2022年11月29日火曜日

1月分の予約受付

12月2日(金)の夜21時より、1月分の予約受付を開始いたします。

岩場リード講習は、湯河原。
クラックリード講習は、城ヶ崎。
マルチピッチ講習は、1月および2月はお休み、となります。

また、昨年より雪山講習の前後日に岩場での講習を入れることを辞めたため、あらかじめ雪山関係の講習を申し込む方には打診してもらいました。
参加希望に当たっての問い合わせなど、ご質問があれば何なりとメールしてください。

では、どうぞよろしくお願いします。

2022年11月9日水曜日

形状を言語化する

10月29日(土)は、マルチピッチリード講習にて小川山。
NSさん夫妻。
<1P目>

講習生同士でラインの検討をしたり、敗退戦略を話し合ったり、リード中の判断ミスなどを話し合ったりする際、言語化能力が肝になります。

例えば、上の写真は1P目です。

「ちょっと難しいところで奥まったクラックにカムを決めるところが悪くって、そこで何度もカムを挿し直したらスタックしそうになって。」
という状況を説明したいとします。
「ちょっと難しいところ、って〇〇のところ?」と聞いたときに、チンプンカンプンな回答をする方が多いのです。

例えば、
「手をプッシュっぽくしたら、ギアラックがカムに干渉して、それを外すのが大変で・・・」
などと、そのときの状況を熱く語ってしまい、場所の説明になっていないとか。

おそらく、
「出だしの易しいスラブを越えて最初の立木プロテクションを取った後の、数メートルのハンド〜フィストのコーナークラックを越えた乗っ越しで、ちょっとバランスが難しいところ。」
と言えば、写真を見た多くのクライマーがポイントを同定できるでしょう。
この能力は、何なのでしょうか?

他にも、
「ナナメのとこにあった立木が・・・」
といった感じで場所の同定を終えたつもりになる講習生も多いです。

おそらく、
「3P目の中盤に出てきた斜上バンドの終点付近、そこから上のスラブに移る地点にあった、太いけど枯れている立木。」
と言えば、登ったことがあるクライマーなら、ほとんど同定できるでしょう。
もっと言えば、この能力はジムでも垣間見られます。

青いガバを繋げたラインセット(同色で統一したルート)の5.10aがあったとしましょう。
「ヌンチャクの隣にあるの青いガバが・・・」
と言って会話を始める人は、散見されます。

「いやいや、何本目のヌンチャクよ!?」
「ってか、ほとんど青いガバだから。」
と、何度も友達に突っ込まれているのに、その癖がなかなか抜けない人がおります。

おそらく
「5本目のヌンチャクの右上にある、右手ガストン気味のガバ。」
とか
「7本目のヌンチャクの真下にあるアンダーガバがあるじゃん。その左下にあるガバ。」
ぐらい言わないと、会話が始まりません。

ただ、ジムだと相手が意を汲んで色々と聞き返してくれたりして、どうにか伝わることが多いものです。
しかし、岩場では
「あの大きな岩の先にある、デッカいポコっとした岩が・・・」
とか言われても、相手も困る訳です。
さらに、全く別の場所を同定してしまい、話が噛み合わないまま会話を続けているケースも散見されます。
<紅葉の小川山>

これがまた、家族だと何となく伝わることも多いんでしょうね。

そして、これに得意不得意があるのも、様々な講習生を見て、しみじみと感じます。
根本的な性格みたいなものは一旦置いておき、まずは意識してみると良いと思います。

実際、元の性格はノンビリさんでも最低限チャキチャキできないとマルチピッチは大変とか、元は雑な性格でも最低限丁寧さを身に付けないとクライミング全般危なっかしいとか、趣味を本格的にやるなら避けて通れないものって、色々あります。
<傾斜の寝たコーナークラック>

これが出来ると、何が良いのかを再確認しておきます。

①登攀ラインの検討、懸垂下降ラインの検討などが言語化できる。
②ムーヴの検討が、言語化しやすくなる。
③様々なヒヤリハット、事故原因を、言語化しやすくなる。
など。

副次効果として、会話のストレスが減り、中身のある会話が増えるというのもありそうです。
言語化能力が低いと、ついつい当たり障りの無い会話しかしなくなる、という初級グループも多いと思うので。

ジムでのオブザベも、こういう能力が大事なんでしょうねー。
<ビレイヤーから見えない場所で核心となる、嫌な形状>

<立てるバンドで、アルパインクイックドローを作る>

<無事にトップアウト>

<とても楽しそう>

2022年11月7日月曜日

秋の自分のクライミング

ここ最近は、小川山でボルダーをやっております。
「フィロソフィー」(初段)で、初日にムーヴが出来ず敗退し、もう1日行ったら疲労困憊でホールドすら触らず帰宅したところまでは書きました。

