2018年9月3日月曜日

ビレイの脱力

8月29日(水)は、ムーヴLv.0。
男性TNさん、女性NIさん。 
<真面目さが滲む、緊張したビレイ>

トップロープのビレイをするに当たって、脱力することは結構大事だと思います。

もちろん、フォールした際に止めること、適度な張り具合に調整することは、重要です。

ただ、楽できる場面では楽するに越したことはないし、脱力していた方が案外動きが滑らかで様々な状況に対応しやすい部分もあると思います。
<対応に苦戦気味?>

どこの筋肉を脱力するのか、なんて話になるとブログで書くにはイマイチな気もします。

慣れで自然と脱力できる部分もあるし、十分にビレイ回数を積んでそうなのにガチガチに見える人もおります。
ここから先は、各自の研究とか個別指導の世界ですかね。

2018年9月2日日曜日

自分を励ます

8月25日(土)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性MKさん、女性Mさん、新規男性YZさん。
クラックの面白さは、色々あると思います。
クラックを始める理由も、マルチをやるためのみならず、ラインの美しさ、ムーヴの面白さ、リードの戦略、興味を持つポイントはそれぞれです。

一方で、すごく原始的ですが、
「ジャミングが効くって、気持ち良いな。」
っていうのはあると思います。
<地上でのカムセット練習>

それほど痛くもなく、それでいてムーヴに使える安心感。
「なるほど。」という、分かる喜びもあるでしょう。

カムセットでも、似たような喜びとか快感はあるでしょう。

そういう原始的な喜びは、本当なら初回から味わってもらいたいものですが、どうしたって上手く行かないこともあります。
<曲がり煎餅>

バッチリ腑に落ちないときは、色々とマイナス思考になるときもあります。

過去に、自分の習得がゆっくり過ぎると悩む、クラックリード受講生との会話です。
講習生:
「私たち、こんなにゆっくりで良いんですかね?」

私:
「もし友人がムーヴLv.0を受けていて、なんだか出来るようにならなくてと悩んでいたら、どう声がけしますか?」

講習生:
「明けない夜は・・・、無いよ。」
<無名フィンガー>

あまりに端的な回答で、私もビビりました。
何かあったら、思い出せそうですね。

さて、本日でMKさんはクラックリード講習を卒業といたしました。
無名フィンガーで、エイド練習と本気トライをこなし、ちょっと痛い目にも遭いつつ。
引き続き、よろしくお願いいたします。

2018年8月29日水曜日

ビレイヤーの立ち位置、図解に挑戦

8月22日(水)は、リード2回目。
久々で再受講の男性KTさん、女性KDさん、男性STさん。

KTさんが、久々なので2回目から再受講で、という申し出でしたが、蓋を開けてみると問題なし。例外的に、KTさんにだけ3回目の内容を別メニューで。

で、KTさんは今回でジムリードは卒業といたしました。
<図1>

さて、図1はビレイの立ち位置。

①は壁から1mぐらい、③は5mぐらい、っていうイメージです。
リードがフォールした際、どの立ち位置でも(おおよそ)同じ力が加わります。

ただし、ロープの方向に引っ張られるので、
①は“ほぼ上向き”、②で“斜め45度”、③で“横向きに近い”
ということになります。

人間、横向きの力には弱いので、③だと強烈に壁に向かって引かれる印象になるかもしれません。特に、ビレイヤーがクライマーより軽い場合は、リスクが高そうです。

ちなみに、ビレイヤーの方が重い場合は、③でも平気かもしれません。ほとんど動かないで止まっちゃうかも。
ただし、クライマーのフォールラインにロープが張られることになり、クライマーが足を引っ掛けたりする危険性はあります。

これだけ聞くと、「①か、せいぜい②ぐらいが良いのか?」と思いますが、実際はクライマーの動きを凝視したい心情があり、ついつい③の立ち位置に入りがちなのが問題です。

そこで、次なる選択肢を考えます。
<図2>

図2は、後ろから見た図。
先ほどのビレイヤーの位置を、①~③と表現してあります。

で、ボルトの真下からの距離という観点では、
①=①’、②=②’、③=③’
という条件で、半円を書いてみました。

つまり、
「ボルトの真下から1mと言っても、真後ろに離れるんじゃなくて、横とか斜め方向に離れるという手もありますよ。」
という話。

これのメリットとしては、
・真後ろより、案外見やすいこともある。
・首が疲れにくいこともある。
・フォールラインを避けられることもある。
など。

結果としては、
「ボルトの真下からの距離は少なめでも、ビレイのしやすさを確保できることが多い。」
というもの。

絶対に横が良いとか、斜め方向が良いとか言うべきものではありませんが、相当な場合において使い勝手の良い方法です。
図2に限って言えば、
真後ろよりは左方向or左斜め後方、壁からの離れ具合は①’~②’ぐらいが、私には自然に見えます。

理屈を理解した上で、細かいことは身の回りの上手い人に聞いて、ケースバイケースを覚えていきますか。

2018年8月28日火曜日

テーピング

8月18日(土)、19日(日)は、クラックリード講習にて、湯川。
新潟の4人チームで、女性ABさん、男性IDさん、男性YMさん、男性SIさん。
ジャミングをする際、手の甲にテーピングを巻くことが多いです。

