2013年4月15日月曜日

初登攀の気分で

4月14日(日)は、三ツ峠にてマルチピッチリード講習。
常連男性ONさんとNMさん、という組み合わせで。

<まずは、壁の遠くから、今日行くラインを検討してみる>
マルチピッチリード講習の目的は、

“自力でマルチピッチに行けること”

です。

で、その最終目的は、

“その壁を、未踏の岩壁と見なして、初登攀の気分で登ること”

となります。
だから、残置無視なんです。

出来るだけ、トポも読まずに、岩を読んで欲しいのです。
さて、以下に具体的な流れ。

①遠景をオブザベーション。おおよその概念と弱点ラインを把握する

②近づきながら、細かくオブザベーション。
プロテクション、ビレイ点、クライミングの難易度、から判断して取り付きを決定。

<岩場を一周しつつ、入念にラインを探る>
③各ピッチが始まる前に、2人でオブザベーション。

「ビレイポイントは、あの辺で構築する予定。ダメなら、もうちょっと進んで、あの辺で。」
「1本目のプロテクションは、あの辺で取れそう。」
「ラインが、見た目に2通りあるけど、どっちに行くかは、あの辺りで判断」

<緊張の1ピッチ目>
これを繰り返して、頂上を目指します。

整理すると、こんな感じ。

理念
“初登攀の気持ちで、クライミングする”

ルール
“残置無視、トポ無視で、頂上をめざす”

あとは、2人で話し合って、思うがままに登ってくださいませ!

<ちょっと不安なビレイポイントで、緊張のビレイ>
さて、私の仕事は、こんな感じ。

①サブザックを背負い、飲み物や食べ物を2人に補給する

②危なっかしい方法があれば、注意する
・ビレイポイントは、私がフォローし終える度に、必ず見る。
・危ういランナウト、なども注意

③カムの効き、ロープの流れ、などをもう一人のフォローに解説していく

④技術的なアドバイスがあれば、タイミングを見て

⑤講習後に、2人の反省点を聞いて、間違った方向に反省していないかをチェック

オプションで、補足的な技術説明。

<快調に2ピッチ目をリードするONさん。オブザベーション通りの、見事なオンサイト。>
このクライミング、本当に楽しいです。

マルチピッチが、単なる高度感と緊張感だけでなく、常に判断力を要求される創造的な遊び方に変わります!

<戦略家ONさん、こういうのが楽しくて仕方がない!>

<綺麗なクラックを行くNMさん>
ちなみに、マルチピッチリード講習では、三ツ峠で頂上に行くのに丸1日程度を要します。

今回も、登攀開始が11時半、頂上到着が17時50分。

6時間以上です。

<各ピッチでの作業や判断も多い>
彼らの実力からすれば、

「残置を使って、行ったことのあるルートを登る」
という遊び方ならば、ものの2時間で頂上に着けるかもしれません。

でも、それってマルチピッチの面白さの半分以上を放棄してますよ。
それに、成長過程という意味でも、

「自分で戦略を立てて、リードしながら軌道修正」
という作業は、やっておくべきです。

さもないと、

「恐いけど、ここさえ突破すれば、きっとまた残置が出てきて私を助けてくれるだろう」
なんて言う、危なっかしいクライマーを育ててしまいます。

<厳しいラインに突っ込んだONさん、かなり危ない感じだったので敗退をお願いしました>
だから、私は

「初心者は残置を使い、上級者になるに従って残置無視」

という成長方法には反対です。

<「確保支点を作るので、リードは責任感が付く」というNMさん>
その成長方法だと、かなり危うい橋を渡ってしまうのです。

最初っから残置無視で覚えた方が、しっかりした判断力が身につきますよ。

<完登!>
具体的な講習内容
・実践マルチピッチ(6時間20分で頂上へ)
・複数支点による、ビレイポイントの作り方
・メインロープでの、ピナクルを使ったビレイポイントの作り方

ONさん、そろそろ基本的なことは講習完了ですね。
あとは、マルチピッチリードも補習に入って行きます。

でも、補習が長い道のりでしょうねー。

マルチピッチの本質は、戦略?

4月13日(土)は、越沢バットレスにてマルチピッチ体験。
前日から続いて、YZ夫妻。
YZさんは、クラック講習も終えているので、マルチピッチリードを目指して。
奥様は、クラック仮免許ではあるものの、旦那様とセットで受講という特別枠にてリード講習を目指して。
さて、2人ともマルチピッチ体験講習は初!