その後、フィロソフィーに2日間通って、ムーヴは解決したものの、繋がる気配なし。
僕の手順で実質15手のトラバースで、3、4、6、7手目が、自身最高強度のムーヴに感じるため、繋がる気がしないという状況。
加えて、15手目が微妙にヨレているだけで失敗しやすいムーヴ。

とりあえず、7手目をスタートとして15手目まで繋げるという分解練習を行い、そこまでは半日がかりで成功。
これを持って、ひとまず封印中です。
10年前はムーヴも全くできなかったので、辛うじて進歩していると考えましょう。

そこから、「延長サブウェイ」(1級)という課題に2日半くらい通いました。
こちらも、ムーヴは解決したものの、やはり強度が高過ぎて繋がらず。
SDスタートのトラバース課題という、超地味な課題ですが、これも10年前の宿題でした。
こちらは、惜しいところまで行ったトライもあったのですが、決めきれず。

実質4手目までが核心で、そこからレストらしいレストなく、5.11cぐらいのトラバースに入ります。
最初の4手が成功したのは、通っていて2回だけ。しかも最終日は、一度も成功せず・・・。
この手のムーヴに関しては、ほとんど進歩していないことが明らかになりました。

ただ、できないなりに学ぶ点もあり、基礎練習の方向性も少し変化できそうに思いました。
傾斜壁での外傾スタンスの足残し、右手でのぶら下がり(例えば、左手での片手足ブラはガバならできるが、右手だと出来るには出来るが右肩の関節に違和感を感じている)が、一つの肝だと感じました。
で、夕方近くにワイドボルダーへ。
タイムトンネル(3級)。
こちらは、4トライで完登できました。
フィジカル的には、十分に一撃狙いできるものだったのですが、この手の課題はオブザベが本当に難しいです。

30度ほど下開きのチムニーで、天井のハンド〜フィストサイズのクラックが、所々にジャミングが効いたり、縁が持てたり、といった形状です。
ただただ、珍しいタイプのムーヴに興奮して、ついついオブザベ不十分で取り付きたくなってしまうのも、一つの難しさだと感じています。
多くのワイド系課題は低いので、リスクによる緊張感を利用して、オブザベに真剣になる手法も使いづらいです(笑)。
ただ、実際に背中から落ちる課題もあるので、低くないと困るのですが。

でも、なかなか勉強になったので、再登したり、逆方向のトラバース課題として2回登ってみたりして、楽しめました。
この手の課題は、まだフィジカル不足よりもテクニック不足・戦略不足を感じられるので、登ること自体が練習という感覚です。

フィジカル不足を感じる課題は、
登れなかった→「次に、この課題に来るまでに何をすべきか?」
という構図に瞬時になりますよね。
そして、それが失敗すると、次に来ても何もさせてもらえないという惨状に。
登ること自体は、クライミングの一部でしかないという現実を突きつけられて、結構ツライものもあります。

しばらくは、ジムで登る数週間になりそうなので、また少し考えてみます。
小川山は、来シーズンかもしれませんが・・・。

2022年10月28日金曜日

12月分の予約受付

12月分の予約受付を、10月31日(月)の夜21時よりスタートします。

事情により、アイスクライミング講習だけは2日間の開催が決まっております。
12月もマルチピッチ講習も可能ですが、寒波が入った場合は湯河原や城ヶ崎での講習に変更になることをご承知下さい。

では、どうぞよろしくお願いします。

2022年10月24日月曜日

大レストポイントの活用

10月14日(金)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性ISさん、男性MKさん。

10月15日(土)は、クラックリード講習にて、小川山。
女性YIさん、男性HDさん。

10月16日(日)は、マルチピッチリード講習にて、三ツ峠。
女性Mさん、男性KBさん。
<はじめてのダブルロープ>

岩場でリードする際に、大レストポイントがちょくちょく現れます。

今回、大レストポイントの定義としては、
「左右の手を交互に何度もシェイクしたり、チョークアップできる場所」
としましょう。
とは言え、この中にも相当なグラデーションがあります。

①座れる。
⇨テラスなど。シューズも脱げるので、体幹部も含めて、ほぼ完全回復できる。

②ノーハンドで立てる。
⇨緩傾斜で、良いスタンスがある場合。ちょっとしたテラス。割と良いスタンスでのステミング。チムニーの中でスタンスがあり、背もたれで休める場合。などなど。