手の甲は肉や皮が薄いので、傷だらけになってしまうことを防ぐ、という目的。
もちろん、テーピングをした方が痛くない、っていうのもあります。
ジャミンググローブなる商品もあって、これは簡単に付け外しできる点と、ややジャミングしやすくなる点(グローブの素材、ズレの問題で、多少ロックが掛かる。)が売りみたいです。
これに対し、テーピングは、
「痛みや傷対策にはなるけれど、ジャミングが簡単になるという意味では、ほとんど効果がない。」
というのがメリットです。

「テーピングで登れたのなら、素手で登ったのと、難易度的には差が(ほとんど)ない。だから、完登の価値とか達成感には、マイナスは無し!」
というのが、私の理解です。
という訳で、クライミング業界では
「テーピングあり、ジャミンググローブは微妙なライン(状況や人によって、見解が違う。)。」
ぐらいが相場だと感じています。
個人的には、テーピングもやっぱりジャミングが(少し)易しくなることが多いような気がするので、なるべく避けたい気持ちもあります。

でも、ルーフクラックとかは、手の甲に掛かる圧力が強すぎて、テーピング無しでは相当トライ数が制限されちゃって面白み半減な気もします。
あと、手の甲に実際に傷が出来ちゃったら、そのまま登る訳にもいかず。

そんな訳で、テーピングありのルールを採用。
でも、モヤモヤは残ります。

今のところ、
「余裕のあるとき(垂壁前後の本気トライで、まだ傷なし)は、テーピングしない。」
ぐらいでやっております。

本当は、こういうイザとなったら破れるルール、みたいなのは潔くない気がしてなりません。
でも、ほとんど差が無いわけだから、
「テーピングするぐらいだったら、ルーフ系は2トライ目なんかしないぜ!」
ってのも、意固地過ぎる気がしてならず・・・。

結局、テーピングする訳ですよ。
話は戻りますが、講習ではテーピング大推奨なので御安心ください。
初心者は、どうやっても傷が多くなるので、テーピング必須だと思います。

クライミングや登山において、諸々のモヤモヤと如何に向き合うかは大事な問題ですが、とりあえずこの辺で。

2018年8月26日日曜日

ビレイ点の続編

5月17日は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性HMさん、男性SGさん。
<ビレイ点作りの練習>

ビレイ点作りで、講習生が頻繁に話題に上げるのが、足場です。
足場によって、求めるものが変わるという話。

上図で、下段のテラスは数人が座れる広さ、中段は立てる程度(セルフにぶら下がっていることが多いくらい)、上段は大型テントが張れるぐらい。

「中段の場合、ものすごく安全なビレイ点であって欲しい。」
「上段の場合、テンションなるべくかけないように、そうっと使える。」
という感覚。

感覚は、分かります。
ただ、その図はフォローが登っている状態で、このときフォローがテンションすると、ビレイ点に全荷重がかかります。

つまり、ビレイ点はトップロープ支点並みに安全であって欲しいのです。
しかも、仮にビレイ点が崩壊すると、リード(この時点でのビレイヤー)も死にます。

さて、この状況は、ビレイ点の足場が良くても同じです。
<カム複数支点でのハンギングビレイ>

個人的には、
「足場が悪い(ハンギング気味の)ビレイ点を、怖がって真剣に構築するのは悪くはない。でも、足場が良くても結局はパーティ全滅の危険はあるから、妥協は要注意。」
ぐらいのイメージです。
次に、複数支点の連結。

上図は、A~Dの4つのカムで、ビレイ点を作った場面。

A~Cの3つを連結し、一番強固な支点(パワーポイント、マスターポイント、などと呼ぶ人が多い。)を作り、そこでフォローをビレイしました。

で、本人のセルフビレイは、Dだけで1個からとりました。

本人の感覚としては、
「煩雑にならないように、分けた。」
というもの。
これまた、理解はできます。

ただ、もしDが抜けたり、セットした岩が欠けたりすると、本人はA~Cの3点には繋がっておりません。
おそらく、死にます。フォローは、とりあえず死にませんが。

複数支点の最大のメリットである、バックアップの効果がないのです。
このケースだと、普通にパワーポイントにセルフビレイで良いんじゃないでしょうか?