特に、奥様はマルチピッチ自体が初、ということもあり、システムの説明から。
大体の説明が済んだら、まずは上まで1本フォローしてもらいます。

<2人とも、オールフリーでフォロー達成>
マルチピッチ体験の最低参加条件が、ジムでのリード&ビレイが出来ること。

それに比べれば、2人ともかなり余裕あり。
そこで、午後はもう1本。

今度は、YZさんはオブザベーションにも相当慣れてきて、奥様もフリーで行けるギリギリのピッチを見事にフォロー。
かなり流れも理解できていたので、YZさんには最後にⅢ級クラックをオンサイトリードしてもらいました。

<最近の石田登山塾で、登竜門的な初心者リードピッチ>
マルチピッチリード講習で1番の核心はオブザベーション、だと思います。

「あのラインは、易しそうだし、プロテクションも取れそうだから、すごく良さそう。」
「あのラインは、傾斜は寝てるけど、あの辺まで支点の保証がないから、すごく怖そう。でも、あの辺まで易しそうだから、行ってみて判断かな。」

などなど。

リードの判断のうち、大筋のシュミレーションはオブザベーションで決まっているのだと思います。
私自身、戦術は得意な方だったので、教えるのはあまり得意ではないかも(笑)。

でも、どうやらこれが、講習の肝にあたるようだと直感して来ました。

<まだまだ、高いところが恐くて、オブザベーションどころではないYZ奥様>
具体的な講習内容
・スリングの収納方法
・アルパインクイックドローの作り方
・ギアラックの整理方法
・コールあり、コールなしの流れ
・フォロー体験2回
・実践オンサイトリード(YZさんのみ)

マルチピッチは、
・クライミング能力
・ロープワーク
・戦略や現場判断

が要求される総合的な遊び方ですね。

平日に、休暇を取って講習

4月12日(金)は、天王岩にて岩場リード講習。
常連のYZ夫妻、常連男性STさん、の3名。
さて、今回の皆さん、平日休みではありません。

土日休みですが、休暇を取っての参戦。

最近、こういう講習生が多いです(笑)。
土日は、講習予約が取りにくいというのもあります。
それにしても、モチベーションが高いということでしょう。

YZさんには、
「土日だけ、講習料を値上げしては?」
と言われました。

儲けだけの問題ではなく、土日と平日で、うまく講習予約もバラけるかもしれないですね。
が、しばらくは、このままのシステムで行こうと思います。

今の段階でも、講習料金の説明には苦労しております。
ので、これ以上複雑になったらかえって私が困るので。
さて、岩場リード講習は約2日で卒業という流れ。

今回、全員が2日目です。

しかも、YZさんは元々

「ボルトルートまでは自力で岩場に行っており、マルチピッチを始めたいと思って、当塾に来た」
という経緯があります。

なんで、旦那さんはクラック講習も卒業済み。
奥様も、ギリギリで5.8まではリード済み。(できれば、もう1日の受講をオススメしている)
そして、STさん。

実質、月に数日の山行き。

でも、
「気持ちだけは、毎週山に行っている人に負けない。」
という熱いモチベーション。

「今日、この時間を最大限に!」
という意識が高くて、講習していて面白いですね。
皆さん、かなり出来が良いので、昼過ぎには最低限の講習は終了。

午後は、本気トライを繰り返し、実践的なアドバイスをしていきました。
具体的な講習内容
・終了点作業(結び替え、懸垂、立木のみの場合)
・ボルトの種類
・終了点の仕組み(流動分散、固定分散、独立)
・捨て縄の使い方
・実践本気トライ

YZさん:5.9以下を4本登り、5.10bをトップアウト。
YZ奥様:5.9を3トライして、惜しくも完登ならず!でも、落ちるまで頑張って立派でした。
STさん:5.8を2本登り、5.10aを2トライしてトップアウト。

STさん、すでにカムも購入済みだそうです。
次は、クラック講習かマルチピッチ体験ですね。

植樹祭エリアに行ったはずなのに

4月11日(木)は、自分のクライミングでミズガキ。
K田さん、ユッキーさんと。
この日は、植樹祭エリアという何年か前に開拓されたエリア。

が、経験上、植樹祭公園の近くは岩が脆く、アプローチの近いこのエリアにちょっと心配しながら。
「チョーサイコウルーフの岩塔」、「ねじねじの岩場」、「ダイワハウチュ」と3つを回る。