③ノーハンドにはなれないが、ほとんど時間制限を感じない。
⇨垂壁で、足も良く、手もガバに近い場面。など。

④とりあえず休めるが、時間制限を感じる。
⇨被った壁で大ガバ。垂壁で手はガバ、足は悪い場面。など。
<初登攀ごっこを楽しむ>

この活用を上手にできるかどうかは、O.S.、少ないトライ数でのR.P.、あるいはクラックでのリスク管理を冷静に行う上で、とても大切だと思います。

例えば①〜③は、
・少し上のホールド、ムーヴを探りに行ってから戻る(偵察)
・プロテクションをセットしてから戻る(登山で言うなら、FIX張り、荷物デポ、雪山での前日のトレース付けに相当)
・カムのバッククリーニング(ロープの流れ、カムのタマ数補充)
などが可能になります。

とても時間の掛かる行為ですが、安全に登る上でも、少ないトライ数で完登を勝ち得るためにも必要です。
<今回のテーマになった場面。どうにか大レストできるが、足が悪い。>

一方で、④で同様の戦略を採用すると、徐々に疲れてきます。
いざ作戦が決まって出発したくても、もはや出力が下がってしまい、「テンショーン・・・」と情けなくコールする姿も、よく目にすると思います。

状況にもよりますが、
「行きつ戻りつをするにしても1〜2回程度、できればレストポイント内で作戦を整理してGOだ!」
といった覚悟を決める必要があります。
<フラッシュするHDさん>

一般的には、女性に多い持久力型の初級者には①〜③の活用が上手な方が多く、④なのに行きつ戻りつし過ぎてギブアップするパターンも多く見られます。
(今回、女性YIさんは、まさにこれで何度かハマっているように見えました。)

当然ながら、男性でボルダー出身の方、トップロープ癖が抜けない方、などは反対になります。
大レストしている風でも、行きつ戻りつは非常に少ない、など。
意識して、①〜③を上手に使えるようになる必要があります。
ちなみに、これはマルチピッチでも重要です。

例えば、入門マルチ専門のような方(フリークライミングを真面目にやる気持ちになれず、そうなるパターンなど)だと、①や②はある程度使いこなせても、③は全然ダメと言う人が多そうです。
2m〜5mに1回とかの割合で、①や②が出てくるのは確かですが、やっぱり③が使えないとリスク管理は甘くなるように思います。

健全な判断は、健全なレストに宿る、ということです。
<あいにくのガス>

当然ながら、ジムでの本気トライで重要になるのは、④の活用です。
①〜③は、入門的なグレード、凹角、緩傾斜を除くと、なかなか出来ないように作ってあると思います。

これは、
・持久力差が出るルートを作る上では、完全レストポイントはなるべく避けたい。
・岩場のように1トライに時間が掛かると、順番待ちが酷いことになる。
などの事情があります。

実際、利用者の一人としても、その方がトレーニングには向いているとも思います。
<「意外と悪いですねー。」>

まぁ、トップクライマーはルーフのオンサイトトライでも、凄まじい行きつ戻りつをしている、などの例外事象はいくらでもあると思います。
彼らは、強傾斜の中でさえも、条件の良いレストポイントに戻れば回復できるということなのでしょうね・・・。
<真っ向ハンドの数手をこなしたMさん>

ムーヴそのものの上手さをブログで解説することは困難ですが、こういった戦術面は解説に適しているかもしれませんね。
<遅くなるけど、あとは緩傾斜なのでトップアウトを目指します>

2022年10月10日月曜日

ときどき落ちる、は可能か?

1つ前の記事と関連して、昔から興味深く考えている点です。
僕自身の中で整理しきれていない部分もありますが、書いて整理する意味も込めて。

落ちることは、一般的に怖いし、変な落ち方をすれば怪我をするリスクもあります。
そこで、“滅多に落ちない人”というのが初級者には散見されます。

これは、あんまり良くないでしょう、というのは前提として良いかと思います。
リードなら「テンション癖がある人」と言われますし、ボルダーなら「あんまり頑張らない人」と思われます。
ただ、彼らの多くは絶対に落ちない訳ではなく、ときどき落ちているように見えます。
これは、どういうメリットとデメリットがあるのか、という問題です。

彼らの気持ちを代弁してみます。
①単純に怖いから落ちたくない。
②落ちる時は、気づいたら落ちているから怖くない。
③たまにしか落ちないことは、落ちて怪我をするリスクを下げている。
④山では落ちないんだから構わない。(主には、マルチピッチや沢登り雪山をやる人の言い分)