せっかくDが使えるなら、一応パワーポイントに連結して、A~Cが全部抜けたときの最後の保険にしておくという手もあります。
こうやって書いちゃうとサラリです。

でも、リスク管理で感覚と理性の仕分けは、永遠のテーマみたいなところもあり、現場では失敗しがちですよね。
ゆっくり学んで行きましょう。

<トップアウト!>



2018年8月20日月曜日

リーチ問題の第1歩

8月15日(水)は、ムーヴLv.0。
女性SGさん。

前々から、リーチについて何度も質問していらっしゃるSGさん。
個人的には、リーチが無くても上手くなる人ってのは、「気の持ちよう、状況分析の2点が上手い人」ではないかと思っています。
「リーチのせいで登れない」と言いたくなる気持ちと上手く向き合いつつ、「この状況は、どうすれば登れるのか?」という試行錯誤に気持ちをフォーカスするのです。
まぁ、これってリーチに限らないんでしょうけど。

さて、状況分析に関しては、講習で扱いやすいです。
以下、2つの写真はスタートホールドから1手目(右手の指先が触れている緑色のガバ)が届かない、というもの。
※本当に、「何も思いつかないです。」と困っている訳ではありません。説明のために、とってもらったポーズです。
<右足が緑のスタンス、左足が黄色のスタンス>

<右足が黄色のスタンス、左足は1枚目と同じ黄色のスタンス>

この写真を見て、どうすれば届くかを考えてみます。

ちなみに、このルートは足自由。左手に持っているスタートホールドは、大きなガバです。
傾斜は75度くらいのスラブです。

方法① 両足とも、もっと高いスタンスに上げる。(これは、どんな初心者でも思いつくでしょうか。)

方法② 1枚目の写真の状態で、右足に乗り込む。(左足から右手までの距離が遠すぎる。右足は、まだ十分曲がっている。)

方法③ 2枚目の写真の状態で、右足に乗り込む。(1枚目よりも右足は低いが、左足なしで右足1本で立てば、右腰の「くの字」が真っ直ぐになって届くであろう。)

方法④ 1枚目、2枚目のどちらのケースでも、左足のみを右上方向のものに変更する。すると、右腰が「くの字」になった状態を解消できるので、方法②、③と同じ形になれる。

方法⑤ 足スメア、飛びつき、スタートホールドでのマントル、など。ただ、この場面では①~④の方法の方が楽そうなので、誰もやらないでしょう。
※飛びつこうとして伸び上がってみると、どちらの写真のケースでも右足が残ることになるでしょうが・・・。

ってな感じで、自分の状況を分析します。
足限定になっても、難易度が上がっても、基本的な作業は同じです。

今の自分の後ろ姿を想像して、どういう動きならば現実的に可能か、可能な動きが複数ある場合はどれが楽かを考えます。
まぁ、こうなってくるとリーチ問題というか、普通のムーヴ検討という話になりますね。

ただ、経験上リーチが短い⇒落ち込みやすい&諦めやすい、という傾向に陥る人は多いので、質問してくる気持ちを汲むことが出来ます。
ってな訳で、「結局リーチが無くても上手くなる人ってのは、物事の考え方の時点できっと上手いんだよ。」という気がします。
メンタルコントロールは専門外なので、講習では状況分析などの取り組み方がメインではあります。

さてさて、本日でSGさんはジムリード講習に進んでO.K.といたしました。
引き続き、よろしくお願いします。

2018年8月16日木曜日

8月12日(日)は、岩場リード講習にて、小川山。
女性NNさん、女性KBさん、女性FSさん、男性FMさん。
落ちたらダメな場面。
例えば、1本目のボルトが高いとか、途中がランナウトしているとか、ボルトが信用できないとか、色々あると思います。
ボルダリングでも、最後のマントルは落ちたら怪我する課題って結構多いですよね。
山だったら、そもそもロープを付けてない場面もあります。

で、その場面で、
「この一手(or一歩)出しちゃったら、戻れないな。」
と頭をよぎることがあると思います。
そこが、あなたのクライミング技術においての判断の分岐点になります。(どのムーヴまで確実にクライムダウン可能かは、人によって違います。)

さて、この場面での自問自答を考えてみましょう。

「今なら、まだ引き返せる!」
「進んだら、もう多分引き返せない。確実に次のボルトまで進めるかな?ホントのホントに自信持って大丈夫?」

もちろん、第三の選択肢を探しても構いません。
引き返せそうな別ラインを模索するとか、別ムーヴを模索するとか。
これが見つかれば、いつでも引き返せる状態で行軍しているので、ミスったら大事故とは思いつつもパニックだけは避けられそうです。
そんな会話の後。
講習生Aさん:
「私、そんなに(リスクを)考えてたら心が負けちゃいそう。私、怖がりなんですよ。(普通に登っちゃダメですか?)」

私:
「なるほど。うーん、でも考えないと長生きできないと思いますよ。」

講習生Aさん:
「分かりました。」(しぶしぶ、という雰囲気。)

たしかに、リスクを想定するとドキドキしてしまうから、片目つむって登りたい、という心理はあると思います。

講習生Bさんからも
「すごく気持ちは分かります。でも、考えないとヤバイです。」
というコメントをいただけました。

一方で、
「私は、考えずに突っ込むこと自体できないなぁ。もう、どうやっても考えちゃいます。心配だし。」
という講習生Cさんも。
この方としては、怖がりだからこそ考えずにいられない、という感覚なんでしょうね。
さて、皆さんは誰の感覚に近いでしょうか。

ちなみに、落ちたら行けない場面で、登ることも降りることも出来なくなって動けなくなることを、私は大学時代に蝉(せみ)だと教えられました。
「蝉にだけは、なっちゃダメだから!」