が、どうも魅かれるラインがない。
唯一「石触エレジー」は、面白そうに見えたが、5.11dなのでアップルートが欲しい。

(それに、出だしのプロテクションが悪そうで、恐怖心を煽る)
どうしたもんかとウロウロしていたら、3本ほど登られていなさそうなクラックを発見。

ちょっとボロそうだけど、どれも5.10a位に見えるのでオンサイトトライ。

結果は・・・

1本目:ちょっとボロそうなワイド~フィンガー。(見た目、5.10a)

岩が思った以上にボロく、落石でロープは切ってしまう。
さらに、抜け口ではエイドでどうにか抜けるだけになり。

かなり冷や汗。

散々な結果になってしまったので、パートナーにはトップロープのみで。

それでも、全員が砂だらけになるようなクライミング。
2本目:美しいオフィズス(見た目、5.9)

ちょうど、1本目に張ったトップロープの下に、途中で途切れているクラックをK田さんが発見。
これは、リードできないラインだからと、トップロープで遊ぶ。

見た目より厳しく、体感で「よろめきクラック(5.10a)」と同じくらい。

あまりに面白いので、全員2回ずつ登る。
3本目:40mくらいありそうな、大チムニー

これまた、見た目もボロく、行ってみると見た目以上にボロボロ(涙)。
今回は、エイドで抜けることも出来ないので、途中敗退。

途中の立木で降りて、K田さんにフォロー回収してもらう。
結局、変なルートばっかりで遊んでいたら、石触エレジーをやる暇もなく、ヘッデンになるギリギリの下山。

やっぱり不動沢の方が、岩が硬くて、適当なラインで遊ぶのに適しているなー。
実際、登ってみると、上には古い終了点スリングがあったりして、昔登った人がいるんだなーと確認しつつ。
全員、ボロ岩でも受け入れる変態集団なのか、「とても楽しかった」という感想。

植樹祭公園は、今度は残りの半分のエリアに行ってみるとします。

2013年4月11日木曜日

リード講習は、パートナー探しが核心

4月10日(水)は、昼も夜もリード講習2回目。

昼は、常連女性SMさん、高崎の女性HMさんが補習に参加。
夜は、先週から引き続きの女性IMさん、男性FKさん。
今回、昼も夜も2名ずつで受講していただけました。
しかも、それぞれは知り合い。

ただし、皆さん講習生仲間ということで、元々一緒に予約してきた訳ではありません。

「いやはや、ホントに2名ずつのセットで受講してくれて良かった。」
と、私は思います。
というのも、リードなんて覚えても、独りじゃあ何も出来ません。

もっと言えば、
覚える段階から、初心者同士で組んでやった方が良い。

これは、どんな講習でもそうです。
学習効率も、復習のしやすさも、全てにおいてそうです。

※昔は、学習効率はマンツーマンが上かも、と言っていましたが。
それは間違いだったと、今は思います。
その一方で、

ジムのリード講習くらいの段階だと、山岳会に入ったりしていない限り、仲間が少ないパターンが多い・・・

という現状も重々承知しております。

パートナー探し、というのは相当積極的にやっても、運が悪ければ見つかりません!
特に、初心者のうちは、クライマーのコミュニティーに入っていきづらいのも分かるので。

(ボルダーは、全員が個人なので仲間に入っていきやすい。が、ルートは2名で1組なので、ジムなどで話しかけづらい。)

いやはや、本日は偶然にも一緒に講習できて、良かったですよ。
具体的な講習内容
・トップロープのビレイ(復習)
・クリップ(復習)
・リードでやってはいけない事例集
・ビレイヤーが壁に近づく理由
・墜落距離の計算と、軽めの落ちる練習

最終回も、誰かと一緒になると良いですねー。

2013年4月10日水曜日

ジムのルートは、5.10aからが楽しい?