僕の中で、一番興味深いのは③です。
一応、①、②、④についても簡単に触れます。

①を解消していく方法は、僕も様々な講習生相手に向き合ってきた課題ですが、今回は割愛。
②は、気持ちは十分に理解できますが、考えてみればリスクがあります。
「落ちるかも」と覚悟して一手出している人は、落ちた場合の脳内シミュレーションを繰り返してチャレンジしています。
が、気づいたら落ちている人は、シミュレーション無しなので、不意落ちという印象です。
数回前の、手繰り落ち問題でも書きましたが、不意落ちは反省し、チャレンジ落ちを許容するというのが、リスクを下げるコツだと思います。
④は、安全に行きつ戻りつできるムーヴを練習することも大切にしつつ、本気トライでは落ちるまで頑張る、という両輪を忘れないことが、リスクあるクライミングをする人のジム練習では重要だと思います。この問題も、ほとんどの初級者はできていないように思いますが、割愛。

さて、本題の③は、「状況にもよる」というのが現時点での私の結論です。

車の運転を例にしてみます。
運転の回数が少ないことは、生涯における交通事故リスクを下げると思います。
確率×回数という考え方によります。
一方で、たまにしか運転しない人の車に乗ることは、結構なリスクを感じると思います。
つまり、習熟度が1回あたりの事故リスクを下げている、という状況です。

つまり、よく落ちる人がよく怪我をする人かどうかは、相当難しい問題です。
実際、落ちたがらない人がたまに突っ込んで怪我をする、というパターンも見かけますし。

しかしながら、車の運転で以下の状況はどう考えるでしょうか?
A)運転の回数は多いけれど、荒っぽい運転の人には注意もしにくく、運転の回数を減らして欲しいと感じる。
⇨よく落ちるけど、フォール姿勢やリスク管理思考がイマイチなら、ダメです。

B)首都高速、都心部など、技量が低いとリスクが高いと思う道路は、なるべく運転を避けるようにしている。
⇨ボルト足下よりさらに進んだ状況でのフォール回数を減らすことや、岩場ボルダーで高めの場所からフォールする回数を減らすことも、良いことだと感じます。
ただ、ボルトが膝くらいでフォール、低いボルダーでのフォールを繰り返している人がそれをするからこそ説得力がある、という点は考慮すべきかと思います。

個人的に、このジレンマをすごく感じるのが、岩場ボルダーでのノーマット練習です。
ほぼ落ちる気がしないところで行っても、リスク管理能力やフォール姿勢の強化につながらない気がします。色々と慎重になるので、多少の意義は感じますが。
一方で、頻繁に落ちる課題でやると、そのうち足首を捻りそうだったりします。また、相当低い課題でも、膝やら腰にダメージが蓄積される感じも、困ります。
一撃は相当厳しいが、少ないフォール回数で完登できそうな課題、というのが色々とバランスが取れている気がしています。
もちろん、そのぐらいの課題でもマットを敷いてトライすることもあります。ギリギリの一撃を狙いたい場合など、特に。
僕の中で、ノーマットはスタイルではなく、技術的な練習方法なので。

他人にこの話をするときも、自分自身の練習を考える意味でも、なかなかスッキリしない問題です。
ただ、この問題を意識しているか否かで、リスクも取り組み方も変わるような気がします。

2022年10月5日水曜日

ときどき良いスタイルで登る、ということは可能か?

10月2日(日)は、マルチピッチリード講習にて三ツ峠。
女性Mさん、男性KTさん。
<ピッチを切る場所に迷うMさん>

先日、ある講習生からされた質問。
「マルチピッチ講習で残置無視なのは、いざというときにビレイ点をカムで作れるようになるためですか?」

僕の回答は
「そういう部分も一部にはありますが、本来の趣旨ではありません。」
<色々と延長して、完成>

残置無視で登ると、ビレイ点をどこに作るかも自分で考えます。

立木が見えなければ、カムの残量を気にしながらリードしなければなりません。
先の見通しが悪い場合などは、ほとんどカム1セットを丸々温存するような形でリードを終えるべき場面も多くあります。
クラック自体は豊富な岩場でも、ビレイ点で使いたいカムのサイズは、行かないと分かりませんので。

また、残置ビレイ点はテラスのある場所や次のピッチのリードビレイがしやすいように作られていますが、ビレイ点を自分で構築すると、何を優先すべきかを考える必要が出てきます。

さらに、ビレイ点が作れなければ、クライムダウンしてカムを取りに戻るのか、手前でピッチを切るのか、周辺で右往左往してビレイ点作りをするのか、などの判断は全て自分に委ねられます。

