかったのですが、私にとっての当初目的は敗北という意味。

さて、敗因分析。
①思ったより大変なので、小雨の中で行くと通過危険場所が増える。クライミング経験者でないと、ロープが欲しいぐらいの場所もある。ガスの影響もあり、ルーファイのロスタイムが何時間になるか読みづらい。
→本気で完登(巡り?)を狙うなら、天気予報を見ての延期もあり得た。思った以上に余裕は無いので、御胎内見学カット・宝永山を巻き道でカットなどをして、10分ずつぐらい時間短縮しても良かった。

②大沢泊まり所で、「もう勝った!」と安心しきって、そこから地形図をそれほど凝視しなくなった。踏み跡を追うことだけは頑張り続けたが・・・。
→正式登山道に到着するまで、かなりバッチリな登山道跡でも油断すべからず。

③暗くなったところで、ライトを見かけたので「もうスバルラインに到着したか?あるいは明瞭な登山道をナイトハイキングする登山者か?」と思って駆け寄ると、キノコ狩りと思われる人で、その場で別れた。そこに駆け寄っていった5分ほどで、さらに現在位置の把握がいい加減になってしまった。
結果、そこからコンパスだけで踏み跡の無い樹林帯を歩く際に、若干の不安が拭えなくなってしまった。
→②の話と同じ構図。

最後は、暗い中でスバルラインを目指してコンパスで適当に斜面を降り続けましたが、さすがに翌日の仕事やら、遭難連絡人の心配も頭をチラつき、観念して携帯GPSを付けてしまったという顛末です。
※結果としては、スバルラインから徒歩10分ほどのところに居ました。

楽しい山行ではありましたが、登った(巡った?)とは言い難いですねー。

3回目の御中道だけが、なんだか観光ガイド云々の話から逸れて、すっかり本気トライを楽しんでいます。
暗い中でスバルラインをトボトボ歩いたのも合わせると、結局15時間ぐらい行動したので、翌日は全身筋肉痛。

それにしても、コンパス・地形図の無い時代に踏み跡が薄かったら、かなり大変だったでしょうねー。修験道や富士講の全盛期は踏み跡も濃かったのかもしれませんが、それ以前の先駆者たちは凄いっす。

リベンジしたいですが、今度は晴れた日に行きたいですかね。