4月9日(火)の夜は、リード講習3回目。
とはいえ、今回は補習希望の男性ONさんのみ。
本日のONさんから一言。
「ようやく楽しくなって来ました。5.10aからは、ムーヴがあって楽しいですね。」



というのも、今日の本気トライで、

ONさん)
「もう腕がダメです。一旦降りて良いですか?」

私)
「いや、ちょっとぶら下がって休んで、次はこうやってみて下さい。」

ONさん)
「アレ?案外楽に行けました。」

これには、ONさんもちょっと感動。
普段は、オートビレイで5.8~5.10aくらいをやっているそうですが、やっぱり5.10aからが面白くなる印象だそうで。

クライミングのムーヴは、パズル的な面白さと言われます。
ONさんは、例によって山のためにクライミングを始めて、最初はあんまり好きになれなかった人(笑)。

山のためとは言え、クライミングを覚えたいなら、クライミングを好きになるのが一番です。

これで、スタートラインですねー。



具体的な講習内容
・リード講習の復習(全体的にチェック)
・実践本気トライ

垂壁5.10bも、2回でR.P.!
意外と登れるじゃないですか?

マルチピッチリード講習の段取り

4月9日(火)は、15時台に早上がりする前提で、越沢にマルチピッチリード講習。
常連男性HYさん、NMさんのペア。

<登れそうなラインを、事前にオブザベーション>
マルチピッチリード講習も、ここ最近何人かに行う中で、だいぶ体系化されて来ました。

何人かに同じ講習を行うと、

・共通の間違いやすいポイント
・その人特有の間違い

が整理されてきて、こちらも段取りに慣れて来ます。
さて、実際に行う流れ

①壁をオブザベーションする練習
(登りやすそうなラインを予想、プロテクション状況を予想)

例)
「あの辺までは、クラックが続いているし、立ち木でビレイポイントも大丈夫。」

「あの辺は、ランナウトするし、ホールドが豊富かどうかは行ってみないと分からない。」

まず、これを岩場の全景を見て行い、角度を変えて眺めて、さらに取り付きで1P目も行い。
答えは言わず、この後に登る際に自分で確認してもらいます。

<リードを意識しつつ、確実に登る>
②1回、フォローで上まで登ってもらう

全体の流れを復習するだけでなく、リードを意識して登ってもらう。

具体的には

・各ピッチが始まる前に、再度オブザベーション
・カムを回収する際に、抜きがてら、もう一度セットしてみる
・ランナウトしている場所は、リードの心境になって、クライムダウンしたりしつつ時間を掛けてフォローする
・ビレイポイントでの動き、私の行動原理などを、質問に答えながらゆっくり登る

これで、たかが3ピッチなれど、懸垂下降までで3時間ほど。
③それから、易しめで、しかもカムがよく効くピッチで、リード練習。

登り始める前の、講習生同士の相談時間をゆっくり取る。

(登攀ライン、持って行くギアの量、ビレイポイントの算段、敗退方法、取り付きでのビレイ位置、などを本人達の直感に委ねて)

リード後に、改善点をこちらで指摘。
(ロープの流れ、取り付く前の作戦、ロープワークの段取り、など)
④本人の余裕を見つつ、負担の高いピッチをリード練習

・ピッチグレードが難しい
・プロテクションが難しいor落ちたら死亡などのリスクあり
・ビレイポイント作りが複雑(複数のカムを連結する、など)
⑤ここまでのクラック講習では扱わなかった内容を補足

合間合間を見て、

・ビレイポイント作り
・ハーケンの打ち方
・ロープワークの効率化

など
と、まあここまでで3~5日、ってとこでしょう。

あとは、自主練習と補習がオススメです。
自主練習では、主にシステムに慣れることが出来ます。

易しいⅢ級ピッチでも構わないので、カムを決め、立ち木でセカンドをビレイし、懸垂下降で降りる。
1ピッチで練習を行えば、リスクも低くて理想的です。
補習は、その他のリード講習を終えて受ける人と同じ。

マルチピッチは、たいがい最初は危なっかしいことをします。
そして、その全てを体系的に講習するのは、実際にムリ!

マルチピッチリード講習3日~5日を終えたあとも、本当は同じだけの日数を補習したいくらいです。
そこで、オンサイト能力を高めてもらいます。

その頃には、小川山の大貧民、セレクション、そして錫杖の左方カンテ、なんかも手が届くはずですよ。
具体的な講習内容
・上記の③を1回ずつまで

次回から、④を少し取り入れます。
④をやってもらうのが、本当に恐いんですよねー。

でも、まずまず順調です。