これらの戦略的な判断そのものを楽しみ、反省していくのです。
<丁寧な登りでフォローするKTさん>

つまり、リード中に即興でカムのビレイ点を作っているのではなく、あらゆる事態を想定しながらリードする点が、根本的に異なります。

そのため、途中でギブアップのように残置を使ってしまうことを前提とした残置無視は、本来の趣旨とは異なると思います。
(少なくとも、初登攀ごっこ、リスク管理を真摯に捉えたゲームでは無い。)
<ハンド〜フィストのクラック>

この考え方に、
「自分の実力次第で、どんな壁でも登れる方法なんて夢がある。」
「既成ルートでも、そうやって楽しめば本当のクライミングなのかな。」
「それぐらいやらないと、リスク管理能力は上がらない気がする。」
などと直観された方は、是非とも当塾講習へどうぞ。
<フォローを迎える>

では、普段はトポを熟読し、残置を追いかけている方が、こういったクライミングを「ときどき」することは可能でしょうか?
とにかく上へとリードしてしまい、パニックに陥るだけの非常に危険なクライミングをすることになりそうです。上へと向かえばビレイ点がある、という負の成功体験が、リスク管理としては悪癖につながってきます。
これを仮に、初級残置使用者と呼びます。

もちろん、一部には既成ルートも楽しく登り、人跡未踏の岩場で冒険的なクライミングもこなす人がいることも分かっています。
そういう人は、日によって、あるいはエリアによって、自分なりに本日やるべきことスイッチを切り替えられるのでしょう。
こちらを仮に、上級残置使用者と呼びます。

初級から上級へのステップアップは、何が鍵になるのでしょうか?
実際、それを成し遂げた人もいるでしょうが、あまり数は思い浮かびません。

それとも、まずは残置無視から入るべき(初級残置使用者は成長過程として経由しない)で、残置無視に十分慣れてから、ボルトを打たないとどうしようも無い壁などでの残置使用を行うというステップを踏むべきなのでしょうか?
こちらは当塾の方針ですし、探検部出身者、人里離れた沢登りを好む方などは、こちら寄りかと思います。

初心者にとってどちらが正しいかという議論もありますが、「私、実際問題もう初級残置使用者になっちゃっているんですけど、どうしましょう。」という話もあります。
<荷上げしたいザックがテラスに置いてある>

初級の習慣が悪癖となり、上級へのステップアップの弊害となる一方、いきなり上級の習慣でスタートを切ることに難しさがある事例を挙げてみます。

●ガイド登山と、仲間内での登山
  ⇨山岳会などで、ガイド登山出身者が煙たがられる話は、数え上げればキリが無い。ガイド登山ではないが、連れられ登山が好きな人というのも多い。ただ、ガイド登山には金銭的負担が大きいため、現在のところ少数派。

●トップロープリハーサルと、グラウンドアップのリード
  ⇨自分でも嫌気が差すほどブログに書いている。ガイド登山と異なり、金銭的負担が無いため、もはや広く一般化している。ちなみに、トップロープリハーサル好きな人が、あるルートに対してだけ、「オンサイトしたい!」などと言うと、僕などは危なっかしいトライをしている構図しか頭に浮かばず、あまり応援する気持ちになれない。
<ワイドっぽいコーナー>

この話は、スタイルの話に限らず、上級者の習慣を身に付けることの全般的な難しさを物語っているように思います。

スポーツとしてクライミングを考えても、最初に身に付ける練習習慣って間違いも多いです。
リスク管理にしても、怖さとリスクを全く分離して考えられないまま、10年20年と過ぎている方も多く見かけます。
<富士山が近いのは三ツ峠の魅力の1つ>

厳しいことばかり書いたようですが、普通のことも書いておきます。

オンサイトは楽しい!
残置無視・トポ無視の初登攀ごっこは楽しい!
リスク管理の反省会は楽しい!
現在の練習習慣を見直し、日々自分を変化させるのも楽しい!

楽しいからこそ、甘さをグッと堪えることに達成感があります。
ちなみに、この翌日は一人で小川山に行き、先日のフィロソフィーをやろうとしたら、体力的に疲れ切っていたようで、まるで力が入らずに昼に下山しました。
本日はノーカウントとして、また再訪しようと思います。

できないムーヴと向き合うのは、ツラいっすね!
でも、これをやらないと、講習生に上記4点をやれとも言えないですしねー。
頑張ろ。
<最上部の緩傾斜帯>


<色々と工夫したビレイ点>

<お疲れさまです>